皆さんこんにちは。最近風邪気味で釣りに行きたくても体力的に負けてしまう大井です。
今回は釣行に関する寄稿ではなく、外来種の魚介類についてお話ししようかと思います。
※この記事の内容が絶対、というわけではありません。あくまで一例、こういう考え方の釣り人がいるという程度でご覧ください。参照元がある場合は、参照元を明記しております。
外来種って?
まず初めに、外来種と呼ばれている生き物について軽く説明します。
一般的に認知されているニュアンスでいえば、
「海外からきた大喰らいのヤツ」や「海外から持ち込まれ、日本に広まった生き物」といったものでしょうか。
確かに間違ってはいませんが、実はそれだけではありません。
例えば、関東でしか見られなかった生き物が北海道でも見られるようになった場合、それもまた外来種です(移入種と呼ばれる)
今後も見られ続けるであろう外来種たちのことを、改めて見直してみませんか。
代表的な外来種をご紹介
それではまず川や湖の外来種といえばこれ!と言えるほど代表的な魚、ブルーギルとブラックバスについてお話します。
ブルーギル
こちらの写真は2017年4月に千葉県某所で釣ったブルーギルです。
ブルーギルの「ギル(gill)」とは、英語で「えら」という意味です。エラが濃い青なのでついた名前のようですね。
そしてこちらがブラックバスです。日本においてブラックバスは2種の魚をしめしています。
ラージマウスバス
一つはこの画像の「オオクチバス(ノーザン・ラージマウスバス)」です。
身体の大きさとくらべると大きな口、側線に沿って伸びる黒い紋状の帯、全体的に流線形でもあるので、野池などでは魚影を見ただけで鯉や鮒ではないとわかります。
スモールマウスバス
もう一種、「コクチバス」という種類も確認されています。
わたしはまだ釣ったことがないのですが、ORETSURI 編集長の平田さんがその昔釣ったという画像をお借りしました。
この三種は、バスフィッシングをする方なら馴染み深いのではないかと思います。
引き味もよく、自分で工夫して、試行錯誤して釣る。バスフィッシングの醍醐味はそんなところにあるでしょう。
はぁ…釣りしたい…
海の外来種
海にも外来種と呼ばれる生き物がいます。
しかし、海なんてものは果てしなく広いものであり、外来種などの区別があるのかと疑問になると思います。
海の場合、本来特定の海域に生息していなかった生物が何らかの原因で日本近海に棲み着いたものという前提でお話します。
ホンビノス貝
こちらはここ最近注目を集めている二枚貝ホンビノスガイです。
もともとは北アメリカに生息していたものが東京湾を中心に広まったようです。
市場に出た当初は、「大あさり」「白ハマグリ」「大ハマグリ」などと表記されることもありました。
ただ、商品偽装や消費者の勘違いなどの観点から、現在は「ホンビノス貝」と表記されることが多いようです。
食味がよく原産地のアメリカではボストン・クラムチャウダーの原料としてもよく知られています。
よく似た貝にウチムラサキという種類がいて、以前平田さんが記事にしていました。
東京湾でこのホンビノス貝が大量繁殖しているのは、東京湾がたびたび青潮にやられてて海底が低酸素状態になるときもこのホンビノス貝は耐性があるからと言われています。
ムラサキイガイ(ムール貝)
釣り人にとってはクロダイ釣りの餌として有名で、時には高級フレンチでいわゆるムール貝と呼ばれ重宝されたり、またある時には堤防のヘチにびっしりとへばりついている黒い二枚貝、ムラサキイガイもまた外来種です。
もともとは地中海沿岸に生息していたものが世界中に広まったようです。
この二枚貝は、記憶喪失性貝毒・麻痺性貝毒・下痢性貝毒などの複数の毒を蓄積しやすいと言われていて、天然ものを採取して食べるのは危険がともないます。食用として管理されたものはスーパーでもよくみられるようになりました。
続いては、どういった経緯で日本にやってきたのかをお話しします。
外来種は来たくて日本に来たわけじゃない
外来種は決してえさを求めて日本にやってきたわけでも、わざわざパスポートを作って飛行機でやってきた訳でもないわけです。
彼ら外来種が日本に来た全ての原因は我々に人間にあるのです。
ブルーギルやブラックバスがなぜ日本に広まったか
ブルーギルは天皇陛下がかつて外遊の際、ミシシッピ川水系原産の15尾をシカゴ市長から寄贈され、それを水産庁淡水区水産研究所が育て、静岡県の一碧湖に放流したことが知られています。
その後、ブラックバスブームのなかで、ブルーギルはブラックバスのエサとして効率的という認識がひろまり、ブラックバスとブルーギルの合わせた密放流が広まったといわれています。
ブラックバスも最初は食用として日本に持ち込まれ、実業家赤星鉄馬氏によって芦ノ湖に放流されました。
その後、ルアーフィッシングの認知がひろまり、釣り味の良いオオクチバスやコクチバスはあらゆる人の手により、全国の河川や湖に放流されました。ソースはありませんが、一説には、釣り業界関係者が放流したという噂もありますね。
こうして全国に放たれた彼ら外来種は、豊富にいるタナゴ・モロコ・小鮒などの在来魚やエビなどを餌とし、外敵が少ない平和な環境下で大増殖をしました。
ホンビノス貝やムラサキイガイがなぜ日本にひろまったか
ホンビノスガイやムラサキイガイなど、誰の意図もなく日本にひろまった外来種についてお話しします。
みなさんはタンカーなどの大型船が港に着いた後、大量に水を排出しているところをご覧になったことがあるでしょうか。
いきなりなんだと思われるでしょうが、これがホンビノスガイやムラサキイガイがやってきた原因なのです。
そもそもなぜタンカー船に水を入れる必要があるのかですが、タンカー船は元々荷物を積載することを前提に設計されており、空荷の場合や予定より重量が軽い荷物の場合、そのまま航海するとバランスが悪かったり、重心が取れなかったりと非常に危険なのです。
そこで、出港する前にバランスのとれた状態まで出航地の海水を吸い上げます。
そして、目的地へ到着した際に放水するのです。
放水された海水はもちろん遠くからやってきた海水なのです。その中には、日本では見られない貝や蟹や海老の幼生やら藻類やらが多く含まれています。
故意でも偶然でも、彼ら外来種は人間の手によってやってきた、ということなのです。
続いては、意外と知られていない注意すべき外来生物についてお話します。
ガサガサ網では要注意、意外と知られていない外来生物
ここまでは世間的にも有名な外来生物を紹介しましたが、ここからは意外と知られていない外来生物をご紹介します
まずはこちら。
私の自宅で飼っているナマズのえさを捕っていた時に網に入りました。
パッと見メダカですね。ですが、この魚も立派な外来魚で、カダヤシといいます。
この魚が蚊の幼虫(ボウフラ)を捕食するといわれ、1913年に北米から日本から持ち込まれました。
しかし高い繁殖力、比較的汚い水でも孵化できる生命力、そしてボウフラだけでなく在来種であるメダカの稚魚まで捕食してしまうという問題も明らかとなりました。ちなみに、カダヤシという和名は「蚊」を「絶やす」から「蚊絶やし」→「カダヤシ」とついたようです。
また、この魚はアクアリウムで人気の「グッピー」の近縁種です。
卵生(卵を出産して繁殖すること)ではなく、胎生(親の腹でふ化して、稚魚の状態で出産されること)の魚です。
メダカとの違いはいくつかあります。一つは尾びれの付け根の幅がカダヤシのほうが広いこと。
お腹に黒い斑点(特に産卵期のメスに出やすいです)があること。
尾びれがカダヤシのほうがうちわ型、メダカは三角に近い形になっていることなどがわかりやすいです。
もし運よくメダカとカダヤシが両方捕まえられたら、その場で観察してみてください。
絶対に家に持ち帰ってはいけません。
……え?
なぜその場で、なのか?
これには、日本における外来種に対するある法律が関わってきます。
それでは、外来生物法についてお話します。
……と言いたいところですが、長くなってしまいましたので、今回は前篇ということにして、次回、後編としたいと思います。
お楽しみに!!
ORETSURI フィールドレポーターの過去寄稿記事
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