真鯛は海の釣魚のなかでも王者ともいわれます。
それは見た目の立派さ(大きさ・色あい)・味から来るのでしょう。
これは養殖真鯛ではあまり感じられず、天然真鯛を釣って食べてみると感じられるような気もします。
まず、美しい。
そして身がしまっていて、旨みに癖がない。
ということで今回は、お食い初めに合わせて釣った真鯛の小さい側の個体(36cm)を刺身と煮付けで調理していきます。
真鯛を下処理後、熟成
こちらの真鯛。
アイシャドーが美しいですね。
鱗と内臓&エラをとって、6日ほど熟成させています。
今回は片面を煮つけに、片面を刺身にすることに。
煮付けは真鯛の頭が左側にむくようにするため、その反対側の背から包丁をいれていくことに。
いい魚って、見た目もそうですが、内臓をだしていても脂ノリもわかります。
それと、包丁をいれたときの、身の締まりや吸いつきといったところも。
これはいい鯛だなー。
片面をこのようにサクに。
腹骨部分はすいたあとに煮つけに加えることに。
熟成真鯛の刺身の実力は?
魚の骨抜きは、血合い骨をすきとるか、骨抜きで抜くわけですが、真鯛のように骨がしっかりした魚だとピンセットタイプではなかなか上手に骨抜きできないこともしばしばです。
そこで便利なのがこの『室本鉄工 メリー FBP30 骨抜きプライヤー』
この骨抜きはプライヤータイプなのですがしっかり骨がつかめて無理なく骨抜きができますよ。
ほらね。
すんごい便利。
こいつは馬路で買ったほうがいいです。特に刺身をよく作る人は必携だなこれ。
この通り、きれいに刺身に用のサクにしあがりました。
皮目の下に脂がのって見るからに旨そう。
熟成によってもっちり感を帯びた真鯛の刺身。
醤油につける。
・・・
なんだこりゃ!
メッサ旨い。
旨みが引き出され、噛むごとに口の中で絡むように広がるこの旨さよ。
養殖真鯛の厚切り刺身を居酒屋で食べると、真鯛ってあんまりうまくないなー。味気ないなーと思ってしまいますが、本来の真鯛の旨さはこれなんだなと。
いやはや。
このあと、天然塩とスダチをしぼって食べてみたら、
もうひとつおまけに、
なんだこりゃ!
白身は塩+柑橘に限るなー
そう思いました。
酢橘の酸味と香りを帯びた内側にとろける真鯛の層があり、その内側で持っちりとした身が旨みを爆裂させる。
こいつは旨い。
魚って、白身って、ほんと、釣ってすぐ刺身で食べるもんじゃないなーと改めて思いました。
よくテレビとかウェブメディアで産地の白身魚を釣ったタイミングで食べて、うんまーい。旨みがすごい。身もしっかりーとかいうのがありますが、うそつくなよ貴殿と思うこともしばしばです。はい。
正しくは、「身がしっかりして固いですねー」なのかなと。
九州にはアミノ酸や甘みをくわえた醤油がありますが、あれをつかうと釣ったそばの白身も一定の旨味を帯びて食べることができます。
真鯛を煮付にすることもあまりないよね
そういえば、真鯛って、塩焼きやら尾かしら付きの刺身やらで食べることが一般的な気がします。
煮付けって、揚げるのと同様、どこか味をくわえて本来の味を活かさないというイメージがあるんですよね。
だから真鯛やヒラメあたりを煮つけにすると、「え、もったいない」みたいに思う人もいるかもしれません。
では、実際のところ真鯛の煮付けってどんな味なんでしょうか。
まず、熱湯をわかしておいて、飾り包丁をいれた真鯛にかける。
皮目に切り込みをいれておかないと、皮が引っ張られて割れてしまうので注意です。
その後、腹の血合いの残りや体表のぬめり・鱗の取り残しを洗い流す。
これで真鯛の煮つけのスタンバイOK。
そこに秘密の煮汁をいれます。
<秘密の煮汁>
- みりん
- 東肥赤酒
- 筑後盛
- きび砂糖
- 水あめ
- 生姜スライス
- しょうゆ
分量なのですが、まー細かいことは言いなさんなと。甘じょっぱくなっていればそれでよいと思います。薄味に仕上げる場合は、醤油と糖類を少なくして、酒類や水で煮汁を薄めます。白醤油があるとさらによいかも。
よく雑誌などで、煮魚の秘訣は日本酒から入れる等の話がありますが、助さん格さん全部入れてしまえばいいでしょう。というやつです。
煮付けなんて、酒を多めにして甘辛くしておけば自動的に旨くなるもんですよ。こまいこまい。
今回酢橘の皮もいれて炊きます。
酢橘の皮をはじめ柑橘の皮はあまり炊きすぎると苦みがでるのですが、まー10分15分ぐらいであれば大丈夫。魚の臭みをぬく効果があります(たぶん)
煮汁が少ないときは、キッチンペーパーで落し蓋をして仕上げると、熱がよく伝わるかなと。
はじめに熱湯をかけて霜降り処理をしていて、かつ今回は半身なので、中火で10分たけば十分です。
この通り。
ええ感じに炊きあがりましたなー。
盛り付けて、煮汁をかけ、万能ねぎを散らす。
いい顔付きですこと。
この身。皮目の感じ。煮汁の色艶。
答えは自明の理ですが、
味は・・・
これは、うまい。
旨いよ。
ものすごく旨い。
コメントが単純なので補足すると、真鯛を煮つけるとキンメダイの煮つけに近しいものになるなと。
この個体は脂も十分で、かみしめると、じゅわりとエキスがしみでてきて、それが煮付けの甘辛さによって全体的に統合されて、「おい、はやく白飯をかきこめ!」と脳に指令がいくというかなんというか。
まーそんな感じであります。
素材の味を活かすには薄味というのが基本ですが、うなぎの蒲焼しかり甘辛志向の方はこういった濃いめの味付けがよいと思います。
真鯛を片面ずつ味わうと二度おいしい
ヒラメやマコガレイや真鯛は高級魚ということで、多くの釣り人にとってめったに出会えない魚なのではないかなと
としたときに、すべてを刺身にしたり煮付けにするよりは、片面ずつ料理法をわけて味わうという方法も覚えておくとよいかなと思います。
煮付けてのこった頭と骨に湯を注げば骨湯になって、これを熱い白飯に流し込んで万能ねぎを散らしてたべてもうまいわけです。
そうなると、一尾の真鯛で二度三度楽しむことができますね。
ではでは。
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骨抜きプライヤーはほんと便利。それと煮付けは東肥赤酒を投入すれば万事OKです。