人間は常に問いをもっている生き物。
釣り人も一緒です。
今日も世界では多くの問いが生まれ、答えが見つかっています。
そんな中、インターネットでは確かではない答えがいろいろと流布され、それがまことしやかに拡散されたり。
そんな、ウェブ上に転がっている『釣りのなぜ?どうして?』について、釣りメディアORETSURI編集長の平田が勝手に回答する本シリーズ。
今回の質問
船宿の釣果を日々みているんですが「潮流れず。。。○○でした。」みたいなのが頻発する船宿ってどうなんですかね。調べてみると同じ日の同じ釣り物でふつーに釣れている船宿もあったりして。
質問者:エビメバル好きさん
<平田の回答>
「そもそも船長の心に『潮流れず』」
どうも。今回も寝起きではありますが、真剣に考えてみます。どうぞよろしくお願いします。
そうですね、釣り船に乗って楽しむ沖釣りには常に「潮流れず」問題が常につきまといますね。
潮。
ちょっと文字のフォントを大きくしてしまうぐらい海釣りではもっとも重要な要素ですね。
潮の温度、濁り、流れの強さ。これは毎日異なります。時間によっても異なるわけです。
小潮・中潮・大潮・若潮・長潮など、あらかじめ潮には名前がつけられていますが、それ以外にも、その日によって今日は流れがあるなとか止まってんなーと思うこともあります。たとえば同じ東京湾でも場所によって潮の速さが異なったり、流れの有無もちがったりします。
船宿が選ばれる理由の一つに「釣果」がありますね。
この釣果についてなのですが、だれもが知っているように釣りって、運不運のギャンブル的な要素が大きいんですよね。
釣り船の場合、船長の腕(ポイントの見極めや流し方)という要素のほかに、竿頭級のエース釣り客が何人乗っているかで釣果の最大値は変わります。
これは機動戦士ガンダムで、どんなに優れたモビルスーツにのっても非熟練パイロットが搭乗している場合は、アムロとか後半のセイラさんであれば一発で直撃されてジ・エンドになってしまうのと一緒ですね。
・・・
やばいぞ、ちょっと脱線してしまうし、このあと予定もあるのでガンダムの話題は切り上げます。
さて、
これは船宿業界の慣例になっていますが、釣り船の釣果ってだいたい以下のように発表されるんですよね。
- 「LTアジ:5~45」
- 「フグ:0~10」
などなど。
こうした情報をもとに釣り客は、予約するしない、いく、いかないを決めるわけなんですが、まーよくわからない。
「フグ:0~10」
の場合でも、
その日10人乗っていて、それぞれがどれぐらい釣れたのか、釣り座によっての違いはどのようであったのか、釣り客の熟練度などなど、まーそのあたりは不明です。コメントで詳しく補足している船宿もありますがね。
中には、顧客志向の釣り船もあって、釣り座ごとの釣果を開示しているオープンな船宿もあるのですが、船宿の釣果というのは、だいたい釣り物ごとの最小と最大値が発表されるという、圧倒的なあいまいさで日々が更新されていきます。
ここで、一般的なビジネス社会の営業ミーティングを考えてみてください。
——-
犬山営業マネージャー:「山ちゃん、今どんな感じ?」
山下「はい。今月の予算目標は300万なんですが、今のところAヨミが0ー5社、Bヨミ企業が2-4社です。既に受注している企業が0ー120万です。ヨミの合計は800万です。はい。」
犬山営業マネージャー:「???(と、飛び蹴り入れたい!!!)」
——-
と、いうように、意味がわからない話になっています。
Bヨミ企業が2-4社ってなんなん。
おそらく筋金入りの営業会社であれば、山下君がこうした回答をしたときに、多くのマネージャーが深呼吸をしてちょっと殴りたくなったり、ジャンピングキックをしたくなる自分を必死におさえるはずです。それがアンガーマネジメントってやつです。ブラック企業であれば、灰皿が飛んでくる事案です。
・・・
そう。
釣り船の釣果というのは、そもそも、ものすごーく曖昧なんです。
その日釣りにいって、船上の状況をきちんと把握した人以外にはものすごーくあいまいに伝えられるもんなんです。
むしろ、釣り客にとって重要なスキルはその行間を読むことです。
いいですか。
釣果報告の行間をよむこと
重要なので文字を大きくして太字にしてみました。
船宿の釣果発表というのはだいたい大本営発表みたいなもんなのですよ。すぐれた兵士は大本営発表なんて信じません。
「我が帝国海軍は○○島で現地部隊を殲滅セリ!」
この虚偽にまみれた社会で重要なのは、物事を妄信することではなく、しっかり疑問をもって嚙み砕いて受け入れることなのです。
・・・
あ、
これ、
「潮流れず。。。○○でした。」みたいなのが頻発する船宿ってどうなんですかね。調べてみると同じ日の同じ釣り物でふつーに釣れている船宿もあったりして。
という話でしたね。すみません取り乱しました。
うーむ。
そうですねー。同じ日に同じ釣り物でエリアもかぶっていて毎回「潮流れず」を連呼している船宿の方は、あんまり向上心がなくて、出船するときから「潮流れず」前提なんじゃないですかね。
やっぱり海は毎日変わるものの、腕のいい船長ってのは、「潮流れず」率って低いですよね。仮にそういった日があっても最後まで操船を頑張って、かなり悔しがっているのが見て取れます。
実際乗って比較すると、「潮流れず」連呼系の船宿の釣り船って、燃料費の問題なのか、移動するのが面倒なのかはちょっとわからんのですが、どう考えても釣れない状況を数時間継続しますよね。
コマセが効いたり、回遊があってアタリがでるのを持つという場合もあるのかと思うのですが、何らアナウンスなく釣れない場所で数時間。すると、釣り客も操舵室をチラチラみながら、惰性で釣りをし出したりするわけです。「はよ移動してくれよ」と。で、さらに釣れない。
そうではなく、凄腕系の船長の船に乗ると、まー臨機応変だと思います。基本的にポイントや流し方がよいので釣れるわけですが、釣れない場合も見切るか居残って待つかの意志決定が真っ当だなと思います。
ということで、釣り船の「潮流れず」問題は自然環境以外に、ただ当該船長がやる気がない、船宿経営者の指示で燃料費の兼ね合いもあり、適当に近場を流しているからということなのかなと思います。
釣れないときのそういった船長の頭の中にはきっと、その日の作文が出来上がっているはずです。
「潮流れず、アジ0-5でした。明日も頑張ります!」みたいな。
むしろそういった船宿の場合、海の潮が流れていないんじゃなくて、船長の心にやる気や向上心といった潮が流れてないのかもしれません。
と、いうことで、そういった「潮流れず」を連呼している船宿には次第に釣り客が少なくなるからよいんじゃないですかね。
それが需要と供給の法則ってやつです。
みなさんは、やる気や向上心がある船宿を選べばよいんです。
以上です。今後ともよろしくお願いします。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)
※画像は、一身上の都合により、「いつでも潮が流れている企業」株式会社おくりバントの高山さん(@takayamayohei1)の写真を使用させていただいております。
※質問がないとエンドレスでYahoo!知恵袋などの質問を勝手に回答していく仕様です。