『アニサキス』というキーワードは、釣り人や一般消費者向けの話題として良く知られるようになってきた。
中には、よくわからないまま怖いと叫んでいる人もいる。
アニキサスは、よく言われるサバ以外にも多くの魚介類に寄生している。
メディアが話題の表面をさらって拡散し、それがSNSなどでシェアされることにより、魚介類の消費減につながるのではないかという声もある。
サバの肝臓によくみられるアニサキス
正露丸がアニサキスに効くと話題になった
2018年7月7日にみなと新聞で公開された記事が、連携しているYahoo!ニュースなどで取り上げられSNSを中心に広まった。
正露丸の製造販売元である大幸薬品(大阪府、柴田高社長)は2014年、アニサキスの活動を抑える効果があるとし、正露丸の主成分・木クレオソートの活用に関する特許を取得した。
出典:https://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/e-minato/articles/81892
一方、これは2014年の話。
これにより、大幸薬品の株価がYahoo!ニュース公開後に、一時期ではあるが、やや上がった感はある。
出典:Google
この通り、一時的要素として影響があった模様。
正露丸はアニサキスの何に効果があるのか?
では、正露丸はアニサキスによる症状に対してどのような効果があるのだろうか。
今回、正露丸の効能が再度話題になった(一部デマも含む)こともあり、大幸薬品がYouTubeに、検証動画をUPしている。
動画をみると、生理食塩水に正露丸の主成分である木クレオソート溶液を入れることにより、アニサキスが確かに活動を停止することがわかる。
動画の説明欄には以下のような記載がある。
弊社「正露丸」は胃アニサキスへの症状を緩和したOTC薬として症例報告があります。また実験環境下で実施した研究報告では、「正露丸」の懸濁液を添加後数分で生きたアニサキスの虫体の運動の停止が確認された報告があります。
(ご留意点)大幸薬品の「正露丸」の【効能】は、「軟便、下痢、食あたり、水あたり、はき下し、くだり腹、消化不良による下痢、むし歯痛」です。特定の疾患に対する効能はございません。ご使用の際には、用法・用量(成人の場合3粒)通りに服用ください。
出典:YouTube
アニサキス症のほとんどの症状は胃壁にアニサキスが潜入しようとする急性胃アニサキス症がほとんど(参考:国立感染症研究所)で、これに対しては症状緩和の効果があるのかもしれない。
一時的に症状を緩和することができたあとは、速やかに通院し医師の判断をもとに処置をうけることをおすすめする。
アニサキスにはアレルギーによるショック症状という危険もある。(参考:国立感染症研究所)
正露丸については、発がん性や腸内細菌を死滅させるという説についての言及もされることがあるが、これについては大幸薬品が解説しているので確認しておくとよいだろう。
正露丸・セイロガン糖衣Aの主成分木クレオソートの誤解(大幸薬品)
アニサキス被害にあわないためにできること
基本的な対処法
下処理時サバから摘出したアニサキス
魚食の生食文化は日本の伝統でもある。
極度にアニサキスを恐れて魚を食べないというような状態になるよりは、アニサキスをより身近に考えて、対処していくことがよい気がする。
今のところ対処法は以下の通り。
- 釣った魚、とくにサバなどアニサキスが目立つ種類は速やかに内臓を抜いて持ち帰る
- 内臓を生食しない
- 下処理時にサク部分を目視確認して、アニサキス幼虫を除去してから刺身等の生食をする
- 冷凍処理する (-20℃・24時間以上)
- 加熱調理する
アレルギーの場合
アニサキス自体にアレルギー反応を持つ人もいるようで、この場合、冷凍・加熱処理された個体を摂取しても発症する事例もある。(参考:内閣府食品安全委員会)
例えばサバのような青魚の場合は、アニサキス以外にもヒスタミン中毒の可能性もある。
なんらか体調の変調を感じた場合は、自己療法だけでなく、速やかに医師の判断を受けることをおすすめする。
正露丸は無敵ではない。
アイキャッチ画像出典:YouTube