「ブラックジャックによろしく」などの作品で知られる漫画家の佐藤秀峰さんは釣りと料理好きな方です。数年前から釣りをはじめて、noteに釣行記や釣魚料理などを投稿しているのをときに楽しく、ときに考えさせられながら読んでいました。
佐藤さんは以前からORETSURIを読んでくださっているようで、なんとなく親近感を感じていた方です。SNSに投稿される料理がほんと旨そうで、アラを最大限活用するスタンスあたりはなんか共感が強かったりします。どうせ捨てるならもったいないし、なにより旨いというような考えなんだと思ってます。
佐藤さんが割と近所で釣りをしているのを知っていたということもあり、なんとなく、いつかどこかで会うんだろうなと思っていたりしました。が、人生、そういう偶然ってのはそうないもの。
ここは思い切ってわたしから声をかけて、佐藤さんが一度挑戦してボウズにたおれたテンヤスミイカ釣行にいくことになったわけです。
テンヤスミイカといえば、わたしが一番好きな釣り。上手いかはわからんのですが、この釣りへの想いは人一倍あるので、なんらか伝えることができ、もしかして初ゲットに立ち会えるかもしれないなと思ったのです。
ということで、いつも通っている一之瀬丸を予約したところ、残念ながら前日夜の時点で人集まらずという。そこであれこれ調べたどり着いたのが小柴の三喜丸さんでした。
わたし「こんばんはー、明日2名なんですが、出船しますかねー?」
三喜丸のオーナー斉田正道さん(たぶん)「うん、二人なら大丈夫だよー。出るよー」
とのこと。
有難い。海に出れないと釣りは成り立ちませんからね。ということで無事当日をむかえました。
早朝5時過ぎに佐藤さんが車でむかえにきてくださり合流。はじめてだとお互いちょっと緊張しながらも、釣りという共通テーマがあるとなじむのもはやいもんですね。
船の座席がワイドで座りやすい
三喜丸さんのシステムは、以下の通り。
小柴港の三喜丸さん近くの裏門あたりに車をとめて、宿に顔をだして、駐車カード(駐車代が必要)をもらって、小柴の正門の駐車場に駐車。すると、スタッフが軽トラで宿まで送ってくるという仕様。こういうのは最初はよくわからないので、はじめての人は聞いておいたほうがよいですね。
宿は貫禄がある斉田さんが采配していて、「ま、お茶飲んでおきなよ」といわれて飲むのは温かいコーヒー。お茶と思って飲むコーヒーってちょっと不思議な味です。いずれにせよ、こういった心遣いが有難いですね。
時間になったら乾いたタオルを一枚借りて乗船。
この日は恐縮ながら、釣り客は我々二人。佐藤さんにはぜひ釣ってもらいたいので、潮の流れと風向きから潮下になる船首側へ案内。
とはいっても二人しかいないので釣れるときは釣れるし、釣れなかったら駄目だろうなーと。一通り釣り方を解説しつつも、あとは実地で、そのときに釣れているシャクリなどを説明しようという算段でした。
人が乗っていないこともあり、船は軽快。またたく間に八景沖を過ぎて横須賀方面へ。
右舷。誰も乗ってないという清々しさ。
とにかく速い。
そうこうして浦賀航路付近のポイントへ。
はじめ、二人ともテンヤオンリーで狙うつもりだったものの、船長の熱いスッテ併用論に感化されてスッテをセット。
船長は武骨な方ながらも、根は釣らせたい想い満点のすごいいい人です。
船長曰く「はじめて釣る人だったら絶対スッテつけたほうがいいよ。だって単純に確率が2倍になるし」とのこと。たしかにそれはもっともだなー。
底とりしづらくなるなどの要素はありながらも、やっぱり佐藤さんには釣ってもらいたい。
わたしは、ウルトラスッテDXのピンクグロー、佐藤さんにはオレンジグローをセット。
ご覧くださいこのテンヤの覇気を。
さて、一杯釣ると楽になる釣りだけども、どうだろう。
・・・
シャク。
スー(フォール)
ガツン!
今日は早いな。
ということで1杯。時刻は8:20。
この釣りでは、とくにボウズの呪いがあるので、急に気が楽になったり。すかさず佐藤さんには「短めにしゃくったら来ました。待ち時間は5秒です」といった基本情報を伝達。
8:30。2杯目。これはデカイ。スッテにかろうじてヒットしていて、船長のタモ入れで無事ランディング。
重い。。。
7、800gぐらいありそうな。
佐藤さんには「深場なので、糸を張ってからしゃくったほうがよいかも、待ち時間は5秒ぐらいです」という伝達。
8:39。もう一杯。
これもデカイ。
それにしても佐藤さんはちゃんとしゃくっているように見えながらも、なんで釣れないんだろう。このあたりでふと思うわけです。
すると、道糸が上潮によって胴の間側に流れていることになんとなく気づいたり。底潮的には北風に上げなので、船首側に流れていきながらも2枚潮によってたるんだPEラインが水中でS字を描いてしまい、思った通りにしゃくれてないのかもという結論に。
同時にずっと佐藤さんを見守っていた船長が「潮は前に流れているんだけど、前の人が逃したやつをこっちがどんどん釣っちゃうのね。だからもっとラインを張ってから、しっかりしゃくらないとダメだと思うよ」という指示。
たしかにそうなんだろうなーとおもって、佐藤さんを見守っていると、次第にしっかりテンヤが底上をはね始めたのか、初ヒット。おお、やったー。こういったときは自分が釣るほどうれしいもんです。船長も自分のことのように喜んでいたのが印象的だったなと。お互い目が合って「よかった」「よかった」と。
佐藤さんにシロサバフグのヒットも出てきたものの、それはテンヤをちゃんと魚に見せられているからなんだよなーと。
続いて、船長の「イカがいるところはたまってるから道具をすぐいれて」という発破により、佐藤さんに連続ヒット。これはスッテにヒット。スッテをお貸しできてよかった。
その後も佐藤さんはスミイカを釣ったり、尺カワハギを釣ったりと、無事リベンジができたようです。
わたしも数を伸ばして、頭の中でこれはツ抜けできるかも、と思いながら・・・。
よーし。
どーん。
これはモンゴウイカ。
どんどん釣れる。
スッテとテンヤは半々ぐらい。
スッテをつけるかテンヤだけでやるかは個人のスタイルもあるんですが、テンヤの着底を確実にとらえられる人はスッテを併用したほうが良いのかもしれません。テンヤを着底させたまま、スッテだけをゆすって誘うような攻め方もできたり。
2月~3月ぐらいに混ざるマルイカはスッテをつけてないととれなかったり。
テンヤだけでやるメリットは、キャストの飛距離をより出せるのと、スッテがない分、テンヤへのモタレあたりなどが感じやすくなるかなと。
まー人それぞれやりたいようにやればいいんだと思います。
水温が高く、シロサバフグの猛威も。スッテもボロボロに。。。
根がかりをしてもハリが柔らかいので伸ばしてとれます。
テンヤの場合はキャストミスでスナップサルカンが開いたり、リーダーか道糸から高切れするという要素があります。あんまり小さなスナップをつかわないようにして、PE1.5号以上をつかってリーダーも4号以上をつかえば、だいたい大丈夫。
後半晴れ間も出てきたものの、潮流れず失速。
これも世のならい。許せよ。
着底後のステイ時間を5秒以内にすると、よくカワハギが釣れます。
釣果は満足の7杯(スミイカ6・モンゴウイカ1)。
今回は実家に持ち帰るために一部ひものにしたんですが、それはまた別の記事で。
タックルは、佐藤さん平田ともに、アルファタックルの海人スミイカ240でした。この竿は現行竿で一番手に入れやすいし、使いやすくちゃんと釣れるのでオススメです。はじめてスミイカ竿を買う人はこれですよこれ。
沖上がり後の小柴港。
わたしのなかの今回の目標は「佐藤さんに初スミイカを釣ってもらう」だったので、なんとも晴れやかな気持ち。
やっぱり人に釣り方を伝えるときは、自分の中のロジックがきちんと整理されてないと伝わりづらいのと説得力がないよなーと改めて思いましたね。
今回はマンツーで見守りながら釣りをするなかで、釣れる釣れないの違いがわかり、テンヤスミイカ道をまたすこし前進したような気になりました。
深場では道糸を張ってシャクル。わかってはいながらも、スミイカの最初の一杯を獲得するためのカギとなりそうです。
それにしてもまた一人釣り友が増えてよかったなー。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)
お世話になった船宿
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