どうも平田です。
釣り人がよく言う口癖に「黄アジはスーパーで売っている黒アジより断然旨い」っていうのがありますね。
ベテランの釣り師であれば、これまでに25,000回ぐらいは釣りをしない人や釣り初心者に解説したことがあるんじゃないでしょうか。
また俺この話しているなって。
でもね、その気持ち、よくわかりますよ。
言いたくなるよね。
ところで。
以前、黄アジと黒アジの違いについての記事を書いたことがあります。
要約すると、「黄アジは黒アジより脂がのっていて身質が細やかで旨い」ということ。
ただ、気になるのは、同タイミングで黄アジと黒アジを食べ比べたことがないなってことなんです。
横浜近辺の黄アジと、猿島沖の黒アジ(40cmぐらい)を別日に食べたときは、後者が筋張って感じられなんだかイナダみたいだなーと感じた経験しかありません。
今回は、ちょうど同じ時期に釣った生食可能な黄アジと黒アジが揃ったので食べ比べしてみます。
読んだ感想をご家族やご近所のみなさんに共有いただければ幸いです。
釣ったばかりの黄アジと黒アジの特徴を比較していく
まず、釣ってきた黄アジと黒アジを比較してみましょう。
どんな個体を黄アジ・黒アジと区別するかは人によって誤差はあります。
共通認識なのは以下の通りかなと。
- 黒アジ、黄アジともに「マアジ」を指す。マルアジ(青アジ)・メアジとマアジの比較ではない
- 黒アジ:沖合を回遊。黒ずんでいて細長い。より大型の個体が多い
- 黄アジ:沿岸部の瀬(根)まわりに群れる。尾が黄色。背がライトモスグリーン。小型から中型が多い。30㎝超の個体は少ない。35㎝超は稀
あとは、豆知識なんですが、黄アジでも釣りあげた後に延髄切りや血抜きをすると、ショックにより色が黒っぽくなる傾向にあります。それと黄アジの特徴的な尾の黄色は時間がたつと退色します。
ということで、今回の食材はこちら。
34㎝の黄アジ。このサイズの黄アジはめったに釣れない
横須賀大津沖の黄アジ。良型のオス。白子がたっぷり入っていました。
黄アジのなかでも一番大きい個体をチョイス。
鴨居産黒アジ
続いて、横須賀鴨居沖の漁礁界隈での黒アジ。38㎝程度のオス。こちらも白子がたっぷり。
写真で撮影すると晴天か曇天かによって見映え・色合いも変わってくるのですが、共通するところは鴨居産の黒アジのほうが細長く、背びれの黒味模様の入り方の違いあたりかなと。
鴨居で釣りあげた4尾はすべて黒アジ。全部白子持ちのオス。個体ごとに太さの差あり
頭部をみると鴨居産の黒アジのほうが、頭が大きく感じられます。これは体高がないアジの特徴でもあるんです。
それに、釣りあげたばかりでも顔部分の黒味が目立ちますね。
黄アジでも、血抜きなどをすると目の下の隈マークが目立ってくるのですが、釣りあげたばかりの比較なのでわかりやすいかと。
棒身にした「黄アジ」と「黒アジ」を比較してみる
続いて、下処理済みの黄アジと黒アジを比較していきます。
黄アジは大津の手漕ぎボートで7月16日に釣りあげたもの。釣りあげて血抜きせず氷締めにし、保冷十分のまま当日中に下処理。
黒アジは鴨居の釣り船で7月18日に釣りあげた個体。こちらも黄アジと全く変わらない下処理をしています。
これを刺身で食べたのは7月21日。
つまり今回は、いろいろと時差があるんですね。これはあらかじめご理解いただければと。
はい、どっちが黄アジで、どっちが黒アジかわかりますか?
時間もたったので、黄アジも色あせして、両者同じような色合いになっていますが、上が黄アジで下が黒アジです。
サイズが34cmと38㎝の比較というのもあるのですが、明らかに下の黒アジが細いですね。
こちらは断面。
大津で釣った黄アジも5日ほどたっているのですが、ニオイもなく、断面の黄変なども見られません。血抜きをせず氷締めだったのですが、血抜きをすませればさらに長く生食も可能だと思います。
まずは黒アジからおろしていきます。
細長め。
マルアジ(青アジ)の大き目のはもっと細い傾向があるんですが、似たような見た目です。
黒アジの身はこの通り。
下側の腹部分に残っている白い物体は白子の残骸です。はらわたを抜いて血合い処理をする際に、白子の残骸は骨の隙間に隠れてとれなかったりするんですよね。
続いて、大津の黄アジをおろしていきます。
体高があって、みるからに旨そうです。
やや血合いが黒アジより目立っていないですね。
では、3枚におろした黄アジと黒アジを比較していきましょう。
どん!
左が黄アジ。
右が黒アジです。
黄アジのほうがあきらかに背と血合い骨周りの違いが薄いですね。両者ともに釣りあげるときに出血はしていないので、フェアな比較です。
手前が黄アジ。奥が黒アジ。
こちらはざっくり刺身にしたもの。
皿の大きさにあっていないですが、奥が黒アジ、手前が黄アジです。
こちらは左手が黄アジ、右手が黒アジです。
別の角度から。
黄アジの刺身を、ズーム。
黒アジの刺身を、ズーム。
黄アジと黒アジの刺身の味。その違いは
さて、すごく引っ張りましたが、アジ比べの結果はどうだったのか。
結論から話せと。
すこしおちついてください。
まず、わたしには大方の釣り師同様「黄アジのほうが旨い」という「黄アジバイアス」があるので、妻にアジの種類を伏せた状態で食べ比べてもらいました。
・・・
わたし「これどっちが旨いか食べてみて(たぶん黄アジっていうだろうな)」
妻:「うーんと、どっちもほぼ変わらないけど、こっちのほうが旨味があるようなないような」
わたし「ほーん」
・・・
では妻はどちらのアジをより旨味があると言ったのか。
CMの後、挑戦者の杜撰な事業計画に虎たちが一斉に噛みつく!!
っていうのは、「マネーの虎」でしたね。
はい、わかってます。アジ比べの結果の話ですね。
では、言いますよ。
妻が、曖昧ながら旨いといったのは・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
鴨居の黒アジ。
あ、そっちかー。
でも、ちょっと待てよ。
舌に関しては自信がある、アジ比べマイスター特級ホルダーのわたしが食べてみないことには、みなさんにはなにも言えません。
決して妻の舌を否定するわけじゃないんです。
が、やっぱり、自分で確かめないことにはなんにも言えないんです。まとめサイトじゃないんでね。
どれどれ、ペロリ。
ほーん。
どれどれ、ペロリ。
ほーん。
あれ?差がわからない件について。
というぐらい、旨味部分の官能検査では差がほとんどありませんでした。
が、黄アジのほうが触感がモチっとしていたなと。それはスルーできなかった。
これは寝かした期間の差もあるとは思うのですが、鴨居の黒アジは歯がすっと入るのに対して、大津の黄アジはもっちりしている感があり。
塩で水分を抜くなどはやっていないんですが、寝かせているときに水分がやや抜けたということもあるのかもしれません。
黒アジの血合い部分も嫌な味ではなかったんですよね。さっぱりしていたなと。
でも、勝負ごとって、この勝負○○の勝ち!
黄アジが最高に旨い!ジーク黄アジ!みたいにならないとつまらないじゃないですか。
かなしいかな人は勝敗をのぞむんですよ。
それはローマのコロッセオで剣闘士が戦っていた時代から同じなんです。
紅白歌合戦とかも、勝負してもなんにもならないのに、一応、今年度は白組の勝利!やった!白組万歳!みたいにみんなで喜ぶじゃないですか。一応。
世の中はそうやって勝負によって出来上がってきているんです。
ですが、ここで適当に「黄アジが黒アジより旨かった件について」とか書くなんてことは、東証一部上場・正直業界の風雲児と呼ばれるわたしにはできないんです。
なので、やっぱりここはおなじぐらいに旨かったという回答でゆるしてください。別にあなたの許可はいりませんがね。
続いて、黄アジと黒アジをぶつ切りにして仲良く塩タタキにしてみました。
ぶつ切りして薬味と和えてしまえば、もうどっちが黄アジだか黒アジだかわかりません。
何がいいたいか。
黄アジ派も黒アジ派もみんな仲良くということなんです。
日本もそうです。
右派、左派とありますが、工作員じゃなければ国をよくしたいという気持ちは一緒。
みんな現実的に世界をよくして行ける方法を考えていこうよってことなんです。
まとめ
今回は、大津で釣った黄アジと、鴨居で釣った黒アジを食べ比べてみました。
結果は両方旨い。
それに加えて、黄アジのほうがモチっとしていたかな、というすんごくざっくりなコメントしか出てきませんでした。
もともとわたしのなかでは黄アジがぶっちぎりで1等前後賞という予想はあったんです。
なぜなら、そのむかし、横浜沖の黄アジ(20㎝程度)と横須賀猿島沖の黒アジ(40cm程度)を食べたときに、ぜんぜん味が違うなと思ったので。これも別日だったり、シーズンも異なっていたわけですが。
今回のアジ比べなんですが、以下のようなことが言えそうです。
- 黄アジは34cmで白子持ちということもあり、脂肪が少なく、より黒アジに近い個体だった
- 黄アジを冷蔵庫で寝かせる期間が長く、味がぼけたのではないか
もし以下のような条件であればまた話は変わってきそうです
- 20~25㎝ぐらいの黄アジと黒アジを比較する(サイズの話になってしまうが、それはそれで)
- 処理方法だけでなく、釣ってから食べるタイミングを同じにする(これ海域が異なっていたりするんで難しい)
まー、黄アジも大きくなると、黒アジと同じような味になるんでしょうね。
そういうことなのかなと。
いずれにせよ、黄アジ派も黒アジ派も、ライトタックル派もノーマルタックル派も、無駄に喧嘩しないで、みんな仲良くやっていただければと思います。
みんなちがって、みんないい。
わたしからは以上です。
平田(@tsuyoshi_hirata)
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