シタビラメは初夏から初秋あたりまでの高水温期に沿岸の砂地、砂泥エリアに接岸する習性があり、そのころはちょい投げなどでしばしば釣ることできます。
潮によっては河川の汽水域に入ることもあり、8月9月にアオイソメでマハゼを釣っていたらやけに重い魚が釣れてシタビラメだった、わお。というのは、よくある話です。
今回はそんなシタビラメをたも網ですくってみた話です。
夜のシタビラメは意外と浅場でぼんやりしているようで
真夜中に、或る河口を行軍していたときのこと。
え?まーフィールドワークをしていたということにしてください。
「アミメノコギリガザミ」をさがしていたんです。以前、この河川の汽水域で複数個体目撃したことがありましてね。これは繁殖しているんじゃないかと思っていたんです。
が、台風の影響からか地形が変わって、ノコギリガザミが生息していたエリアは砂に埋まってしまったのです。南無。
ちょっとがっかりしながら、子ボラがわさわさいる浅場をさらに海へ下っていく。
と、川底に違和感を感じたのです。
わたしは視力はあんまりよくないんですが、擬態している生き物を自然のなかから発見する力は10.0ぐらいあるんです。
人が発見できなくても、神が見逃しても、わたしの両眼を逃れることはできませんぞ。
ぞ。
ぞぞぞ。
これだ。
お分かりになるだろうか。
河口の砂地、水深20cmぐらいのところに違和感がありますよね。一見波による砂の紋様にも見える。
これ、写真だと比較的わかるんですが、夜だと、けっこう一体化していてわかりません。それがわかった俺、スゲー。という自慢です。
さらに近づいてみる。
おお、これはシタビラメじゃないか。
色合いからいって、クロウシノシタです。
6月以降、相模湾でよく水揚げされるようで魚屋でも見ることが増えて、こないだムニエルにして食べたな。
気配をころして、水中に振動をたてないように忍び寄る。
・・・
ドキドキ。
・・・
手を伸ばせばとどくところにシタビラメが。
僥倖すぎる。
これこそ【朗報】だろ。
だけども、これを逃してしまったら残念無念だよなー。と、捕獲シミュレーションを高速で行って導き出したのが、たも網で砂ごとすくい上げる計略。網を覆いかぶせるでもよいんですが、魚というものはだいたい頭上に対して警戒心をもっているんです。
シタビラメもちっさい眼がついているけども、やっぱりそれは頭上を警戒しているはず。ならば地中から攻めれば死角だからすくえる可能性も増えるのではないか。
素手だと逃げられる可能性が70%。
すくい上げる計略だと捕獲できる可能性が90%。
このときはそんなように感じてました。
▼これが一連の様子。
・・・
見事、砂ごと確保。あいや、御武家様、御手前大変お見事でござった。
シタビラメさんは「ほよよ」ってな具合に網におさまりバタバタしてました。ゆるせよ。
ちょっと背中部分に傷があるけども、サメにでも噛まれたのだろうか。
それで浅場にいたのだろうか。
そう思いながら、同じ水域を歩いていたら、そこら中にいるシタビラメ。
少し小さいんですが手の平ぐらいのシタビラメが砂の上でひらひらしているんです。で、近づくと砂にもぐる。
こちら。一見何の変哲もない砂地だけども、シタビラメが隠れています。
小型の個体はジェントルリリースです。
▼詳しくは、動画をみてください。
このシタビラメはサメに噛まれたのかな
真水でもしばらく生きているシタビラメ
さて、持ち帰ってきたシタビラメ。
河口にいたから、意外と淡水への順応もできるんじゃないかとおもって真水にいれてみたらしばらく生きてました。正確には締めるまでは呼吸してましたね。長くは飼えないけども、短い期間なら真水で活かしておけるのかもしれません。
こちらの傷。結構筋肉見えてますね。
裏側はこちら。
何にやられたんだろうか。尾側からドチザメにでも噛まれたのかな。
今度は皮をはいでムニエルに
刺身にしてみようと思いながらも、傷が多いので加熱したほうがよいかなという結論で、ムニエルにすることに。前回皮をそのままにしてみたものの、今回はセオリー通り皮をはぐことに。
延髄切りと血抜きをして料理スタンバイ。
腹側の傷。
背側と腹側の同じ当たりに噛み傷のようなものが。
ざっくりいってますね。サバイブしてきたのかな。
こちら背側。
頭部を斜にきって、皮を一枚のこして、頭をつかんでひっくりかえして皮をはぐことに。頭部は滑るので軍手か素手に塩をつけてひっぱるとよいです。それか骨抜きプライヤーを使って引っ張るのもオススメ。
ベリ。
ベリリ。
ベリリウム。
このとおり、ずる剥けですよ。
水分をぬぐってクレイジーソルトをなじましたあとに、小麦粉をまぶす。
でもって、多めのバターで片面に焼き目をつける。弱火で。
にんにくはいれなくてもいいですが、風味がでるのでいれてます。にんにくは焦げないように別皿に取り出すもんですが、身の上において退避。洗い物を余計に出したくない家庭の知恵。
片面も弱火でしっかり火を入れる。
一旦身を取り出して、さらに盛りつける。
そんでもって、フライパンにバターをやりすぎと思うぐらいに追加し、白ワイン+レモン汁半個分。香りつけに乾燥したディルとタイムをいれています。アルコールが飛んだらフィニッシュ。
盛り付けた舌平目にまわしかけましょう。
ボナペティ。
青い大皿が海。そこにガーリックバターレモンソースの砂地があり、横たわっているのはシタビラメ。
よくみたらガーリックもタイムものせて鴨葱だな。
よし、レモンをしぼって食べてみよう。
UPでみせたろか?
このようにこんがり仕上がっています。
舌平目のエンガワ部分は小骨があるけども、しゃぶるとソースをはらんで美味しい部位
味は・・・
あ、ものすごくうまい。
攻撃をうけてだいぶ失血したり傷んでいる気もしたものの、身質自体はもちまえの舌平目の滑らかさそのもので、そこにバターレモンソースが絶妙になじんでいる。
前回は皮をはがずにあえて調理してみて、それはそれで臭みもなく美味しかったものの、皮をはぐことで骨とエンガワの細かいところ以外はきれいに食べることができるという。
ということで、梅雨から夏場の夜間は水深が浅いところにシタビラメが接岸してきていることもあるのでしょう。河口部分でちょい投げをしてもよいですが、ヘッドライトにたも網というスタイルもまた楽しいもんです。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)