関東ではワタリガニというと、本ガザミよりタイワンガザミが隆盛になってきているわけなんですが、味に顕著な差があるかというとそれほどなく、タイワンガザミもかなりうまい部類と思っています。
今回は晩秋にたも網と素手でつかまえたタイワンガザミのオスとメスをヤンニョムケジャン(韓国風辛みそ漬け)に仕上げます。
ケジャンは醤油ベースでも、辛みそベースでも作り方を間違えるとかなり生臭いもの、雑味が多いものに仕上がるので、そのあたりの注意点もお伝えできればと。
砂浜でとったタイワンガザミオス。獲るのも楽しいが鮮度を気にしなければスーパーでも買える。
タイワンガザミの下処理
冷凍庫から取り出したばかりのタイワンガザミご一行(オスメス2杯ずつ)
持ち帰ったタイワンガザミは流水でさっと洗ったあとに、冷凍しておきました。
モクズガニなど淡水と行き来するような種類は肺吸虫の呪いにたたられる可能性があるので生食は避けましょう。とはいってもガザミやタイワンガザミ、イシガニだったら大丈夫とは保証しません。
なんでもかんでも誰かが保証してくれると思ったら大間違いだ。と強くいっておきたい。前回もケジャンの記事を書いたところ、わけのわからん人からクソコメがついたのですが、あなたにおきましては、自分の人生をもっと真剣に生きてほしいと思います。
ちなみにタイワンガザミの場合、最大サイズのオスは両爪を伸ばすと50cmを超えるので、そのまま冷凍庫にしまうと、かなり場所を占有します。これが海底にいるのを発見したときの喜びはひとしおながらも、保存するとなると邪魔以外のなんでもない。
そのあたりは、ちょっときついよね。むしろうちの冷蔵庫は夏に釣ったマダコで満載だし。と思った方は、甲羅を外して(捨てる)、爪をとり、胴身も4つ切りにして下処理をしてしまってから冷凍するとよいでしょう。
解凍方法は、急ぎの場合は流水解凍、そうじゃない場合は常温解凍、冷蔵庫内での解凍があるのですが、今回は時間差料理をしたいので、バットにいれて冷蔵庫で解凍。
料理とは、いつも二手三手先をみてやるものだ。
そうこうして、夜に帰ってきたら大体解凍がすんでいる状態。
こちらはオスのタイワンガザミ。
尻蓋を外して、尻部分からカパッと甲羅を外す。両爪のつけねのわきの下部分は水垢がたまるので、甲羅をつかう場合はタワシなどできれいにしておきたいところ。
こちらはメスのタイワンガザミ。秋にとったものは鮮やかな内子がある
ガニ(エラ)をしっかりとる。このガニ回りはだいたい砂を噛んでるので、これは水道水できれいに洗い流す。これ重要。怠るとじゃりじゃりします。
甲羅を外した時に、口吻についてくる胃袋部分はすべて捨てる。砂利っぽいのと未消化の餌が入っているので、臭み、雑味の原因になりますぞ。ここも重要。
胴体を2つに割る。中心部に黒い腸管がでてきた場合は、取り除いておきましょう。これも臭みの原因
内子と白子は旨みとコクの宝庫。
とはいっても鮮度落ちしやすいところなので、状態をみつつ利用しましょう。日本酒とコチュジャンをいれて混ぜわせると臭みが中和されます。鮮度が低いものは迷わずポワするか、釣り餌に混ぜ込んで集魚効果UPにでも期待するとよいかと。
このタレをヤンニョム(甘辛タレ)に混ぜることでコクが増します。これホント。
この通り分解した身なんですが、見栄えを気にしなければ甲羅と脚先は食べられないので、捨ててしまうか、味噌汁に使うのも一つ。脚を味噌汁につかうときは調理バサミで割ってからインしましょう。
あとは深めの鍋に蟹を入れておく。
これはヤンニョと混ぜ合わせる時やりやすいからなので、大き目の容器がベスト。どんぶりではちょっと小さい。
こちらが今回のヤンニョム。
要は辛みそダレなのですが、人によってつくり方が違うところ。
<ヤンニョムの材料>
- コチュジャン
- 唐辛子(粉・まるごと)
- 甜麵醬(いれるとコクがUP)
- みりん
- にんにくペースト&スライス
- ショウガペースト&スライス
- フライドオニオン
- 玉ねぎ
- 梨(orリンゴ)
- 水あめ
- すりごま
- ごま油(濃い口)
- 胡椒
- なつめ、クコ、松の実など(お好みで。入れると薬膳感が増します)
- タイワンガザミの味噌、内子
※これがスタンダードではなく、わたし流だと思ってください。仕上がりが甘辛くなっていて、やや塩っ辛い目がベスト。野菜と蟹から水分がでるので薄まるので。
と、材料がいろいろ。
自家製を主張したい人は自分色で。サクッと作りたい人は、市販品もあるので、それをもとに作ると簡単です。
あとは、カニとヤンニョムをまぜ合わせる。
このようになじませる。
皿かタッパーにいれて冷蔵庫で一晩~一日程度寝かせる。
タッパーにいれるとニオイと色のタタリガミが発動して二度ととれなくなるので、お皿がオススメ。
ケジャンをさらにおいしく食べるための一工夫はレモン汁
こちらが1日寝かしたもの。
盛り付ける。
サニーレタスあたりをしいて盛り付けるのが見栄えがよいと思います。
糸唐辛子や松の実やすりごまをデコレーションするとさらに映えるかなと。
角度を変えるとこの通り。
この爪、ジオングのようについてくるぞ。
タイワンガザミの青い色合いは、人によっては気味が悪いというんですが、個人的には鮮やかで好きです。
ここでワンポイントなのですが、食べる時に、レモン汁を全体にしぼると、さらにくさみが軽減します。
もともと鮮度落ちしてないもので、下処理もきっちりできていれば雑味は少ないながらも、感度がいい人はどことなく蟹の生臭さみたいなものを感じるはず。が、レモンの酸によってそのあたりが中和されるという。
自分でつくったケジャンが臭かったという人はぜひチャレンジしてみてほしいところ。
こちらは漬け込んだ玉ねぎと梨。今回はいれなかったんですが、ニンジンもよく合う具材。
そういえば、むかし大学生のころバイトしていた焼肉屋にもケジャンがありました。
みたところ、オーダーされてから冷凍ワタリガニの脚身だけをヤンニョムとたまねぎ、長ネギ、人参とあえて出していたんですが、やっぱり漬け込んでしばし置いたほうが味が安定してよいと思います。
非加熱でつくるものなので、あんまり長く寝かせると発酵したり、アレがコレになってポンポン痛いになるかもなので、つくったら3日以内でサクッと食べるというのがオススメです。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)
ケジャンの臭みを消すための6つのコツ
- スーパーなどで買ったものではなく、自分でとったガザミ・タイワンガザミを使う
- 保冷はしっかり。すぐ調理しないならば冷凍一択
- 下処理は、尻蓋をとって、尻部分と両爪の下(脇の下)の水垢をしっかりとる。ガニ(エラ)をとって砂利をしっかり流す。胃袋と腸管を取り除く
- 薬味(ニンニク、しょうが、唐辛子)と調味料(ごま油、みりん)などをしっかりつかう
- 仕上げにレモン汁をしぼってから食べる
- 裏技として、薄めた酢もしくはレモン汁で酢洗いしてから漬け込むのと、ナンプラーを加えるという方法もあり。
これで大丈夫。たぶん、きっと、メイビー。
関連アイテム
▼ユウキのヤンニンジャンは味がつくりやすい
▼コチュジャンはタッパーで。これがケジャン作りの常識で候
▼甜麵醬orサムジャンを追加するとコクがUP
▼ごま油はかどや銀印(1650g!)が絶対オススメ。飲むように使おう
▼ヤンニョムは薬膳的なもの。漢方食材マシマシもよし
▼ヤンニョムケジャンは買うとお高いもんです。
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