今回は船釣りにおける用語「シャクリが合わない」についての話です。
船釣りでは「シャクリ」という竿をあおって仕掛けや餌を動かすという動作がよく出てきますね。この「シャクリ」は、重要で、釣り物によっては釣果を左右するといっても過言ではありません。
この記事では、はじめに「シャクリが合わなかった」テンヤスミイカ釣行の話をしてから、「シャクリ」についての考察をしていきます。
悲しみのスミイカ釣行、シャクリが合わない一日
この日は柴漁港の三喜丸さんからスミイカ釣行へ。
不穏な見出しなわけですが、まー釣れなかった日でした。それもわたしだけね。
こちらは柴漁港。
底引き網やアナゴ筒漁で有名です。スミイカ釣りの餌になるシャコの漁獲もあって、三喜丸のオーナー曰く「昔は築地にあるシャコの90%以上こっから水揚げしていてさー」とのこと。
八景島の駅改札をでたら、右に曲がると橋があって、橋をわたるとすぐ柴漁港
柴漁港への釣行は車が便利。
が、電車釣行でも京急金沢八景からシーサイドラインの駅が直結するようになったので、八景島で降りれば徒歩5分くらいで柴漁港の釣り船待合所(三喜丸・はやぶさ丸)へつきます。
電車釣行の場合は、こちらの港の八景島よりの出入り口から入ってすぐ右手に三喜丸さんがあるのでお手軽。車釣行の場合、この門の手前で一旦車をとめてから、受付をして、車を漁港入り口に駐車するという流れ。
早速受付をして、スミイカ船へ。
この日は3連休最終日。そこそこ釣り客もいるようで、スミイカ船は片側6人程度、両舷で12名程度で出船。わたしは、遅参したということもあって、左舷胴の間に着陣。
出船前に船長に確認したところ、「30m程度の浅場を終日やると思うよー。20号のほうがいいと思うよー」とのことで、テンヤは20号をメインにして、3セットシャコを用意。
出船。
40分ぐらいかけて、千葉竹岡沖へ。
水深は30m前後。船宿によってはスミイカを終幕したところもあるわけなのですが、このところ竹岡沖界隈で巨大モンゴウイカ主体にスミイカまじりでフィーバーしているとのこと。
この日は冬場のパターンとして、北東風が吹いて、船首が竹岡からみて北側にある東京湾観音側をむいている状態。潮は11時頃まで下げ。左舷胴の間というのは、まー不利な釣り座ではあるものの、まーそれはそれでそこそこ釣れればいいかなと。
いいかなと。思ったわけです。
そこそこ釣れればいいよと。
仕掛けは、前回の釣行に引き続き、某スミイカ名人から教えてもらったビーズ仕掛けを使用。
これはスッテリーダーに手芸用の樹脂製ビーズを仕込み、その動きがスミイカを誘うという秘技のようです。この効果測定からやってみることに。
8時を回って、道具をいれていい時間になったということでスタート。
が、
釣れず。
キャストしても、船下を狙ってもアタリが出ない。シャクリの待ち時間は5秒から10秒ぐらいまでいろいろ変えてみても一向にアタリなし。
なにかが違うんだろうなーと思いながら、ようやく10時15分頃に船下を丁寧に探ってみたところヒット。
最近、サクラのピンク夜光テンヤの信頼性が下がっていたところのヒット
中サイズ。600g前後のスミイカ。
うーん、ビーズ仕掛けだからといって、やっぱり顕著に釣果に関わるということではなそうという結論に。
このとき、よく釣れていたのは案の定太郎ですが、船尾側。右舷側の様子はよくわからないものの、左舷の船尾から2番目のおじさん氏が連発。
じゃあ、この男性が、スミイカ名人かというとそういうことではなかったのです。
男性はスミイカ釣りがはじめて。
釣り竿は、乗船後に船長から「この竿じゃースミイカだと駄目だねー。この竿つかってみなよ」というように船長から借りた貸し竿。
船長は話し方がぶっきらぼうなんですが、すごくよい人だと思います。釣り客への思いやりがなかったら、みるからに慣れてない釣り人があかん竿をつかっていても放置するはずだし、結果的にそれはボウズとなって釣り客の悲しみにつながるというわけで。
この竿、遠目でみるに、たしかサクラの金剛大潮スミイカだったような。仕掛けはテンヤ単体ではなくて、一般的な間合いのスッテリーダーにヨーヅリの「ウルトラスッテ」をつけてという具合。
それと肝心のシャクリはどうなの?っていうと、こんな感じです。
まずキャストはせず、船下のみの釣り。毎度、底上にテンヤを1分以上放置。みていると数分放置していることも。待っているときは、竿先が海面近くまで下がっている状態。そこから、忘れたころに、そろーり、という具合にゆっくり長めのストロークでテンヤをシャクリ上げるという動作。
これを時計の針で表現すると、7時の位置で待っていて、11時ぐらいまで誘いあげるという繰り返しなわけですが、なんとも異質。
船長によっては「そんなんじゃ、釣れね―よ」といわれてしまいそうな待ち方&道具の動かし方。
が、この人がすごく釣るわけです。
テンヤにもヒットするし、スッテにもヒットする。
上がってくるスミイカやモンゴウイカは、シャクリの具合でわかるように、みんな合わせられていないので、針がかりはしていないようで、まさに「抱いている」だけという状態。
ただ、このところ大型のモンゴウイカ主体で、彼らはスミイカ以上に獰猛なので、かなりしっかりしがみついている状態。なので、船長のたも網アシストで確実に釣りあげられている様子。
こんな光景を横目にみると、なんとも焦るわけです。
なんで、あれで、釣れるのかと。
ここで当然、もしかして「この日のスミイカは待ち時間が重要なんじゃあるまいか」という仮説が出てくるわけです。
テンヤを早く動かし過ぎないで、ある程度待った方がよいんだろうなと。が、スミイカの釣りで1分とか数分待つのってどうなんだろうなという疑念も出てきたり。
スッテのハリ(かんな)はまだしも、テンヤのハリは太く、一旦スミイカがのっても合わせない限り離れてしまうのではなかろうかと。
この辺りで船長から全体に「テンヤを動かしたあとは10秒、20秒と長めに待ってみて」みたいなアナウンスがあり。
キャストしてしゃくったあとに待ち時間を伸ばしてみるもアタリが出ない。
そうなると、だんだんもとの待ち時間5~7秒(実際は巻き取りなどの時間が入る)ぐらいのシャクリにだんだんと戻ってしまうという。
うーむ。
さらに、この日、焦りからキャストミスが連発し、PE高切れによってテンヤとスッテロストを頻発。さらに、リーダー部分をフグにかまれたのか、スパッとフロローカーボンが切れている状態があったり。PEラインも何もしてないときに高切れしたり。
合計で4回はリーダーorPEラインが切れたという。海のゴミも増やしてしまったし、一体いくら銭を失ったことやら。。。
踏んだり蹴ったり、とはこのことか。
夜光グリーンのテンヤが少なくなり、中古で買った予備テンヤをつかうことに。
スッテもいろいろ変えてみたり。ただし、色のパターンが少なかったのはあります。
オレンジ兵が海の藻屑となって、この4種を使ったものの、澄潮には青などがあればよかったなと・・・。
そうこうして、14時30分頃納竿。
なんと、結果はスミイカ一杯。
今日のスミイカ船は朝から凪だったので
竹岡沖30m前後を攻めました。潮は無かったのですが、
大型主体でポツポツと乗り、今日は竹岡沖で辛抱釣り。
外道に良型のモンゴウイカも混じってトップ7ハイがお2人、続いて6ハイ、
5ハイ2人、残念ながら初挑戦の貸竿のお客様が乗ったのですが途中でバレてしまいお1人型見ずでした。
船内は0~7杯で、竿頭は初挑戦のさきほど紹介した男性だったのです。
ふがいなさ。
納竿後に、船長がまわってきて、笑いながら「今日は何でだったかわかる?シャクったあとのさー、待ち時間が短いから、みーんなキャストして寄せてきたのが船下やってる人にとられちゃうんだよー。もったいないよ。みんなそれほど活発じゃないから、モンゴウだったらアレだけど、スミイカだったらあんまり速く動かしていると追いつけなくて、抱けないからねー」と。
さ・き・に・そ・れ・を・い・って・く・れ・YO!
と、思いましたね。
そうなんだよなと。もうその通りシャクリの間が重要だと思った日でしたね。
ただ、その待ち時間にヒントがありそうなのは前述の通りわかってはいたわけです。が、いざ、待ち時間を伸ばしてみても、渋めな時間帯でアタリがすぐに出ないと、もとの釣りにもどってしまうという。
釣りでは「見切り」と「粘り」のタイミングが重要なんですが、今回は完全に「粘り不足」の失策でした。うーむ。
波平状態での帰路。軽いクーラーボックスが鉛のように重く感じられるという、釣り七不思議の一つ。
船釣りで「シャクリが合わない」とはどういうことなのか?
はい、散々な釣行記のあとは本題です。
船釣りでよく言われる「シャクリが合わない」っていうのは、どういうことなんでしょう。
特にシャクってかける誘ってかける釣りでいえば、スミイカやタチウオという釣り物があるんですが、これらについて考えて見ると以下の4つがすぐに思い浮かびます。
- 魚の活性
- 水深
- キャストの有無
魚の活性
そもそも魚のやる気がなかったりするとステイ時間が短く、速かったり、ストロークが長いシャクリは、物理的に彼らも追いつけなかったり、餌に食いつく間がないというわけです。
これは潮流・天候・水温などにもよりますが、時間帯によっても目まぐるしく変わるということを覚えておきたいところです。
餌を遠くまで追いかけることをしない、やる気がない魚には、できるだけゆっくり仕掛けをみせるシャクリが必要です。反対にやる気満々の個体ばかりの場合は手返しを早くシャクって釣るほうが釣果も伸びていきます。
タチウオの場合は、やる気がない個体にあえて速めのシャクリをしてリアクションバイトさせるという技もありますがね。
水深
水深の概念は岸釣りより船釣りで顕著といえます。これはより深場を攻めるからというわけなんですが、深くなればなるほど、PEラインに代表される道糸のたるみができるわけです。
前述の潮流とも重なってきますが、酷い2枚潮になっていくと、自分では意気揚々とシャクっていても、底上のテンヤが「ぜんぜん動いていない件について」という問題もよくあります。
だから深くなればなるほど、やや大げさに長めのストロークでシャクってみるというのは強ち間違えではないと思います。
反対に浅場の場合は、道糸のたるみも少ないため、よりソフトで丁寧に、短いストロークで仕掛けを動かすというようなテクニックは有効です。
キャストの有無
スミイカの場合、慣れているひとは、テンヤをキャストするような釣りをするのが一般的です。
特に水深30mぐらいまでの浅場エリアであれば、キャストして広く探るのと、潮先の釣り人と違う筋を攻めるという技がかなり重要になってきます。
が、ロングキャストをすればするほど、PEラインのたるみはできやすく、前述の2枚潮などと被ると、テンヤがおもったより動かせていないということもよくあります。
そのため、テンヤを遠くになげた直後は、深場のようにしっかりテンヤを動かすことを意識していき、船下に着たらアクションを小さくしていけばよいわけです。
船釣りで「シャクリを合わす」にはどうしたらよいのか?
その日、そのときの活性にあったシャクリができれば、自ずと釣果につながる。それはその通りなんですが、そこにどうやって素早く到達すればよいのでしょうか。
これは、以下の通りかと思います。
- 前もって船長に近々の釣況で有効なシャクリ方と間について聞いておく
- 当日、釣り座によらず釣れている人のシャクリをコピーして試してみる(特に不利な釣り座で釣れている人)
- 道具というよりも「シャクリがあってないなー」と思ったら船長にアドバイスを求める(船上で)
- コピーしたシャクリは一定時間意識して継続してみる
実際のところ、このあたりはやっている人も多いとは思うんですが、釣れるかもしれないシャクリを継続できている人は少ないんじゃないかなと思います。
だいたい、最初は「お、待ち時間は20秒だな」などと真似してみるも、だんだんと釣れない時間が長くなると焦って自分のもとのシャクリ方に戻ってきてしまうわけです。
シャクリの釣りでは、王道的なシャクリは存在しながらも、それを惰性で繰り返すというよりも変則的にシャクってみてテストしていくのがよいのだと思います。
待ちの秒数やストロークの長さやスピードなどによってどうアタリが変わるかを試していき、狙ったアタリがとれるシャクリを繰り返すという。その後、潮などの変化によってアタリが出なくなったらまた変化させていき。
それと、これは別記事で書こうと思いますが、スミイカのテンヤであれば、オモリの色よりも号数やオモリの形状が重要だと思います。シャクリのフォール動作のスピードが変わるというわけで。
タチウオのジギングであれば、メタルジグのカラー以外にも形状や重量といったやアクションに関わるところの調整も欠かせないと思います。
まとめ
失敗した釣行から何を学んで、次にどう活かすかが釣りの面白さで、このあたりを一般的な釣り人は脳内でなんとなく完結していくわけですが、わたしの場合はこうして文字にして残すようにしています。
どこかで同じような課題にあたった人が、そういえば、ORETSURIにこんなことが書いてあったなーと参考にしていただければこれ幸いです。
ということで、今シーズンのスミイカはこの釣行では納得いかず締まらず。あともう一回行ったのですが、それはまた別の記事で。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)
使用したタックル
関連アイテム
▼2月中旬以降、深場から再度浅場を攻める際はオモリ20号のテンヤが有効。キャストミスによる高切れなどもあるので余裕をもってテンヤを準備しておくと安心です。
▼厳冬期から春に入る前の最大サイズのスミイカやキロサイズのモンゴウイカ狙いや深場の釣りは剛性の高い丸型リールがオススメです