マルアジは、国民的大衆魚「マアジ」とよく似た魚。
群れにあたると比較的簡単に釣れます。船釣りでは本命扱いされず、それほど人気がないこともしばしば。
マアジと比べて食味が劣るとされますが、誤解も多く、食べ方やシーズンによってはマアジと同じように美味しく食べることができる魚です。
今回は、そんなマルアジについて解説します。
マルアジとは
相模湾で釣れたマルアジ
マルアジは、アジ科ムロアジ属の魚です。
ムロアジの仲間であるため、マアジの分布と比べると比較的南方に多いのが特徴ですが、黒潮の影響をうける相模湾や外房でも多く目にすることができます。
別名は「アオアジ」で、これは背が青く見えるから。「マルアジ」という名称の由来は、魚体の断面が〇系であるからです。
全長40cm程度まで成長しますが、大きくなってもマアジほど脂ノリは良くありません。
味の旬は、秋から冬にかけてと言われますが、夏場の産卵後以外は安定して美味しく食べられます。
こちらはアオムロ(クサヤモロ)@式根島。魚体はマルアジよりさらに細長い。
マルアジとマアジの見分け方は4つ
相模湾産マルアジ。背がやや青い。全体的に細長い
マルアジとマアジはよく似ている魚です。
マルアジを見分ける時は、マアジと比較して、以下の5点を確認するとよいでしょう。
- 尾びれのつけ根にある「小離鰭(しょうりき)」がある
- 魚体がより円形に近く細長い
- 背がやや青い
- ゼイゴのカーブがなだらか
- 目が赤い
このうち、誰でも一目瞭然なのが、小離鰭の有無です。
こちらはマルアジなのですが、尾びれのつけ根に小さな鰭がついていますね。これが小離鰭です。
東京湾産マアジ(黄アジ)。小離鰭はない
こちらはマアジ(黄アジ)。マルアジより体高があり、尾びれのつけ根に小離鰭がありません。
上がマアジ。下がマルアジで小離鰭がある
マアジとして売られていたマルアジ(下)。目が赤く、ゼイゴのカーブがなだらか
こちらが身を見比べてみた様子。
マルアジは血合いがマアジより多いのも特徴です。
こちらはマルアジのサク。やや血合いが目立ちますね。
こちらはマアジ(黄アジ)のサク。血合いが目立ちません。
マルアジの主な釣り方
相模湾の浅場では広範囲でマルアジが釣れる
岸釣りでは、かご釣りでサビキや吹き流し仕掛けで狙う他、ワームを中心としたアジングでも人気です。
船釣りでは、メインで狙う人は少ないですが、コマセ釣りの吹き流し仕掛けでよく釣れます。
マルアジとマアジの味の違い
冬の相模湾ライト五目釣りの釣果。このサイズのマルアジは泳がせ釣りの餌に最適
マルアジとマアジの味の違いについては、マアジが釣り物の黄アジである場合、脂ノリが圧倒的に異なります。
そのため、マアジと思ってマルアジを食べるとさっぱりして感じられることも。
また血合いが多いため、寝かせるとうっすらと酸味を感じます。
マルアジを美味しく食べる方法
棒身にして持ち帰るのがベスト
マアジと比較して血合いが多い魚のため、マアジより鮮度が劣化しやすい印象です。
そのため、血抜き処理と保冷をしっかりやると、さらに美味しく食べることができます。
岸釣りでも船釣りでも、マルアジを釣ったときは、エラをきって水汲みバケツで十分に放血させ、保冷はしっかりして持ち帰りましょう。
余裕がある場合、釣り場でマルアジの頭部と内臓と血合いを落とし、棒身にしたものをジップロックにいれ保冷しながら持ち帰るのもオススメ。身が緩むのを防ぐことができます。
最高に新鮮な状態でぷりぷりとした身を味わいたい場合はこの方法がベストです。
マルアジの身質にあった料理レシピ
マルアジの食味はマアジに劣るとされがちですが、鮮度や身質にあった料理にすることでマアジと遜色なく味わうことができます。
鮮度がよいものは刺身で食べても絶品です。
アジフライ
大型のマルアジのフライは1尾で満足できるボリューム
マルアジはアジフライに最適です。
脂が少ないマルアジの特徴をうまくカバーしつつおいしいフライに仕上がります。
ぜひ、刺身で食べられる鮮度のマルアジをフライにしてみてください。
干物(ひらき)
マルアジは干物にもよく合う魚です。漬け込みの際にナンプラーを入れることで、クサヤのように旨みを増すことができます。
マルアジの干物をつかった柚子胡椒ペペロンチーノ
干物にしたマルアジをほぐしてニンニクと唐辛子で香りを出したオイルでソテーしたあとに茹で上げたパスタを絡ませたもの。
シンプルな旨さ。
酢締め
比較的さっぱりとしたマルアジを、さっぱりしたまま食べるには酢締めがオススメです。
1週間程度は問題なく食べられます。
ユッケ
マルアジをごはんのおかずにする際にぜひやってほしいのがユッケです。
コチュジャンと焼き肉のたれとごま油によって白飯によく合うおかずになりますよ。
まとめ
今回は、マルアジについて解説してきました。
マアジと混同されがちですが、きちんと見分ける方法も理解いただけたと思います。
また食味がマアジと比較して劣っているとされがちですが、鮮度と身質に適した料理で食べてみましょう。
きっと考えが変わるはずです。