人間は常に問いをもっている生き物。
釣り人も一緒です。
今日も世界では多くの問いが生まれ、答えが見つかっています。
そんな中、インターネットでは確かではない答えがいろいろと流布され、それがまことしやかに拡散されたり。
そんな、ウェブ上に転がっている『釣りのなぜ?どうして?』について、釣りメディアORETSURI編集長の平田が勝手に回答する本シリーズ。
今回の質問
自分の友達を初釣りに誘ったところ、「寒いときは釣りしたくないんだよねー」と言われました。ちょっと残念な気がします。こういう人って、本気じゃないですよね?本当の釣り好きだったらこういう発言はしないような気もします。どうなんでしょう。
質問者:サーフの申し子さん
<平田の回答>
「他人に期待し過ぎないほうがいい」
今回のお悩みも、しっかり考えて回答します。
この問題をわたしは『他人に何かを期待し過ぎ問題』と呼んでいます。
なんだそれは。
いいでしょう。説明しましょう。
アレです。
前提として、わたしは『人間同士は結局分かり合えない派』に所属しております。
「お前の気持ち全部わかるぜ。」
「この歌詞、すごいわかりみー。」
「ハイミー。」
などと、あたかも自分は相手の気持ちがすべてわかるニュータイプであるかのように錯覚をしている人がいますが、そんなんただの想像です。
甘ったれるな。
他人は、きっとそう思っているだろうな。
そう、人は物心ついてから他人のことを想像して成長していくわけです。
たとえば、小学生の頃、親のススメでそろばん塾に通っていたとしましょう。
すると或る日、ちょっといくのメンドクサくなる。けど、いかなかったら月謝を毎月1万円払っている母親に申し訳ないよなー、たぶん怒られるよなと思いながらも、遊びに夢中になって結局行かない。
これはわたしの小学生の頃の話なんですがね。
小学生でも、ちゃんと母親の感情の機微をその年ごろなりに想像して動くわけです。わたしの場合は、さぼって怒られたんだけど。
一方、想像した相手の思考たるや、自分の考えとはまったく異なっていることもしばしばです。
でなければ、世の中に片思いで勘違いしていけるかもとかおもって告白して終了する人もいないですし、採用面接の後に、「うーん、あ、面接ね。いやー面接官がいい人でさー、話盛り上がっちゃってね。たぶんうかったと思うのよねー」とか吹かしておいて、結句、お祈りメールがきて「○○の商品は金輪際買わない。日本死ね!」みたいに逆恨みするということもないわけです。
あれ、なんの話をしているんだこいつは。
あ、そうでした。
『他人に何かを期待し過ぎ問題』だったですね。
きっとですね、質問者さんは、きっと友人が自分と同じように厳寒期も釣りに出かけてくれるだろうと思い込んでいたはずなんですよ。あいつだったら誘ったらNGって言わないよな。リクルート用語でいえば、「あの会社はAヨミです」ってやつです。
が、ほくほく誘ってみたら、既読スルーという具合。
なんだよこいつふざけろよ、スルーかよと思ったら、時間差で、ちょっとめんどくさそうに「寒いときは釣りしたくないんだよねー」と来る。
すると、あなたは友人からなんだか裏切られたかのような錯覚を起こすんです。
実際んところその友人はなんにも悪くないんですけどね。
この裏切り認定は、過度に他者に期待する人に良く見られる現象です。
「信じていたのに」
「お前だけは○○だと思ったのに」
などなど。
所謂、『のに系』です。
これって、以下の流れなんだと思うんですよ。
- 相手に勝手に期待する
- 相手の考えが自分の想像と違って勝手に幻滅する
- 相手を裏切り者扱いし、自分を被害者にする
これだ。
この三段論法っていうか、被害者思考の展開がハートの奥底にありませんでしょうか。
でも、悲しむ必要はありません。
これ昨今のネット社会や会社組織でもよくあるパターンなんです。
例えばよくわからん地下アイドルに入れこみすぎるあまりに、
- ○○ちゃんは、嘘をつかない人だと思い込む
- でも実際は○○ちゃんだって人間なので嘘をつきまくっていることがわかる
- すると、反動から○○ちゃんを人非人扱いしはじめる
3の段階では、匿名アカウントや肥溜めみたいな掲示板であれほど好きだった○○ちゃんを全方位から罵りはじめるんです。
Twitterなどをみていると、釣りをやって身を立てようと励んでいる女性がいますね。釣り好きな人がほとんどだと思います。
で、そういった女性が八方美人力を発揮して、自己承認欲求から全方位に同じテンションでDMとかリプライを返す。すると「○○ちゃん俺のこと好きかも」などと抜け作のくせして思い込む。
すると、「もしかしてワンチャンあるかも」などと勝手に思い込んで、ネットストーキングに走って、返事も来ないのに1日に数十回もリプライを返したりDMを送りまくる。
その後、天が味方せず、ブロックされるにいたったことが判明すると、途端に自分の存在が全否定されたかのように思って、呪詛の言葉を書き連ねて、いろいろあらさがしをして○○ちゃんへ嫌がらせをする。
これも一緒です。
なげーな。
そろそろ結論に入ります。
きっと、質問者さんが向きあったほうがいいのは、「寒いときは釣りしたくないんだよねー」という人の釣りのスタイルを否定することではなく、やっぱりフィールドや魚だと思うんですね。
自分が寒いときに釣りがしたくて、それが楽しければそれでいいんです。
他人に自分の価値観を押し付けちゃあかん。
釣りって、なんでやっているかというと、スタイルは違えど、みんなすんごい面白いからやっているんだと思います。
きっと、「寒いときは釣りしたくないんだよねー」という人は、寒い中、バカみたいに12時間以上釣れないカレイ釣りをするとかそういった類の釣りが信じられないんです。だって、きついし。考えようによっては時間の無駄だし。
でもですね、そういった人はできれば快適なときに釣りにいきたいというスタイルなんだなーと認めてあげればよいんだと思います。
それを「本気じゃない」とか「本当の釣り好きじゃない」というように決めつけて、否定しはじめるのは、おだやかではないです。
釣りはなにも本気でやらなくてはいけないものでもないはずです。
安全に気をつける。法やルールを守るなどの前提条件はもちろんありますが、そういった面に配慮していれば、それぞれの楽しくやればいいんだと思うです。
まわりに「寒いときも釣りがしたい!」という人がいなければ、自分だけで楽しむとよいですよ。それと、寒いときにでも釣りがしたい人は、世界にはたくさんいるはずなので、SNSで募ってみればいいんじゃないでしょうかね。
ではでは。
※質問がないとエンドレスでYahoo!知恵袋などの質問を勝手に回答していく仕様です。