タチウオ釣り界隈をはじめると、よく耳にするようになる「ドラゴン」という言葉。
「ドラゴン🐲をゲット!」
「これぞ神龍!!」
それぞれ大型・超大型のタチウオを差すわけですが、一体その定義はあるのでしょうか?
今回はタチウオ釣りの「ドラゴン」「神龍」の定義について考察してみました。
なぜタチウオを「ドラゴン」と呼ぶのか?
そもそも釣り人は、なぜ大型のタチウオを「ドラゴン」と呼ぶのでしょうか。
これは見ての通り、タチウオが細長く牙が鋭く、大型になると頭部が巨大化するからです。
タチウオは英語で「 largehead hairtail」「 beltfish」と呼ばれます。
それぞれ訳すと「デカ頭なのに髪の毛みたいな尾をもつ魚」「ベルトみたいに細長い魚」といったところでしょうか。
欧米におけるタチウオはなんとも、しょぼいネーミング。
それと比べると「太刀魚」「ドラゴン」という日本での呼び方はカッコイイもんですね!
英語圏におけるドラゴンは両翼に脚があり、しばしば立ちあがるもので、タチウオの姿と結び付けることはむずかしそうです。
一方、アジア圏でのドラゴンは「龍(竜)」を指し、たいてい蛇の発展形のような細長い形をしています。
翼もないことが多いんですよね。
ザ・欧米作品、ロードオブザリングに出てくるのはこっちのドラゴン(キリスト教世界では悪魔=サタンの象徴とされる)
にほんむかし話に出てくるのはこちら。アジア圏では蛇信仰が広くありその影響が強い(インドのナーガ×中国の竜)
現代の日本人はドラゴンボールから大きな影響をうけていて、龍と聞くと、あの神龍(シェンロン)をイメージするわけです。
タチウオ釣りにおける「ドラゴン」の定義を釣り人に聞いてみた
さて、すこし蘊蓄をお話したところで本題に入ります。
いつも通りORETSURIのSNSアカウントでタチウオ釣りの「ドラゴン」の定義をヒアリングしてみました。
みなさん回答ありがとうございます!
【質問】
タチウオ釣りで言う「ドラゴン🐲」って?
どのぐらいのサイズから呼びますか?— 平田 剛士|ORETSURI(俺釣) (@tsuyoshi_hirata) September 29, 2020
Twitterでは、指5本以上のタチウオをドラゴンと呼ぶ人が多いようですね。
100人以上の回答のうち、50%強の方が「指5本以上がドラゴン」だと思うと回答しています。
ついで、「120㎝以上をドラゴン」と回答している人が多かったです。
ORETSURI読者向けのFacebook「TSURI TALK」でも同じ順で「指5本以上」に次いで、「120㎝以上がドラゴン」という回答が多かったです。
ここからはドラゴン基準についてそれぞれ考察していきます。
タチウオの全長でのドラゴン基準は「120㎝」
岸釣りや船釣りで認識が異なりますが、全体では120㎝をドラゴンと呼ぶ人が多いようです。
先日、船宿で「ドラゴンタチウオダービー(シマノ運営)」の測定用メジャーを見たのですが、120㎝以上を「ドラゴン認定」としていました。
出典:シマノ
ここで問題になってくるのが「尾の欠損」です。
共食いで尾がないタチウオはかなり多い
タチウオ釣りをやるとわかるのですが、頻繁に共喰いによって紐状の尾がかじられた個体を見かけます。
タチウオの場合、尾の先端部分がないだけで、4、50㎝程度の全長が変わります。
このようなタチウオ独特の要素を考慮して、全長ではなく、頭部から肛門までの長さを「肛門前長(こうもんぜんちょう)」として競っているイベントもあります。
ちなみに、タチウオの場合「肛門前長」の3倍程度が全長と言われています。
また、おなじく尾の欠損要素から、指の本数ではかるのがベストという人もいます。
タチウオの重量でのドラゴン基準はない
タチウオ釣りでは重さはあまり意識されない
タチウオ釣りでは、比較的重さは重視されません。
そのため重さを基準として「○キロ以上はドラゴン」というような言い回しは釣り人の間でつかわれません。
釣魚の記録認定団体JGFAでも、他の魚同様重量がポイントであるぐらいです。
SNSをみていると、重さへの言及については、「○○センチ、指6本の文句なしのドラゴン!重さは1.8キロありました!」というような表現は見られます。
ちなみに、120cmを超えるタチウオの場合、抱卵個体or胃内容物含むで、1.5キロから2キロ程度の重さです。
初夏から秋までの長い期間は、抱卵しているタチウオがしばしば釣れるため、重量が増える傾向にあります。
経験上、タチウオは夜行性のため、昼間は餌を捕食していないことが多く、未消化の胃内容物は夜間に釣る個体のほうが多い傾向にあります。
夜間に岸釣りで指7,8本クラスが上がるようなことがありますが、腹部にイワシやアジ類などのベイトが満杯でかなりの重量なことも。
指(太刀魚の腹部測定)でのドラゴン基準は「指5本以上」
一目瞭然なドラゴンスケール
タチウオ狙いの釣り人が、競技会以外で「ドラゴン」と認識するのは「指5本以上」がほとんどのようです。
一方、指は当然人によって差がでてくる要素です。
男性と女性・大人と子供で異なることはもちろん、男性同士でも指の太さはかなり異なります。
体重や手指の酷使などで、指はどんどん太くなるものです。
SNS上にUPされている指測定のドラゴン画像をみると、しばしば、測定者が意識的に指をすぼめている様子がみられます。
やっぱり、だれしも自分が釣ったタチウオをできるだけ大きく発信したいものです。
こういった背景から、タチウオの厚みをより正確に計測できるよう、指のサイズを○○㎝とし、統一基準で測定できる「ドラゴンスケール」類も登場しています。
▼ステッカータイプもあり便利!
SNSにアップする際も、よりしっかりしたいという人は活用してみるのも一つですね。
岸釣りと船釣りで「ドラゴン」の基準は違う?
岸から大型のタチウオを釣るのは高難易度とする人も
タチウオは岸より船釣りでまとまって釣れる魚です。
エリア・季節・時間帯によっても異なりますが、サイズに関しても、接岸する大型個体はそれほど多くないとされます。
そのため、岸釣りメインの釣り人の間では「タチウオは100㎝以上でドラゴン」と認識する傾向も見られます
タチウオの「神龍(シェンロン)」クラスとは
タチウオの大きさを表す要素として「ドラゴン」の定義について考察してきましたが、さらに大型を「神龍(シェンロン)クラス」と呼ぶ人もいます。
超巨大タチウオ=神龍。
前述の通り、ドラゴンボールに出てくる願いをかなえてくれる龍に由来します。
ドラゴンボールを7つ集めると、どこからか現れ、願いをなんでもかなえてくれるという神秘的な龍。
釣り人は、めったに出会えない超巨大なタチウオを神龍に重ねているわけです。
一方、「神龍」クラスのタチウオの定義はこれも曖昧なようです。
指7、8本以上という人もいれば、140㎝以上という人も。
特に船釣りでは140㎝以上を「神龍」と呼ぶ人が多いようです。
いずれにせよ、指5本、120cm以上といった「ドラゴンクラス」のタチウオを遥かに上回るサイズ感は「神龍クラス」と呼んでも良いかもしれません。
これも豆知識ですが、日本国内で釣れるタチウオは数種いますが、静岡以南にいくと、「テンジクタチ(ヒレが黄色)」が混ざり、さらに南方の沖縄海域では2mを超える超巨大な「オキナワオオタチ」が主要になってきます。
鹿児島海域では船釣りで2mに迫るタチウオ(東京湾や大阪湾と同様の種類とされる)が釣れています。
また、平均海水温の上昇によって、もともと南方の魚であるタチウオが東京湾以北でもよく釣れはじめています。
今後は東京湾や相模湾でもテンジクタチが多く混じるような日がくるのかもしれません。
まとめ
今回は人気のタチウオ釣りにおける「ドラゴン」「神龍」の定義について考察してきました。
「ドラゴン」「神龍」の定義については学問的な話ではなく、釣り人がそれぞれ独自基準でつかう呼称です。
一方、自分が釣ったタチウオがだいたいどのあたりのサイズ感であるかについて、認識する参考になれば幸いです。
関連アイテム
▼指でも長さでもしっかり計測して撮影できるグッズがあると便利ですね!
▼ナカジマのタチウオスケールは大阪感満載!
▼ドラゴンサイズをつかんで締められるハサミ
▼針外しはしっかりしたシマノのADプライヤーがおすすめ!餌もルアーもOK