ORETSURIをご覧のみなさま、こんにちは。
週末に船で東京湾や外房をうろつくサラリーマン・アングラーの「釣人割烹」です。
ペンネームからお分かりでしょうが、筆者は魚を釣るのと同じくらい、魚を料理して食べることが好きです。とはいっても、ORETSURIは魚料理の記事が充実しているので、なかなか割り込めません……いや、見つけましたよ。ほんの少しだけ割り込む余地を。笑
釣り人に嫌われている「エソ」という魚。
船や堤防での釣りでたまに釣れますが、本命で狙う人は、まずいないでしょう。
ORETSURIの流儀では「#貴殿でしたか」といって海へ戻すのでしょうが、たしかに何匹も釣れると「また貴殿か。もういい加減にしてください」と言いたくなる。
でもこの魚、実はめちゃくちゃ旨い。平田編集長が昨年11月に「オキエソの煮付け」の投稿をしていますが、実においしそうです。筆者は別のレシピを紹介しましょう。
それは薩摩揚げです。今回は、マエソを材料として利用します。
エソは不細工コンテストで入賞確実
エソは見た目という点では、なにしろ気味が悪い。と思う人も多いはず。「魚の不細工コンテスト」があれば上位入賞は確実かと思います。
顔つきは、まぎれもなく爬虫類系。じっさい、英名は、ずばりSnakefish(ヘビウオ)、もしくは Lizardfish(トカゲウオ)です。
身は細長くてヌメヌメし、釣り上げて手でつかむとヌメリが手に移ってなかなか落ちない。しかも、大きな口で歯が鋭く、ハリス(針を結ぶ釣糸)が傷みます。
さばくのもわずらわしい。ウロコは硬く密集し、はがすのに手間取る。三枚下ろしにしても小骨だらけ。魚はふつう体の中央を貫く中骨から横骨が左右に1列ずつ出ている。しかし、こいつは横骨が2列ずつ出ています。
下ろしたあとの毛抜きによる小骨抜き、筆者は目をつぶってもできるまでに習熟していますが、エソは小骨が多く、時間がかかり、神経をすり減らします。
ところが、自然の妙。醜い魚はおいしいのです。マゴチしかり。アンコウしかり。
このエソのすり身からつくる「薩摩揚げ」ときたら並大抵の旨さではありません。かまぼこなど練り物はタラが一般的ですが、エソを使ったものは知る人ぞ知る最高級品とされています。
過日、仲間たちとの内房への釣行でも、大きなエソが何本か釣れました。
仲間は旨いことが分かっていても、処理を考えて持ち帰りたがらない。しかし「釣人割烹」を称する筆者は、むざむざとエソを無駄にはできず、一手に引き受けたのであります。
これは2日間にわたるエソを原材料とした「最高級薩摩揚げ」への道のりです。
1日目、マエソをさばいて皮を引く
こちらがマエソ。ヌラヌラして気持ちわるいこと、この上ない。
まな板の上でウロコをはがそうとすると台所に飛び散ります。わが家の場合、そんなことをすればカミさんが怒り狂うので、大きなゴミ出し用のポリ袋に入れ、バターナイフで削ります。
ヌメリとウロコをとったら三枚下ろしにします。
エソが嫌なのは小骨が多いこと。2列で埋まっています。小骨は細くて柔らかく、のちに身をミキサーにかけるので取らなくてもよいのですが、最高級の「薩摩揚げ」を目指すのでピンセットであらかた抜いておきます。
中骨にも身がついているので、スプーンでこそげ落とします。なんともみみっちい作業でゲンナリしますが、なにしろ旨くて貴重な身。自然の恵みに対する深い感謝を胸に、断固やり抜きましょう。
下ろして骨を取った身から皮を引きます。3本さばいて取れた身は750g。釣行疲れもあり、1日目の作業は終わり。皮は割り箸に巻いて焼くと、旨い酒の肴になります。身の方は冷蔵庫でまる1日寝かせます。
2日目、エソをすりつぶして揚げる
冷蔵庫から取り出したエソの身をよく水洗いし、ザルに入れてしばらく放置します。
自身の重みで水とドリップがしたたり落ちます。その後、身をボウルに入れて、フードプロセッサーかミキサーにかけます。時間をかけて徹底的にすりつぶしましょう。
すりつぶした身に塩を適量加え、ゴボウのささがき1/2本分、ニンジンの千切り1/3本分、タマネギのみじん切り1/2個分などお好みの野菜を混ぜます。
しょうゆ、酒。片栗粉(いずれも適量)と卵2個を加え、ひたすら手でこねます。
こねたものをレンゲですくい、ひたひたの油で揚げます。
できあがり。
ホクホク熱いうちに口に入れると、ほっぺたが落ちますので、くれぐれもご注意を。それではまた!
※アイキャッチ画像はオキエソです。
寄稿者
釣人割烹
関連記事
関連アイテム
ORETSURIフィールドレポーターについて
- 日本全国のフィールドレポータ―をチェックしてみよう!
- ORETSURI フィールドレポーターの寄稿記事一覧はこちら!
- フィールドレポーターへの応募はこちら