どうもこんにちは。木田です。
フグとカワハギにハマり、ひたすらリピートしたことにより、新しい釣り物へのチャレンジが少なくなっています。
フグは前回寄稿した通り、自分なりの気づきを得ました。
が、カワハギには全く光明を見いだず。あえなく今シーズンは敗北決定で終了とし、ヤリイカ釣りに行って来ました。
はじめてのヤリイカ釣りへ
時期は2月中旬、お世話になったのは金沢八景の一之瀬丸さんです。
同行のパートナーはアラフィフ釣友の下衆大将です。同じくヤリイカ釣りは初めてとのこと。
7時過ぎに出港し、南下すること1時間30分、釣り場に到着です。
ヤリイカの沖釣りってどんな釣り?
ヤリイカは1月~3月は産卵のために接岸していて、陸からエギングでも釣れるみたいなんですね。
一方、沖釣りでは、「プラ角(ヅノ)」という疑似餌を、1.2mから1.5m間隔でハリスに結び、合計6~8mにもなろうかという長い仕掛けを使います。
このプラ角同士が絡み合わないように船べりにある「投入機」にセットし、船長の「始めてください」のアナウンスで一斉に仕掛けを落とす。
なぜ一斉に落とすのかというと、お祭り(他の釣り人と仕掛けやラインが絡まること)を避けるためです。それぞれがバラバラに落としてしまうと、潮にながされたプラ角が隣りの人に絡んじゃうんですね。それでは釣りになりませんからね。
こちらが投入機です。
既にプラ角がセットされているのですが、移動中の強い風でプラ角がでてしまわないように手袋を差し込んでいます。
こちらが、自作した仕掛けからぶら下がる3つのプラ角です。
上級者は、5個から7個も付けて一度の仕掛け投入で複数のヤリイカを釣り上げるのだそうですが、初回ということもあり、扱いやすいように3本で挑戦です。
一度の投入で複数のヤリイカを釣ることが重要なのは、日中にヤリイカが泳いでいるのが海面下約200mの海底近くだからです。
仕掛けの投入にはおそらく1分程度かかりますし、回収時にはせっかくかかったイカがバレないようにスピードをグッと落としますので、3、4分程度かかります。
すると、自ずと、仕掛けを落とせる回数に制限が出てきますね。なので、一度にたくさん釣り上げたほうが有効という訳なんです。ただ、初心者のうちは1匹ずつ釣れたらよいんだと思います。
それにしてもこのプラ角、魚とは全く似てませんね。これで釣れるのかな?
仕掛けを投入したあとに、海底200m付近でヤリイカがプラ角に抱きついたのを感知したら、次は巻き上げます。
巻き上げ時は一定の速度で巻き上げる必要があります。リールを巻くのをストップしたり、竿を下げたりしてラインのテンションを少しでも緩めると、その瞬間にイカが外れてしまうんです。
オモリとして150号(約563g)を使っていることもあり、そうした巻き上げは労力が大きいため、この釣りでは電動リールを使うのが一般的です。
という訳で、今回は、
- ヤリイカを釣るのも初めて
- 水底200mの魚種を狙うのも初めて
- 投入機を使った釣りも初めて
- 電動リール(竿と一緒にレンタルしました)の釣りも初めて
という初めてづくしの釣行です。
ヤリイカの釣り方は?
釣り方については、中乗りさん(=助手:船長以外の船宿スタッフで、釣り人を何かと助けてくれる)がすごく親切に教えてくれました。
初回のヤリイカ釣りに臨む皆さんはぜひ、親切な中乗さんや船長のいる船宿を選ぶと良いと思いますよ。これは「初心者なんですが、教えてもらえますか?」というときの反応でわかるかなと。
教えてくれたのは・・・
- 電動リールの使い方
- プラ角の投入機への仕舞い方
- 海中での誘い
- アタリの感知方法
- アタリを感知した時の合わせ
- 電動リールの巻き上げ速度
- 仕掛けが海面近くまで上がってから、仕掛け(できればヤリイカ付き)の回収方法
などです。教えてもらったことをざっとサマリーすると、以下の通りです。
- 投入機は自分の船尾側に置く(船首側から風が吹くことが多いので、そうしないとラインが絡みやすい)
- プラ角は、上についているものから自分に近い投入機の穴に入れ、順々にプラ角はその隣に入れる
- 船長の合図で一斉に仕掛けを投入する。(投入が間に合わなかったら、その回はお休みして、次に一斉に投げるタイミングでやってくださいね。となることも)
- 仕掛けが海底に着いたらすばやく糸ふけを回収する(そうでないとお祭りの原因になる)
- 糸ふけが取れたら、竿を(水平を0度として)75度くらいまで上げる。(中乗さんが75度と言った訳ではありませんが、実演してくれたのを描写すると、そうなります。あまり垂直に近くまで上げるとアタリが分かりづらくなるそうです。)
- 仕掛けを上げるスピードは水平状態から75度の状態になるまで約1.5秒~2秒(中乗さんがくれた表現は)「スーッと上げる」でしたが、実演してくれたのを数値を入れて描写するとそうなります。やってみていただくと分かりますが、比較的ゆっくりです。あまり早くプラ角を動かすとイカがプラ角を見失うのだと思われます。)
- 75度位置で竿を5秒程度キープしてアタリを待ちます。
- アタリがなかったら再度竿を下げて、2秒程度停止、その後また竿をシャクリます。(竿を下げた状態で停止するのは、イカにプラ角を見せる時間を取るためだそうです。なので、竿を下げてすぐシャクってはいけません。)
- アタリを感じたら、そのまま(絶対に竿先を下げずに)電動リールをオンにし巻き上げます。(レンタルの電動リールでは、「13~14」と言われましたが、中乗りさんは下衆大将には「11」で巻き上げて。という指示を出してましたので、少しリールによっても巻き上げ速度に個体差があるのかもしれません。ちょっとどんなスピードかを言葉にするのは難しいです。体感では、仕掛けが海中を落下する時のスピードの1/3くらいの、比較的ゆっくりとしたスピードです。)
- 仕掛けが上がってくる3、4分の間は、船の上下動が竿に伝わらないよう、釣り人が竿を微妙に上下動(船が上がれば下げて、下がれば上げる)して揺れを吸収します。
- カウンターが20mを切ったら、竿を慎重にロッドキーパーに付け、取り込みの準備を始めます。
- 船べりまで仕掛けが上がると電動リールは自動的にストップするので、ロッドキーパーごと竿を立ててラインを引き寄せ、糸を手でタグって、プラ角を回収します。
- イカがついていれば、プラ角を逆さにしてバケツに落とし、プラ角は投入機に、投入前と同じ順番になるよう戻します。
・・・
どうでしょう。
文章で書いてもこんなボリューム。
少しでもヘマをすると、せっかく200mも海中を旅して来てくれたイカさんもサヨナラですし。
そして、油断すると仕掛けが絡んで手前祭り(自分でオマツリしちゃうこと)発生ですので、正直、少々パニック気味にはなります。ま、最初は誰もが経験するとは思うんですけどね。
自作のヤリイカ仕掛けにもらった中乗りさんからのアドバイス
最初に使った自作の仕掛けは、メインラインからエダスを出すのにビーズを使っていました。縦方向にも、横方向にも穴が空いている透明な全長3mm、直径2mm程度の円柱状のプラスチックです。
これなら、プラ角の交換も簡単にできるので合理的だろと思ってたのですが、中乗さんから頂いたアドバイスは、ビーズなしでエダス(プラ角を結ぶ、枝糸)はメインラインに直接結んだほうが良いそうです。理由は2つあって、どうもヤリイカに疑似餌を見切られやすいことと、ラインが絡まりやすいことだそうです。
一般的に中乗りさんや船長がアドバイスくれるときに、そうアドバイスをくれる理由や理屈をはしょっている方が多いような気がするのですが、この中乗さんは理由までしっかり教えてくれるので、より素直にアドバイスが頭に沁みてゆきます。
数投目で手前祭りが発生したこともあり、早速この自作仕掛けは諦め、予め購入済であったビーズを使っていない仕掛けに切り替えました。
こちらの写真の真ん中のもの(ヤマリアカラフル針5・11cmブランコ)です。
この仕掛けの左から二番目にある紅白のチューブ状のものは「スッテ」と呼ばれる疑似餌です。上記の仕掛けの場合、上から、「プラ角、プラ角、スッテ、プラ角」の4本構成ということになりますね。
4本(の疑似餌のついた仕掛け)はとても上手に扱えないな。と瞬時に判断し、スッテのエダスを切り切り離し、「プラ角、プラ角、何もなし、プラ角」という構成にして、さて投入と思った時に中乗さんからまたもアドバイス。
「こういう構成は良くない。」と。
プラ角やスッテを減らす場合、一番下のものを切り離すべきです。と。なるほどー。仕掛けには等間隔にエダスやスッテがあることが大事なんですね。
そこで、中乗さんが仕掛けを結び直してくれたのですが、「ま、2本でもいいですね、2本にしときましょう。」ということで、「プラ角、プラ角」の2本構成で戦うことになりました。
隣の釣座の下衆大将はお祭りを何回か繰り返し、手持ち仕掛けがなくなって、船で2回も仕掛けを追加購入するという惨事に見舞われていました。
私はこのプラ角2本仕様の仕掛けでお祭りは発生せず、最後まで利用できましたので、手返し面でとても良かったです。そもそも投入回数が多くないので、手返しはとても大事。
その時、「モソっ」というイカのアタリを感じた!
中乗さんが最初に教えてくれた釣り方の他に、途中で新しい釣り方のバリエーションを教えてもらいました。
船長から「170mから下を狙ってください」というアナウンスがあった際、投下した仕掛けを一旦170mのところで止めます。
止め方はサミング(リールのスプールという回転部分をやんわりおさえる)していた左手親指でスプールを強く押さえることで行います。
そこで、スーッと竿を上げ5秒待つ。
アタリがなければ親指を緩めて2、3m仕掛けを落下させると同時に竿を水平に戻し、2秒待ってそこからスーッと竿を上げる。5秒待ってまた親指を緩め、また仕掛けを落とす・・・
・・・
すると、何回目だったでしょう。
水深が190mくらいのところ、75度の角度までシャクった竿先を集中して見つめます。そうです、この釣りのアタリは主に目感度で感知するのです。
・・・
その時、竿先に「プルっ」という小さな動きと同時に手元に「モソっ」という感触を感じました。
「乗った!」
竿先を決して下げずに電動リールを巻き上げます。
巻き上げレバーをグイっと前に倒す、あれ?動かない、もう一度、グイっ。その直後にわかったのですが、このリールはクラッチが切ってあって、かつ一度巻き上げスピード0まで戻さないと巻き上げが動かない安全機構が組み込まれていたのです。
もたもたすること数秒、それでもなんとか電動リールを動かします。
「乗っててくれー」
上がるまでの3、4分、そんなお願いしながら、竿の角度をキープし、船べりまで上がってきた仕掛けを中乗りさんに手伝ってもらいながら、引き上げ、プラ角を回収すると・・・
「いた!」
念願の人生初ヤリイカをゲットしました。
隣で見事な後頭部を見せてくれているのが、中乗りさんです。恥ずかしがり屋な中乗さんのようです。
中乗りさん、どうもありがとう!
次回はもう少し自分でできることを増やせるようがんばります。
全体の釣果としては・・・
その後、大きいヤリイカを1杯と、小さいのを1杯追加し、合計3杯のヤリイカで納竿です。
上から、ちっちゃいくん、中っくらいくん、大きいくん。ちっちゃいくんとはいっても、大人用のお箸の長さくらいはあります。
聞くところによると、この日の竿頭の方は53杯だったとのこと。
その方と比べると、3杯は貧果といえるのでしょうが、自分としては非常に満足な釣行となりました。
理由としては、投入機や電動リールの使い方が分かったこと。そして、なにより、アタリを感じることができたことがあります。つまり、次回もっと手際がよくなれば、もっと釣果は伸ばせるだろうという希望が残ったのです。
ヤリイカ、食べたよ。おいしいよ。
ヤリイカは美味しいことで有名です。
一之瀬丸さんでは、より新鮮な状態で食べてほしいということなのでしょう、釣り上げた1匹をサービスで、「生きたまま運べる状態」にしてくれます。活イカパックというものらしいです。
持ち帰ったその日は「小さいくん」と全員分のゲソを使って料理しました。
ボディはお刺身に、ゲソは唐揚げに。
唐揚げは、ちょっと水溶きから揚げ粉の液を薄めに作ってしまい、かつイカにはあまり液が絡まないので、ちょっとパンチ不足の味に。(汗
お刺身は、美味しいのはもちろん美味しいのですが、好みの問題もあるのでしょう、私にはちょっとコリコリしすぎているような気もします。
ところが、全部食べずに残ってしまった刺身を翌日の夕飯に食べたところ、これが絶品。ほどよくねっとりした、甘いイカの食味を十分に堪能しました。
また、「大きいくん」と「中っくらいくん」のボディは後日、イカ大根にして食べたのですが、これは文句なく美味しかったです。柔らかくて、でも味があって、これまで食べたイカ大根のベストとなりました。
今回の反省や次回のヤリイカ釣りに向けて・・・
自分では合格点の釣行でしたが、次回に向けてメモを残しておきます。
マイ投入機がよいかも
沖上がり後に雑談をしたヤリイカ歴1年というお兄さん。釣果は20杯とのことで立派なのですが、この方、マイ投入機を持参してました。記事中でも書きましたが、この釣りは手返しが大事です。すると、投入機も船に常設されているものでなく自分が使いやすいものを・・・というのもアリなのだろうな。
たまたま、、、なのだと思いますが、利用させてもらった投入機は上の方に欠けが。こういうところが気になる人はマイ投入機、買えます。
電動リールもなれたものがよさそう。
できれば自分のものを使った方が良い。と思いました。電動リールは結構値が張るのですが、ヤリイカについては釣り自体も食べるのも気に入ったので、また釣りに行くでしょう。レンタルの竿やリールには全く問題ありませんでしたが、操作の熟練が手返しにつながると思いますので、できれば自分ので・・・と思います。
専用釣り竿は意外とリーズナブル。
20杯のお兄さんに「竿は何使ってますか?」と聞いたところ、DAIWA ヤリイカXだとのこと。「一万円ちょっとで変えますよ。スルメイカにも使えますし、レンタルよりは断然良いと思います」と。はい。了解です。
仕掛けは高めなので自作かな
ヤリイカの仕掛けは結構高いです。
記事中にも書きましたが、自分の実力に合わせてプラ角やスッテの数を調整した方が良いです。となると、自作がいいですね。ただ、仕掛けが長いので、一度も自作したことがない人にはちょっと難しいかもしれません。
釣行の翌日、まだ、次回の釣行予定はありませんが、ビーズを使わない3本プラ角仕様の仕掛けを作ってみました。
タックル等
ロッド:レンタル
リール:SHIMANO PLEMIO 3000
ライン:PE 4号
お世話になった船宿
釣り人
木田 和廣
オフでは水泳と釣り。オンではGoogle アナリティクスによるWeb解析コンサルタント、Tableauによるビジュアルデータ分析コンサルタントをしています。Web解析に関する本も書いてますよ。
ORETSURIフィールドレポーターについて
ORETSURI フィールドレポーターの寄稿記事一覧はこちら!