こんにちは、jomoです。
新型コロナウイルス禍の影響で、週末はひたすら仕掛け作りに精を出しています。
今回は、シーズン入りから好調が続いているマゴチについてです。
東京湾のマゴチの専門船に乗るとよく聞くのが、「マゴチは血抜きをしないほうが美味い」という話。
血は雑味にもなりえるが、きちんと熟成されれば旨味にもなる―というのがその根拠として語られます。それを聞いた私はこれまで、血抜きなしのマゴチを食べるたびに「旨味が強いなー」と感じていました。
本稿ではこれが事実なのか、はたまた気のせいなのか、実際に食べ比べることで検証していきます。
東京南六郷「ミナミ釣船」でマゴチを釣る
まずはマゴチを釣ります。
釣行日は3月中旬。この日は南西風が非常に強く、出船を取りやめた船宿もあったそうです。
私が行った東京・南六郷のミナミ釣船では、昼以降に風が強くなったら風影ポイントでの「LTアジ」に移行するという船長のフィーリングプランで出船。
午前中に集中してマゴチを狙いました。風と波が強烈で、釣行中の写真は無しです。
波が高くアタリがとりにくいものの、この日のマゴチは素直。「コツン」という小さなアタリからやり取りをしていると徐々にアタリが増幅し、2匹をゲットできました。
グッドルッキングガイズ
左側のマゴチが血抜き有り、右側が無し。
血抜きはエラの太い血管を切り10分ほど海水中に放置しました。
どちらも脳天絞めを行い、ビニール袋にくるんだ上で潮氷につけて持ち帰ります。光の加減もあるのですが、左側の方が身体の色がやや明るいか。
熟成後のマゴチの見た目に違いは?
帰宅後、腹から肛門に向かってしごくことで糞出しを行った後、キッチンペーパーとラップでぐるぐる巻きにし冷蔵庫へ。適宜ペーパーを交換しつつ、6日間寝かせました。
6日?よく言われる熟成のベスト期間は4日だろ?
分かっています。でも休みの日でないとなかなかさばく気になれず…次の週末まで持ち越した結果の6日というワケです。
熟成したマゴチ
包みを解きます。
マゴチの全体像:左、血抜き有り、右、血抜き無し
臭みもなく、良い感じに熟成できているっぽい。
やはり血抜きした方がやや明るく見えます。裏側はどうでしょう。
マゴチの腹側:(左から)血抜き有り、血抜き無し
こちらは明確に異なりますね。
血抜きをしていないほうは顎まわりやヒレに血がにじんでいます。ただ、血なまぐさいかというとそんなことはありません。
ここで、肛門より後ろを3枚におろしてみましょう。
マゴチのサク:左3本が血抜き有り、右3本は血抜き無し
身の見た目はほとんど変わりませんね。
中骨を断つとき、血抜き無しの方のみ血が流れ出ました。
続いて、肛門より頭側です。
マゴチの腹側の身:左が血抜き有り、右は血抜き無し
腹骨のあたり、左の血抜き有りに比べ、右の無しは血管が目立ちます。
身の色自体に差は見られませんでした。
熟成マゴチを刺身にする
サクにしたマゴチを刺身にしていきます。
熟成マゴチの刺身
素人包丁なので適当に。
刺身はこれまでと逆になってしまうのですが、にんじんのツマをはさんで、左が血抜き無し、右が血抜き有りです。
身の細い部分(肛門より上から血合い骨と腹骨をすき落とした部分)は、皮付きのまま炙りにしました。
マゴチの炙りは平造りにするのもいいですが、コロコロとした角造りにすると、食感が楽しいです。皮と胃は湯引きにしました。
血抜き無しをアップで。
はずかしいことに皮が残っちゃってますね。
かまぼこのような形であるマゴチの身の皮を引くには、薄手の包丁を使うのがおすすめ。私は出刃のみなのでこのありさまです。
一方、血抜き有りはこんな感じ。
こうして見ると、「血合」の色は血抜き有りのほうが薄く感じられます。
お待ちかねの食べ比べ
では血抜きの有無によるマゴチの味の違いはどうでしょう。
ここまで引っ張ったのですから、それなりの差が出ることでしょう!
・・・
・・・
・・・
ん????????????????????
…か、変わらない。
どちらも熟成の効いた、美味しいマゴチです。
血抜きをしないマゴチの方が強い旨味を感じられると思っていたのですが…。それに、血抜きがないからといって血生臭さが出るようなこともありません。
血抜きしようがしまいが味は変わらないのか。それとも、今回は、6日と長い熟成期間を取ったので、血抜きしていないマゴチも十分な旨味が出たのか。はたまた、私の味覚が鈍感なだけなのか…。
すぐに絞めて保冷できるような環境下であれば、わざわざ血抜きはする必要がないのかなー、というのが今のところの結論です。
同じ味なら、手間が少ないほうがいいですからね。
胃袋の色も変わりませんでしたし。血の気の多い肝を食べる場合のみ、血抜きをしたほうがいいかもしれませんね。
マゴチは何を食うている?
余談です。
フィッシュイーターをさばくとき、釣り人として気になるのは、胃の内容物。
今回のマゴチはどんなものを食べていたのかというと…。
マゴチの胃の内容物
上2つは3cmほどのカニです。これは胃の中にぎっしり入っていました。
一番下の魚は何でしょう。
マゴチのように見えますが、瞳の形が違うように思えます。ハゼ科の魚か…SNSでは「トラギスかも」という意見をいただきました。クラカケトラギスっぽい模様にも見えます。
分かる方がいらっしゃいましたら、教えてください。
いろいろな料理で釣ったマゴチを楽しもう
マゴチについては<ORETSURI平田さんがマゴチ料理大全の記事で多種多様なレシピ紹介しています。
「夏フグ」とも呼ばれるマゴチ。血抜きしてもしなくても美味しいので、いろいろな味わいを楽しんでいきましょう!
寄稿者
jomo
東京湾・相模湾の船釣りがメイン。小物釣りなら何でもウェルカム。江戸前物としてカテゴライズされる、マダコ、マゴチ、スミイカあたりの船が好き。
お世話になった船宿
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▼マゴチの皮をすく際は刺身包丁や「オピネルのフィレナイフ」がオススメ。特にフィレナイフはしなるため、なれていなくても半円形のサクから、きれいに皮をすけます。