船釣りにもいろんな釣り物がありますが、小物釣りのなかで一番競争性が高いジャンルだなーと思うのがカワハギです。
玄人や猛者級は船宿の支給餌にあきたらず自分でアサリを剥いて持参。
竿も調子が異なる1本数万のものを3本ぐらい持ち込んで状況によって使い分けたり。
そういう真剣度をはたから見ていると、初心者がチャレンジするハードルが高いイメージがありますね。
でも「何十枚も釣る」「ガチンコ勝負」じゃなくて、ちょっと釣るぐらいであれば、そこまでこだわる必要なんてありません。
奥の深さから求道する人がいるけども、そこそこ釣れればいいという人も混在しているのがカワハギ釣りの懐の深さです。
さて、「カワハギ釣りをはじめてやったんだけどあまり釣れないしアタリがわからない」という話を聞きます。
みると、ちゃんとカワハギ専用竿をつかっているんですね。じゃあなんでだろう。
今回は船カワハギ釣りでは「シンプルな仕掛け」が重要という話をします。
カワハギ釣りと集寄
釣り用語ですが、「集寄」と書いて「しゅうき」といいます。
まー魚を集めるグッズです。
アイドルのコンサート会場で、キラキラしている団扇やペンダントライトなどでフリフリやるのと一緒だと思ってください。
○○愛してる!
この光を、自分を見てくれ、と。
俺はここにいる、と。
まー、実際のところアイドルからしたら、ただピカピカ光っているだけなんですけどね。
それにしても、カワハギって本当に光るものや音に寄ってくるんでしょうか。
これはねー、本当です。
水族館のカワハギもフラッシングに反応した
こちらは水族館の良型カワハギにシルバーメッキの金属板をキラキラさせてみた様子。
もう興味津々で、他の魚はよってこないのにカワハギだけ水槽のガラス越しまで近づいてきました。
カワハギはフグの仲間であるわけなのですが、フグ同様、視覚的に目立つもの、音がするものには反応がよいのです。
カワハギ釣りをしていて、群れのかたまりが薄いときはラトル音がする集寄をつかうと、他の釣り人より、効率よくカワハギを集めることができます。
自然環境でも、他のカワハギがアサリや2枚貝の貝殻をカツカツとついばんでいる音に敏感でいたほうが、餌からあぶれにくいのでしょう。
生存競争のなかでそのあたりが敏感になっていったんだろうなと。
カワハギは好奇心が強い魚です。そして、しつこい。
フグもそうですが、多少ハリスが太くても、餌がそこにある限り、何度でも餌をついばむ。
だいたいの魚は、ミスバイトするともう逃げて餌を食いませんが、カワハギは執念深く餌をついばみつづけるのです。
「カワハギのアタリがわからない」のは集寄の位置が悪かったり、つけすぎ
カワハギ釣りにはじめてチャレンジする人も、やはり事前情報で集寄が重要という点はチェックしているわけです。
だから市販のいろんな集寄グッズを買う。
- ホログラムステッカー
- ラバーや繊維系のほうき状アイテム
- バイブレーション系アイテム
- 派手なオモリ
- 派手な中オモリ
- ケミホタル
ピカピカしたり、音が鳴るやつです。
で、これらをやっぱり重ねてつけたくなる。
ダイワ快適シンカーの下にダブルスナップでバス釣り用バイブレーションをつける技(潮受けが酷い)
こんな風に。
が、釣り経験の長短を問わず、あんまり平均釣果を伸ばせてない人ほど、とりあえず集寄を一杯つける傾向にある気がします。
すると、どうなるか。
まー派手なので、カワハギは寄ってくるんですが、肝心のアタリがわからなくなってしまうわけです。
カワハギ釣りの場合、ハリの形状にもよるんですが、針先をカワハギがついばんだり、飲み込んだ瞬間に察知して素早くフッキングできるかで獲れる数が変わってきます。
1日やれば、漫然と釣りをしていてもドジな個体もいるのでそれなりに釣れます。
ですが、アタリに気づいて食い込ませたり、かけていくことで、より効率的に数が伸びるわけです。
このあたりの基本なんですが、カワハギを寄せる気持ちが前のめりになって、集寄の種類・量・つける位置によっては、このアタリが出なくなります。
- 中オモリ(集寄)をつける=一定間隔で聞き上げる釣り方が必要。それ以外の釣りはアタリがほぼでない
- ラトル入りバイブレーション系のアイテムをつける
- 何枚も集寄シールを貼る
- 枝スの上側に集寄をつける
などなど。
こうすると、せっかくカワハギはついばんでいるのに、手元や竿先にアタリが伝わりにくくなるわけです。
また、潮によっては仕掛けが立たず、斜めになりやすかったり。
集寄の形状や数によっては潮受けしやすくなるので、根がかりも増えますし、自分の仕掛けでオマツリしてしまう「手前マツリ」も多くなります。
「いやーカワハギのアタリがわからないんですよねー」という人で、ちゃんとカワハギ専用竿をつかっている人をみていると、大体この「集寄つけすぎの罠」にはまっている印象です。
カワハギは、仕掛けをアピールしたほうが釣れる。
これは事実。
が、仕掛け自体がアタリを消してしまったり、トラブルを誘発してしまっているわけです。
そもそもカワハギの数が少なかったり、食い気が少ないときにアタリが出にくいのは仕方ない。
一方、周りは釣れているのに、自分だけ「釣れない」というときは、この集寄つけすぎ問題について考えてみるとよいと思います。
カワハギ釣りはシンプルな仕掛けが一番
慣れないうちは集寄はオモリだけで十分
カワハギを釣るためには針のサイズや形状も重要ですが、なによりシンプルな仕掛け構成にすると、独特のアタリを感じやすくなります。
シンプルな仕掛け構成でオススメなのが以下の通りです
- 中オモリや小型のシンカーは下オモリの上に一切つけない
- ホログラムシール類を貼らない。ノーマルオモリの場合はオモリに集魚シールを貼る
- 集寄効果のある派手めなオモリを数種類使い分ける
要は、派手めなオモリとハリだけにしてみるというわけです。
オモリと道糸のPEラインまでの間に潮の抵抗をうけうけるものが少ないほうが、アタリがでやすくなるのは間違いありません。
アレコレつけすぎの例(数年前の筆者)
底上にベラやトラギスが多い場合は、餌の位置を上に変えるために、タナを変えて宙釣りにしたり、枝スの位置や間隔を変えます。
水族館でみると一目瞭然なのですが、ベラ類やトラギスは底上付近により多いのです。
カワハギの周りには無数の小魚が
あまりにもゲスト陣が多い場合は、オモリをたたくように動かし、仕掛けをゆらしてゲストを遠ざけると、ホバリング性能にすぐれたカワハギが釣れやすくなります。
まとめ
シンプルな仕掛けにするとアタリも明確に
カワハギ釣りは、いろいろつけるとアタリがわからなくなるという話をしました。
多くの釣り人から、カワハギ自体は繊細な魚と思われているわけですが、それはエサのついばみ方が上手なだけです。
魚自体は繊細かというとかなり鈍感で、多少雑な釣りをしても逃げません。
これは皮が厚く、外敵に強いからという面に好奇心の強さがあります。
どれだけ仕掛けをゆすっても、むしろ逃げないで、いつまでたっても仕掛けのまわりで餌をついばむのがカワハギです。
ごちゃごちゃした仕掛けをつけて、「アタリが出ないなー」と思っているときにも、周りにはきっといるわけです。
他の人がちゃんとカワハギを釣っているとき、自分だけ当たらない場合は、オモリ以外の集寄をぜんぶはずしてしまうのも一つ。
派手めなオモリ一つでも、カワハギは十分引き寄せることができますよ。
関連アイテム
▼カワハギに適したオモリは夜光・ホログラム・ラトル入りなどがあります。浅場の場合、メッキ系金・赤金・パールホワイトなどは特に反応がよい色です。
▼市販の集寄系オモリは、一つ300~500円程度。根がかりが発生しやすいポイントではロスト時のダメージもなかなか。コストを下げつつ、手っ取り早いのは、通常の六角オモリにホログラムシール・天然貝シートなどを貼ってしまう方法です。100均にいくと活用できるものもたくさん。釣行前に準備するのであれば、ウレタンで保護するのも効果的。
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