いざ釣れるとがっかりされている魚の一つに「エソ」がいます。
不憫なことに、世間では「外道」と蔑まれているのですが、きちんと料理して食べたことがある人はだいたい「エソは旨い」といいます。
泳がせ釣りやタイラバで、しばしば釣れる良型エソを喜ぶことができれば、釣りの楽しみもまた広がっていくのではないでしょうか。
今回は「エソ」の美味しい食べ方と料理レシピを紹介します。
エソについて
獰猛そうな顔が或る意味可愛い
「エソ」と呼ばれる魚にも様々な種類がいます。
- マエソ
- ワニエソ
- オキエソ
- アカエソ
根周りに多いアカエソは別として、その多くが砂泥地や砂底に分布しています。
食性は口に入るものなら何でも食べる肉食性。
オキアミやイソメから、泳がせ釣りに使うイワシやアジ、メタルジグからタイラバまでと、なにをつかってもエソは反応してきます。
船釣りの場合は、釣り人から罵られることはあっても、リリースされることがほとんど。これは周りの眼もあるからだと思います。
一方、岸釣りの場合は、心無い釣り人から堤防や磯に放置されて干からびていたり。
このあたりは周囲の眼がないことも多いのと、可処分所得差による低モラル釣り人の出現率の差なのだと思っています。
釣った魚をどうするかは釣り人の自由なんですが、堤防などに無駄に投棄するの犯罪行為ですし、だれも得をしません。
エソが嫌われる理由どこにあるんでしょうか。
- 顔つきが獰猛
- 歯が鋭く仕掛けやリーダをダメにしてしまいがち
- ぬめりが強い
- 小骨が多いから食べにくいというイメージが浸透されている
エソを食べたことがない人に、「ソレ、旨いよ」というと、だいたい「え?まじで」というような反応が返ってきます。
おそらくエソを忌み嫌っている人は食べず嫌いで、「顔が気持ち悪く感じられ、小骨が多いから食べられない」=「まずい」という感覚があるんじゃないでしょうか。
<エソギャラリー>
オキエソ。砂地で釣れる
ワニエソ。エソのなかではもっとも大きくなる。60、70㎝の大型からは身肉がたっぷりとれる
アカエソ。根周りに多い
エソの下処理・食べ方のコツ
ここからはエソの食べ方や料理レシピを紹介していきます。
下処理
こちらはオキエソ。ぬめりが多く、砂地にいるので砂がついていることも。よく洗い流しておきましょう。
釣ったばかりなら、鱗は簡単に落ちます。冷蔵庫で乾燥すると鱗がとりづらくなるので注意。
内臓はすべて取り除いておきましょう。
このように血合い部分はきれいに洗い流しておきます。
下処理が完了しました。
水分が多い魚なので、冷蔵庫内で保存性を高める場合は、塩を高さ30㎝から全体にふっておきましょう。バットと一緒にキッチンペーパーを敷けば、脱水できます。
また、丸のまま料理すると食欲が減退してしまう家族もいるかもしれません。
その場合は、頭部分を落としておくのも一つです。
頭部は可食部がほぼないものの、出汁用にはつかえる
食べ方のコツ
- 骨がついたまま料理する(煮つけ、塩焼き)
- 骨ごとすり身にする(骨の太さによってぬく)
- 下処理したエソを包丁や手で押しつぶし、背骨と一緒に小骨をぬいて料理する
オススメのエソ料理レシピ
さつま揚げ
エソ料理の定番がさつま揚げです。
エソの骨を抜きつつ、フードプロセッサーでミンチにし、みりん・塩・卵白などと合わせすり身を油で揚げるだけ。
具材に玉ねぎ・インゲン・にんじん・ひじきなどを入れても美味
紅しょうがをいれたもの
トートマンプラー
写真はイシモチとコウイカのトートマンプラー
トートマンプラーはタイのさつま揚げです。
さつま揚げのすり身を作る際に以下の材料を入れるだけ。
- コブミカンの葉(バイマックルー・カフィアライム)
- コリアンダーパウダー
- すりおろした「カー」の汁(ガランガー・タイショウガ)
といってもハーブを集めるとが大変なので、レッドカレーペーストやトムヤムペーストを使うと、それっぽい味になります。
さつま揚げを揚げる際に、生のコブミカンの葉を一緒に揚げて同時に食べると実に美味。
トムヤムクン好きならハマる味です。
つけダレは以下の材料で。
- クラッシュピーナッツ
- ナンプラー
- スイートチリソース
- 酢
- レモンorライム汁
- ナンプラー
- コリアンダーパウダー
つみれ
アジのつみれ汁
すり身にしたエソを一口サイズにまとめ、さっとゆで上げれば「つみれ」になります。
- 葱みじんぎり
- しょうが
- 魚醤(ナンプラー、しょっつるなど)
を加えてすり身にすることで味わいが引き立つと覚えておきましょう。
つみれはゆで上げておいたものをジップロックにいれて冷凍しておけば、鍋や汁の具材として重宝します。
煮付け・甘辛煮
下処理をしたエソを甘辛く煮つけるのもおすすめ。基本的に骨ごと調理して、骨を避けながら食べる方法です。
炊き上げるときにシイタケや梅干しをいれると美味。
煮る時間を10分以内に抑えると、身がふっくらしています。
<10分煮>
- 下処理をしたエソに熱湯をかけて霜降り処理をする
- 合わせ調味料(エソの半分が浸るぐらい)をフライパンにいれ、エソを投入
- キッチンペーパーをかぶせて蓋をして強火
- 煮立ったら弱火から中火で合計10分煮る
こちらは煮汁をさらに甘辛くして煮詰めエソに絡めたもの。
所謂甘露煮程度の甘さがあるのですが、淡白なエソに合わせると白ごはんがススムみます。
ごまだし
味噌をいれて変化させるのも一つ。写真はクロダイ味噌
大分佐伯につたわる郷土料理「ごまだし」。
年間を通して多く漁獲されるエソを保存食にしたものです。
エソなどの魚、胡麻、醤油、みりん、砂糖を合わせた調味料なのですが、うどんに溶かして食べるとダシがでて美味。
市販もされていますが、自分で作る場合は以下の通り。
- 下処理したエソを焼く
- 焼いたエソの身をほぐして、骨をあらかた取り除く
- ほぐし身と調味料(ゴマ、しょうゆ、みりん、砂糖)と混ぜ合わせて完成
胡麻は市販のすりごまを使うと楽で、しょうゆを濃いめにつかうことで保存性が高まります。
また、しょうゆの代わりに味噌+昆布だし+カツオ出汁少々をつかうことで、味噌汁の元のように仕上げることができます。
エソ出汁
写真はマゴチ出汁
下処理をしたエソをぶつ切りにして、日本酒やみりんと合わせて炊きだすスープ。
沸騰させないで炊けば清湯になり、中火~強火で炊きだし、身をザルで濾しだすと白湯になります。
鍋の汁につかったり、ラーメンの具につかったりと、様々につかえます。
※魚はあまり長時間炊きだすと臭みが立つので注意しましょう。
まとめ
水分が多いエソも振り塩で脱水すれば1週間は問題な食べられる
今回は釣り人になにかと忌み嫌われているエソの美味しい食べ方について紹介しました。
釣れた魚をみたときに「気持ち悪い」というように感じるのは人それぞれの自由です。
一方、本命でないからといって、釣り場に投棄するような身勝手な行為は慎みたいもの。
いつもリリースしているエソですが、たまには持ちかえって食べてみるのも一つです。
思ったより美味しいと思いますよ。
平田(@tsuyoshi_hirata)
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