今回は「黄アジ」と呼ばれる浅場に居着くマアジを極旨保存食にする方法を紹介する。
黄アジのもう一つの食べ方「鯵辛(アジカラ)」
黄アジは周年うまい。
初夏のマアジは産卵に備えて栄養を蓄えるため特に脂がのって旨い。
しかも黄アジはありがたいことに今のところ釣り初心者でもたくさん釣ることができる。この黄アジを使った料理はどれも旨いが、中長期的に食べる保存方法では以下のパターンがある。
- ひもの(&冷凍)
- 酢締め
- フィレにして冷凍
今回は中長期的に黄アジのうまさを味わう方法として、塩麹をつかった塩辛を紹介する。
釣った黄アジの下処理
4月につった黄アジ。さらに体高がある個体もいて脂乗りは最高
釣り上げた黄アジは延髄切りなどで速殺し、血抜きしてから沖上がり後に棒身にしてしっかり保冷して持ち帰った。
持ち帰り後は、水道水で全体を洗い流し、水分をしっかり拭ってから冷蔵庫で熟成。
今回は釣行日をいれて4日目の黄アジを使っている。
持ち帰った黄アジは3枚におろすして皮をひく。
血合い骨は包丁ですいてもよいが、できあがりを細長い身に仕上げるために、今回は骨抜きプライヤーで仕上げておく。
骨抜きプライヤー「室本鉄工 メリー FBP30 骨抜きプライヤー」は素人でも簡単に骨抜きができるので刺身好きは必携。
鯵辛(黄アジの塩辛)の仕上げ
骨を抜いたサクがこちら。
サクの両面に軽く塩をふり、1時間ほど冷蔵庫にいれて水分が浮き出るのを待つ。
やがて身からにじみ出てきた水分をキッチンペーパーで吸い取る。
水分がぬけたことにより、身がしっかりしている状態。
この工程で雑味が抜ける。
さらに保存性を高める場合は、振り塩を増やし水抜き時間を長くするとよい。
細めにサクを切り分ける。細さは好みだが、あまり細くするよりは市販のイカの塩辛程度の太さに仕上げたほうが出来上がり時の食感がいい。
こちらはサクを4枚分重ねた状態。
水分がぬけて、もっちり感がでている。
塩麹は市販品だと品質も安定しているが、自作もおもしろい
つづいて漬け材料を混ぜよう。
<鯵辛の材料>
- 塩麹:アジの重量20%程度。といっても、だいたいでOK。全体に行きわたるようにしたい
- 塩:サク4枚であれば小さじ半杯。塩分濃度をさらに濃くすると保存性も高まる
- 柚子:皮の黄色いところだけむいて刻んでおく
※塩の追加はカビなどを防ぎ保存性を高めるための工程なので、1週間以内に完食する場合は不要
※塩麹自体が旨味成分の宝庫なので化学調味料などは一切不要
あとは、黄アジの切り身を漬け材料にいれて、身がつぶれないように軽く和えていく。
この通り、全体に漬け材料が行きわたった。
あとはジップロックにいれて空気をぬいて密閉しよう。サク4枚程度(黄アジ中2尾)であればSサイズでOK。
あとは、1日~4日程度冷蔵庫で寝かせる。
日を追うごとに黄アジのたんぱく質が分解されアミノ酸に代わっていく。
「鯵辛」できあがり。
見た目もこなれて、全体がねっとりとしてみるからに旨そうだ。
白飯の上にのっけて食べると、、、
うまい!
イカの塩辛と異なり口に残るものはなく、白飯ともども口の中でとろけていくという仕上がり。
黄アジの脂があるからこその旨み。
日本酒の肴にもあうはず。
余った「鯵辛」は熱湯消毒した瓶などに保存すれば、2、3週間程度は問題なく食べられる。
これで黄アジを釣り上げた後の料理の幅が広がり、より長い時間軸でアジを楽しむことができる。
さらに塩分濃度を高め、下処理時の水分を減らすことにより、さらに長期的に食べられるとは思うが、自己責任でどうぞ。
初夏以降の海水温が高い季節は、腸炎ビブリオも繁殖しやすい。
アジの体表や腹腔部は色あせを恐れず水道水でしっかり洗って調理することをオススメする。
この「鯵辛」は家庭で簡単に作れるものの、その味わいは料亭レベルで、これからもっと流行ればよいと思う。
ぜひ、まわりの釣り人に教えてあげてください。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)
<追記:鯵辛の活用法>
- 冷やし茶漬け(夏場はコレ)
- 冷や汁
- お茶漬け
- 冷や汁(糸づくりにしてあるとかきこみやすいです)
▼好みですが、血合いをすきとってから仕込むことにより、クセ(臭み)を軽減できます。
【アジの塩辛(鯵辛) 仕立ての工夫について】
「実はアジを塩辛(鯵辛)にすると旨い」というのはここ数年で浸透してきている気がしてます。
一度レシピ通りにつくってみれば、生魚が嫌いでない限り、9割方の人が「なにこれめちゃくちゃ旨いやんけ!」と思うはずです。すごいぞ鯵辛。… pic.twitter.com/XUPKmnRHlY
— ひらっさん (@tsuyoshi_hirata) August 20, 2023
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▼塩麹は液体のものより、粒状のものがおすすめです。市販ではマルコメの生塩糀が手に入りやすく美味。