今回は、主に東京湾で狙われているスミイカテンヤ釣りのタックルについての考察です。これからスミイカテンヤをはじめるひとがマイタックルを選ぶ際の参考になればと思います。
スミイカを沖釣りで狙う3種類の釣り方
おそらく沖釣りでスミイカがもっとも釣られているのは東京湾だと思うのですが、ショアからではなく沖釣りでスミイカを専門に釣る手段は以下の三種類あります。
- テンヤ(シャコ餌)
- エギ(むかし、東京湾のシャコ不足のときにMISAKIからエギテンヤというのがあったとのこと)
- スッテ(ダウンショット)
この中で、エギやスッテの釣りであれば先調子のライトゲームロッドで十分だと思うのですが、シャコ餌をつかったテンヤ用の江戸前伝統釣法系のロッドはかなりラインナップが少ないんですよね。
そもそも競技人口(この表現がただしいかわからない)でいうと、スミイカって、ほかの釣りと比べて圧倒的に少ない釣り物なんです。乗合船を出している船宿をみてもそれほど多くない。
スミイカテンヤについて
まずテンヤなのですが、オモリ25号がメイン。中ノ瀬まわりのシーズン初期やシーズン最後は20号もよく使われています。
リアル店舗で安定して購入できるのは、FUJIWARAのスミイカ職人かサクラのスミイカテンヤがメインです。
ほかには船宿や釣具店が独自に作っているものや、釣り人が自作するのが一般的です。
釣具店オリジナルのものはアークスのテンヤが有名。これは形状と号数のバリエーションが豊富。
左がFUJIWARAスミイカ職人、右がサクラのスミイカテンヤ
- FUJIWARAのスミイカ職人:塗料がキレイ。竹部分までは塗料が塗られていない。同様パーツの自作キットもあり
- サクラのスミイカテンヤ:やや夜光塗料がざっくりながら竹部分まで厚塗りで高アピールオモリが潰してあり低重心。シャコをささえる竹部分が幅広のためスミイカ職人よりシャコが安定してずれが少ない。スミイカ職人より200~300円割高。
個人的にはやや割高ながらも既製品であれば、シャコが安定しやすい「サクラのスミイカテンヤ」が好きです。
スミイカはテンヤ釣りでもスッテをつけるのが主流?
テンヤを抱いてくるスミイカorモンゴウイカも確かにいるようで・・・
スミイカのテンヤ釣りの名手をみていると、テンヤオンリーで攻めている人と、スッテを併用している人がいることに気づきます。
どちらがよいのかはそれぞれの主張があるのですが、個人的にはスッテはつける派です。スミイカを集魚するという点やテンヤでは釣りにくいマルイカも狙えるので。
スッテをつけない場合は、キャストの飛距離を出したいときや、潮が速くて流されやすいときがほとんど。
スッテは、ヤマリアの「ととスッテ」かYOZURIの「ウルトラスッテ」があるのですが、個人的には「ウルトラスッテDX」が艶めかしくて好きです。
色はピンク・オレンジ・緑がだいたいのラインナップですが、ピンクとオレンジの夜光タイプが鉄板です。シーズン終盤の下浦沖あたりでは、レッドヘッド夜光が無双。
たまに、サバフグやタチウオなどにフォール時にリーダーごと切断されるので、念のため予備をもっていったほうがよいです。
マルイカことケンサキイカはテンヤには乗りにくいので釣りたいのであればスッテ併用
リールは手巻きでもピックアップの速いハイギヤ
リールは浅場であればなんでもよいのですが、深場の釣りは60m~90mを巻き上げる必要があるのでどちらかというとハイギヤで一回転で70cm以上道糸を回収できるものが疲れず有利です。
PEラインは1.5~2号が150m巻いてあればOKです。船宿ではだいたいPE2号が推奨なんですが、これはアワセ時やキャストミス時に高切れしやすいからです。
ただし、潮受けやキャストを考えると傷がなければ1~1.5号でもよいと思います。先糸でフロロカーボンのリーダー(4か5号)を1.5mつけておけばショックを吸収して、キャストミス時もPEからパツンとなることは少なくなるはずです。
ということでダイワやシマノやアブのライトゲーム用のリールを用意しておけばよいんだと思います。
個人的にはハイギヤのバルケッタにPE1.5号を巻いたものを流用してつかっているんですが、カウンターでタナをとる必要はないものの、スミイカがヒットした後に、あと何メートルだというのがわかって精神的にも安定します。
スミイカ竿はやや重めなので、バランス的にはやや重いバルケッタBBのほうが良い気もしてます。バルケッタはブレーキが一つで、キャスト系のリールより微調整は利きにくいですが、キャストで困ったことがありません。
スミイカ玄人の人たちをみると、一番使用率が高いのが、ハイギアのオシアコンクエスト200HG。
ダイワ派の場合は、ミリオネア バサラの200もよく見ます。
いずれにせよ、深場の場合はシングルのパワーハンドルがやりやすいとのこと。
▼テンヤスミイカに適したリールについてのより詳しい解説はこちら
スミイカは竿が最重要
スミイカ釣りをする人にきくと決まって出てくるのが、「スミイカは竿だよ」という話です。
スミイカのテンヤ釣りは一見、こん棒で海底をしゃくる&スミイカをひっかけるだけの苦行にみえるんですが、どうもそれだけでもないようです。
その誘いも様々で、着底したテンヤを軽く穂先で幾分きき気味にして、イカの乗り具合を踏まえてしゃくっている人もいたり。
スミイカの竿に求められる条件はざっくり以下の4通りです。
- 穂先の柔らかさ(9:1調子)
- 胴部分の強さ
- 長さ(2.1~2.4m)
- キャストしやすい
①穂先の柔らかさ(9:1調子)
スミイカは着底したテンヤに対して、忍び寄って抱くわけですが、おそらく抱いたものの違和感をもって離してしまう個体もいるはずです。
テンヤが必要以上にうごいてしまうと警戒するのかもしれません。
詳細な理由は不明ですが、いずれにせよ、スミイカが抱いている時間を長くしたり、抱いている状況・重さを理解するためには穂先の柔らかさが重要です。
②胴部分の強さ
テンヤに抱き着いたスミイカを釣るためには、テンヤについている一対の太目のバーブレスフックでひっかける必要があります。
この太さは、湾フグなどのカットウ釣りのカットウ針よりさらに太いため、しっかり貫通させるために胴部分の強さが必要です。
③長さ(2.1~2.4m)
多くのスミイカロッドは2.4mで販売されているのですが、これは船の揺れに対してタメをつくってテンヤを海底から動かさないという点と、しゃくりやすさという点でやや長めにセッティングされていると思われます。
一方、浅場の釣りなどは特にキャストが重要になり、2.4mのロッドではアンダーキャストがしづらくなるということもあり、2.1mをあえて好む人もいるようです。
全体重量も当然2.1mのモデルのほうが軽くしやすく、シャクリ疲れないというメリットもありそうです。女性は2.1mがオススメです。
④キャストしやすい
スミイカのテンヤ釣りで釣果を伸ばしている人は、もれなくキャストして広く探っています。
流しや釣り座にもよりますが、足元にスミイカがいない場合や、自分の足元にスミイカが来るまでに、潮下側で釣られてしまうと、悲しい釣果になりがちです。
そういった状況をさけるためにはキャストして広く探るというテクニックが重要です。
キャストしやすさは竿の弾性や調子にもよりますが、ガイドセッティングあたりも古いモデルよりは新しいモデル(ガイド多めでトラブルがすくない)のほうがよりキャストをしやすいセッティングです。
こういった要素をふまえたスミイカ専用竿を販売しているメーカーは以下の通り。
- アルファタックル
- ダイワ
- 宇崎日新
- サクラ
- TAKAMIYA(釣り具のポイントPB)
スミイカテンヤはジャンル的に販売数が見込めないということもあり、それぞれの在庫も少ないようです。シマノはすでに撤退しています。
Amazonや楽天などをチェックしてみるとネット販売でもすぐに在庫切れになっています。
リアル店舗でも新品だけを売っている店では1本も販売がなかったり。タックルベリーなどの中古釣具店でも1、2本販売されているとそれは珍しいです。
▼現行で販売されていて比較的手に入れやすいスミイカロッドを紹介します。
アルファタックル 海人スミイカ240
タカミヤ 舷天SUMIIKA-SP
ダイワ アナリスタースミイカ210
宇崎日新 ロッド 船魁 スミイカ 2402
サクラ 金剛大潮スミイカ
一番感度等で優れていると思われるのが、ダイワのメタリアスミイカなのですが、これは新品ではほぼ流通していません。投げやすい210cmモデルが、アナリスタースミイカ。
あとは各社240cmでグラスソリッド主体。
女性や腕力に自信がない方は、240cmモデルより、210cmモデルのほうが扱いやすいです。秋以降、年明けまでの浅場でキャスト主体の場合も短めのロッドの方がキャストはしやすいはず。
アルファタックルの海人スミイカ240を購入した
今回、Amazonでスミイカテンヤ竿を購入しようとおもっていたいのですが、在庫切れがほとんどなので、中古釣具店でやネットの個人売買かなと思っていろいろ探してみました。
中古だと、だいたい10年前ぐらいにリリースされたモデルが多くあります。ダイワの島影スミイカなどなど。
先日、ふらっとよったタックルベリーにアルファタックルの海人スミイカ240(現行版)とダイワの島影スミイカ240がありました。
ダイワの島影スミイカ240は4,000円ちょっとだったものの、経年劣化部分とガイドセッティングが気になり、より先調子気味と感じられガイドセッティングも新しい海人スミイカ240を購入しました。
どうやら海人スミイカは初心者から玄人まで使われている竿のようですし、先日のスミイカ釣行でもベテランの方が使って、がんがん水揚げしていたので、安心して購入した次第です。
海人スミイカ240のインプレ・レビュー
この海人スミイカ240について簡単にレビューします。
こちらグリップ部分。
スミイカ竿全般がトリガーがないんですが、これは賛否両論かもですね。スミイカを連続で釣って手がぬめっていると、キャスト時に滑りやすいのでグリップはあったほうがよいような気もするんですが、どうなんだろう。
どのスミイカ竿もそうですが、グリップ部分はかなり長め。
バット部分に透明コーティングの部分があり、アクセントになってますね。
こちら穂先、海人スミイカ240は9:1のかけ調子なんですが、負荷をかけると、TOPガイドから7,8個目のガイド付近からしか穂先がまがりません。
この調子によって、テンヤの着底やスミイカの乗りが判断できるわけですね。
実際につかってみると、テンヤを着底して、穂先ですこしだけ聞き上げると、明確にスミイカの乗りを感じることができます。
ガイドはオールSiC。
このあたり、TOPガイドだけSiCにして、値段をさらに下げると、よりこの竿を選ぶ人が増える気がします。船竿はトップガイドだけSiCであれば何ら問題ないですし。
シマノのバルケッタ300HGを装着してみた様子。
スミイカ竿はシャクリをする際に、利き腕をバット部分(一番リールシートに近いガイド手前)をもってシャクルという特殊な釣りです。
リールのサイズによるタックルバランスはあんまり関係ないとはおみますが、頻繁にキャストすることを考えると、シマノであれば、ゲンプウ。ダイワであればプリードなどの小型の両軸リールに1.5もしくは2号のPEラインを150mというのがお手頃かなーと思います。
おかげさまで、海人スミイカを買ったらスミイカ坊主がなくなりました。