どうも平田(@tsuyoshi_hirata)です。
マアジとマルアジは別の魚ですが、同じ海域で混獲されるのと、大量に流通する魚なので、プロでも判断ミスがあったりします。
▼基本的な見分け方やマルアジの特徴
たぶん、意図的にやってわけではないと思うんですが、先日も魚屋でマアジとマルアジが並んで売られているのを目にしました。
この記事は魚屋を槍玉にあげたり、マルアジを貶める内容じゃないので、そこだけ認識して読んでください。
魚屋で売られていたマルアジとマアジを見分けてみよう
では、こちらをご覧ください。
両方、鳥取県境港産。アジがよく水揚げされるところです。
これ、どちらがマアジでどちらかマルアジかわかりますかね?
ちょっと考えてみてください。時間は1分です。さ、どうぞ。
・・・
・・・
・・・
はい、1分経ちました。
ORETSURIは釣り初心者、魚について詳しくなりたい料理好きな方、それと、もちのろんで女性陣の味方です。
みんなにわかりやすくするために、線をつけてみました。
マルアジとマアジを見分ける際に、わかりやすいのが尾びれの付け根の小離鰭(しょうりき)という部分。でも、今回、ラベルで隠れていているので判断がつきませんよね。
店頭で傾けてラベルのところをのぞいたら、下の個体のみに小離鰭がありました。
ということで、下側のアジがマルアジです。
他にも、下の個体のほうが目が赤いというのがあります。これは光のあたり加減というのもあるのですが、マアジとマルアジの違いです。実は、マルアジは目が赤いのです。
さらに、ゼイゴと呼ばれる側面の棘のカーブがマアジは急で、マルアジはなだらかです。
上の個体はマアジなんですが、胸鰭の端で側線がカーブしきっていますね。
一方、下のマルアジは胸鰭の端部分ではなく、すこし先でカーブが終わっています。
このようによく似ている魚なので、マルアジとマアジはよく間違われて販売されています。
食味では、夏場ならばマアジのほうが脂ノリがよく旨いんです。だから市場価格もマアジのほうが上です。
秋以降の冬場になるとマルアジも食味がよくなってきます。8月頃に釣るマルアジは抱卵していることがあり、マアジより産卵シーズンが遅いのでしょう。
この売り場では、マルアジとマアジが並んで売られていて、下側のマルアジのほうが大きいのでやや高値だったんですが、大きいアジがよいわね!ってな具合で買ったらマルアジなんですね。
肉と違って魚は種類が豊富なので、こういったときにノウハウが活きますね。
さて次。
マアジの中に一尾だけ混じっている「マルアジ」を探してみよう
実は、この中に、マルアジが1尾だけ混じっています。
どれかわかりますか。
ちょっと写真が細かいので、難易度が高いです。
どのぐらい難しいかというと、サイゼリヤの間違い探しぐらいです。
あんなん、子供が見つけられるはずない鬼畜だ。
いや、あれは全部の間違いを見つけられることを目的にしてないんです。料理が提供されるまでの時間の気をそらすのが目的なんだ。
それとSNSにアップされて、サイテーション的な意味があるんだよ。
って、そういうのはどうでもいいんですが、マルアジをちょっと探してみて下さい。
わかりました。一分だけ待ちますね。
正解は
・・・
・・・
・・・
これだ。
写真を反転させているんですが、元写真の中央付近にいるやや背の色の異なる個体の一方です。
光のあたり加減で背の色が変わるのでそのあたりは判断できないと思います。
ほかに小離鰭や目での判断もできないので、ゼイゴのカーブをみてみましょう。
ほらね、この通り。
わかりやすいですね。
もうこれぐらいわかりやすく説明できるんだから、予備校の人気教師になればよかったかもしれない。
上のアジはゼイゴのカーブが急で、胸鰭の端でカーブが終わっているのでマアジ。
下は、ゼイゴのカーブがゆるやかで、胸鰭の端からすこし離れたところでカーブが終わっていますね。なので、マルアジです。
お腹を割いてみたら、このマルアジだけ胃袋にコマセ以外のエサがあって、溶けかけたカタクチイワシが4尾ほどでてきました。あとは、8月下旬なのに抱卵していたんですね。マルアジだからなんでしょう。
その他のマアジには抱卵個体は一尾もいませんでした。マアジの産卵シーズンは梅雨から初夏あたりなんです。
マルアジ自体は、比較的南の魚なので、東京湾より相模湾のほうが多い気がします。
夏から秋にかけて、水温上昇の影響もあるのか潮流にのって来遊します。ただし、湾内に居つくというわけではなさそうで、群れは冬以降消えます。
相模湾で秋から冬にかけてライト五目で釣っているとかなりの確率で混じる魚という認識です。
覚えておこう。マルアジにはマルアジのよさがある
こういう話をすると、マルアジを「マアジの偽物」「マアジより劣等なもの」みたいに考えてしまうひとがいるんです。
そういうのをSNSでコメントされると反応に困ってしまうんですよね。
ORETSURIではそういうことを伝えたいんじゃないんです。
釣りに貴賤なく、魚に貴賤なし。
というのが原則なんです。
たとえば、「白身魚のフライ」。
この国では、この謎名称がよくつかわれますが、正体不明の魚を食べるんじゃなくて、しっかり種や特徴を認識して食べたほうがおいしいと思うんです。
それに、おもしろいんじゃないかな。
ORETSURIでは、こういうことを伝えたい。
「白身魚のフライ」よりは「真鱈のフライ」「スズキのフライ」「パンガシウスのフライ」というように、魚の顔がわかったほうがいいんじゃないかなと。
だからマルアジだって、脂信仰の現代では、値段はマアジに劣るかもしれない。
ただ、さっぱり食べたいならよいし、秋以降だとマルアジも旬なんで旨いんです。
みんなちがって、みんないい。
ということで、釣り人のみなさんにおきましては、魚でマアジに混じっているマルアジを見つけたら、したり顔で解説するのはいいんですが、どうかマルアジを貶めないでいただきたい。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)
関連アイテム
関連記事
▼基本的な見分け方やマルアジの特徴