「LTアジ釣り」の本場感のある横浜~横須賀までの海。
観音崎の手前までは波が立ってもそれほどでないので、大体の天候で出船できる稼働率の高い釣り場でもある。
法人向けクラウド提供企業のSLAによくある「システム稼働率99.9%以上」というわけではないけども、だいたい出られる。これはけっこう有難いと思う。北九州に関門海峡界隈の釣り場があれば、東京湾には湾奥(の手前側)があるというわけで。「○○がだめならLTアジに乗ればいいじゃないか」と思ったことのある釣り人も多いんじゃないだろうか。
この日は午後から北風が強くなる予報。東京湾はひょっとすると荒れるかも。釣れるのかな?
東京湾・富岡沖(福浦岸壁)沖でも大荒れ
この日の一之瀬丸は、はると船長が操船。釣り客はわれわれ3名と、中乗りの方が1名。一般的に最低3人で乗合出船といっても、この少人数で出船してもらえると有難い。アミ五目での共同運航だと思ってた。
船が八景島手前でスパンカー(船尾の帆)を広げて、速力をあげて、ポイントへ。と、思ったけども、これはかなり波立っているのでゆっくりめに進む。
北側にむかっているので、波しぶきが来るので船内に避難。
北風だと、南本牧の風裏かな。と、おもったら、福浦岸壁沖に到着。みると5隻ほどのLTアジ船がいるが、みたところあんまり釣れていない。見ていても、アジの銀色のきらめきがない。嫌な予感がする。
しばらく、船長は魚探で反応をみつつ、アンカーを落としてスタート。
この日はカップルにレクチャーする日だったので、最初に釣って見せると、一投目でヒット。あれ、幸先いいね。しかもけっこう引くな。
2匹がけ。
このあと、置き竿にしてカップルにレクチャーしていると、落とせばほぼ100%あたりが出るという状態。
みんなしっかり針を食い込んでいる。
台風15号の爪痕がのこる福浦岸壁
もうね、どんどんアジが釣れる。
連続2匹がけ。
3投で中アジ6尾。
2本針だからパーフェクトという。
まわりの船は釣れてなかったけども、なんらかアジの活性に火がついたのか、それと、はると船長がアンカリングしたところがよかったのか。
とにかく入れ食い。
それはいい。素晴らしい。
今回の俺はだめかもしれない。肛門が熱くなってゆるむあの感覚
船は上下にゆれる。船の揺れといえば、むかし豊島園に「フライングカーペット」や「フライングパイレーツ」というアトラクションがあったけども、あれの揺れが小規模になったような。
このあたりで、カップルの男性が酔う。
わかる。左手首のツボをおすといいですよ、と伝えると「内関(ないかん)ね」とかえってくる。この方は鍼灸師なのだ。とか、いっている自分も酔っている。が、立場上、わらって我慢する。
カップルの男性が、釣り人のいない右舷で吐く。
わかる。
わかりみ。
俺も吐きたい。
なにもかも吐露したい。俺がじつはダメな奴だってことをね。みんなは知ってるかもしれないけど。
ここで、カップルの女性はどうしているのか?っていうと余裕綽々で釣っている。アネロンを飲んだそうで、楽しくてしょうがないそうだ。
俺だって、LTアジだとアネロン飲まなくても酔わなくなったんだよね。でも、なんで酔ってきているんだろう。
胃酸が無限泉のようにわいてきているんだろう。肛門のところに変な感触があって胃腸がぐねんぐねんしてるんだろう。ちょっと熱くなって、下痢がでるような。と、考えてみたら、前の日にオージービーフを食べ過ぎたんだなということに思い当たる。
「船酔い対策は前日からですよ」
何度人にいったかわからんけども、だいたいそういう本人は対策できてないことが多い。
これはステーキの呪いだな。牛の呪いだよ。
ぐねんぐねん。
胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。胃液。
うえっぷ。ぐねんぐねん。
もう吐くか?
吐けばわかるさ。
もういいよ、出しちゃいなよ。
You、出しちゃいなよ。
ためるのよくないよ。
海は自由だよ。すべてを受けとめるよ。
お前のゲロも、悲しみの過去も。罪悪も。不義理の数々も。
というような怪しくゆれる波の誘いを振り切るようにして、南無酔止観音菩薩。オンキリキリ。と唱えつつ、コマセをいれて、ビシをおとして、釣ることに夢中になる。
さきほど、女性が「たぶん集中しまくっているせいか酔わないんです」と言っていたのを思い出したのだ。
夢中になれば大丈夫なんだ。
ああ、アジ釣りは楽しいな。
釣れるしね。
集中。
どんどん釣れる。
集中。
どんどん釣れるよ。
集中集中。
どんどん。
どんどん。
最近、ほとんど人にあげて持ち帰ってないから、今回は干物貯蔵用に全部持ち帰ってみようかな。かな。
時刻は14時ぐらい。出船してから1.5時間程度。
アジは入れ食いで活性が高い状態。
どれぐらい活性が高いかというと、アタリに対して、しっかり深々と針を食い込むという状態。なので針がかりがよく、バレることがほとんどない。しかも群れが濃いのか、ほぼ必ず2尾ずつ上がってくる。
はると船長「平田さん、いつでもあがれるんで。あがりたいとき言ってください(笑)これ釣りするときじゃないっすよ」
わたし「(笑)」
正直、吐きたい。胃液が怒涛の勢いで攻めてきている。それを最後の門番が止めている。
ゲートキーパー。
その門番こそは俺の鋼のような強い意志。
強い意志をもって、胃を制御する。
俺の武力をもってすれば胃ぐらい自由自在ですよ。
カップルの男性は右舷で数度吐いた後、ダウン。
女性は強くて、すごく楽しそうに釣っている。そういう姿をみるのはうれしい。いろんな人に釣りをおしえてきたけども、その人がひとり立ちして、楽しそうに釣っている姿はいいよね。
いいよね。
が、
もう駄目だよ。
意志の限界だよ。
左手の手首のツボ押しもむなしく臨界点へ。
物事には動き出したら止められないものがあるのだよ。
その一つが嘔吐。
嘔吐中枢は意志に反してやるときはやるからね。
・・・
ゲェローーーーーー。
船尾から北風にのって、八景沖方面へ散っていく。
その名は、胃液。
いわゆるゲロ。
船釣りでげろったのは、数年ぶりじゃないか。
ふぅ。
胆汁がはいっているのか宙をゆく胃液が黄色い。
名づけるなら、黄ゲロだな。
朝食などは食べてなかったしね。空の胃袋から胃酸をひねりだすと、この苦い胆汁がでてくるんだよ。俺は知っている。朝、バスルームにはいつくばって、その苦さを味わったことがあるから。
うぇっぷ。
一回吐くと、人体というのは不思議で、意志に関係なく吐く。
ゲェッローーーーーー。
ゲロリアン。
特茶(緑茶)を潤滑油にして、3回ぐらい吐くと、吐くものがないので胃がひきつる。
ふ。
お前らは勝ったつもりでいるかもしれないが、これは負けたフリをして勝つ計略だよ。吐いてしまって、あとは楽になる、そういう作戦なのだよ。
ここで、もうアジはたくさん釣ったので、小鯵を鼻がけで泳がせておく。
他の釣り人もいないしね。ワラサかドラゴンタチウオかサゴシあたりか、気合の入ったヒラメが釣れたらいいなと。
いいなと。
いいなと。
ふぅ。
15時前に納竿、沖上がり。アジは中型主体に40尾ほど。
とてもつらい日でした。釣りの前の晩にヘビーなお肉はやめましょうね。朝起きたときに胃酸過多だったら、ソルマック。これが真理です。
結局、陸にあがったあとも、夕方仮眠して夜に起きるぐらいまで不調でした。胃酸はこわい。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)
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▼釣行日の朝、起きて胃もたれしてたら迷わずソルマック。飲めばわかるさ。