今回は干物愛と大アジの干物作りです。塩麹アレンジをしてみました。
むかしからアジの干物が好きだった
むかしからアジの干物が好きでした。特に身が厚いの。
おそらく大西洋さんのデカアジに、レモンをたっぷりしぼって脂をおさえつつ食べる。ああうまい。小さいときは「好きな魚はなに?」と聞かれて「アジ」と答えていたもんです。
それが大人になって、「寒のヒラメかな」とか贅沢になっていくわけですが、まーそれでもやっぱりアジは旨いイメージです。
特に瀬付きの黄アジは旨いんですが、刺身よりは干物のほうが好きだったりします。刺身よりは干物のほうがひと手間かけているという実感があったり、噛みしめた時の塩っ気と旨味がたまらないのです。
エル・オー・ブイ・イー。
LOVE。
干物、ラブ。
保存も効くし、炙って身をほぐしてゴハンにまぜておにぎりにしてもいいし、お茶漬けだってうまいし、夏場だったら冷や汁の原料にもできちゃう。すごいぞ干物。ヒューヒュー干物。
ってな具合に干物好きです。
そんな干物好きのわたしが、先日大き目の黄アジを釣ったわけですよ。35センチです。横浜界隈じゃ滅多にお目にかかれないサイズ。思わず、ドラグを緩めちゃったぐらいです。
今回はそんな黄アジの大アジに塩麹をきかせた干物をつくってみたのでその様子です。思わず読んだら、アジをつって自家製干物を作りたくなるはず。
じゃ、いっていってみましょう。
血抜きして保冷しておいた黄アジ
アジの干物の下処理は徹底的に血合いをとる
まず、アジの干物をつくるときに背開きか腹開きかの選択肢があるのですが、どっちでもよいと思います。好みで。
腹開きだと、「内臓とエラと血合いをとる工程」が大量処理する際に一括でできるかなと。
背開きの場合は、ひとつ一つ内臓とエラをとりつつ開くという作業になるので、時短派は腹開きが良いような気がします。あとは背開きは開く前に内臓をとるわけではなく、背を開いてから内臓を取り除くので、ミスると身に内臓の臭みがついたりするような気もしなくはないです。
ま、好みで。
わたしは基本腹開きで、たまに気まぐれで背開きにします。
釣りあげた翌日に下処理します。
体力がある人は当日に下処理をしたほうがよいです。
オパールのような魅惑の輝き。
みるからに旨そうな皮目だこと。身にハリがあるのがわかりますね。
アジも尺サイズをこえると、ゼイゴ部分がかなりしっかりしてきて、やいばのよろいっぽい。
うろこを落として。
腹を開く。
すると、内臓脂肪もしっかり。
同じ黄アジでも、内臓脂肪の多寡は差があるのが面白いところ。
開いた腹を親指でしごきつつ、流水で血合いと黒い腹膜を洗い流す。
歯ブラシをつかってもよいです。
肛門側の血合いは残るのであとでさらに清掃する
腹から開いていく。
包丁の先をつかって腹骨を切断して広げていくイメージ。魚の向きは逆のほうがやりやすいかも。
スパ。
さらに皮をのこして開く。
ぺったり。
このタイミングで逆さにして手の平で押す人もいるんですが、身がつぶれるので、丁寧にひらいたほうが良い気がします。ま、それも好みです。筋肉繊維がつぶれることによって、塩水が浸透しやすくなって漬け時間が短くなるというメリットはあるかも。
開いたあとに、残っていた肛門側の中骨に残っていた血合いや腹膜などの残りをさらに取り除いて開きは完了。
目ん玉があると、保存性は下がるのですが、今回は見栄えのために残しておくことに。眼玉をくりぬくと、アジゾンビ感が出てくるんですよね。スケルトンというかなんというか。ただし、保存性は向上するという。
「液体塩こうじブレンドつけ汁」に漬け込む
干物作りはシンプルにいえば、塩水があれば大丈夫なんです。
塩水をつくらなくても塩をふってもできますし。が、まんべんなく塩っ気をしみこませ脱水するには塩水仕立てがよいと思います。大量に干物をつくるときにも便利。
この魚の液体が染み出た塩水を保存して使いまわすと様々な菌類により発酵がおきてやがてクサヤ液になるんでしょうね。もともと伊豆諸島などのクサヤは、塩がもったいなかったから液を使いまわしたら出来上がったという副産物だったようです。
干物づくりで特徴を出すことがやりやすいのはこの漬け込み液あたりかなと思います。
- シンプル塩水(男はシンプル)
- 日本酒ブレンド塩水(日本酒で臭みを減らして旨みを足す)
- 燻味塩水(燻製の風味を足す)
- ナンプラー水(ナンプラーで臭みを減らして旨みを足す)
- 緑茶カテキンブレンド(緑茶で臭みを減らす)
- 塩麹ブレンド(塩麹で臭みを減らして旨みを足す)
などなど。
今回は、塩水+塩麹+安日本酒のブレンドでやってみることに。
一子相伝の秘密の配合です。
・・・
海水程度の塩水に日本酒をどばどば。
そこに液体塩麹をどばどば。
要はテキトーです。
塩麹は漬け込む材料の10%程度をいれるというのが基本なので、だいたいそのあたりを意識しておけばよいんだと思います。
そんでもって漬け込む。
漬けこむ。
ひっくり返して、漬け.com
身が厚いので、1時間程度つけこみました。
水温と身の厚み、漬け液の濃度などによっても異なりますが、塩麹のたんぱく分解力を期待するのであればもうすこし塩分濃度を下げつつ、長時間つけこんでみてもよいかもしれません。塩辛くならない程度に。もしくは塩っ辛くなる前提で。
できあがり。
裏返すとこのとおり。
みるからにうまそうな仕上がり。
表面が適度に乾くまで干す
あとは干しましょう。
干物天日干しは、秋・冬がベストです。湿度や気温の関係で身が傷んだり乾かなかったりするので。以前長雨のときに干したらカビたことがあったりします。
いかに、塩っ気が効いていてもカビをなめてはいけない。そう思い知らされました。
夏に血が残った青魚を干すとヒスタミンが増えて、中毒になるというのもあるかもしれないんですが、今回は釣ってすぐに血抜きして、きちんと保冷しつつ内臓と血合いとエラも徹底的にぬいたので大丈夫だろうと。
ということで日影で干しました。
1日ぐらいは干したかな。
とりこんだのがこちら。
保存性をかんがえなければ、この表面が半ばレア感のある程度がベストです。炙ったときに固すぎない。
胸鰭の向きが一緒
表面はこの通り。
目玉を抜いてるとちょっと不気味ですが、目玉があると様になりますね。
干物は両火で炙れるものが便利。トースターなどなど
続いて炙り工程です。
七輪で炭火で炙るというのが一番うまいんだと思うんですが、そう簡単に用意はできないので、今回はトースターを。ガスレンジに付属したグリルなんですが、我が家の場合は火が上のみなんですね。だからひっくり返す必要があるんですが、あれで身が崩れるという。
その点、トースターは両火なのでひっくり返す必要がないという便利さ。魚のニオイがつくからいやだという人もいるかもしれませんが、まーそれはそれで。
アルミホイルを敷いて、脂が落ちないようにし、じりじり炙る。
脂が落ちるて焦げるとニオイがトースターにつくのです。
炙り完了。
このトースター、ずっと火がついているわけではなく、温度によって火が消えたりついたりする仕様なので、だいたい15分以上は加熱していたような気がします。
両火であれば、表面に脂がジュクジュクと滲んでくるぐらいがちょうどいいと思います。やり過ぎるとパサパサになるので。
盛り付ける。
今回は、酢橘三連星を添えました。
夏場はスダチも安くていいですね。レモンより高いけど。
UPで見せたろか?
こちらです。
さらに乗せる時にやや身割れしたものの、ジューシーな仕上がり。
液体塩麹の賜物か、表面の焦げ具合がいつもと異なる気がします。
まず、そのまま腹の身を食べてみる。
・・・
うんまい。
文句なしにうまい。
褒美を差し上げたいぐらいにうまい。
アミノ酸とアジ脂の「円陣」に塩分が「鶴翼の陣」を組みつつ対峙、それを猪口才な!ふははは。っと、まとめえすくい上げて食べてしまう。噛みしめると唾液が自然とジュワーっとあふれ出る。
これが漁夫の利か。
おい、こいつは何をいっているんだ。
あ、はい。要は、うまみがすごいということですよ。
続いて、酢橘を絞ってみる。
半身のスダチの断面を上にしてゆっくり果汁を絞ると、その汁が皮目をたどって香味をはらんで分厚い黄アジの身にたれていきます。
ビブーティ。
ああ、この身の厚さ。
スダチの酸味と香りが加わり、国士無双。
まさに黄アジの大アジは一騎当千ということがわかりました。
実家の母和子に食べてもらいたい。
一般的なアジの干物よりかなりボリュームがあったわけですが、神速で白飯ともども掻き込んでフィニッシュ。
干物、それは愛。
満腹、それは幸せ。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)
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▼ハナマルキの液体塩麹はかなり便利。つぶつぶの塩麹とはことなる透明な液体。焦げなどを考えると干物にはこちらがよいかもですね。漬物づくりにも最適。きゅうりとナスの塩麹浅漬けがめちゃくちゃ旨い。