どうも平田です
今回は、リール購入後に「最大ドラグ力」もチェックしたほうがよいという話です。
リールを買うと、誰もが使用前にざっくりとはチェックするはず。
- 筐体外観の傷(個人的に多少の小傷は気にしません)
- ギア部分の異音
- 巻心地(出荷前の慣らしが足らず、多少ギアにバリがあるのものがあり、つかっていると滑らかになるものがあります)
が、最大ドラグ力(正確に数値は出ないまでも)って、チェックしないですよね。
ベイゲーム150DHを購入
先日、シマノのベイゲーム150DHを買ったんですね。
人に借りて何度か使ってみて隠れた良品だなーと思っていたんですが、自分で購入したのは初めてです。
300PGと150については店頭に並んでいたのを見たのですが、150DHについては一番人気で生産がとまっていたせいか、市場から姿を消していたんですね。
それが2月になって店舗に並びはじめたというわけです。
なんらかの滞留品が流れていたのか、製造再開で流通したのかは不明。
最近釣具はECサイト経由で買うことが多く、今回は総合的に安価であったヤフーショッピング経由で購入しました。
「最大ドラグ力」が明らかに低いぞ
で、購入したベイゲーム150DHが到着。
それからしばらく釣りにいかなかったのですが、約1週間後PEライン(下巻入れて1.5号200m)を巻いていて、ふとドラグフルロックにしてラインを引っ張ってみたんですね。
これはドラグフルロックのマゴチ釣りシーズンがはじまるからです。
すると・・・。
あれ、ラインが簡単にひっぱれるぞ。
これじゃあ、スミイカとかマゴチみたいにドラグフルロックにしなくちゃいけない釣りでは使い物にならないなー。
ちなみに、ベイゲーム150DHの最大ドラグ力は5kg(仕様上)です。
出典:シマノ
最大ドラグ力はライン巻量やリール本体の差でもちろん変わると思うんです。
それにしても、ゆるゆるすぎる。
とはいえ、体感値だと返品交換してもらうのにも説得力が薄い。
わたしが超怪力の持ち主で、約5キロのドラグフルロックといえども、素手で軽くラインを引き出せる実力の持ち主なのかも。
んなことはないんですが、数値で計れる便利、ドラグチェッカーで計測してみました。
▼ドラグチェッカーについてのインプレ記事
結果は・・・
やっぱり、2.1kg。
うーむ。
わたしの測定方法やドラグチェッカー自体に不具合の可能性もあるのでは・・・。
ところが、オシアコンクエスト200HG(最大ドラグ力5kg)で計測したら、5kg弱。
ライン巻き量はほぼ変わりません。
もちろん、素手で引っ張ってラインを出すのは困難です。
ってことで、わたしがやる釣りではやはり厳しいので返品させてもらうことにしました。
▼返品時のメッセージ
【ドラグ初期不良の可能性と返品交換のお願い】
お世話になります。
到着した商品を本日糸巻きをしてみたところ、ドラグを全て閉めこんでも少し引っ張っただけでラインが出てしまいます。
完全にフルロックにはできないと理解していますが、竿にラインを通さずフルドラグにしたものを、ドラグチェッカーで計測したところ2.1キロ程度でラインが出てしまいます。これではフルロック状態で釣りをする必要がある釣り物で正常に使用できないと判断しました。
シマノのリールは他にも持っているのでオシアコンクエストやスティーレSS、バルケッタなどをフルロックで試してみましたが、全て正常にドラグのフルロックが機能します。
念のため、ライン空転の可能性を考えて、再度巻き替え、スプールに3周してテープでとめても同じ事象が起きます。
ドラグワッシャー部分にオイルが最初から入ってしまっているのか、ワッシャー部分が何らか劣化しているのか、製造時の組み立てミスなのかは不明です。内部を開くことでこちらの責になりそうなので一度も開いていません。
ドラグをフルロックする釣り物で使用する可能性が高いので返品交換をお願いしたいと考えています。
他に代替案があればお知らせください。
修理点検扱いとして、最寄りの釣具店の実店舗に持参しようと思いましたが、購入してすぐであり、実釣では未使用なので販売店の貴社に問い合わせることにしました。
【状態】
釣りでは未使用。室内でライン巻きをしました。
注油はしておらず、内部は一度も開いていません。
ビニールの本体を包む袋はありません。
そして、迅速に交換品をお送りいただいたところ・・・。
なんと2つ目も同じ現象なのです。
2.3kg程度でラインがでてしまいます。
素手で簡単にラインが引っ張れる状態なので、ドラグをフルロックして行う釣りでは使用できません。
悩みますね。
あんまり手間はかけたくない。
が、1度目の返品依頼なので、販売店は商品個別の不具合や使用者の計測問題と考えるのがフツーだと思うので、ここは以下の提案をしました。
▼返品時のメッセージ
本日早速交換商品が到着しました。
手配ありがとうございます。早速糸巻きをしたところ、ドラグ力がほぼ変わらず、ドラグをフルロックして使う釣りでは実用に難しい状態です。
ドラグをフルロックにして何度測っても2.1から2.3キロ程度でラインが出てしまいます(写真添付)。素手でラインをなんなく引き出せる程度です。手持ちのスティーレSSやオシアコンクエストは素手では痛くて引き出せません。
※スプールに結んだラインをテープ止めし、ラインを9割ほど巻いたものです。
二つ連続で同じ事象ということで、シマノの生産ラインにおける不具合のような気もしています。その場合は今後の交換品も同じ事象が出る可能性があると考えられます。
今後なのですが、以下を提案したいのですがいかがでしょうか。お手数ですが、見解をお知らせください。
①(在庫があれば)1度貴社側で糸巻きをしていただいた上でドラグ値(ライン巻量やグリス等の差で多少変わるのは理解しています)が適正に出る状態を確認いただいてから送付いただく。追ってこちらからも手元の2台を返送。
②貴社実店舗に2台持参し、実店舗にあるもの(ドラグ値検査済み)と交換していただく。
いかがでしょうか。
以上、商品は気に入っているのですが、諸々時間がかかり、困っております。お手数をおかけしますが、ご対応よろしくお願いします。
その後、在庫がなかったようで、店舗網から取り寄せていただき送っていただきました。
尚、問い合わせも、発送もかなり迅速にやっていただきました。ありがたい。
ECサイト経由の購入でも大手所は安心できます。
ドラグ確認時の画像添付させていただいておりますので、併せてのご確認お願い致します
(画像では5kg若干割っておりますが、複数回確認にて5kgでの確認いたしております)
という具合に、ドラグチェックをしていただいてから配送してもらいました。
が、ラインを巻いて計測してみると・・・
3kgちょっとでラインが出てしまいます。
たしかに5kg近く出ているようにみえるが、
こちらが店舗で確認いただいた数値です。
約5kgの数値がでているのですが、もしかして計測の仕方に差があるのかもしれないと考えました。
繰り返しのご対応誠にありがとうございます。
本日、商品を確認しました。◆確認内容について◆
こちらで確認したところ最大ドラグ力が3.5kg程度と確認できました。
完全にドラグを締め込んだ状態で素手でラインを引き出せる状態です。
やはり使用が難しいです。店舗で複数回測定いただいた数値と差がでる理由を考えたのですが、
以下の要素があるかもしません。⓵テスト用に巻いたラインが少量のため、スプール直径が小さくなり、ドラグ力が強くなっている可能性
②ドラグチェッカーで測定する際に、プーリー3点間にラインが正しく通っていない可能性
③ドラグチェッカーのワイヤー部分にラインが干渉している可能性(ワイヤーに押し付けるように斜めに引くと、スプールへ力が伝わりにくくなり、ドラグ値が通常より強く表示される)他に、レベルワインド、スプール・ライン位置間の角度が広がると、スプールに力が伝わりにくくなり、
みかけ上のドラグ値が強くなるという要素もありそうです。シマノ公式では最大ドラグ力について以下のように説明しています。
>[最大ドラグ力の定義 測定基準]
>基準ラインを規定量巻き、ドラグを最大限手で締めた状態でラインを引く。
>この時にドラグが滑り始めた時点のテンションを最大ドラグ力と呼びます。「基準ライン」「規定量巻き」が何を指すか不明なのですが、
仮にベイゲームのスペックにあるPE1.5号を200m巻いた状態のライン容量とすると、
こちら側で行っている条件下の数値の方がより正に近いのではないかと考えています。◆今後について◆
当方としては、「手で引っ張ったぐらいでラインが出ない状態の商品」が欲しいというニーズは変りません。
これからの対応なのですが、
・全品返品(3商品)して貴社およびシマノ側で検査いただく。商品はこちら側でリアル店舗(他店もふくめて)で確認の上購入するようにする
・在庫確認の上、再度検品していただいた商品を再度お送りいただく
・店舗(○○店が最寄)に持参するので、そこで目視確認いただくなどがあると思います。
時間はかかってしまいますが、ご提案よろしくお願いします。尚、本件について、テキストで伝えにくい内容があれば、電話いただければと思います!
<参考URL>
ドラグチェッカー
https://www.sakura-rod.co.jp/sakura-lure-division-1/fishing-items/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%B0%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC/
やはり販売店というのはメーカーと問屋をはさんでいることもあり、大人の事情もあるわけなのです。
なのでテキストのやりとりで残しづらいこともあるだろうと、電話で連絡いただく手段を提案しました。
世の中にはテキストするとやりとりできない情報というのが確かにありますし。
そういった場合、テキストのやりとり以外に口頭というログが気軽に残しにくい選択肢をつかうことがしばしばあります。
で、すぐに電話で連絡いただきお話ししました。
店舗側としては、
- 念のため複数人で検証してみた
- 「ライン巻き量めいっぱい」までは巻いて実験してないが、複数の量で検証してみた
- 巻量が少ない写真は最後に確認してみたものを送っている
- シマノに確認したところ「勢い良く引っ張るとドラグ力の数値が低くなることがある」とのこと
- 今回の商品(3つ目)は問屋にも確認してもらった上、店舗でも確認してから送っている
- こちら側で数値確認ができていて、お客様側で商品不備を感じているということもあり、申し訳ないがこれ以上の交換はできないので、返品でお願いしたい
- いずれにせよ返品されたものはすべてシマノに調査してもらうことにする(問屋経由?)
※ほんとのやりとりは丁寧語ですよ
とのことでした。
その他、「テキストでは書けない」担当者さん一個人の考えも聞けて良かったです。
そろそろこれ以上時間をつかうのは誰もが不幸と思い、3つのベイゲームを着払い返品する意志決定をしました。
ベイゲームが増殖していく呪い pic.twitter.com/ybd1CRGUR2
— ひらっさん♨ (@tsuyoshi_hirata) March 8, 2022
最後の3つ目については動画でログをのこしてみました。
これ以上スタードラグを締め込めないところまでいってからやっています。
フルドラグで3kg強
※記事素材用 pic.twitter.com/LNPvaUGbdn— ひらっさん♨ (@tsuyoshi_hirata) March 8, 2022
フルドラグで簡単にラインが出てしまう。
※記事素材用 pic.twitter.com/81H3Bhmxot— ひらっさん♨ (@tsuyoshi_hirata) March 8, 2022
やはりこれだとドラグフルロックの釣りだとまったく使えないんですよねー。
タイラバとかならぜんぜん問題ないんですが。
リールも竿も使用前に調べてから納得して使おう
さて、我々釣り人が大手メーカー製の釣り具を手に入れる場合、新品ならば問屋から販売店を経由して手に入れます。
- メーカーの出荷前検査
- 問屋での検査?
- 販売店での検査
店舗による製品事前チェックは、釣具店ごとに差はあるかと思います。
村田基さんの潮来釣具センターは、かなり販売前チェックに厳しく、けっこうな数の新品ステラを「うちじゃ売れない」と返品するという動画をみたことがあります。
いずれにせよ複数の検査ステップを経て、消費者は釣り具を手に入れるかと思います。
とはいえ、工業製品も完璧ではないので、不具合も必ず混じっています。
ECサイト経由でも不具合があれば、今回のように交換してもらえたり、返品することができるわけです。
釣り人のなかにはそのあたり泣き寝入りしている人もいるんじゃないでしょうか。
とはいえ、支払ったお金に見合った商品が提供されていないというのは消費者にとっての不利益であり、それを交換・返品してもらうのは法的にも真っ当な行為です。
一方、実際にリールを実釣でつかってしまったり、注油してしまったり、内部をあけてしまったりすると、初期不良判断がつきづらくなってしまうと思います。
そのため、竿でもリールでも実釣やチューンをする前にちゃんとチェックしてから使うことが大切です。
以前、スミイカの釣りイベントを開催したのですが、Sさんという方が隣の席にいました。
Sさんは初スミイカだったのですが、順調に釣っていたんですね。
が、あわせるときにドラグが「ジーっと」必ず滑るんです。
で、イカのかけ漏れが数度出ていました。
これもシマノのハイエンド系リールだったんですね。
わたしはすかさず「PEが〇号ならドラグフルロックにしたほうがいいですよー!」といったんですね。
するとSさんが「ドラグフルロックなんですけど、滑っちゃうんですよね」と。
それも糸滑りじゃなさそうで、「なんだろう」という話になったのです。
そのとき、わたしはシマノへの信頼バイアスがあったので、そんなに酷使してないのだったら故障とか劣化も少なそうなので、単にメンテ等の問題なのかもと思い込んでいました。
が、Sさんもドラグをフルロックにするような釣りをあんまりやったことがなさそうだったので、はじめてきづいたのかもしれません。
でも、その時点でリールを不具合でメーカーに出しても、整備点検・部品交換でそこそこのお値段がかかります。
今思うと、もしかして初期不良という要素もあったのかもしれないなーと今になっては思います。
さて、リールのチェックなら、冒頭にあげたように以下の通りです。
- 筐体外観の傷(個人的に多少の小傷は気にしません)
- ギア部分の異音
- 巻心地(出荷前の慣らしが足らず、多少ギアにバリがあるのものがあり、つかっていると滑らかになるものがあります)
- そして、最大ドラグ力
思うに最大ドラグ力は生産ラインでもそれほどチェックされず、露見しづらい部分なのではないかと思います。
メーカーは、ギアとドラグワッシャーがきちんと組付けできていて、異音がせず滑らかに回転し、外観に傷がなければ出荷しそうな気がします。
新機種の場合はもっと細かいチェックをするかもしれないのですが、ベイゲームのように、ベテラン機種を増産した(不明ですが)場合はそうでもなさそうな気がします。
その点、気になる人は購入後、実釣りで使用する前にドラグも必ず確認したほうがよいでしょう。
リールや竿の場合、よくリアル店舗で見て購入したほうがいいという話があります。
それはそうですよね。
とはいえ、やっぱり昨今、店舗にいって買うよりサクッとECサイトで購入したほうが安いし速いので便利なんですよね。
これまで何台もリールを買っていますが、今回のようなやりとりは一度もありませんでした。
だから、これだからECサイト経由は信用がなんねーぜ、ということでもないと思います。
実際に店舗で買ったとしても、最大ドラグ力(目安)までは糸もその場で巻かないことが多いだろうし、確認しませんし。
リールの最大ドラグ力変動について
出典:シマノ
前提として、ドラグ機構が正常でも、リールの最大ドラグ力(見かけ上)は以下の要素で変動します。
- 道糸すべり(とくにPEラインがスプールで空転してしまい、スプールに力が伝わらない)
- リールの糸巻き量が少ないほどドラグ力が強くなる(スプール外周が小さくなるため、スプール回転をさせるのにより強い力が必要)
- ラインとレベルワインドに角度をもたせると、スプールに力が伝わりにくくなり、スプール回転をさせるのにより強い力が必要(ドラグ値が高くなる)
- 3接点式のドラグチェッカーを使う場合、正常に計測しないと、スプールに力が伝わりにくくなり、スプール回転をさせるのにより強い力が必要(ドラグ値が高くなる)
- 瞬間的に勢いよく力をいれるとスプールが回転しやすくなる
※またリールには個体差(ドラググリスの量・なじみ方など含め)があるため、どれもがすべて同じ数値がでるということはありません。
まとめ
今回は、リール購入後に「最大ドラグ力」もチェックしたほうがよいという話をしました。
2つ目でアウトだった時点で、ふつーはめんどくさいなーと返品して買うのをやめます。
が、今回あえて経験することでみなさんの参考になることもあるのかなーと3つ目までやってみました。
これをみて、みなさんはこう思いませんか?
「あ、自分のリールがちゃんと最大ドラグ力(近しい数字)でるか調べておこう」
「今度買うときに、使用前に最大ドラグ力ちゃんとチェックしてから使おう」
みなさんの何らかのきっかけになれば本望です。
ではでは。
平田 剛士(@tsuyoshi_hirata)
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