釣りの対象として一般的な「マアジ」には、「黄アジ型」と「黒アジ型」の2種類がいます。
今回は、マアジの種類の見分け方と特徴について解説します。
マアジの基本情報
- 生息地:日本全国の内湾や沿岸部。浅場から水深200m程度まで生息
- 名前の由来:味がよいことからついたという説がある
- 愛称:アジ
- 食性:動物性プランクトン類、ゴカイ類、小魚
- 釣り方:餌釣り=サビキ、吹き流し。ルアー:ワーム・メタルジグ・プラグ(総じて「アジング」と呼ばれる)
マアジには、沿岸部の根(瀬)周りに居つく「黄アジ」という個体群と、沖合を回遊し続ける「黒アジ」がいます。
姿形は異なりますが、分類上は同じマアジ。
それぞれ、住む場所・移動特性・餌によって食味が異なります。
黄アジの特徴
東京湾横浜沖の黄アジ。背の色は浅場の藻場などにカモフラージュするためともいわれる
<黄アジの特徴>
黒アジと比較して以下の通り。
- 生息地が内湾の浅場で、漁礁や瀬・高根の上に群れる
- 小型のサイズが多い
- 体高があるものが多い
- 背が緑と茶色が混ざったような色合い。光の加減で金色に見える個体もいる。尾が黄色
- 開いてみると内臓脂肪があることが多い
- 身質が滑らかで旨味が強い
- 価格が高い
黄アジは、金アジ・黄金アジ・根(瀬)付きアジとも呼ばれます。
日本列島の沖合を南北に回遊して餌をもとめる黒アジのうち、一部が餌が豊富な浅場に居つき、黄アジ型になるとされます。
餌が多いという理由から、海底が隆起した漁礁や瀬・高根の上に群れる特徴があり、船やボート釣りではこうした場所を重点的に狙います。
朝夕のまずめ時や夜間には、より浅場の港内などにも回遊し、常夜灯に集まるアミや小魚など食べる傾向にあり、岸釣りのチャンスタイムです。
黒アジと比較して漁獲量は少なく、釣りによって狙われることがほとんど。そのためスーパー等に流通することはほとんどなく、釣り人自慢の魚の一つです。
黄アジはどれも体高があり、黄アジは黒アジと比較して、食味が優れていることがほとんどで、30㎝くらいまでのサイズが美味。
脂ノリがよい個体が多く、日本各地でブランド化が進んでいます。東京湾では横浜・横須賀猿島周辺・走水・金谷周辺の味が有名で、金アジの名称もよくつかわれます。走水海域では、プラチナアジと呼ばれることも。
釣り人あるあるですが、誰もがお国自慢ならぬ、アジ自慢をしがちです。
自分が釣りをしている場所のアジが一番としがちなのですが、東京湾産は、ほかの地域の釣り人も唸るアジとされます。
筆者もよく釣りをする東京湾産の黄アジは、隣接する相模湾や外房をはじめ、ほかの地域より美味と感じます。
これは海が栄養過多ぎみで、プランクトンが多く、遊漁船による撒き餌が十二分に行われ、肥育されているからです。
黄アジは釣らないと手に入りにくい釣り人特権の旨い魚
黄アジは通年干物にしても絶品ですが、脂が多いので冷蔵庫焼け(脂焼け)しやすく、長期間の保存には向いていません。
初夏の黄アジは室温で脂がにじみでる
黒アジの特徴
東京湾猿島沖の深場(50m)の黒アジ。タチウオ狙いのサバの切り身で釣れた
<黒アジの特徴>
黄アジと比較して以下の通り。
- 生息地が外洋に面したエリアや深場であることが多い
- 大型のサイズが多い
- 細長く頭が大きくみえる
- 背をはじめ全体が黒い
- 口の中と鰓回りが黒い
- 開いてみると内臓脂肪が少なく、筋肉質
- 身質が粗くうまみが少ない
- 価格が安め
黒アジは、背・口の中・鰓回りが黒いため「背黒」「のどぐろ」とも呼ばれます。
黄アジよりは大型の個体が多く、40㎝以上が釣れることもしばしば。
一方、沖合を泳ぎ続けているという点や餌の種類からか脂肪分が少なく、肉質が粗く、うまみが少ないのが特徴。
大型のサイズはサバのように引き味もよいので、釣るのは楽しいものの、食べるという点で考えると多くの場合黄アジより劣ります。
沖合で旋網(まきあみ)をつかって大量に漁獲され、スーパー等で並ぶアジはほとんどが黒アジ。
東京湾では、横浜沖ではほとんど釣れませんが、猿島から走水エリアまでの50~100mの水深でしばしば黄アジに交じって釣れることがあります。
魚食性も高いのか、同エリアでタチウオの餌釣りをしていると、サバやコノシロの短冊で40㎝を超える大型の黒アジが釣れます。
相模湾のビシアジでも釣れることが多いのが黒アジです。
まとめ
今回は、海釣りをしはじめると気になる「マアジ」の種類について解説しました。
DNAによる分類上、「黄アジ型」と「黒アジ型」の2種類は同じマアジとされます。
沖合から沿岸に居つき始めていような、双方の中間の特徴をもっている個体もいることも。
興味があれば、双方を釣って比較してみるのも面白いかもしれません。
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