東京湾の秋冬シーズンで隠れた人気のスミイカ。
エギやスッテでも気軽に楽しめますが、「衝撃的な釣趣」で熱狂的なファンがいるのが伝統釣法「テンヤスミイカ」です。
今回はネット上の基本情報以外がほぼないテンヤスミイカの釣り方や勘所を詳しく解説します。
タックル・仕掛け・釣り方のコツ・注意点を理解して、チャレンジしてみましょう!
特にテンヤの動きとスミイカの行動、シャクリやフォールなどはイラストや写真で分かりやすく説明します。
※本記事は筋金入りのスミイカフリーク、平田(@tsuyoshi_hirata)が解説します。
スミイカとは
シーズン初期10月のスミイカ@東京湾中ノ瀬。200gほど
スミイカ(墨烏賊)は標準和名「コウイカ(甲烏賊)」の関東地方での呼び名。
近縁種の「シリヤケイカ」「カミナリイカ(モンゴウイカ)」同様、東京湾に多く生息しているイカの種類で、釣り上げると大量の墨を吐くことが名前の由来です。
季節により生息域(水深)が変わりますが、砂泥底を好み、シャコ・エビ・カニ・小魚などを捕食しています。
特に夏場7月下旬ころから市場に流通する「新イカ」は小型ながら、味わい深く、江戸前寿司ではコノシロの幼魚「シンコ」とならぶ高級ネタです。
アオリイカと比較したときに、スミイカは「歯ごたえが魅力」とされます。
身に厚みのでてきた個体は、釣りあげてから数日寝かせると強い甘みも感じられます。
テンヤスミイカについて
冬季のスミイカは深場釣りがメイン。夜光塗料が塗られたテンヤが使われる
テンヤスミイカ釣りが行われているのは、ほぼ東京湾に限られます。
東京湾では10月から3月ごろまでスミイカをテンヤで釣る乗合船が出船しています。
「テンヤスミイカ」は1対の大きな掛け針がついたテンヤに、シャコを輪ゴムで縛りつけ、海底から50cmほどシャクリ上げてスミイカをかける釣りです。
スミイカの好物であるシャコやエビが海底から跳ね上がり、自然に沈下する様子を演出します。
テンヤに抱き着くスミイカの胴体や脚部分へ針を引っ掛けることは、一見簡単に見えます。
が、やってみると難易度が高く、特に腕の差が出やすいのです。
9:1の極先調子のスミイカ専用竿でしゃくったときに出るアタリは「ガツン!」という衝撃で、思わず脳天まで電撃が走る釣りです。
<東京湾におけるテンヤスミイカ釣りとシーズン>
- 10月~12月頃:中ノ瀬主体、釣況に応じて八景から横須賀沖、海堡~千葉大貫・竹岡沖(千葉側はモンゴウイカの魚影が濃くなりがち)
- 1月~3月頃:千葉大貫・竹岡沖~浦賀航路、久里浜~下浦沖~剣崎沖(水深~80m程度)
水温によって釣り場も変わってきます。
スミイカ釣り自体は基本的に浅場から始まり、冬季に深場に落ちて、春になると再度浅場がポイントになります。
3月頃になるとイカもノリが悪くなりはじめ、乗合船は終了。
シーズン初期の小型は好奇心旺盛で比較的スッテに乗りやすく、シーズン中期以降は警戒心も増すため、テンヤ単体が優勢になるときもあります。
特に個体数が少ないシーズンはキャストの飛距離が伸びやすいテンヤ単体やスッテ単体(スッテスミイカ)が有利です。
冬になり、乗り切らず生き延びた個体ほどシビアで乗りにくいのですが、深場に落ちる際はイカが固まるため、意外にチャンスとなることも。
ほかに、モンゴウイカはコウイカと比べてさらに獰猛なため、スッテへの反応が良好という特徴があります。
2月~3月の後期は身切れしやすい個体も増えてくる。慎重に巻き上げたい
テンヤスミイカ釣りのタックルと仕掛け
タックルと仕掛け概要
テンヤスミイカ釣りのタックルについては、深場・浅場・潮の強さで調子を変える玄人もいますが、仕掛け自体は同じです。
テンヤスミイカの仕掛けはテンヤ単体とスッテ併用の2種類
一番シンプルな仕掛け構成が、通称「テンヤ単体」です。
中型スナップサルカンでテンヤを接続するだけのシンプルな構成。
シャクリの軽さからストイックにテンヤ単体にこだわるベテランも多いです。
スッテを併用することでスミイカが効果的に反応しやすくなる場面もしばしばあります。
まず釣りたい場合は、シャクリなれていなくても、釣果を出しやすい通称「スッテ併用」がおすすめです。
竿は極先調子のスミイカ専用竿がベスト
スミイカ竿は他にない独特の調子
スミイカをテンヤで狙うための竿には、やや長めの全長(2.4m前後)に、バットの強さと穂先の繊細さが必要です。
スミイカテンヤの錘は20号・25号と軽めであるものの、針が太く、袋のようなスミイカの体型からフッキング時にきわめて強い負荷が生じます。
深場の場合、シャクリの際に竿で感じる潮受けも相当です。
また、スミイカも12月以降の冬場は特に大型になるため、カワハギ竿・フグ竿などの繊細な竿は破損する可能性もあります。
特にジャンルの異なるハイスペック竿は高確率で穂先が折れてしまいます。注意しましょう。
テンヤ針はスミイカをひっかけることを目的にしているため大型
長さはシャクリやすさにつながります。特にキャストした際に遠くにあるテンヤを動かすときには短竿では大きなシャクリが必要です。
穂先は軽いテンヤの着底をしっかりとらえるために繊細さが求められます。
穂先まで硬いようなルアーロッドや全体が柔らかい竿の場合、テンヤの着底判断ができず、シャクリのタイミングも合いにくく釣果が伸びません。
また、底上でテンヤが安定しないというデメリットもあります。
特に12月~2月の厳冬期に狙われる水深50m~80m程度のポイントでは釣りにならないので、専用タックルを自分で用意するか、船宿のレンタルタックルを使用しましょう。
<おすすめのテンヤスミイカ竿>
▼入門者には「海人スミイカ」が機能性と価格面のバランスから一番おすすめ。穂先のソリッドが柔らかく、テンヤも底上で安定させやすいのが特徴
▼女性や身長がそれほど高くない場合は、ダイワの「アナリスタースミイカ」が210㎝と短めで取り扱いやすい。ただし短竿のため、ロングキャストする場合には不適
▼メタリアスミイカは自重165gという軽さが最大のメリット。感度を求める釣りではないので、メタルトップはオーバースペックながらも、軽さのメリットは選ぶ価値あり
▼ステップアップには櫻井釣漁具株式会社の「金剛大潮スミイカ」がオススメ。225㎝でキャストもしやすい
その他、釣具店(照楽園)や船宿(濱生丸)等でオリジナルロッドが販売されています。
※テンヤスミイカ竿は釣具店ではほぼ販売されていません。ECサイトもしくはタックルベリー等の中古釣具店で購入するのがおすすめです。中古品の場合、リョービ、アルファタックル、ダイワ、シマノ等のアイテムを購入しておけばひとまず安心。5,000円~1万円程度で購入可能です。
テンヤスミイカの代用竿
レンタルロッド以外で最初に手持ちの竿を代用的に使用する場合、以下の選択肢があります。
- オールシーズン:190㎝程度のヤリイカ竿(全体的に丈夫で調子もあっているが、長さが短め)
- シーズン初期(10~11月頃):安価なカワハギ竿Hクラス、外房フグカットウ竿 ※いずれもグラスソリッド穂先で、胴が強め
▼しっかりしたヤリイカ竿なら深場シーズンのスミイカでも対応可能。
両軸リールがメイン
深場はパワーハンドルのリールが快適
テンヤスミイカでは両軸リールがおすすめです。
キャストで釣果が伸びる釣りなので、両軸リールでのキャストが苦手な人はスピニングリールを選ぶのも一つです。
スピニングリールの場合は、アワセ時にベールが破損する可能性があるので、頑丈なものを選びましょう。
金属素材が多く使用されているものは巻き上げ負荷も減り、快適です。
両軸リールを選択する場合は、メカニカルブレーキ以外の遠心力やマグネット等の補助ブレーキがあるモデルがオススメです。
スミイカは基本的に底を狙う釣りのためICカウンター機能は不要です。
秋のスミイカは「中ノ瀬」など浅めのポイントが多いですが、冬場のスミイカは「浦賀航路」「下浦沖」など水深80m前後まで狙うため、ラインの巻き量が足らないと釣りになりません。
高切れや道糸同士のオマツリなどのライントラブルに備えて200mは巻いておきましょう。
冬場はとくに回収スピードの速いハイギアタイプがオススメです。
深場から大型のスミイカを快適に巻き上げたり、回収負荷を減らすためにパワーハンドルモデルを選ぶとさらに快適。
ハイギアタイプはスミイカが乗った際の巻きアワセ率にもつながります。
剛性という点で、金属一体成型のリールが適しています。
遠心ブレーキ(シマノSVS)やマグネットブレーキ付きのモデルを選ぶとバックラッシュによるトラブルも軽減できます。
バランサーなしのパワーハンドルリールの場合、クラッチ戻りが起きやすくトラブルに気を付けましょう。
<オススメのリール>
▼テンヤスミイカでは特にシマノのリール、オシアコンクエスト200HGやカルカッタやカルカッタコンクエストの使用率が異常に高い、キャストが苦手な人や向かい風対策ではカルカッタコンクエストDCという選択肢も
▼キャストをあまりしないスタイルであればグラップラーBB150HGもおすすめ。ハイギアで剛性もバッチリ
▼カルカッタやカルカッタコンクエストはもともとブラックバス釣りを想定したリール。ハンドル長が短いので、「夢屋 パワーバランスハンドル 65mm」やゴメクサスにハンドル交換をすることで、さらにソルトでの巻き上げが快適になる
▼ダイワのリールではバサラやフネXT150Hがおすすめ!
PE1.5号~2.0号、リーダーは4号がおすすめ
PE1号から1.5号は些細な傷でも高切れリスクが高まる
テンヤスミイカの道糸はPE1.5号~2.0号がおすすめです。
1号以下にすることで潮受けは減らせますが、大型のスミイカやモンゴウイカがテンヤに乗った場合、合わせ時に高切れすることが増えてきます。
基本は1.5号と考えておきましょう。
ドラグを出して楽しむ釣りではなく、ヒット時に衝撃を釣趣として楽しむ釣りです。
おそるおそる釣るよりは、衝撃に耐えられる構成でしっかり釣るのが一番です。
PE2号を選ぶと高切れをさらに減らすことができ、バックラッシュからの修復も素早くなります。
3号以上は潮受けによるトラブルが増えるので避けましょう。
また、キャストを多用する釣りのためPEラインをテンヤに直結してキャストミスをすると高切れ率も上がります。
フロロカーボン4号~5号のリーダーを1~1.5m先糸としてつけておきましょう。
釣り場の傾向として、砂泥底がメインで根がかりによる高切れは少なく、根ずれはあまり考慮する必要はありません。
リーダー結束部分のガイド抜けを考えると4号がおすすめです。
▼PE1.5号にリーダー4号が潮受けもしづらく、高切れも少ないのでオススメ。8本編みラインを使うことでキャスト飛距離も伸び、さらに潮受けしにくくなる。しなやかさと結び目の強さという点でシーガーグランドマックスFXも人気
▼テンヤスミイカに適したリールをより詳しく解説!
仕掛けはテンヤで、エサは生きたシャコかサイマキ
基本活きシャコを使うが、仕入れ不足の場合、冷凍品やサイマキ餌の場合もある
テンヤスミイカの釣りエサは活きたシャコが定番です。
近年東京湾をはじめシャコの漁獲量が激減しています。シャコの調達状況によっては冷凍品が配られることもあります。
また、サイマキ餌(クルマエビの幼体)を使用することも増えてきました。
乗合船では乗船料に5匹程度のシャコやサイマキがついてくることが一般的で、餌の追加は有料です(1尾100円程度)。
エサの選別では、テンヤのサイズにあったシャコやサイマキを選びましょう。
シャコは脱皮等によって殻が柔らかいものがあります。
特に頭胸部が柔らかいとゴムで固定しづらく、崩れてテンヤから脱落しやすいので避けましょう。
死にたてであれば問題ないですが、死んで時間がたっている個体は身が緩んでいるので縛り方に工夫が必要です。
爪がもげていない個体のほうが竹串上でしっかり止めやすいことも覚えておきましょう。
ちなみに大型のシャコより小型のほうがシャクリ負荷が減り、より少ない力でしゃくれます。
両目がそろっている個体のほうが濁り潮でのアピール力が高まるとされます。d
スミイカの釣りではそれほどシャコを消耗することはありません。
水温が高い秋から初冬はサバフグなどによる攻撃をうけることがありますが、厳冬期に入るとフグの影響は少なくなります。
テンヤを底上で放置せず、一定間隔でシャクリをいれておけば、シャコはスミイカにあまりかじられないため、1匹のシャコで複数杯のスミイカを釣ることが可能です。
また、フグやスミイカにシャコがかじられたとしても、多少のくずれであればそのまま釣り続けても問題なくスミイカはテンヤに乗ります。
それほど神経質にならなくてもよいと覚えておきましょう。
<シャコのつけ方>
シャコの尾は尖っているので注意。尾を指で押さえて固定しよう
シャコを背中側から尾を丸めて押さえるようにしてつかみます。強力なシャコパンチがあるので気をつけましょう。
不安な人はあらかじめシャコの爪(カマ状の部分)をハサミで切り取ると安心。
尾の棘もすべてカットしてしまうと、怪我が減ります。
苦手な人は尾の棘もカットしてしまうと安心
尾の先端部分にハサミで「V」字の切れ込みを入れます。
これはテンヤの竹串がスムーズに入るようにするためです。シャコのサイズがテンヤに対して大きすぎる場合は尾を水平に切って詰めるのも一つ。
シャコの頭部(眼の下)までゆっくり刺しましょう
V字の切れ込み部分にテンヤの竹串部分を刺し、シャコの眼下までゆっくりまっすぐに刺していきます。すっと竹串が入ります。
眼下まで竹串が入ると生きているシャコの場合、両目がピンと立ちアピール力が上がります。
※竹串に対してシャコが大きい場合、竹串をハサミで切るか、シャコの尾をカットして装餌
シャコテンヤの完成図。両目が立っているのがベストとされる
テンヤの土台部分にシャコの脚部分を乗せ、輪ゴムでシャコの頭部を固定します。
この時、頭部と尾部分の付け根に輪ゴムが巻かれると頭部がすぐに外れてしまうので注意しましょう。
※シャコに串を刺す際に、ハサミを使わないと体液が抜ける速度が下がり、シャコがシャキッとした状態が長く続きます。
※輪ゴムは1個付けするより、2個を結んでしばったほうが余裕をもってやさしく巻けます。特に冷凍シャコやサイマキの場合
<サイマキのつけ方>
サイマキの装着例。頭がつぶれやすいため輪ゴム固定をシャコの70%程度にしておく
サイマキはシャコと比較して筒型なので沈下速度は上がるものの、スミイカの乗りはさほど変わりません。
サイマキをテンヤに装着する方法は以下の通り。
- 角の先と尾羽中心の棘をハサミでカット
- 尾羽中心下からまっすぐ角の付け根まで串を刺す
- 頭部をまんべんなく輪ゴムで巻く。尾側と頭胸部の付け根が浮く場合、輪ゴムを腹部側にずらす(頭胸部内で)
- 上からみて串と平行になっていれば完成。横に倒れたら、そのまま指をつかってまっすぐにして使用
サイマキの頭胸部や尾羽中心には棘があります。
素手で串を押し込むと、手の皮が薄い人は怪我をしがち。グローブをするか、タオル等でつかむのがおすすめ。
角の先と尾羽中心の棘をカットするのも怪我防止のためです。
サイマキの集魚力はシャコと変わりがないのですが、棒状のため、平べったいシャコより横倒しになりやすいデメリットがあります。
ずれていてもスミイカは乗るのですが、心理的に気になる場合、発見したら都度直しましょう。
また、一か所にゴムを巻くと頭胸部が取れやすいので、まんべんなく固定していくのがコツです。
サイマキもまっすぐになっているか確認。尾が横にずれていたら指で補正
<テンヤの針について>
テンヤの針は化学研磨ではなく、新品で購入したばかりでも針先が甘いことがほとんどです。
ハリ先を親指の爪の上に垂直に立ててみましょう。
滑ってしまう場合、甘いので研磨が必要です。
針先がつぶれたり、折れていたり、丸くなっているものはシャープナーをつかって研ぎましょう。
釣行前に研いでおくことをおすすめします。フッキング率があがり、掛け損ないやバレることも少なくなります。
また、スミイカや魚を掛け損なったり、根がかりによっても針先は甘くなりますし、ハリも開いてしまいます。
随時メンテナンスしましょう。
研磨した針はさびやすくなるためメンテナンスに注意が必要
テンヤは複数個餌付しておき、夜光塗料の光が落ちるころに交換する
しばしばフグにかじられるが、一部なら問題なくイカは乗ります。写真、下から2番目以外は問題なし
▼シャープナーは必須
<サイマキのズレや餌の崩れについて>
▼サイマキ餌は乗り具合はほぼ変わらないのですが、竹串上でズレやすく、テンヤスミイカの餌としては不人気です。また、シャコ餌でもフグにやられて崩れると釣れない気がしてくるものです。餌に不安を覚えると、メンタルに影響を受け、シャクリが不安定になることもしばしば。メンタルが弱い人ほど、餌は頻繁に交換しましょう。
テンヤスミイカでは、シャコやサイマキの崩れで自らメンタルを追い込みやられてしまう人もいます。
「この餌で釣れるだろうか」
→こうなったら餌を変えましょう。疑心暗鬼からしゃくりに迷いが生じます。
が、実際は崩れてしまった餌でもイカは乗ります。重要なのはメンタルです。 pic.twitter.com/8YX4IXy23r
— ひらっさん@ORETSURI (@tsuyoshi_hirata) December 28, 2022
▼実際は多少餌が崩れていても、イカの乗りは変わりません。サバフグが多いシーズン初期など崩れた餌を集めたような餌(ORETSURIでは「キメラ餌」と呼ぶ)でも十分スミイカは乗ります。テンヤのスミイカではシャコ餌の尾を切って豚の油を噛ませる方法なども昔にはあり、あまり神経質にならなくてもよいです。
サイマキの尾部分を重ねたキメラ餌
シャコの尾を継ぎ足したキメラ餌
サバフグにかじられたサイマキを継ぎ足したキメラ餌
▼テンヤは秋は20号、1月~3月は25号が基本。25号はオールシーズン使用可能。深場や早潮時は30号があると慣れない場合も着底判断がしやすい。浅場で潮がきいてないときは15号も有効。色は「夜光白」か「緑」があればOK。高切れもちらほらある釣りなので複数用意したい。
スッテをつけるとアピール力が上がる
スミイカに有効なスッテの色はピンク・オレンジ・レッドヘッドが人気。潮によって緑や青を使う人も
テンヤスミイカでは、テンヤの上45㎝程度に親子サルカンで枝スを10㎝ほど出しスッテを装着する方法が知られています。
特に以下の場合に効果的です。メリット・デメリットと合わせて覚えておきましょう。
スッテをつかわないでテンヤのみで楽しむ玄人も多いのですが、コンスタントに釣る人ほど、釣況に応じてスッテを装着し釣果を増やしています。
<スッテが効果的なシチュエーション>
- シーズン初期に小型のスミイカを狙う場合(好奇心が強くスレていない)
- 潮が流れてスッテが程よく揺れる場合
- スミイカが浮いている場合(明らかにスッテをつけている人へアタリが出ている<テンヤにヒットしている場合も>)
- モンゴウイカを狙う場合(スミイカよりさらに獰猛でスッテへの反応がよい)
<スッテをつけるメリット>
- スミイカがスッテに乗ることがある(テンヤとスッテ同時のダブルヒットも狙える)
- スミイカがスッテの色や動きに寄る(結果的にスッテではなくシャコに乗る場合も多い)
- テンヤに乗りにくいマルイカ(ケンサキイカ)も乗せやすくボウズ逃れによい
- スッテの浮力によってテンヤの沈下速度が自然とゆっくりになる
- 稀にテンヤとスッテにダブルヒットする可能性がある
<スッテをつけるデメリット>
- スッテが潮受けするため深場の釣りや潮が速いときには底とりしにくい
- 潮受けによりオマツリが増える
- 複雑にオマツリしやすくなり、手返しが悪化する
- スッテとテンヤが手前マツリしやすくなる(枝スの間隔にもよる)
- シャクリ負荷が強くなり(特に深場)、自然とシャクリに力が入り雑になり、結果テンヤが底から離れすぎてしまう
- シャクリ感が重くなってしまう(釣趣を損ねる。小型のスッテをつかうことで軽減できます。ウルトラスッテの場合はSサイズ)
- リーダー部分が長くなるためキャストしにくくなる
テンヤ&スッテの場合、ごくまれにダブルヒットがあることも
<スッテリーダーの仕様>
フロロ4号or5号で、枝ス5~15cm。下糸(先端にテンヤを装着)が40㎝~50㎝。
スッテの位置とテンヤが離れすぎると、スッテに乗りづらくなり、テンヤとの相乗効果が低下します。
枝スは極小親子サルカンで止めると便利。
人によっては親子サルカンを使うと食いが落ちると考え、ラインを直結したり中通しビーズを使用することもありますが、釣果への影響はほぼありません。
スッテのダウンショットリグのように、枝スを長くすることでスッテはより自然に動くようになりますが、手前マツリしやすくなります。
スッテリーダーはキャストの際にテンヤやシャコとぶつかることもあり、いつの間にか傷がついていることも。
都度傷の有無を確認すると、ハリス切れを防げます。
またシロサバフグにかじられることも多く、テンヤやサルカン周辺の傷は常にチェックしましょう。
<スッテ利用時の注意点>
スッテにスミイカが乗った場合、墨が付着することがあります。
どのイカでもそうですが、イカは墨に対して警戒するため抱きが悪くなるとされます。
スッテが墨によって汚れたら、歯ブラシ等でキレイにしてあげましょう。
▼スッテはヨーヅリのウルトラスッテ布巻とウルトラスッテDXシリーズがオススメ。10月11月の初期はSサイズ。12月以降の後期はMサイズがオススメ。ハリは大型ほどM2タイプがバレがすくない。Y2の場合、モンゴウイカがヒットすると伸ばされることも。カラーは、ピンク、オレンジが人気。レッドヘッドはとくに浦賀航路・下浦沖の深場で効果大とされる
▼ヤマシタの水平ドロッパーも人気
▼スッテはヨーヅリのウルトラスッテがオススメ。10月11月の初期はSサイズ。12月以降の後期はMサイズがオススメ。ハリは大型ほどM2タイプがバレがすくない。Y2の場合、モンゴウイカがヒットすると伸ばされることも。カラーは、ピンク、オレンジが人気。レッドヘッドはとくに浦賀航路・下浦沖の深場で効果大とされる
テンヤスミイカの釣り方
スミイカ竿の持ち方とシャクリ方
テンヤスミイカ独特の構え方をマスターしよう
テンヤ用スミイカ竿は全長が210~240㎝程度と長く、重めなのが特徴です。
テンヤスミイカはシャクリを繰りかえす釣りのため、負荷を減らしながら動作を繰り返すために、ロッドの持ち方が他の釣り物と異なります。
写真のように、竿尻を利き腕と反対側の腰部分にためるようキープします。
また、シャクリの際は竿のバッド部分からガイド手前部分をもって行いましょう。
この釣りでは構えの都合上、右利きならば右巻きリールがオススメです。
テンヤスミイカ海底イメージ図
<テンヤスミイカの釣り方とコツ>
- 潮上側への下手投げで30m程度キャスト。穂先に道糸が絡んでいると折れるので注意。着水と同時にサミング。その後フォール
- 着底後、糸ふけを出しつつ、竿は時計の針で10時~11時の斜め上角度を維持。下げ過ぎるとPEラインが引っ張られテンヤが移動してしまう
- 8~9時ぐらいまで竿先を下げながらラインを巻き取り、シャコが海底で跳ねるイメージをもって、10時~11時まで鋭くしゃくる。活性によって初速を下げたしゃくりが効果的なこともある
- しゃくって跳ね上げた位置(10時~11時)で1、2秒止めてから、海底まで糸を張らず緩めずでテンヤをゆっくり沈める。シャコが潮に乗ってふわりとフォールしていくイメージ。この時フォールスピードを測定し、シャクリ幅を調整する
- 着底後は5~10秒程度カウントしてまたシャクる(スミイカが抱き着く間をはかる)タコと違って、ずっとテンヤを抱いていないので注意
- しゃくった際にスミイカが抱きついていれば「ドスン!(ズシン!)」と手ごたえがあるので、すかさず追い合わせを鋭く入れる(2段アワセか、リール高速巻きアワセか、その両方)
- 竿先を下げたり、ポンピングせず、水平よりやや上に竿先を上げ、一定のテンションでゆっくりリールを巻き上げる(ポンピングは身切れ等の原因)
- 海面までテンヤを巻きあげ、竿先を上げ、ラインにテンションをかけたまま海面で墨を吐かせ、針のかかり具合を確認。海面から完全に浮かせるとバレやすいので注意
- 針がかりが胴部分や頭部などしっかりしていれば抜き上げる。脚部分に1本など針がかりが浅い場合は「たも網」をつかう
- 船べりでテンヤをつかみスミイカの頭部付け根を背中側からしっかり握るようにつかむと墨を吐かれづらい。(スッテに乗っている場合はスッテをつかむ)
- 腹側を自分や隣の釣り座のほうにむけると墨をはかれるので注意。腹は海側にむけておく
- 海面で墨を吐きながらばれてしまった場合、墨が濃いエリアをタモですくうと回収できることもある
- 釣り上げたスミイカは海水が入っていないバケツに腹を下側にしてやさしく置くようにいれる。締めは不要。締める場合バケツの中で行うと墨が散りにくい
- バケツ内で保冷する場合は締めてから海水+ペットボトル氷だと身が白くなりにくい
- 胴体先端に尖った個所があり、この部分を船べりでたたいておくと、ジップロックなどが破けることがなくなる(船べりでたたくことが禁止の場合、ハサミでカット)
※12月から3月までのスミイカやモンゴウイカはサイズが大きく、抱き着く力が強いため、ソフトなしゃくりだけではバレやすくなります。乗った状態で2段アワセをいれることや、ハイギアリールでの巻あわせなどを併用し、イカを針部分までずらしてしっかりフッキングするのがポイントです。
※基本的にタコ釣りのようにテンヤで海底を小突くことはしません。ベテランの釣り人が竿先を動かしているのは道糸のハリを確認しているだけなので真似をしないようにしましょう
※投げられない人は無理して投げないで船下を丁寧にしゃくりましょう。誰かが寄せたイカを狙うことができます。また2枚潮が強い場合は投げるとほとんどテンヤを動かせないこともあります。その場合も投げないほうが釣れます
投げられる人はキャストしたほうが広く探れる。下手投げor釣り座や人数によりサイド気味のキャスト
しゃくる際はバット側ガイド下付近に手を添えると掛け漏れが少なくなり疲労も少ない
ヒット時はバットに添えた手で竿を起こし針をフッキングさせる
すかさずバットに添えた手をリールのハンドルへ移動し巻く
4回ほど高速巻きして追いあわせを入れる。ハイギアのリールが有利
その後、竿を水平もしくはやや立てて等速巻き。ゴリ巻きは身切れするので厳禁(特に深場やシーズン後期)
スミイカの漏斗部分を海面上に出して海水と墨を吐かせる。竿を短く持ち、立てて取り込む。巻きすぎ注意
スミイカが、かかっている道具をつかむ。テンヤはテンヤ、スッテはスッテ
スミイカが、かかっている道具を持ち、もう一方の手で胴体付け根(目の後ろ)をしっかりつかむと墨を吐けない
勢いがあるイカは、漏斗を海側に向けておくと墨をかぶらないし、他人にも迷惑をかけない
海水を入れていないバケツにそっと「置く」ように入れる。絶対に投げない
▼筆者のシャクリフォーム
テンヤスミイカはこんな釣りです。
シャクリは人それぞれ違ったり。 pic.twitter.com/jMinPeaW3N— 平田剛士|ORETSURI(俺釣) (@tsuyoshi_hirata) November 29, 2020
▼スミイカのヒットシーン
東京湾・最大級スミイカのヒットシーン⚡ pic.twitter.com/Q7GiQ4BniD
— ひらっさん@ORETSURI (@tsuyoshi_hirata) March 2, 2022
※詳細な釣り方・実釣動画は記事末にあります!
<ベテランがやっているテンヤスミイカのコツ>
- 何が何でも投げることをしない(極端な二枚潮、深場では投げないで船下を丁寧に探ったほうが良いことも)
- 船下をしゃくるときはよりゆっくりフォールさせる(道糸の角度から潮受けが変わり、船下は沈下速度が上がるため)
- 中ノ瀬など浅場では20号未満のテンヤをつかいフォールスピードをよりスローにする(特に底潮が流れていない場合)
- 浅場では穂先柔らかめの竿をつかいテンヤの初速と跳ねる高さを調整する
- ソフトなシャクリでよく乗る日は穂先柔らかめの竿をつかい、ソフトシャクリ後、追いあわせで掛けていく
- 遠距離をしゃくるときは竿を12時程度まで立てるようにして10時から12時手前までしゃくる
- 船下、反対舷に道糸が入る場合は海面から水平程度までしゃくる。アワセ漏れが増えるので特に追いあわせに注意
- 夜光塗料付きのテンヤはあらかじめ複数餌をつけておき、一定投数で付け替えるようにする
船下にスミイカがいないこともあります。
キャストは釣り座、釣り客の間隔、潮、風の様子によっては控えたほうがよいのですが、投げることで広く探れます。
カーブフォール時により多くのスミイカにアピールできますし、シャクリった後のフォール速度も下げることができます。
また着底してから潮や船の移動により、手前にテンヤが引き寄せられる間にもアピールすることができるため、釣果をさらに上げるためには必須です。
シャコの活餌がついているとはいえ、巨大なフックやヘッド部分などスミイカが抱き着いたときに違和感を持つ要素があります。
アタリが一向にないように思えても、着底時に一度テンヤに抱き着いたスミイカが離れてしまっているのかもしれません。
あまりにもしゃくってアタリが出ない場合は、ステイ時間を短くし、しゃくるタイミングを速めると釣果につながることもあると覚えておきましょう。
カウントは一定速度で行うことで、タイミングが判断しやすくなります。
また、ステイ時間が短すぎる場合に「寄せてきたスミイカが抱く前にテンヤが動いてしまっている」ということもあります。
特に低活性時や2~3月ごろのシーズン後期ではステイ時間を長くとるのが有効な場合もしばしば。
一向にスミイカが乗らない場合は10~30秒ほど底上でステイさせてみましょう。
どのシャクリ角度・間隔・ステイ時間が正しいかは、毎日毎時異なります。
その時々にあった釣り方を探すのがテンヤスミイカ釣りの醍醐味です。
▼スミイカはこのように海底に生息しています。基本的に底から離れすぎると釣れないため、着底後は50㎝以内を意識しましょう。活性が高い個体は浮いており、時化後などは底上でじっとしていることもあります。
スミイカは海底から50㎝程を浮いているか、海底に張り付いて擬態している
▼スミイカの仲間のシリヤケイカがエギを捕食する動画。海底からはねたテンヤにイカが襲い掛かるイメージを焼き付けておきましょう。一旦エギに抱き着いても、見切って放すところがポイント。また一旦エギを放しても再度襲いかかるのが特徴。
▼釣りあげたスミイカはいったん海水の入っていないバケツにいれ、沖上がり時に専用スカリにいれて船べりから出して墨を洗うのが一般的。スカリがなくてもバケツにホースの海水で洗い流すのもOK。各船宿のルールを聞いておきましょう。スカリがあるとイカにふれずにクーラーボックスにしまって帰ることもできるので便利
状況に応じたシャクリ方
テンヤスミイカは終日シャクリを入れる釣りですが、道具立てやほぼ優劣が変わらない釣り座でも、シャクリ方によって釣果の差が出る釣りものです。
重要なのは、テンヤが動く幅と、シャクリ後にテンヤが着底するまでの間です。
カウントしながら試行錯誤してみましょう。
- 浅場:より丁寧に狭くシャクル(9時~10時の間など)
- 深場:やや強めにより広くシャクル。(8時~11時の間など)しゃくる前に道糸を張って着底を確認するのが大切
- 投げた場合:竿を立て、道糸を張ってからより広くシャクル。PEラインのたるみがでやすい。上にシャクルというよりも手前にテンヤを寄せるイメージ
- 船下を狙う場合:より狭くシャクル。道糸が立っているときは、テンヤが浮き上がりすぎないようにする
- 風波で船が上下するとき:道糸をしっかりたるませてステイさせ、つぎにしっかり道糸を張ってからシャクル。
尚、腕力や瞬発力がない場合、竿先を水平以下まで下げてから水平までしゃくる(例7時、8時から9時までしゃくる)と、スミイカのノリに合わせきれないことが増えます。
また、しっかりとしたスリーフィンガーでのパーミングができていない場合、アタリの衝撃に竿を落とす可能性も高まるので注意しましょう。
▼スミイカは餌の頭部背側付近に口が行くように捕食します。テンヤの場合、針部分の上に覆いかぶさるというよりも、頭部付近に抱き着いてくると考えましょう。大型のスミイカは脚でつかむ力が強く、しっかりとした強い追いアワセをしないと、ハリがかりせず抜けてしまいます。活性によってはフッキングしないでイカが抱き着いているだけの状態で海面までくることも。これを「抱っこ」とも呼びます。
テンヤスミイカにおける釣り座の優劣
テンヤスミイカは明確に釣り座の優劣がでる釣り物です。
冬の東京湾を想定した場合、以下の傾向にあります。
- 大トモ(船尾側):北風下げ潮時は有利。それ以外も落とす筋を広く変えられるため有利。潮が弱いときも北風流しになることが多く有利
- ミヨシ(船首側・お立ち台):北風上げ潮時に有利。それ以外も投げる範囲が広く有利
基本的に4隅はサイドハンドでのキャストをしやすくなり、狙える筋が増えるので釣果が伸びます。
また、「潮先」と呼ばれる、船が流れていく方向の釣り座をキープできれば、その他の釣り座の2倍~3倍は釣りあげられるはずです。
潮流や船の動きによって以下のように攻めてみましょう。
- 道糸が船下に入っていくとき:キャストして広く探る
- 道糸が船から離れていくとき:キャストしてもテンヤを引きずってしまい、手前に動かせないので、船下を丁寧に探る。軽めのテンヤであれば号数を増して船下を狙いつづける
- 投げてしゃくった時に着底まで間がないとき:極端な二枚潮で道糸にたるみがあるため、うまくしゃくれていない状態。無理せず、船下を丁寧に探る
スミイカの個体数が少ない年は潮先で釣られると、なかなか釣果を得られないこともしばしば。
そんなときは、釣り座や釣況にあった攻め方をすることが必要です。
テンヤスミイカでボウズを逃れたい人へ
信じてしゃくればいつか会える。それがテンヤスミイカという釣りです
テンヤスミイカをはじめると必ずや経験するのが、ボウズ。
特に個体数が少ないシーズンで潮先に名手が座ると、やる気のあるイカをすべて拾われてしまいます。
「もしかして今日はヤバいかもな」に備えて、以下の点を心がけておくと、きっとうれしい一杯につながるはずです。
- 前日は良く寝る(1日中しゃくり続けるので体力が必要です。精神面にも重要)
- テンヤやスッテはシャープナーでよく研いでおき、当日も都度メンテナンスする
- 投げられる人は遠投する(テンヤが引っ張られる潮や2枚潮のとき以外)
- 投げられないのであれば船下をとにかく丁寧に探る(他の人が寄せてきたイカが必ずいます)
- 肩の力を抜く。バットをささえる手で力まず添えるだけにする
- 「シュ!」という強いシャクリより「フワッ」とした優しいシャクリを心がける(シーズン初期浅場&終盤戦)
- 信頼できる餌、テンヤ、スッテを使い続ける(不安要素をなくして精神を安定させる)
- 他の人が釣ったら特に集中する
- ノリを待つ間、竿先を海面に対して45度をキープ(特に後半戦)
- 誰も釣れてないときに力まない(食事やお茶・トイレ休憩がおすすめ→集中力の持続につながります)
- 慣れてないときはスッテをつける(着底感がわからない場合、シャクリで力んでしまう場合はテンヤ単体にする)
- 釣れている人の仕掛けとシャクリを完コピする(オモリ号数・スッテリーダーの間隔)
仕掛けや餌で問題なければ、だいたい釣れない理由はシャクリです。
力みすぎて、テンヤが底上を激しく1m前後上下移動していたり。
自分だけフグのアタリもでなかったら、シャクリを丁寧にしましょう。
スミイカの締め方と持ち帰り方
釣り船でのスミイカを釣った後は以下のような選択肢があります。
- 一旦、水をいれないバケツにためておき、沖上がり時に海水で墨を洗い流してからクーラーに入れる(水を中途半端に入れると墨を吐く)
- すぐに締めてからクーラーにしまう(ジップロックに入れ、氷や水に直接あてない)
- バケツに水をためて活かしておき、沖上がり時に締める
1が一般的で手返しに優れますが、秋シーズンなど気温が高い時は鮮度劣化の恐れがあります。
ペットボトル氷などをあてる人もいますが、接地面しか冷えないためあまり効果的ではありません。
2は鮮度を活かせますが、手返しが悪く、墨が大量に絡んだ状態で持ち帰ることになります。
3は船によっては禁止行為になる可能性があるため、船長に確認してから行いましょう。バケツの水量が極端に少ないと吐き出した墨が飛散するリスクがあります。
それぞれ、ジップロックや袋類に入れて持ち帰る際は、スミイカの甲端にある突起をハサミできったり、船べりでたたいてからしまいます。
船によっては、船べりでたたく行為が禁止されているので船長に確認しておきましょう。
クーラーにスミイカを入れる際は、氷や海水に直接当てず、袋などに密封して持ち帰りましょう。
真冬に持ち帰り時間が短い場合は、氷も最小限で問題ありません。
▼1分で分かるスミイカ(コウイカ)の締め方
一見地味なスミイカ釣りの魅力はどこにあるのか?
真冬のテンヤスミイカは苦行。だけど、ヒットするとこの笑顔
テンヤスミイカ釣りは時に「真冬の苦行」とも呼ばれます。
地味な釣りですが、いざ「ドスン!」「ガツン!」というアタリがでると、思わず脳に電撃が走り、巻き上げる時には笑ってしまうような魅力があります。
ちなみにスミイカは魚のように引きません。
マダコ同様、海底から釣り上げる時は水がはいったビニール袋を巻いているような感覚です。
大型のスミイカやモンゴウイカには引きがあるのですが、テンヤスミイカ釣り全般として引き味を楽しむ釣り物ではありません。
修行僧のようにシャクリを繰り返した先にいつかやってくる「ドスン!」という強烈なアタリが面白いものと覚えておきましょう。
精神力・集中力を試される釣り。へたって座るとまず釣れない(当たってもかけきれない)
シーズンや湧き具合にもよりますが、10杯釣れば名人級で、初心者はボウズを経験することもしばしば。
寒い季節の釣り物でもあり、1日船で一切アタリがでないなか、シャクリを繰り返さなくてはいけないストイックな釣りでもあります。
スミイカは食味も抜群!冷凍保存もできる!
釣りたてのスミイカは歯ごたえがあります。
下処理後に~4日冷蔵庫で寝かせることにより、ねっとりした身質に甘味が出てきます。
すぐに料理できない場合は、丸のままもしくは、下処理をしてから部位ごとに冷凍しておくとよいでしょう。
面倒な場合は甲だけ抜いてから冷凍すると、冷凍庫の省スペース化もはかれます。
冷凍前のスミイカ。胴体・内臓・ゲソ&頭部でわけておくと便利
スミイカの刺身。寝かせたものはねっとりとした食感に甘味がたまらない
スミイカのゲソをコチュジャンやごま油等で和えたもの。実に美味
スミイカの天ぷら。天つゆの前に塩とレモンで食べると甘みがたまらない
スミイカのエンペラの塩ニンニク炒め
スミイカと餌につかったシャコのチゲ
テンヤスミイカ釣りのゲスト
テンヤスミイカ釣りで出会うゲストは以下の通りです。
イカ(モンゴウイカ・シリヤケイカ・マルイカ<ケンサキイカ>)
スミイカはシリヤケイカとよく似ていますが、生息域等が異なります。
東京湾では中ノ瀬北部でよく釣れます。
シリヤケイカはゴマイカとも呼ばれ背部分が白い斑点状。船釣りではマゴチのサイマキ釣りのゲストとして釣れることがしばしば
- シリヤケイカは産卵期に湾奥(川崎より以北の湾内)まで多く群れが展開する。スミイカは産卵期に横浜以南へ多く展開
- シリヤケイカは胴端部分から褐色の液体を出すがスミイカは出さない
- シリヤケイカの胴端部には突起がないが、スミイカには存在する
- 色味と柄が異なる。シリヤケイカは多くの個体で白と茶褐色のまだら
- 食味は旨みや食感等でスミイカが上とされる。スミイカは加熱調理をすすめる釣り人が多い
- 乗合船で「シリヤケイカ」は暗黙の了解で釣果に計上されない
シリヤケイカは釣りあげると茶褐色の液体を分泌する
シリヤケイカは胴体端にある穴から茶褐色の液を分泌
モンゴウイカ。大型で発光する緑の縁取りと唇状の紋様が特徴
こちらは、モンゴウイカ(標準和名「カミナリイカ」)です。
スミイカとの違いは以下の通り。
- モンゴウイカは平均サイズがスミイカより大きい。最大で2キロほどに成長
- 背中の紋様が唇状(紋が甲にあるからモンゴウ)
- ヒレと胴体の境が緑色に光る
- スミイカより獰猛で餌を離しにくい
- 乗合船で「モンゴウイカ」は釣果数に計上されがち
- 重量感ある釣り味はコウイカより上だが、釣果としての評価は「コウイカ」の下にある傾向
- アフリカ、中東産のトラフコウイカと食味が混同されがちだが、東京湾のモンゴウイカはスミイカ同様に美味
アオリイカ。秋シーズンに浅場でスッテ側にヒットしやすい
マルイカ(ケンサキイカ)。深場でスッテにヒットしやすい
カワハギ
釣れるとうれしいカワハギ。
秋冬は肝パンともよばれ、肝醤油の刺身が美味しいシーズン。
下浦や竹岡付近の水深30m程度までのつぶ根混じりのエリアで、底上ステイ時間3秒以内の比較的早いインターバルでシャクっているとヒットしやすい魚です。
まわりでカワハギが釣れていたら、着底後のステイ時間を3秒以内にして鋭くシャクリってみましょう。
尺サイズに近いカワハギがヒットすることも。
タコ(スナダコ・テナガダコ・マダコなど)
着底時間が長かったり、底上をテンヤで小突いたりズル引くとタコがヒットしやすくなります。
浅場の場合はスナダコやマダコが、深場ではテナガダコがヒットします。
マダコ以外も食味は美味なのでぜひ食べてみましょう。スナダコはおでんがオススメです。
エイ(ガンギエイ・アカエイ・ツバクロエイなど)やサメ(ドチザメ・ホシザメ)
ガツン!と合わせたらリールを巻けないくらいの重量。
この場合はだいたいエイかサメです。
ほかの釣り人とオマツリになり、高切れを招く可能性もあるので、注意が必要です。
ドラグをフルロックで巻き上げましょう。エイの尾にある毒棘に注意です。
フグ(シロサバフグ・ショウサイフグ・アカメフグ)
シロサバフグ(水温が高めの場合、真冬でもかなり群れている)
アカメことヒガンフグ(浅場の根周りに多い。比較的、八景~横須賀側に多い)
ショウサイフグ。浅場の砂地に多い。特に千葉側
トラフグ。釣れるとうれしいゲスト
スミイカの釣りでは、フグも多くヒットします。
餌を食べ崩してしまうことから船内に放置する人もいますが、不要な場合は速やかに逃がしてあげるのもマナーです。
死んだフグが隣の釣り座から流れてくるのは、気分がよいものではありません。
フグ類を調理する際は免許を有する船長に相談するか、フグ料理店に相談の上持ち込むのも一つです。
スミイカ船が出ている船宿
東京湾の湾奥地域(東京・千葉)から横浜~横須賀付近までの船宿から多くの船宿が出船しています。
船宿によって釣法が異なるので予約時に確認しておきましょう。
基本的に餌を使用しない船宿でテンヤはできないのですが、餌持参であれば可能な場合があります。
また生き餌以外に冷凍餌の準備がある船宿もあります。
<横浜エリア>
- 新明丸
- 根岸丸
- 濱生丸(テンヤと専用竿の販売あり)
- 隠居屋(スッテのみ)
- 一之瀬丸(テンヤの販売あり)
- 三喜丸(比較的終盤まで出船)
- 弁天屋(中ノ瀬シーズン初期。エギ&スッテ・シャコ在庫がある場合もあり、テンヤも可)
- 野毛屋(エギ、年度による)
- 久保弘丸(仕立てのみ)
<横須賀エリア>
※釣況やシーズンによって出船が決まるため要確認。餌の有無によってスッテ&エギ船や出船中止になる船宿も。
東京・神奈川でスミイカ関連釣具が充実している釣具店一覧
スミイカ関連の竿、テンヤ、スッテなどは量販店では品数が少ないのが現状です。
東京・神奈川でスミイカ釣りに使える道具が手に入るショップは以下の通り。
<東京エリア>
- 浅草釣具( 東京都台東区入谷1-2-2) スッテ、テンヤ、オモリ、テンヤスミイカ竿あり※特に仕掛け類が安価 通販アリ(自社サイト)
- 玉屋釣具店(東京都調布市菊野台1-18-1)スッテ、テンヤ、オモリあり 通販アリ(自社サイト)
- 照楽園(東京都杉並区上荻1-18-12)テンヤ、オモリ、テンヤスミイカ竿あり 通販アリ(自社サイト)
<神奈川エリア>
- アークス根岸店(神奈川県横浜市中区根岸町1-1)スッテ(種類が多い)、テンヤ、オモリ、テンヤスミイカ竿あり 通販アリ(ヤフーショッピング・楽天市場)
- 釣具のヤギタ(神奈川県横須賀市佐原5-21-)スッテ、テンヤ、オモリあり ※特に仕掛け類が安価 店舗販売のみ
まとめ
今回は秋から早春にかけて東京湾で人気の「スミイカ」をテンヤで狙うときのノウハウを紹介しました。
敷居が高いと思われている伝統釣法「テンヤスミイカ」ですが、一度経験してしまえば、あとは慣れです。
最初は竿やリールもレンタルしてしまうとお手軽。
テンヤやスッテだけ複数用意してきましょう。
熱狂的なファンが多いテンヤスミイカをぜひ体験してみてください!
関連アイテム
テンヤスミイカ専用竿は釣り船でレンタルも可能。最初は借りてしまいましょう。
最低限シャコの尾をカットするはさみと、イカを持ち帰るためのジップロックとクーラーボックスがあれば挑戦できます。
クーラーボックスも10Lより小さくても大丈夫。手軽にクーラバッグで持ち帰るのもオススメ。
▼シャコの尾をカットするためにはハサミが必要
▼グローブがあるとシャコやサイマキで怪我をしづらくなる
▼1日中、手持ちの釣りながらも、取り込みや休憩時に簡易的な竿受けがあると便利。竿固定ができるシマノの船べり楽々竿掛けがおすすめ
▼キャストをする人は尻手ロープがあると安心。特に厳冬期は注意
▼ジップロックはLサイズ。スミイカは胴端の突起を折っておく
▼クーラボックスは小型でOK。バケツにいれたままで野締めにすることが多く、氷は船上に持ち込まない人も多いが、他魚種も釣れるので要検討。
テンヤスミイカ釣り方解説動画
テンヤスミイカの釣り方は以下の動画を見ればバッチリ!
▼出船前説明編
▼テンヤスミイカ実釣編
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