リールのハンドルは、どのメーカーでも「ストッパー機能」があって一方行にしか巻けないわけです。が、なんらかの形で部品が劣化すると逆転してしまい釣りにならないこともあります。今回はシマノのバルケッタが逆転しはじめたので、修理までの顛末についてお話します。
両軸リールの逆転は「ワンウェイクラッチ」に問題がある
シマノバルケッタ300HGのパーツリスト⓭が「ワンウェイクラッチ」
両軸リールに限ったことではないんですが、リールの逆転防止機能は「ワンウェイクラッチ」という部品が担っています。
或る日、愛機のシマノ「バルケッタ300HG」で船釣りをしていたところ、この逆転防止のワンウェイクラッチが滑る現象がではじめました。
とはいえ、いつも滑るわけではないからと使い続けていたら、別の釣行でハンドルが常時逆転してしまい指でスプールを押さえながら釣りを継続したことがありました。
▼船釣りのリールが逆転するとタナが維持できなくて岸釣りよりつらい。
この逆転は、わたしの両軸リールでは「スコーピオン1500」に続く現象。
スコーピオンの場合は、分解してワンウェイクラッチ部分を取り出して、パーツクリーナーで錆と別のパーツから滲んできたと思われるオイルを取り除いてみたら直りました。
今回もまずはこのパーツクリーナーによるメンテをやってみることに。
シマノ「バルケッタ」のギアメンテをしてみたけども
こちらがバルケッタ300HG。
バルケッタプレミアムがでるまで、シマノがほこるカウンター付き小型両軸リールのフラッグシップモデルでした。
日常的に、船の移動時や洗うときにはドラグ部分を締めて海水が入りにくいようにし、保管する際はドラグワッシャーのつぶれ防止でドラグをゆるめていました。
内部はどうなっているんだろう。
まずはカバーをプラスドライバではずし、六角ナットをめがねレンチで外すと、ハンドルがとれます。
かなり小さいバネとピンの部品があるんですが、これはドラグ音を鳴らすためのパーツ。これが慎重に外さないと、バネごとどっかに飛んでいって紛失するので注意。
なくても音がでなくなるだけなのでよいんですが、やっぱりドラグ調整音はほしいですよね。
この時点でわかるのは、ワンウェイクラッチまわりが赤錆にやられてるなーということ。ドラグ部分をしめているつもりでも、波しぶきだったりでいつのまにか海水が染みこみ、塩分が水気をひきよせ続けて錆びるんでしょうね。
さらに、ギア部分を取り出してみる。
すると劣化したグリスなどがありました。
メインギアの手前にあるワンウェイクラッチ部分は赤錆と劣化したオイルの侵入があったようなので、全体的にパーツクリーナーで錆と油分を落として再度組み立て。
が、ワンウェイクラッチ自体が摩擦などで削れてしまったのかストッパー機能は完全に復活せず。
結局、近くの釣具店に持ち込みシマノにパーツの交換を依頼しました。
ワンウェイクラッチ部分だけの劣化であれば該当パーツを購入して入れ替えればよいだけなんですが、組み立ての不良からか、その他のハンドルのがたつきあたりも気になり、それをふくめて修理依頼をしたわけです。
メーカーへの修理依頼は、完了までだいたい2,3週間ぐらい。支払いは釣具店経由で事後精算です。当初想定されるパーツの交換以外になんらか修理がかかりそうな場合等は工賃等が変わるため、釣具店経由で確認があったりします。
今回は、とくに途中確認はなく修理完了。
シマノによる診断は、「ローラークラッチ破損による逆転スリップの為交換」とのこと。
部品代に加えて工賃がどうしても必要ですが、組み立てしたあとはハンドルもしっかりしていたので、結果的によかったなと。
メーカー修理の場合、送料等は特にかからず、部品代+工賃で対応してもらえます。
「ワンウェイクラッチ」不良は早めにメンテが必要劣化・破損・オイル侵入は部品交換しかないかも
こちらがワンウェイクラッチ部分を交換修理してもらったバルケッタ300HG。
交換前のワンウェイクラッチも返却されます。
このワンウェイクラッチ部分はベアリングで、金属球ではなく金属棒を複数個樹脂パーツに組み合わせて金属枠にはめ込むという工程が必要なんですが、これもコツが必要で、不器用な人がやると、飛びちり、ヘタこくと金属棒がなくなったりします。
メカ部分の修理やカスタマイズが好きな人以外は、メーカーに修理依頼というのがスマートなのかもしれません。
工賃も2,100円なんですが、実際自分でやると、ワンウェイクラッチ部分の組み立てで慣れるまで1時間以上かかります。
金属棒が飛び散って、床と同化してみえなくなったり、ドラグ音用の金属ピンとバネが飛び散るんですが、これを繰り返すと発狂します。これほんと。
ワンウェイクラッチ不良も、パーツクリーナーでよくなる場合もありながらも、そもそもの劣化というのもあるんですよね。だいたい、軽微の状態から復活することはなく、やがてフルに逆転するようになります。
どんなに丁寧にあつかってもいずれはなるので、もしなったら、早めに修理依頼しましょう。返却までかなり時間がかかるので、代替品のリールは用意しておきたいですね。
ちなみに、ワンウェイクラッチは半クラッチでリールをまいたりすると破損しやすくなります。心当たりがある人は要注意ですよ。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)
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▼パーツクリーナー等をつかったオーバーホールは自己責任で。オイルやグリスの粘度なども重要なので純正品が推奨です。