どうも平田です。
今回は船釣りのキャストに関しての注意喚起です。
あまりこういう記事はないので、ネットにあればこれから起きてしまう被害の一部を減らせるんじゃないかと思います。
さて、発端は先日。
釣友がスミイカ釣りをしていたら、別の釣り人がキャストミスしてしまったテンヤが頭上に振ってきて、流血。
その時点で一旦船は沖上がりとなり、同氏は船宿スタッフと病院へ。
彼は釣りができないまま、不完全燃焼となってしまったということがありました。
なにより大事がなくてよかった。
20号とか25号等のテンヤの先にはバーブレスですが貫通力の高い2本のハリがあります。
あたり方や勢いによっては、広い範囲が裂傷になって頭を縫うことになったり、オモリの衝撃により脳に影響を及ぼすことも出てくるはずです。
また当たりどころが悪く、目にハリやオモリが当たったら、失明ということもあり得るため、本当に想像するだけで恐怖です。
船釣りで投げる釣り物
人気のサワラキャスティング用ルアー
船釣りのなかでも投げることで釣果が伸びたり、投げないと釣りにならない釣り物があります。
- シイラ、サワラ、マグロなどのルアーキャスティング
- テンヤやスッテで狙うスミイカ
- シロギス
- エギやテンヤで狙うタコ
- ルアーマゴチ
一部オーバヘッドキャストが許可されている船のあるかもしれませんが、基本的にどの船でもアンダーキャストがルール化されているはずです。
まずこれらの釣り物はその他の投げない釣り物と比較して危険度が上がるということを理解しておきたいところです。
以前、乗船したタチウオ船で、サングラス・眼鏡・帽子なしでジギングをしていて、船長に注意されていたグループがいました。
投げない釣りでも、ランディング方法を理解していない場合、突然のフックアウトによって、ルアーが勢いよく顔に飛んでくることもあり、危険は十分あります。
釣り人は投げたくなる生き物
さて、釣り人は投げたくなるものです。
なぜか。
それは投げることが一般的な釣りでは投げた方が釣れることが多いからです。
おかっぱりのバス釣りでも、実は足元のエグレにバスがついていたりすることは多いのですが、多くの釣り人はどかどか踏み込み、ロングキャストしようとします。
近くより遠くに魚がいると思うからです。
近くはみんなに攻められているから、攻められてないところを狙いたい。
いわゆる「竿抜け」というやつです。
船釣りでも一緒です。
特に潮上(潮尻)の釣り座ほど、みんなと違う筋を探りたくなる。
実際は潮の状況によっては船下を丁寧に攻めた方が釣果を上げられるような場面でも投げたくなってします。
そこには投げることの快感もあるはずです。
自分の思った通りにルアーやテンヤがビューンと飛ぶと、高揚する人も多いはずです。
なにしろ、遠くに飛ばしたり、ボールを打ち返すだけが目的のゴルフの打ちっぱなしやバッティングセンターという施設が成り立っていますからね。
船釣りのキャストでトラブルを起こしがちな人
バス釣りをはじめとして岸からのルアー釣りを経験している世代はキャストが得意
次に船釣りでキャストをミスし、トラブルを起こしがちな属性の人をまとめておきます。
- 岸釣り、ルアー釣りなどの経験がないまま大人になってから船釣りをはじめた人
- 同条件で船釣りをはじめ数年経過し、自分は初心者でなくベテランだと思い込んでいる人
- 岸釣り、ルアー釣りはベテランだが、船釣りは始めたばかりの人
- 視野が狭く、内省的でない人(キャストでトラブルを繰り返したときに反省せず、他で練習せず繰り返すような人)
- 道具への理解がないまま、印象で釣具を購入している人
- 釣欲が「周りへの配慮」に対して強い人
それぞれ補足します。
- 1の人は、安定したキャストをするスキルがないまま船釣りをはじめるので、トラブルが起きがち
- 2の人は、スキルがないまま年数だけ経過しているので、トラブルを繰り返しがち
- 3の人は、キャストすることは得意だが、釣り船独特の配慮ができないまま、周囲確認をしないで危険なキャストをしがち
- 4の人は、トラブルを起こしたときの考察力が低いため、根本的な問題を解決できず、同じトラブルをまた繰り返しがち
- 5の人は、そもそもリール等のスペック理解ができていないまま、価格帯やビジュアルで購入しているため、キャストに適していないリールを使いがち
- 6の人は、釣りたい気持ちが周りへの配慮を超えているため、前のめりになりすぎ、やらかしてしまいがち
また、すべてに共通する点があります。
それは、単独釣行メインであったり、まわりにきちんと指摘してくれる人がいないという背景です。
投げる前に確認しておきたい点
「投げたい投げたい」と思う人は多いわけですが、投げる前に確認しておきたい点を押さえておきましょう。
ちゃんと投げられる自信があるか?
はい、まずあなたはちゃんと投げられる自信がありますか。
これにつきます。
きちんと正しく投げるイメージができているならよいのですが、投げたものがどうなるかわからないまま投げていませんか。
そんな人は、竿をもって誰もいない川原にでもいって、まずは練習しましょう。
便利な時代なので解説動画もあります。
まわりにちゃんとしたフォームで流れている人がいたら、迷わず教えを乞いましょう。
船であれば出船前にならうのも一つです。
平日に船が空いてまわりに釣り人がいないときに練習するのもよいでしょう。
リールのブレーキ構造を理解し設定ちゃんとできているか?
シマノのSVS。モデルによりブレーキシューの数と精度が異なる
リールのブレーキ構造の理解。これはとても大切です。
スピンニングリールは簡単ですが、船でよく用いられる両軸リールはブレーキ構造を理解していなくてはいけません。
よくいるのが、メカニカルブレーキがゆるゆるだったり、ガチガチだったり。
せっかく遠心力ブレーキやマグネット系ブレーキがついているのに設定がされていなかったりと。
このあたりもきちんと説明書を読んで理解してから投げましょう。
わたしはシマノのSVSやダイワのシンプルなマグフォースブレーキを使うことが多いのです。
どちらもスプールがぶれなくなる程度までメカニカルブレーキをしぼりこんで、SVSは1個か2個オン、マグフォースブレーキは50%程度負荷をかけてから弱くしていってます。
マグネット系ブレーキ・雑につかうとプレートが錆びることがあうので注意
サミングできる?
サミングと聞いて、なんのことかわからない人は投げてはだめです。
リールの糸巻部(スプール)を親指で適度におさえて、道糸の過剰放出を軽減する技術です。
押さえすぎても、押さえなくてもだめです。
電子制御など高度なブレーキシステムを備えているリールは雑なサミングでもトラブルが起きづらいです。
ちゃんと、サブブレーキ付きのリールを使ってる?
キャストでのトラブルが多い人をみていると、そもそもリールがキャストに適していない機種であることがほとんどです。
このあたりスペック面をよく理解しないで、印象だけで購入してつかっているとトラブルにつながります。
たとえば、スミイカの場合オシアコンクエストがよく用いられます。
ノーマルの200番であればSVS(遠心力ブレーキ)が付いているので調整することでバックラッシュしづらくなります。
一方、オシアコンクエスト300(新型)やオシアコンクエストリミテッドは、ブレーキレバー付きであるもの、SVS(遠心力ブレーキ)はついていません。
そのため、フォールレバーに付随しているメカニカルブレーキを調整してサミングで対応することになります。
船釣りはオモリが比較的重いので、キャストになれていればそれでもトラブルなく投げることができます。
一方、ただでさえキャストが苦手な人が、サブブレーキなしの機種で投げると、すぐにバックラッシュしてしまうわけです。
SVSやマグネット系ブレーキなどがついていない機種で投げることができるのはキャストが得意な人だけと覚えておくとよいでしょう。
バーブレスなどのルールは守れているか?
バーブ(カエシ)のないフック
投げる要素の釣り物では、ほとんどの場合、バーブレスフックがレギュレーションとされています。
バーブとはカエシのことで、あらかじめカエシがないフックを選ぶか、プライヤーなどでカエシをつぶしておく必要があります。
カエシがなければ、万が一フックが刺さっても、外すのが容易です。
▼ルアー系の釣りではカエシをつぶせるプライヤーを持参しましょう!フックを安全に外すためにも必須です。緊急時、細軸のハリならばカットすることもできます。ただし過信しないように。
毎投周りを確認しよう
なれてくると忘れがちなのですが、キャストの際は周りを必ず確認してから行いましょう。
あまり多くはないですが、オーバーヘッドキャストやサイドキャストができる船、釣り座の場合は振りかぶる際に誰かをかけてしまうリスクがあります。
キャストミスにつながる要素
次に、キャストミスにつながる要素を覚えておきましょう。
クラッチ戻り
パワーハンドルのリール
パワーハンドルのリールで起きやすいトラブルが、「クラッチ戻り」です。
キャストする際はクラッチを切って親指でスプールを押さえて投げるわけですね。
が、投げ方が上手でないと、投げる動作に伴い、パワーハンドルが回転してしまいクラッチが戻ってしまいます。
当然、クラッチが戻ってしまうと、糸の放出が瞬間的に止まり、ルアーやテンヤが明後日の方向に飛んでいってしまいます。
下手投げでは多くの場合、ルアーやテンヤが自分ではない左右の頭上に飛んでいきます。
テンヤスミイカの竿は標準で240㎝なのですが、一般的な投げ方では、竿を左右の斜め、海面側に寝かせるようにして投げます。
このとき、右に倒していれば、左の釣り座にいる人の頭上にテンヤが落ちます。
左に倒していれば、右の釣り座の頭上にテンヤが落ちるわけです。
パワーハンドルのリールは負荷が高い釣りでは快適なのですが、こうしたリスクがあるという点を理解しておきましょう。
- バランサー付きのパワーハンドルにカスタマイズする
- ダブルハンドル系のパワーハンドルが使う
- 竿で曲線を描くように投げない(曲線の軌道を描くと当然ハンドルが回転しやすくなります)
以上の3点がクラッチ戻りを防ぐためのコツです。
▼オシアコンクエスト200HGやベイゲーム150は比較的ライトな釣り物で用いられているのですが、標準のパワーハンドルがバランサーなしのため、クラッチ戻りリスクが高めです。キャストに自信がない人は早めにバランサー付き、もしくはダブルハンドル系のパワーハンドルに変更するとよいでしょう。
バックラッシュ
バックラッシュ、それは両軸リールの構造上ゼロにはできないトラブル
バックラッシュ(下糸が上糸と絡まりロックする)もキャストミスにつながる要素です。
ある程度ラインがでてからスプールがロックすることが多く、周りの釣り座の人が危険を被る可能性は高くはないですが、ゼロではないはずです。
ブレーキ調整をしっかりして、サミングを丁寧にしてキャストするとよいでしょう。
船釣りは比較的重めのルアーを投げるため、キャストは簡単です。
一方、向かい風時はトラブルも増えてくるので、ブレーキ設定やサミングを工夫し、あまり強く投げないようにするとよいでしょう。
穂先がらみ
貸していた竿が折れてしまった
ガイド付きの竿は構造上、竿先(穂先)に糸が絡みやすいという特徴があります。
穂先に道糸が絡んだまま投げると穂先が折れることでだいたいおさまるのですが、ロッドの長さや道糸の遊びによっては周りの釣り座の釣り人が被害を被るかもしれません。
必ず投げる前に穂先を確認しましょう。
リリース位置が遅い
キャスト慣れしていない場合によくあるのが、スプールから指を離す(リリース)タイミングが遅すぎる点です。
リリースが遅れると、ルアーやテンヤは思った位置に飛ばず、タイミングにより左右の釣り座の上に飛んでいくことがあります。
集中力不足(寝不足・飲酒等)
船釣りは朝早く出船することが多く、寝不足で参加することも多いジャンルです。
また飲酒をする人もしばしば見られ、集中力が平時より下がっていることも。
集中力が低い状態で惰性で投げると、キャストトラブルが起きやすいので注意しましょう。
寝不足×アネロン×食後は危険です。そこに飲酒が入るとさらに危険。
ちなみに前述のクラッチ戻りが発生した場合も、集中力が続いていれば、瞬間的に竿を戻し、ルアーやテンヤの軌道を変えて事なきを得ることも可能です。
▼キャストミス時に軌道修正で事なきを得た話
シーズン外れの仕立て。周りは片側でカサゴ入れ食い。カサゴに飽きたので私だけトモでタコ釣り。トモの岸壁側の席でしたが釣れず、面倒で移動せず沖側に仕掛け投げました。
慣れない投げ方で珍しくバックラして、仕掛は船内へ。。— ステファニー🐙 (@OctopusStep) November 7, 2022
投げる釣りでの自己防衛策
投げる釣りではまず、他人に迷惑をかけないように心がけるわけですね。
一方、どれだけ注意していても、事故というのはあります。
自己防衛おじさんという人がむかしいましたが、言っていることはいたってまともです。
どこからか降ってくるルアーやテンヤから身を守れるように自己防衛しましょう。
装備で万が一の場合に身を守ろう
装備は大切です。
眼鏡やサングラスに帽子類をかぶっていると、被害を最小限に防げるはずです。
特に目は大切。魚紳さんはそれを教えてくれているのです。
また、ルアー釣りでは長袖長ズボンが最適です。暑いシーズンは肌の露出を減らすことで被害を軽減できます。
キャストが危うい人には声をかけておく
釣り慣れていない初心者はもちろんのこと、釣り慣れているけど投げるのが下手な人はしばしば出現します。
それとなく、声をかけておくことでトラブルを減らせるはずです。
まとめ
オモリやハリは凶器
今回は船釣りのキャストに関しての注意喚起をまとめました。
自分が被害にあうのはもちろん嫌なのですが、誰かを怪我させてしまうのは心理的にもかなりの負担です。
釣り船は損害保険に加入しているため、事故発生時の医療費などは保障されます。
一方、誰かに深刻な怪我をもたらしてしまった場合は取り返しがつかない負債をかかえることになるかもしれません。
心理的にも、もう釣りができなくなってしまうかもしれません。
誰かの眼をつぶしてしまったら・・・
誰にでもキャストミスはあるわけですので、ベテランのみなさんも今一度ご留意ください。
この夏エギタコをやっているときにダイワのフネXT150P-OPをつかっていたらクラッチ戻りが発生しました。
とっさに竿で軌道を変えたところ、オモリが自分の右手の親指にすさまじい速度で落ちてきて負傷しました。めちゃんこ痛かった。
あれが他人だったと思うと、ゾッとします。
わたしは投げるのが得意だと思っているのですが、ミスはゼロではないので改めて注意したいと思います。
ではでは。
平田 剛士(@tsuyoshi_hirata)
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▼タチウオなどでよくある流血系の怪我にはワセリンが有効です。消毒して止血したあとにワセリンを塗ると、出血をおさえることができます。
尚、ひどい怪我の場合は必ず通院しましょう。傷跡の治り具合も医師による適切な処置により変わることがあります。