船釣りでは、キャスト主体の釣り以外は、だいたいベイトリール(両軸リール)を使いますね。
これはベイトリールのほうが、タナを取りやすく、巻き上げ力が高いからです。
ベイトリールは「パーミング」と呼ばれる、手全体でリールを包み込むように持つのが基本。
一方、しっかりパーミングをしないで釣っている人もいます。
リールの持ち方は、人それぞれ。
好きなようにやればいいとは思います。
一方、明らかに不便で疲れやすい持ち方をして、「手首がいてー」というようなことを言っている方をみると、持ち方を変えればいいのになーと思ったり。
今回は、船釣りとパーミングのメリットについて解説します。
両軸リールのパーミングとメリットについて
スリーフィンガー=船釣りでは一番疲れない持ち方
まず、パーミングとは何なのでしょうか?
パーミングは、日本語に訳すと、パーム(palm=手のひら)でリールを包み込むというぐらいの意味合いです。
ロッドグリップにトリガーがある場合、トリガーに小指と薬指を挟むようにもつと自然とリールを手のひらで包むように持つことができます。
人差し指から薬指までの3本の指で握るスタイルは「スリーフィンガー」と呼ばれます。
タックルの重心は、ロッドに対して重量があるリール部分に存在するため、リールをしっかり包み込むように持つことにより、ロッドがより安定するわけです。
<パーミングのメリット>
- 巻き上げ時に竿がぶれないため、口が弱い魚のバレが少なくなる
- 手首に負担がかかりづらくなり、しゃくりや巻き上げ時の疲労感が減る
- アワセ負荷が強い釣り物で手首がアワセ負けしない。竿を落とさない
メリットはだいたいこの3点です。
昨今のリールは小型化しています。
電動リールなど大型のリール以外は、基本的に3フィンガーグリップを想定して設計されています。
よっぽどこだわりがない限りは、両軸リールは3フィンガーでパーミングしたほうがスマートです。
1or2フィンガースタイルのメリット・デメリット
1フィンガー。巻き上げやしゃくり等を繰り返すと手首を痛めやすい
スリーフィンガーのパーミング勢に対して、一定数いるのが、2フィンガーや1フィンガーのスタイルです。
それぞれ、トリガーに中指・人差し指、もしくは人差し指のみをかけてタックルを持つわけです。
キャストを伴う釣りの場合、スリーフィンガーよりも、ワンフィンガーやツーフィンガーグリップの方が手首のスナップも効きやすくなりキャストもしやすくなります。
また、親指の稼働範囲も広がるので、サミングも丁寧にでき、バックラッシュも軽減します。
なので、キャスト時は2フィンガーや1フィンガーなり、自分がやりやすいのでやり、着水後、2フィンガーや3フィンガーでパーミングし直すというのならばよいと思います。
一方、キャスト時だけでなく、巻き上げやしゃくり時も、1フィンガーでやっている人もいるのではないでしょうか。
それが一番やりやすくて、疲労も少ないのであればよいのです。
手首が極めて強靭な人もいます。
一方、特に1フィンガーの場合は、以下のデメリットがあります。
リールの重心に対して持ち手が後ろにずれるため、以下のようなことが起きます。
<1フィンガーのデメリット>
- 巻き上げ時に竿がぶれやすくなるため、口が弱い魚はバレやすい
- 手首に負担がかかりやすく、しゃくり・たたき・巻き上げ時の疲労感が増してしまう
- 強いアタリに瞬発的にあわせる釣りではあわせ切れないことがある
- 強いアタリに対応できず竿を落とす
- 重い魚の場合、手首が巻けて竿が海に向かって下がり棒のようになり竿の特性を発揮できなくなる(バレやすく・ラインも切れやすくなる)
マゴチ釣りで合わせきれず竿先が下がってしまう人や竿を落とす人には1フィンガーが多い
エギタコでの1フィンガーグリップは、大ダコがヒットすると重さから竿先が下がり、竿が棒のようになっていることも
どうでしょう。
1フィンガーグリップで釣りをしている場合、手首が異様に疲れると感じたことはないでしょうか。
- しゃくりを繰り返すタチウオ
- 巻き上げが長いアマダイ(手巻きの場合)
- 巻き続けるタイラバ
以上の釣りを、1フィンガで行うと手首が腱鞘炎のように傷んだりします。
もしかして、持ち手のせいなのかもしれません。
手首の疲労や怪我は腕力が弱い人ほど起きるのですが、腕力が強くても継続的に1フィンガーの持ち手を行っていることが慢性的な炎症の原因になっていることもあります。
シマノ「エクストリームガングリップ」の登場
シマノのエクストリームガングリップ
一般的なトリガータイプに対して、少し前にシマノが提唱したのが、「エクストリームガングリップ」というスタイルです。
トリガー部分が大きくなり、指を挟むのではなくて、4本の指全体でロッドを包み込むスタイルです。
このグリップは、右巻きと左巻きによって形状が異なり、それぞれの持ち手に最適化されています。
(現在は巻手によらないデュアルグリップも登場)
巻抵抗や巻き上げ距離が伸びやすいドテラ流しのタイラバや、手巻きのアマダイなどをやってみるとわかるのですが、「エクストリームガングリップ」は手首の疲労をかなり軽減してくれます。
船釣りをしていて、手首の疲労に悩んでいる人にはおすすめです。
また、これから船釣りをはじめる方で、手首の力にあまり自信がない人にもよいでしょう。
まとめ
パーミングはしっかりと
今回は、船釣りでよく使われる両軸リールの持ち方について解説しました。
荒れた海・エビメバル・カワハギなどのゼロテンションをキープするとき、あえてリールをパーミングしないことはあります。
一方、多くの船釣りではパーミングが大切です。
突き詰めてしまえば、好みの問題なんですが、やはり物理的な原理原則は存在します。
基本を押さえ、応用して自分好みにやっていくのと、ロジックをしらないで、なんとなくやっているのでは大きな違いがあります。
特に、船釣り初心者に釣りの手ほどをするときは、ぜひしっかりタックルをパーミングするところから教えてあげましょう。
基本ができていれば、釣りをしているときのストレスも少なくなります。
女性や子供の場合は、筋力や骨格の問題から、1フィンガーの持ち方をしていると特に腱鞘炎につながりやすいです。
ほんと要注意。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)
関連アイテム
▼パーミングをさらに快適にするアイテム。指を通してからパーミングすることにより、力まずパーミングできるようになり、竿の落下リスクも低減できます。
▼季節に応じた素材のグローブをすることで手指への負担を軽減することができます。
▼エクストリームガングリップを装備したシマノのライトゲームロッドは「SS」以上
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