人間は常に問いをもっている生き物。
釣り人も一緒です。
今日も世界では多くの問いが生まれ、答えが見つかっています。
そんな中、インターネットでは確かではない答えがいろいろと流布され、それがまことしやかに拡散されたり。
そんな、ウェブ上に転がっている「釣りのなぜ?どうして?」について、釣りメディアORETSURI編集長の平田が回答する本シリーズ。
今回の質問
先日、船釣りでアジを釣ったのですが、氷締めをしていたところ一緒にいった人から「アジは血抜きしないとまずいから血抜きするのが常識」といわれました。個人的にはそんなに変わらないと思うんですがどうなのでしょうか?
質問者:サクサクさん
<平田の回答>
「あなたのアジをどうするかは、あなたが決めましょう」
どうもこんにちは。夏場に外でガリガリ君を食べる時に、手を汚さないで食べるのって難しいですね。知覚過敏ならなおのことです。
さて。今回は、所謂釣りにおいての「血抜き問題」「締め方問題」についての質問ですね。
魚の死に方・締め方にはいろんな方法があります。
- 締めないで「あがって」しまう(バケツなどで酸欠・高水温などで死ぬ)
- 氷締め
- 延髄切り+血抜き
- 神経締め+血抜き
などなど。
そこにいろいろな流派があったりします。
血抜きをするのにも、エラを一枚切る人もいれば、両エラを切る人もいたり、エラを指でちぎってしまう人もいれば、エラの膜と太い血管を切る人もいる。さらに、足りないといって尾側をカットする人もいます。
アジの場合、保存性を高め、雑味を減らすのであれば血抜きをしたほうがよいというのはあるかもしれません。一方、アジが好きな人のなかには「血の旨み」自体が好きな人もいたりします。
特に釣った初日に食べる場合は血も新鮮なので、独特の味わいがある気がします。アジだとわかりにくいかもしれませんが、産地で食べる鮮度のよいカツオはやっぱりあの血の味わいが野趣あふれてうまかったりします。
味わいについてはこのように人それぞれなのです。
ニオイについて。
たとえば、日本人であれば強烈な腋臭のニオイが好きな人はいませんが、ごくわずかにあの刺激臭をフェロモンとして好きだという人がいるという話を聞いたことがあります。
すこし脱線します。
むかし、知人に真冬でも強烈な腋臭のベールをまとった外国人がいたのですが、その奥さんは日本人で腋臭な彼と結婚するという選択をしたわけです。腋臭レベルでいうと、日本人など到底及ばず、30m以上離れていても彼が存在しているということが嗅覚から知らされるという状態でした。
彼はとてもよい人だったので、奥さんは総合的にみて結婚したのだと思います。が、それでも毎日一緒に暮らすのにはキツイ面があるのは否めないのではないか、当時のわたしはそうおもったものでした。
が、今となっては、その腋臭も彼の個性であったんだろうなともいます。
世の中の多くの人が多大に迷惑に感じるとしても、奥さんとしてはそのニオイが好きだったのかもなと思ったりします。
その奥さんと仲が良いわけでもないですし、そのときに「なんで強ボタンの腋臭な男性と結婚したんですか?」などとはきくことができません。プライベートをとやかく詮索しないのが大人の世界ですしね。
さて、魚の味わいから腋臭の話になってしまい、どうもこの記事全体に腋臭っぽい気配が充満してしまいましたが、次に、処理工数の観点なども考えていきたいと思います。
たとえば、アジがたくさん釣れていて、自分としてはもっと釣りたい場合。
この場合は、釣ったアジを一匹ずつ血抜きするのが手間になることもあります。ほかに、釣り船によっては血抜きをするとサメがよるのでNGとしているルールがあったりします。
どうでしょう。
ここまでみてきて、「釣ったアジは血抜きをするのが常識」と思えるでしょうか。
質問者と一緒に釣行した方は、さらに美味しいアジを食べてほしいという善意からそう伝えたのかもしれません。一方、人には人の事情がありますし、伝え方にも工夫が必要だったような気もします。
釣りをしていると、なにかとマウンティングしたがる人がいます。
またマウンティングしようというつもりはなくても、ナチュラルマウンティングというか、いつのまにかそういった構図になってしまうことも多い気がします。
男性であれば女性に求められていない説明をすることが多いですね。
「マンスプレイニング」というらしいですが、Twitterあたりをみると、釣り好きな女性アカウントに対して、群がり、しきりにアドバイスをしている男性がいたりしています。
これは8月の雑木林で発酵した樹液に、クワガタやカブトムシだけでなく、いろんな虫が集まるのと一緒です。
自然の摂理なのでしようがないのですが、相手がそれを求めているのかといった、ユーザーニーズをきちんと見切れるかどうかは、よりよい人生を送る鍵なんじゃないでしょうか。
まとめます。
あなたが釣ったアジはあなたのものです。
でも、意固地になりすぎると世界が狭まるので、いろんな人の話を聞きつつ、取捨選択し自分の頭で考え意志決定していればきっとよいのだと思います。
「あなたのアジをどうするかは、あなたが決めましょう」
腋臭だからどうのこうのといっている外野など関係ないのです。
以上です。
平田(@tsuyoshi_hirata)
※質問がないとエンドレスでYahoo!知恵袋などの質問を勝手に回答していく仕様です。子育て繫忙期のため、これはという質問のみ回答します。出前はしておりません。