こんにちは、木田です。
みなさんと同じく釣りが趣味なわけですが、体力と仕事ともう一つの趣味の水泳とのバランスを考えると、2週間に1回がベストだなと思ってます。
とはいえ、やっぱり釣り人。
急に釣欲が高まったり、タイミングよく誘って頂いたりして、11月はすでにその基本ペースを上回る月3回釣りにいきました。月内にあと2回釣行しますので、月5回の釣行は自己最多です。
今回は、仕立てのカワハギ釣りに行って東京湾の「釣り座と釣果の因果関係」についてやっとわかってきた気がするのでお話しします。
カワハギの仕立て船で釣り座の明暗がはっきりわかれた
カワハギ。それは東京湾の魚でも攻略が高難易度の魚
今回の船宿は羽田の「えさ政」さんです。釣り物は東京湾の釣り物でも難易度が高い「カワハギ」。
総勢15名の釣行で、竿頭の人が6枚。自分は3枚、数名のボウズ(0)が出てしまうなど、カワハギは難しい魚種ということを考えても、渋めの釣果でした。
この釣行では、釣り座について考えるデータが得られました。
- 仕立船(貸し切り)は仲間内なので、どの釣り座の人がどのくらい釣ったかおおよそ分かる
- アプリで船の通った航路が全部わかる
- 釣りをしている間じゅう、ずっと上げ潮という結構レアな潮回りだった
釣行後、しばらく考えたら、やっと分かった感があったのです。
多くの船宿で10人以上の釣り人をグループで集めると、仕立て船(自分たちのグループだけでの貸し切り)ができます。
当日の釣り人は15人でしたので、この日は仕立て船で釣行することができました。船中が全員仲間内なので、無用な気遣いをすることなく、のびのびと釣りができます。
当日の釣り座と釣果(おおよそ。多分20%くらいは間違っていると思います)がこちらです。
凡例は次の通り(完全に主観です)
赤:明らかに自分よりも釣力の高い人々
灰色:自分と同等程度の釣力の人々
緑:釣りが久々な人、釣りを趣味にしていないが、イベントに共感して参加してくれた人々
黒:釣力が不明な人々
数字:カワハギを上げた枚数(おおよそ)
当日、全体をサポートした訳でもありません。私の釣り座が左舷大とも(左舷の船尾)という端っこでしたので、操舵室などに阻まれ全体像を完全につかめた訳でもないです。
とはいっても、釣り座によってカワハギが釣れた枚数に大きな差があることが見て取れます。
- 左舷の釣り座
- みよし(船首)側の釣り座
がより多くのカワハギを上げていますね。
釣果の差はなぜ生まれるのか?「釣力?」「釣り座?」
この差は何によって生まれるのでしょうか?
赤で表される「釣力の高さ」つまり、カワハギ釣り経験からもたらされる釣りの上手さでしょうか?それとも、それ以外の要因もあるのでしょうか?
もちろん、この一例から断言はできないのですが、釣り座、つまり、船のどの位置で釣るか?も関係しているかもしれません。
まず、前提なのですが、カワハギのように、あまり動かない魚の場合、まだ誰も釣ったことのない地点で糸を垂らすのが一番有利といえます。
なぜか。
これは、お腹の空いた、やる気のあるカワハギのいる場所に先に釣り糸を垂らせるからです。最初の人が釣った後に、同じ場所で釣る人は、「やる気のあるカワハギがエサにチャレンジし(て、もしかすると釣られてしまっ)た後」に釣りをすることになり、どうしても釣果が落ちることになるでしょう。
なぜ、最初にある地点に糸を垂らす人、次に糸を垂らす人が生まれるのか?
これは釣り船は静止しているわけではないからです。
ほとんどの場合、釣りをしている間、遊漁船はゆっくりと流れていきます。最近、免許をとってボート釣りをはじめたのでやっと分かるようになったのですが、釣りの最中、船は比較的大きく動きます。
陸上のように固定した目標物がないので、初心者のうちは意識することすら難しいのですが、風に流されて、もしくは潮の流れを受けて船はかなり動くのです。
上の図を御覧ください。
船がゆったりと上の方(北だとします)に移動した場合、船首側(みよし)の釣り人はいつでも「まだ、釣られていないカワハギ」のいる場所に糸を垂らします。一方、船尾(とも)の人は、船首側の人が釣ってしまった「後」に、残りのカワハギのいる場所で糸を垂らすことになるのです。
釣りは、微妙なところで釣果に差がつく面があるかと思います。その中で、こうした釣り座の有利、不利が釣果に影響を与えない訳はない。と思います。
当日の船の動きはどうだったのか?
当日、船はどのように動いたのでしょうか?
こちらが、アプリで記録した実際の船の動きです。右上から南下して釣り場に入り、左上に北上して帰途についています。
船が動いた線が比較的まっすぐなところは、エンジンを使って能動的に移動していて、その間は釣りはしていません。ジグザグしている場所は風や船が流れている箇所で、その間は釣りをしています。
よく見ると、ジグザグしているのは、船が北西に動いている場合が多いようです。
また、当日は釣っている間(8時頃から14時の間)ずっと上げ潮でした。このように釣りの間中、潮の干満がハッキリしているのは珍しく、通常は釣行の間に、潮の向き(上げと下げ)が変わります。
この日ずっと上げ潮だったということは、潮は一定方向、つまり、東京湾の外側から、湾奥(内側)に向かってずっと流れていたことになります。
こちらが当日の潮回りです。
次に風向きですが、北東を中心に北北東、東北東が交じります。遊漁船は「スパンカー」と呼ばれる後部の帆を張り、風上に船首を向けて船体を安定させることがほとんどです。ということはこの日は、エンジンを使って能動的に動く場合以外の時間帯は船首は主に北東を向いていたということです。
潮の流れと風向きを総合して、船の動きを考えると、船は終日船首を主に北東に向けながら、上げ潮にのって、南東方向から北西方向に向かって動く時間が長かった。と言えます。
とすると、やる気のあるカワハギに最も出会いやすい釣り座はどこか?というと、左舷みよし(船首側)ということになります。そしてその釣り座こそが(釣力はあるにしても)実最も釣れる可能性が高い釣り座でもあります。実際には潮流が単純でない場所やキャストの有無などの要素もあります。
今回の分析が正しければ、乗船する前から風向きと潮回りは予報により入手できるので、釣り座の有利・不利が分かるようになる。ということだと思います。
釣り座に消耗しないために
東京湾の湾内で主に釣りをする中級者以上の釣り人はとっくに知っていたのかもしれません。
今回、たまたま、ずっと上げ潮だったので、終日、風、潮とも不変な条件だったため釣り座ごとの釣果が分かりました。各釣り人の「釣力」を割り引いても、釣り座の有利不利が比較的明らかになったのではないかと思います。
船釣りに詳しくなりはじめ、釣り座の効力が分かるにつれて、「できれば有利な釣り座で釣りたい」という釣欲が先鋭化することもしばしばですね。
そうなると「釣り座争い」に繋がり消耗しかねません。「釣欲は人間の四大欲求の一つ」というのがORETSURIの平田さんの口癖なわけですが、そうした「欲」は心情的にはよく分かります。
がしかし、「先を争って、良い釣り座をキープしろ」と言いたい訳でもありません。
そうではなくて、日々の釣り座の有利不利を理解した上で、得られた釣り座なりの釣果がでれば、それで良いのではないでしょうか。つまり、釣果を釣り座によって脳内補正しながら、自分の釣果を評価すると満足できることが増えてくるような気もします。
有利な釣座でたくさん釣れた人は、「この釣果は釣り座のおかげもあるよな」と謙虚に思えば良いわけです。
不利な釣り座であまり釣れなかった人は内心で「うーん、釣り座がねぇ」と思えばよいですし。それに、もし、不利と思われる釣り座でもたくさん釣れたら「不利な釣り座にも関わらず、よく頑張った!自分に感動した!」と自分をよしよし褒めてあげたら良いのではないでしょうか?
また、友人知人を誘って船釣りに繰り出す場合、より経験の浅いゲストの人達が釣果を上げられるように、有利な釣り座で釣ってもらう。そんな心遣いができたら素敵ですね。
こちらは3匹の釣果のうちの2匹、中カワハギくんと小カワハギくんです。(サイズ参照要のオモリは全長6cm程度の30号)
このカワハギと、記事トップに画像を使った大カワハギくんは、持ち込んだ居酒屋で美しいお刺身と天ぷらと煮付けにしていただきました。
それでは、ハッピーフィッシング!!
寄稿者
木田 和廣(@kazkida)
オフでは水泳と釣り。オンではGoogle アナリティクスによるWeb解析コンサルタント、Tableauによるビジュアルデータ分析コンサルタントをしています。Web解析に関する本も書いてますよ。
ORETSURIフィールドレポーターについて
タックル
- ロッド:DAIWA カワハギX M-180
- リール:DAIWA ライトゲーム X ICV
- ライン:PE 1.5号
関連アイテム
▼カワハギのオモリはダイワの快適シンカーシリーズが人気。根周りではロストもあるため複数個持参すると安心。号数は25号標準で、潮流によって30号が使われることも。鉛のオモリにステッカーを貼るのも有効
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