東京湾の船釣りでは周年タチウオを狙うことできます。
今回は「夏タチ」こと夏場のタチウオで釣果を倍増するタックル・釣り方・コツを解説します。
夏タチは浅場の数狙いメイン
タチウオは6月以降浅場で釣れることが増えてきます。
水深30m以浅でも反応が濃くなり、活性の高いタチウオは昼間でも海面近くまで餌を追ってくることも。
水深が浅いため、手巻きタックルが最適で、シャクリや巻き上げの負荷も低いため女性や子供でも十分楽しめます。
どちらかというと「数」を狙う釣りで、平均サイズは指3~4本サイズ(1m未満)。
とはいえ、時折、1mを優に超える指5本・6本サイズもヒットするので気を抜けないところもあります。
夏タチのタックル
極端な本数を求めなければ手巻きタックルで十分!
竿
餌タチウオ専用ロッドの他に、2m程度の7:3調子もしくは8:2調子のライトゲームロッドが最適です。
オモリ負荷は20~80号程度のものが使いやすい固さ。
あまり長いものはシャクリにくくなり、重量も増すため疲労度が高まります。
- 7:3調子の竿:シャクリやすさと食い込みのバランスがよい。
- 8:2調子の竿:よりきびきびとしゃくりやすいが、アタリを弾くことが増える。高活性時におすすめ。
<夏タチにおすすめの竿>
▼タチウオは比較的しゃくり続ける釣り。シマノのエクストリームガングリップを搭載したモデルがおすすめです!
リール
小型両軸リールが最適です。PE1.5号を200m巻けるものを中心に選びましょう。
ダブルハンドルのリールはより軽快にリーリングでき、パワーハンドルのリールは大型がヒットした際も力を込めやすいと言えます。
ギア比は手返しを重視するならハイギア、女性や子供はノーマルギアやパワーギアがおすすめです。
女性や子供の場合、ハイギアのリールを選択するのであれば、パワーハンドルモデルを選ぶと快適です。
カウンター機能は必須ではないですが、慣れていない場合はあると便利です。
<夏タチにおすすめのリール>
ライン
PEラインを使用します。
落下速度を速め、潮受けを軽減し、感度を上げるには8本編以上を選ぶとよいでしょう。
1号もしくは1.5号を選ぶ人が多いと言えます。
タチウオの場合、PE2号を選んでも歯と干渉して高切れる率はさほど変わりません。
3号以上はオマツリ対策のため使用が禁止されている船宿がほとんど。
PE1号の場合、サルカンと直結すると特にアワセ切れのリスクが高まります。
竿先へのPEがらみ対策にもフロロカーボン4号のリーダー1m程度つけるとよいでしょう。
仕掛け
単純な仕掛けなので自作も簡単
天秤に吹き流し仕掛けを使用します。
針数はほとんどの人が1本針を使用します。
2本針はオマツリの原因になりやすく、使用が禁止されている船宿もあります。事前に確認しておきましょう。
<天秤>
天秤は餌をしっかり動かせるストレート型の天秤が人気。
比較的引きが強い魚なので、線材が細すぎると曲がってしまうことが増えます。
曲がりをなんども直すと線材が折れるので注意しましょう。
▼ストレート型天秤はダイワの快適天秤マルチとヤマシタのY型が人気です。PEラインからの高切れも多いので4本ほど用意しておくと安心
<オモリ>
オモリは一般的な六角オモリでもよいですが、ペイントされたもの、フラッシング効果があるものが人気です。
号数は30号~60号程度がよく用いられます。あらかじめ船宿に確認しておきましょう。
高切れによるロストや、シャクリの負荷によってスナップが破損してオモリが抜けることもしばしば。
それぞれの号数を複数個持参すると安心です。
<ハリス>
フロロカーボン5号~8号程度が使用されます。ハリス全長は1m~2m程度で調整します。
高活性のときは太ハリスでもどんどん釣れます。
アタリがシビアになったときは、餌が自然に動き、食い込みもよい5号を使うのも一つです。
一方、ハリが飲み込まれると一瞬でハリスが切れてしまうので注意が必要です。
針のチモトにケイムラや夜光パイプをつける方法がありますが、タチウオが警戒してアタリが減ることがあります。
日中の釣りのため、ワイヤーハリスはタチウオに見切られやすく極端にアタリが減ることもあり、使用されません。
身餌の動きも悪くなります。
ハリス切れを軽減しながら細ハリスを使うには、テーパー仕掛けがおすすめです。
ハリス全長1.5mであれば、1.3m程度までハリス5号を使用し、サルカンを接続して、ハリス8号を接続します。
テーパー仕掛けであれば、仕掛け全体はより自然に動き、チモトのハリス切れを防ぎやすくなります。
ハリス全長については、短い方が餌が動かしやすいと言えます。高活性のときは短ハリス(1m程度)で狙いましょう。
アタリが出なくなったときは、2m程度にハリスを長くし、ゆったりと狙うことでアタリを誘発することできます。
▼東京湾で夏タチをやるみなさんに、使用するハリス号数についてアンケートしてみました。8号を使用する方が多いようですね!
天秤で狙う東京湾の夏タチウオ、いつもつかっているハリスの太さを教えてください!
— ひらっさん (@tsuyoshi_hirata) August 10, 2023
<おすすめの夏タチハリス>
▼8号等の太ハリスであればスタンダードクラスを、5号など細ハリスであれば2層構造のハイスペックハリスを選ぶと安心!
<針>
タチウオ専用針を使います。
しばしば「フック」と呼ばれ号数が「1/0」のように表現されるのですが、これはタチウオ針がワームフックに由来するからです。
各メーカーから「1/0」「2/0」「3/0」が販売されていますが、「3/0」が比較的大きなサイズです。
昨今はドラゴン級狙いのために4/0サイズも
夏タチであれば、「1/0」が小型で一番食い込みはよいと言えます。
一方、時折混ざるメーターオーバーの場合、丸呑みされることも増えハリス切れリスクが高まります。
「2/0」がオールラウンダーで、「3/0」が大物狙いと覚えておきましょう。
「3/0」でも小型のタチウオは釣れますが、フッキング率は下がります。
<おすすめの夏タチ針>
▼がまかつとダイワの管付針は安定の人気で、ヤマシタのWHTは軽量な管なし針でより自然と餌を動かせます。
針先が弱ったものはすぐに交換しましょう。消耗品なので、各サイズ3~4袋ずつあると安心です。
<完成仕掛け>
▼ダイワ・がまかつが人気
▼Twitterでタチウオ針についてアンケートをとった結果、がまかつが断トツの人気でした!
天秤餌タチウオで使用している針のメーカーについて教えてください!(理由や、その他メーカーの場合はリプでどうぞ。)
— ひらっさん (@tsuyoshi_hirata) August 29, 2023
夏タチに便利なアイテム
簡易竿受け
本格的なキーパーは不要ですが、簡易竿受けがあると取り込み時や休憩時などに便利です。
毎回船べりの穴に竿をさすと手返しが落ちるという背景があります。
フィッシュグリップ
釣りあげたタチウオは暴れて怪我につながるため、速やかにつかんで締める必要があります。
自分の怪我であればまだよいですが、お隣さんなどに怪我をさせないようにしたいところ。
▼シンプルにタチウオがつかめるものに加えて、つかむと同時に締めることができるアイテム(やや重め)もあります。
ハサミ
釣りあげたタチウオはバケツで数分血抜きをしてからクーラーボックスにしまうと臭みが出づらくおすすめです。
頭部の歯部分を斜めにカットしておくと、見映えは悪くなりますが、持ち帰り後の怪我もなくなります。
ハサミは身餌を整えるときにも使用します。
横長のクーラーボックス
タチウオは長いため、縦長のクーラーボックスだと折れ曲がってしまいます。
折れ曲がったタチウオを持ち帰り、帰宅後元に戻すと身割れの原因になります。
気になる場合は、横長のクーラーボックスを持参しましょう。
35リットル程度がジャストなサイズです。
怪我対策の医療品
タチウオの歯は鋭く、一瞬触れただけで皮膚が切れて流血します。
もし怪我をしてしまったらタオルなどで血を拭い、消毒剤を拭き、ワセリンを塗ると止血できます。
その後、耐水性の高い絆創膏をすれば安心して釣りを続行できます。
夏タチの釣り方
夏タチは港から近い浅場がポイントになりやすく、出船したらすぐに実釣スタートになることもしばしば。
乗船したらまずは、釣り座を整え、針に餌をセットしておきましょう。
コノシロの身餌
餌付けの方法は色々ありますが、縫い差しが一般的です。
サバの場合は、皮剥がれをさけるために腹側から縫い差しにするとよいでしょう。
身餌の品質は船宿によってもバラツキがあります。
肉部分が厚い場合はハサミでそぎ落とすと、身餌の動きがよくなります。
チモト側の身がそろっていない場合は、ハサミで切りそろえましょう。
餌が回転しづらくなります。
ポイントに到着したら、船長のアナウンスを聞きます。
「30m~15mまで」とあれば、海面から道糸の色変化でタナをとり、30mまで仕掛けを落とします。
あらかじめPEラインは10m単位で切りつめておくとよいでしょう。リーダーを使う際はリーダー分PEをカットします。
タナの下限で10秒程度静止し、餌が潮になじんだ頃合いをはかってシャクリ上げてきます。
竿先を海面側に斜め45度程度下げた状態から海面側に下げ、そこからリール一回転のシャクリをします。
シャクリを入れた後は1秒程度停止し、タナの上限から5m上程度までシャクリを続けていきます。
しばらくやってアタリが出ない場合は、以下のようにシャクリを変化させていきましょう。
- リールの回転を2分の1、3分の1、4分の1、6分の1と変え、シャクリも細かくする
- 待ち時間を2秒以上に長くする
周りが釣れているときに自分だけアタリがでない場合は、以下の理由があります。
- 指示ダナを狙えていない
- 餌がずれているorすでに針からとれてしまっている
- ハリスが太すぎor短すぎor長すぎ
- シャクリ幅と待ち時間があってない
- 針にアカクラゲなどのゴミが絡んでいる
アタリが出せないとき、食い込みが悪い時にやること
タナを正確に探る
とにかく指示ダナを正確に釣りましょう。
タチウオは釣っている最中に、餌をおって食いあげてくるため、指示ダナ上限の5~10mぐらいまではしゃくってみましょう。
釣れている人のシャクリ幅・待ち時間・ハリス長を真似する
餌タチウオの場合、釣り座以外の要素が重要です。
釣れている人の様子を確認しましょう。
- シャクリ幅はどれくらいですか?
- 待ち時間は短いですか?
- ハリスはどれぐらいでしょうか?
自分だけ釣れてない場合は、とにかく真似しましょう。
餌付けをしっかりする
細くカットしたタチウオの身餌。常に状態のよい身餌を使おう!
針からずれた餌や崩れた餌でもタチウオは釣れるのですが、アタリの数が激減します。
食い込みも悪くなってしまいます。
アタリがなくても頻繁に回収し、餌の様子を確認しましょう。
身餌はどの船宿でも使い放題です。
無駄づかいはよくないですが、ズレている餌はすぐに交換しましょう。
6月頃は赤クラゲが餌やハリに絡んでくることも多いので注意が必要です。
ハリスを長く細くする・フックを小さくする
海況によっては澄み潮でタチウオが仕掛けを見切っていることがあります。
そんなときにはハリスの号数を下げ、長くしましょう。
また、フックのサイズを落とすのも効果的です。
夏タチでの注意点
海面近くでのシャクリやアワセは注意
夏タチの場合、浅場がメインになるため、海面近くまでがタナになることもあります。
タチウオは海面まで追ってくるので、海面までシャクリたくなることもありますが、注意しましょう。
シャクリやアワセミスによって仕掛けが飛んでくるので怪我の原因になります。
海面近くのタナで誘うときは大きなシャクリではなく、より細かく誘うとよいでしょう。
ヒット後のタチウオは速やかに釣りあげる
どの季節でもそうですが、タチウオがヒットしたらドラグを使わず速やかに巻き上げましょう。
ヒットしたタチウオが横に走ってしまうと、隣の釣り人のPEラインに歯がアタリ、高切れの原因になります。
お互いさまではあるのですが、速やかに巻き上げるのは大切です。
そのため、腕力に自信がない人は、巻き上げ力が高いリールやパワーハンドルモデルを使用するとよいでしょう。
特に、潮が速いときは注意が必要です。
足のケガに注意
タチウオは釣りあげた後に足元で暴れます。
速やかにフィッシュグリップ等でつかみ、締めましょう。
このとき、足が無防備な場合、怪我をすることが増えます。
特につま先側は神経が集中しているため痛みを感じることも。
慣れていない人は特に履物に注意しましょう。
指が保護できるものが安心です。
また、自分は大丈夫でも、ふとした瞬間に隣の釣り人の足に歯が触れてしまうこともあります。
まわりに配慮しながら釣りを楽しみましょう。
夏タチは半日船がおすすめ!
半日でもたくさん釣れるのが夏タチ
夏のタチウオはよっぽど悪い日をのぞけば、かなりの釣果が望めます。
1日釣りをするとかなりの本数になってしまうこともしばしば。
加えて、暑く消耗しやすいシーズンなので、どちらかというと半日船で短時間楽しむのがおすすめです。
半日船は比較的釣り場が近い、金沢八景~横須賀走水までの船宿で出船しています。
チェックしてみましょう!
まとめ
夏タチは数を狙いつつ、たまに出てくるドラゴンサイズがうれしい釣り
今回は「夏タチ」こと夏場のタチウオで釣果を倍増するタックル・釣り方・コツを解説しました。
夏のタチウオは比較的数を釣りやすく、初心者が入門するのにも最適です。
注意点をしっかり押さえて、楽しみましょう!
▼夏タチウオの釣行動画(釣り方解説)
関連アイテム
▼夏タチはしゃくり続ける釣りなので、疲労感が高い釣り物です。季節的にも陽ざしが強く、過酷。服装には注意しましょう。
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