船釣りのなかでもエサ釣りは、しばしば「天秤」を利用しますね。
初心者の頃や手ぶら派は、天秤とビシあたりはレンタルすることも多いと思います。
ロッドとリール以外の天秤については、レンタルでもロストしない限り無料なので、それはそれでよいと思います。
一方、釣り人の探求心は尽きないもので、やがて「マイ天秤」を持参しようと思う人も多いはずです。
そんなこんなで、今日はダイワの「リーディングアームⅡ」という、形状記憶合金製の天秤について紹介します。
※同製品は2023年にリーディングアーム3としてアップデートされて販売されています。
天秤の役割とは
まずは天秤の役割から説明していきます。
岸釣りで利用する天秤の場合、仕掛けを遠く飛ばしつつ、絡んだり根がかりしにくくするといった役割があります。
船釣りで使う天秤の場合も、基本的に道糸とハリスをつなげる役割があり、潮流等で仕掛けと道糸が絡まないように使われています。
絡みにくいという点を考慮しなければ、どんな釣りでも道糸とオモリを直結し、その先にスナップなどで錘をつければよいわけです。
一方、船釣りの場合は潮流が強いことも多く、天秤はなくてはならない存在なのです。
船釣りで使う天秤の種類
ざっくり、船釣りで使われる天秤の種類をあげるならば、一番有名どころはヤマシタの天秤類です。
シンプルで模倣しやすい仕様であるものの、致命的な競合製品もでておらず、ブランドとしての信頼性も高く、市場占有率も相当高いはず。
近年はダイワの快適天秤シリーズに押されてきている感はあります。
- 船テンビンK型
- ライトテンビン
「船テンビンK型」と「ライト天秤」
この2種は多くの船宿のレンタル品に使われていて1本400~500円程度とリーズナブル。
違いは、ステンレス線の太さや長さです。
ライトタックルで狙う釣りは、大体このヤマシタのライトテンビンが利用されています。
この天秤はオモリと仕掛け脱着部分のスナップ部分が弱めで、壊れたり開きやすいのですが、それ以外は堅牢で、比較的ラフにつかっても平気です。
スナップが壊れた場合は、線材部分の輪に丈夫なダブルスナップをつなげば再利用も可能です。
その他、コマセを使わない釣り物によっては、鋳込み天秤と呼ばれるオモリが固定式のものもあります。
これはフジワラのマットブラックの天秤が有名です。
・鋳込み天秤
鋳込み天秤の場合は、オモリ脱着型の天秤と異なり、以下の点でメリットがあるといわれています。
- シャクリなどで発生する金属音が少なくなる
- マットブラックに塗られたものは魚に刺激を与えにくい
- 潮受けしづらく、沈下が速い
スズキやマゴチの餌釣りに利用されています。
乗合船ではオマツリの処理上、難しいですが、ボート釣りなどでは道糸とハリスともにスナップサルカンを使わないで直結すれば、PEラインが潮流で発する音以外はほぼしなくなり、さらに静かな釣りができるかもしれません。
※マゴチ釣りで使う場合、この鋳込み天秤よりはフジワラのバランスシンカーやヤマシタのシャクリシンカーを利用した方が潮受けしにくくオマツリが減ります。
ダイワの形状記憶合金製天秤「リーディングアームⅡ」について
さて、本題の「ダイワ・リーディングアームⅡ」は、形状記憶合金を線材につかった船釣り用天秤です。
形状記憶合金の特性等により以下のセールスポイントがあります。
- 潮切れが良くしなやかで、アームからハリスまで一直線になり、誘いがダイレクトに伝わって感度も良い
- アームの根元をSUSワイヤーで補強。仕掛けの抵抗でもアームがしなりすぎず仕掛けの絡みを防止
- 形状記憶合金製でクセがつきにくいため、丸めてコンパクトに収納が可能
- パイプ上部の糸カラーでアームの長さを簡単に識別可能
出典:ダイワ
釣り人にとってデメリットとしては、ステンレス製の天秤類と比較してやや割高な点です。
量販店では大体1,200~1,300円ぐらいで販売されているので、通常の2~3倍のコストと言えます。
「リーディングアームⅡ」を買ってみた
このリーディングアームⅡ。
ちょっと高いなーと思いつつも、全体のカラーが黒く統一され、なんとなくいいなーと思って買ってみたんですね。
ボート釣りで1回利用し、ダブルスナップで丸めておき、次にLTアジで使おうと船バッグから出したらテンビンの付け根から折れていました。
これで折れたのは2回目。
このリーディングアームⅡなのですが、グローブライドことダイワさんから無償で新品交換いただき、先日手元にもどってきました。
なぜ破損したかは不明だったようです。
形状記憶合金とはいっても無敵ではないのは理解していたのですが、丸めて移動しただけだったものの、製品によってはこのように壊れてしまうものがあるのかもしれません。
比較的形状記憶合金との付け根部分が破損しやすいようで、あまり大物狙いには向いていないのかもしれません。
もし同じ経験をした方がいれば、交換してもらえることもあるようなので問い合わせをしてみましょう。
リーディングアームⅡの印象
先日、ライトタックルでのタチウオ釣りでためしてみたのですが、今のところそれほど目立ったメリットは感じていません。
感度については、金属という点では一般的な天秤と変わらないなと。
シャクっていないときはアームからハリスまで一直線になる点あたりはよい気がするのですが、釣り物によるかもしれませんね。
ほかにも天秤が黒いという点は魚に警戒されないでよいのかもしれません。
また気づいた点があればお知らせしたいと思います。
追加:リーディングアームⅡを2年以上つかってみて
リーディングアームⅡを2年以上つかってみての感想は以下の通り。
- コマセ系の釣りやタチウオの釣りなどで、明らかに食い込みが良くなる
- 形状記憶合金接合部の強度に不安があるのであまり大物釣りには使わないようにしている
アタリがシビアな状態のアジ釣りなどで食い込みはよくなるものの、やはり剛性は不安です。
リーディングアームⅡは写真のように丸められて販売されていることがありますが、腕の付け根の部分の曲がりがかなり急で、そこに力が加わると、あっけなく折れてしまうようです。
わたしの場合は、持ち運び中に2回折れたのですが、使用中に折れたという声もよく聞きます。
そのため、ライトな釣り物とはいえ、アマダイやマダイなどの大物を狙うときは使用しないようにしています。
比較的小型の釣り物を狙う際により自然に餌を動かし、食い込ませるのにはよいかと思います。
現時点では、形状記憶合金製では、サニー商事のハイブリッド天秤が優勢と感じてます。