河川上流から中流域までのウナギ釣りをはじめとした淡水の万能釣り餌「ドバミミズ」。
ドバミミズが多く生息している場所の「探し方」と効果的な「捕まえ方」を解説します。
ドバミミズとは
「ドバミミズ」は野山に生息するフトミミズ科の総称
日本に生息しているミミズは、100種類以上。
実は釣り人が口にする「ドバミミズ」は、フトミミズ科に属する複数種の総称です。
「ドバミミズ」と呼ばれるミミズは
厳密に種類は区別されずに、市販されている「キジ」こと「シマミミズ」と比較して、体が長太く、体液がより土臭いものを「ドバミミズ」と呼ぶ傾向にあります。
こちらは市販のシマミミズ。体の模様が縞模様で細長い。体液が黄色いので「黄血=キジ」と呼ばれる
なんでも釣れる?淡水最強の釣り餌「ドバミミズ」
ドバミミズの集魚力は極めて強く、淡水の魚であれば、ほぼすべての魚を釣ることができる万能餌です。
もともと河川では、降雨によって周辺の土壌と一緒にドバミミズが流れてくることがあり、普段から魚たちが好んで食べている餌なのです。
特にウナギ・ナマズ・テナガエビのように、嗅覚で餌を探す魚には効果的。
ブラックバスやブルーギルのような魚がすれていて、全くルアーに反応しない場合も、目の前にドバミミズを落とすと一撃で釣れることがあります。
それだけドバミミズは効果的な釣り餌なのですが、釣り餌として釣具店等では、ほとんど販売されていません。
そのため、釣り人がじぶんで探して捕獲する必要があるのです。
ゴクラクハゼ。ドバミミズならハゼ類も入れ食い
テナガエビもよく釣れる。特に濁ったエリアで効果的
ドバミミズをつかえば天然ウナギもよく釣れます
利根川の下流域(千葉県など)でウナギを捕獲し、226匹の胃の内容物を確認した。その結果、川岸に植生や土が残る場所でとれたウナギ(全長40センチ以下)は、エサの68~93%がミミズだったことが判明。捕食は降雨後2日以内に集中していた。ミミズは雨の日に這い出る習性があり、雨に流されるなどして川に運ばれたとみられる。
出典:読売新聞
東京大学の研究結果でも、「特定地域のウナギの大半がミミズを食べていて、降雨後2日以内に捕食していた」という話があります。
ドバミミズの採取方法
太いドバミミズ
生息場所
ドバミミズは以下のような場所に生息しています。
<ドバミミズがいる場所>
- 直射日光が射さない暗く湿った場所
- 斜面の下に落ち葉がたまった場所(土留め)
- 土や砂利主体ではなく腐葉土が表面にかぶさっている場所
- 雑木林の斜面(北側)
- U字溝に堆積した腐葉土
以下のような場所は、ドバミミズが生息しにくいところです。
<ドバミミズが生息しづらい場所>
- 地面が固いところ
- 腐葉土などの堆積物がなく、土や砂利主体の地形
- 直射日光が射す場所
- 乾いた場所
鬱蒼とした林の道。道の両側に堆積した腐葉土にドバミミズが生息
公園のわきに林が隣接した場所。堆積した落ち葉と腐葉土層の間にドバミミズがいる
水路脇などで腐葉土が堆積しているエリア。晴天がつづくとドバミミズが集まる
北側の斜面にある土留め。腐葉土が堆積していれば大量のドバミミズが集合していることも
捕獲に適したシーズン
ドバミミズを捕まえるのにベストなシーズンは6月、7月の梅雨時です。
お盆頃までよく取れ、雨後には土壌表面で特に捕まえやすくなります。
4月からつかまえることもできますが、サイズが小さいことが多く、梅雨前後になると太く成長した個体が捕まえやすくなります。
基本的に越冬しないのか、寒くなると寿命が尽きると想像されます。
容器内で繁殖させる際も、冬を越すのは難しいと考えたほうがよいでしょう。
捕獲に必要な道具
大型のジップロックに土とスコップごと持ち帰ると便利
ドバミミズの中には、それほど深く潜っていない種類も多いため、小型のスコップとジップロックLがあれば十分です。
軍手やニトリル手袋があると手を汚さず捕まえることができます。
季節と採集場所の特徴から、蚊に刺されやすいので、虫よけ対策はしっかりしていくとよいでしょう。
捕獲の仕方
ドバミミズの生息場所さえわかれば、捕獲方法は特に難易度が高いわけではありません。
地面の上に堆積した腐葉土をどかせば、ドバミミズがみえるので体を傷つけないように捕まえましょう。
実は、ドバミミズはそれほど深く潜りません。
できればスコップなどはつかわないで軍手をつかって手掘りで掘り進むほうが傷をつけず持ちかえれます。
スコップをつかって力任せに掘ると、ドバミミズに傷がつき、持ちかえったあとの生存率が下がります。
ドバミミズの飼育・保存方法
土や砂利でなく腐葉土主体にし乾燥させない
飼育の仕方
ドバミミズを持ち帰って飼育する方法を紹介します。
まずお手軽なのは、大きめの密閉できるプラ容器に採取地の土と腐葉土を敷き詰めることです。
土が乾いたり、直射日光にあたると弱って死んでしまうので、日陰で飼育するとよいでしょう。
やむを得ず、日向に置く場合はムシロや日よけシートをかけておくのがおすすめです。
通気性が悪くなっても死んでしまうので注意が必要です。
食事は腐葉土を食べるので、林などから腐葉土を随時補給し、乾いたら霧吹きなどで水分を補給するとよいでしょう。
よく野菜くずなどを食べるとされますが、実際はあまり食べないようで、ショウジョウバエなどコバエの大量発生につながります。
採取した場所の腐葉土をできるだけ多く持ち帰り、必要に応じて追加していきましょう。
コバエが発生する場合はコバエホイホイがおすすめです。
保存の仕方
密閉容器に腐葉土とドバミミズをいれ、空気が通るように蓋に小さな穴を複数あけておきます。
全体を新聞紙で多い、冷蔵庫の野菜室の冷気が当たらない場所においておきましょう。
一か月程度は問題なく生きているはずです。
ドバミミズを餌にするときの注意点
持ち運び方に注意
ドバミミズの持ち運び方と釣り場での使用に関して、特に夏場は高温と乾燥に点に注意しましょう。
容器で一番適しているのは、木製の餌箱を使用することです。
その他の密閉容器で持ち運ぶときは小型の保冷剤などを使用してドバミミズが弱らないように注意しましょう。
プラ容器などでは濡れた腐葉土と一緒に持参すると弱りにくいのでオススメです。
使い方
細かく刻む
米粒大にしたドバミミズは集魚力抜群!
クチボソ・テナガエビなど、特に口が小さなターゲットを狙う場合は、あらかじめドバミミズをハサミで米粒大に刻んでおきましょう。
釣り場で都度切るよりは、必要分だけ自宅で切ったものを密閉容器に持ち込んだほうが手指が汚れません。
一匹がけ
鮒、ブラックバス、ブルーギルなどは一匹がけで十分です。
ちょがけをするかハリを通し刺ししましょう。
房掛け
ウナギ・ナマズ・鯉などをぶっこみ釣りで狙う際は、房掛けにするのが効果的です。
なぜ房掛けにするかというと、2点あります。
1点目は、集魚力を上げるという意味合い。
もう一つが、小魚につつかれても、長時間ハリにドバミミズが残りやすいからです。
ウナギ釣りでは、時合に集中してアタリが出ますが、小魚の活性が高い場合、すぐに餌がとられてしまいます。
また、ウナギが餌をついばんだときに、一匹がけではすぐにとれてしまい、ハリがかりしないことが増えます。
必ず複数尾のドバミミズを針がけしておきましょう。
まとめ
今回は、ドバミミズの生息場所・採取方法、実際の使い方について解説しました。
ドバミミズと呼ばれる複数種のミミズは、自然界では腐葉土を分解していく重要な役割をになっています。
同じ場所での採取はほどほどにしておきましょう。
関連アイテム
▼釣り場への持ち運びは密閉できるジップロックスクリューロックも便利です。夏場は温度が上がりやすいので小型の保冷剤と一緒に持ち運ぶとよいでしょう。