経営コンサルタント、株式会社XEEDの代表である波頭 亮氏が2013年にツイートしていた内容がとてもインパクトがあったので紹介する。
私の事務所の入社試験として「3ヶ月以内に、タイとヒラメとワラサを釣って来て下さい」という課題を出して、それを達成して入ってくれたコンサルタント(釣りの経験はゼロ)が、歴代で最も優秀でした。 #新しい入試方法
— 波頭亮 (@ryohatoh) 2013年10月11日
まず、あなただったらどう思うか、目をつぶって考えてみてほしい。
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さて、どのように動くだろうか。
このツイートをみて、課題のポイントは入社試験を突破したコンサルタントが『釣りの経験はゼロ』という状況にあるのだと思う。
どのように動くか。
これを『釣り経験がある』状態・視点から考えた方も多いのではないだろうか。
ビジネスコンサルタントが、クライアント(主に企業・団体)の課題を抽出して解決策のドキュメントを提案し、スタイルによってはハンズオンで解決まで支援するときに、必ずぶち当たる壁は、クライアントの業務やマーケットについて『知らない』という状況なのかもしれない。
- 豆腐屋であれば豆腐について
- サンダル屋であればサンダル1足売れればどれぐらいの利益率を出すのか
- 人材ビジネスにおいて職業紹介と労働者派遣の違いと経済へのインパクトとは
などなど。
コンサルタントとして経験が増えてくると、得意な分野・業界というのが出てくるとは思いながらも、やはり企業ごとに文化や人的構成は異なってくる。
今までの経験をもとに、クライアントに向かいながらも、経験に固執しないで、必要に応じて脳をまっさらにし、課題解決のワークフローのみを当てはめて、クライアントが現在みる市場、そしてこれから見るべき市場を分析し、外だけでなく、課題の根本になり得るクライアント自体の肉体を分析し、策を練る。練る。練る。
わたしはビジネスコンサルタントとしての勤務経験はないものの、コンサルタントは、きっと、そんな仕事なのではないかなと思っている。
「3ヶ月以内に、タイとヒラメとワラサを釣って来て下さい」
もし、釣りの経験がない状態の面接でこんなことを言われたら、よっぽど、同社への入社意志が強く、かつ、未経験で困難な課題について、課題解決意識が高くないと、お茶を濁して終わることだろう。
この時点で、意志薄弱かつ物事を完徹する能力がない人間がふるい落とされる。
波頭氏に、こう言われた面接者が何人いたかわからないが、実際に挑戦に対して、発奮してアクションを起こした人間は少ないのではないだろうか。そんな気がする。
30年以上釣りを経験して楽しんできた立場からすると、釣りが未経験な状態から短期間でタイとヒラメとワラサを釣るためには以下のステップがあると思う
- 魚の知識がなければタイ(ここでは真鯛だろう)、ヒラメ、ワラサとはどんな魚か調べる
- これらの魚が釣れる条件を調べる(季節・海域)
- 釣りに詳しい人を身近に探す、釣具店に聞きに行く
- 3か月以内に結果を出すための工数と費用とステップを算出する
- 最短経路で結果を出すために遊漁船に行き当たる
- 同魚種が一番釣れている遊漁船に乗る
- 釣れるまで釣る
もともとの問いかけは、サイズについて言及していなかったので、タックルはレンタルでもこれで短期的に釣れるはずだと思う。
いや、
もっと頭がいい人であれば、上記のステップの前に、波頭氏の文言や意図を考えるかもしれない。
「3ヶ月以内に、タイとヒラメとワラサを釣って来て下さい」
そして気づく。
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この人、なにも、『天然物』とは言ってないな。
そして、検索や人づてに、素人でも簡単に高級魚が釣れる海上釣堀の存在に気づく。
たとえば、東京地区であれば、一番近い海上釣り堀として三崎港に『みうら海王』がある。
そして気づく。
あ、ここ、ワラサとタイとヒラメが釣れるぞ。子供でも3種類釣ってるし。
ここで考えるのは、『釣って来て下さい』ということ言葉だ。
それは釣ったものを持ってくるのか、釣ったという証拠を写真や動画などで残してからもう一度会いにくればよいのか、というあたりだったりする。
正確には「だったり」だと思う。
そのあたりの定義は、面接のときに確認しておく必要があるんだろう。
なにがしかのクライアントから仕事を得たときに、その成果物は何なのかを取り決めて言語化し、曖昧さを残さない文章でエビデンスをとっておくのは重要なことだ。
なぜなら人と人は理解し合いづらいものであるからだ。
それに、サッカーで例えれば、ときに様々な意図によりゴールポストを後ろや左右にずらして悪びれない人もいる。双方意図せず、ゴールの位置が変わっているということもしばしばだ。
前述のステップを、どういう順や、その他の発想で潜り抜けるかわからないけれども、海上釣り堀にいけば、釣りがはじめての人でもレンタルタックルで真鯛はすぐに釣れるし、スタッフにきけば、ヒラメやワラサも容易に釣れる。1回じゃだめでも何度か行けば釣れるだろう。
ヒラメやワラサは海上釣り堀でも放流数が少ないので、ほんとに釣れないようであれば、スタッフに相談したり、スタッフに追加投資することによって、個別の釣り堀をあてがわれ、釣果の確率を上げるという方法もありそうだ。
というように、わたしは考えたのだけども、これはあくまでも釣りをしっていてやれる人間の思考だ。
もし、釣り経験がない状態で、「3ヶ月以内に、タイとヒラメとワラサを釣って来て下さい」と、言われて結果をだした人はやっぱりすごいなと思う。
そういう人はコンサルタントとしても凄腕になるのはよくわかるエピソードだった。
<追記>
波頭氏からRTいただいていた内容を追記。試験に合格した人は6キロの鯛を釣ったそうで。やっぱりすごいなと。ビジネスには『運』も必要でこれは持って生まれたものや、生き方によってブラッシュアップされていくものだと思っていて、この方は何かを持っていたのだろうと思う。
厳密に言うと、タイは1kg以上、ヒラメはソゲではダメ、ワラサもイナダではダメという条件つきでした。彼は、ワラサ釣りの外道で6kgのタイを釣りました。知力体力技術に運も持っていたのだと思います。 https://t.co/DiH2YIrcah
— 波頭亮 (@ryohatoh) 2018年7月13日