東京湾のアジ釣りといえば、一年中浅場で釣ることができるお手軽な沖釣りとして知られている。
今回は、これから船釣りデビューをしたい方やアジの釣果をさらにあげるために、ライトタックル(LT)で狙うコツについてお伝えしていく。
目次
初心者に「ライトアジ」がオススメなポイント6つ

ライトアジ釣りは船釣り初心者にうってつけな釣り物だ。
6つのポイントから解説する。
- 1年中狙うことができる
- 船宿からポイントまで近い
- 午前便・午後便など短時間釣行も可能
- 仕掛けと餌がシンプル
- はじめて釣る人でも数を釣ることができる
- 東京湾のマアジはおいしい
1.東京湾のマアジは1年中狙うことができる

ライトアジ釣りでは真鯛もまれに混じる
東京湾のアジ釣りで主に釣られている魚はマアジだが、この魚は水深5~30メートル程度の浅場で1年中釣ることができる。
これは海水温の上昇と釣り船が毎日のように同じポイントにコマセをまいているため。結果的にアジも同じポイントに定着している。
1年中釣れるが、釣りにくいときもある。例えば毎年ゴールデンウイーク中、もしくはその前後はアジの産卵にかかわるのか潮を問わず食いが悪い日がつづく。また水温が急に下がったときなども一時的に食いが悪くなることもある。
2.船宿からアジが釣れるポイントまで近い

金沢八景発の船宿の場合、八景沖は約10分で到着。実釣時間も長く感じる
横浜や金沢八景から出船するライトアジ船の場合、ポイントがとても近い。
たとえば、金沢八景から出船する船の場合は10分程度で金沢八景沖のポイントに到着できる。東京湾の中でも観音崎手前の湾内がポイントで、比較的波風が弱いということもあり、船酔いが苦手な人にも向いている釣りでもある。
※東京湾奥からの出船の場合は、ポイントまで1時間程度かかることもある。移動中の船の揺れは強いため、苦手な人はポイントまで近いほうがよいだろう。
3.船宿によっては午前便、午後便など短時間釣行も可能

船宿にもよるが、アジ釣りは午前便・午後便等のコースを設けているところもある。これはポイントが近く、短時間で釣果をあげることができる釣りであるからだ。
午前便の場合は昼前に沖上がりをむかえるため、そのあとに帰宅して調理をしやすい。当日に料理して食べる派にはオススメ。午後便の場合は集合時間が11時以降のため、ゆっくりと船宿に到着できるところがメリットだ。
夏場の釣りなどは消耗しがちだが、半日の釣りならばちょうどよく感じられるだろう。
4.仕掛けと餌がシンプルなのでとっつきやすい

アオイソメ
ライトアジ釣りは仕掛けがシンプルだ。利用するのは船用のライト天秤と30~40号程度のビシ(オモリ付きコマセかご)と仕掛けのみ。
餌はアオイソメのような虫エサ以外にも、初心者でも簡単につけられるアカタン・イカタン(イカの切り身を塩漬けし食紅で着色したもの)がメイン。

紅ショウガのようにみえるのはアカタン
5.はじめて船釣りをする人でもたくさんアジを釣ることができる

釣り船に乗った場合は、どんな初心者でもまとまった数のアジが釣れるはず。船酔いで釣りができなかった場合を除いて、基本的な釣り方を守れば、初心者でも半日で数匹から数十匹釣れる。
この釣りは、ほぼボウズ(まったく釣れない場合)を考慮しなくてよいので、釣りのあとに料理をするなど考えている人にとってうってつけの釣りでもある。
6.東京湾のマアジはおいしい

東京湾は多摩川・荒川・江戸川などの大河川をはじめとしていくつもの流入河川があり、海の栄養分が多いため、プランクトンが発生しやすい環境にある。プランクトンやシラスなどを食べるアジも結果的に脂がのっていて旨い。
また、釣り船が集中しているポイントは毎日のようにコマセが投下されるため、半畜養されているといっても過言ではない。(例:1日50隻×12人×コマセ2キロ=1.2トンのコマセの投下)
いずれにせよ、脂の乗った新鮮なアジは抜群においしい。刺身はもちろんのこと、鮮度がよい状態でアジフライにするとたまらない。
東京湾のアジは夏が盛期

周年出船しているが、マアジの旬は夏であるため、混みやすいのも夏のシーズンだ。また、釣り船ではないが京急大津などからは、手漕ぎボートでもマアジが狙える。
夏から秋だけでなく、冬場でも釣りはできるが地形特性上、東京湾は北風には弱いので天候等よく把握してからでかけたい。北風でも本牧や横須賀の風裏で釣ることはできるが船の揺れは大きくなる。

京急大津のボート店からは周年黄アジが狙える
東京湾のライトアジ釣りで狙える魚

基本的にマアジを狙って釣り船の船長が操船してくれるが、同じ仕掛けで以下の魚が釣れる。
- マルアジ(マアジと比較して細長い。血合いが多め)
- メアジ(マアジに似ているが眼が大きい)
- サバ(マサバ・ゴマサバ。秋以降のマサバは絶品)
- マダイ(アジの仕掛けは2m程度のため、警戒心の高い真鯛が釣れるのはごくまれ)
- ヒラメ(針がかりしたアジにアタリがでる)
- イシモチ(春先、水温がまだ低いときに群れがまとまっているときに釣れやすい)
- シロギス(潮が緩んでいるときに仕掛けが底付近に垂れると釣れることが多い)
- カサゴ(本牧港付近の根のほか、沖根でもちらほら釣れる)
- カレイ類(ムシガレイ・マコガレイ)
※ヒラメは釣れたアジに食いついてくることもある。ライトアジ釣りの仕掛けはハリスが1.5号~2号が中心なので念のためドラグ調整をしておきたい。

ライトアジ船で豆アジが釣れるときはそのアジをヒラメが食べることも(ハリス2号。金沢八景沖)

ムシガレイは5月前後のライトアジ釣りでよく釣れる魚(唐揚げかムニエルが絶品)
ライトアジ釣りのタックル

※ライトアジ釣りに適したタックルを紹介する。具体的にオススメのアイテムは記事末で紹介。
釣り竿(ロッド)は軽くコマセをふりやすく食い込みのよい7:3調子が基本
船用のゲームロッドであれば、どんなものでも問題ない。先調子や胴調子気味など好みによって選ぶとよいが、基本はコマセを気持ちよく振りぬける胴をもちつつ、穂先も食い込みがいい7:3調子を選ぶといい。
食い込みが悪い場合などは6:4の胴調子の竿も有効。
長さは2メートル程度までが使いやすい。ライトアジ専門の釣り竿もあるが、特に専門の竿でなくても問題ない。汎用ロッドで十分だ。
リールは小型両軸リールを使用

小型の両軸リールを利用する。スピニングリールはタナ取りの手返しが悪くなるのでオススメしない。
はじめはブラックバスなどの淡水用ベイトリールでも問題ない。水深30メートル前後の浅場メインの釣りなのでPEライン1.5号前後が100メートル巻ければ十分。迷った場合は他の釣り物への展開も考えて1.5号を巻いておくことをオススメする。

沖合を回遊する41cmのマアジ(黒アジ)
基本的に釣れるマアジは小型~中型(25センチ前後)だが、深場かつ潮流が速いポイントによっては、40センチ級のマアジが顔を出すことも。
時折数キロの真鯛が当たることもあるし、釣れたアジにヒラメやワラサが食らいつくこともある。このときドラグ性能がよくないとハリスが瞬断される。ドラグがスムーズにうごくものを選んでおきたい。
仕掛け(天秤とビシ)

ライトアジ釣りの仕掛けは、「ビシ(コマセカゴ)」と天秤に2~3本のムツ針仕掛けをつけるのが一般的。
サビキをつかったアジ釣りは東京湾の遊漁船では行われていないが、地域によっては使用されている場合もある。東京湾の乗合船では、サビキはオマツリの原因となるので利用をひかえたほうがよいだろう。
天秤を使う理由は以下の通り。
- ハリスと道糸とビシの間に間隔をもうけ、手前マツリ(絡む)をさける
- アジが針を食べたときのショック吸収
天秤はステンレス製のものが主要だが、やや割高だが、しなやかな形状記憶合金製のアイテム(例:ダイワ・リーディングアームⅡ)を使うと食い込みがよくなり、釣りあげる際にアジがバレることも少なくなる。これは口の弱いアジの針穴が広がりにくいからだ。
ビシについては、最初は船宿指定のものをつかったほうが無難。コマセにつかうイワシミンチは、船宿によって細かさが違うことがある。そのため針金の細かさが調整されていることも多い。
ちなみに、どの船宿でも、ライトアジ用の天秤とビシは1,500円前後でレンタルできる。代金は乗船後、返却すれば帰ってくるシステム。
事前に購入していくときは、比較的大型のビシとコンパクトなものがある。ライトアジでは小さめの30号~40号のライトビシのほうが潮キレもよく、シャクリもつかれないし、オマツリも少なくなる。

左が比較的大き目のビシ。右がライトビシ(ヤマシタ製)
ライトアジの仕掛け(最初は2本針がオススメ)

定番はハヤブサの船宿特製アジビシ釣り針のハリス2号。最もリーズナブル
仕掛けはむつ針という針先がねむっているものが使われている。釣り針の数は2本または3本が一般的だ。船釣り初心者の場合は、仕掛けの取り扱いになれるまでは2本針を利用することをオススメしたい。
3本針の方が一度に広く探れるため、効果的にタナをあてられ数が伸びやすい。が、なれていないと手前マツリ(自分で仕掛けをからめてしまう)しやすく、そもそも釣りをしている時間が少なくなってしまう。
また、この絡んだしかけを解こうとすることで船酔いになってしまう人もいる。はじめは2本針、なれたら3本針と覚えておこう。
基本的に東京湾の夏の海は赤茶色に濁っているため、釣り針はアピール力が高い金メッキコーティングが一般的。サバが多いときには目立ちにくい銀針にしてみたり、夜光ビーズを外したりする釣り人もいるが、どこまで効果があるかは不明。
尚、アジの食いが悪いときなどは紫外線発光するケイムラカラーコーティングされた釣り針も市販されているが、これも効果は不明。
アジ釣りにムツ針が使われている理由は、アジの口の弱さを考慮しているため。アジは餌と針を吸い込むようにして食べる。一旦、釣り針が吸い込まれたあと、針先が口の奥で立たず、比較的堅い口の脇にかかりやすくするように使われている。
ちなみに、アジは大きくなるほど自重があるため口切れしやすい。30~40㎝級のアジがかかったときには無理に抜き上げず、タモ入れすることをオススメする。
ライトアジ釣りの餌
船宿で釣りをする場合は、乗船料にイワシミンチのコマセ(基本的に使い放題)と、アカタン・イカタン(イカを食塩で締めて食紅で染めたもの)とアオイソメ(船宿によっては別料金)がついてくる。
それぞれ釣り餌の特性を説明していく。
イワシミンチ

イワシミンチ。主に東京湾のアジ釣りのコマセで使われる
前述の通りコマセ(寄せ餌)として使われるもの。基本的に冷凍されたものを船宿は仕入れているがミンチの細かさは船宿によってことなる。
ライトアジ釣りでは、イワシミンチがはいったビシ(コマセカゴ)を「しゃくる」ことでまずアジを寄せる必要がある。
夏場や日をまたいだコマセは乾燥して粘度が高くなり水中で拡散しにくくなることもある。こうした場合は、海水を適量まぜて水分量を調整することで水中での拡散力を高めることができる。
底から一度シャクって、再度着底させてしゃくり、巻き上げて回収したときにややコマセが残っている状態が望ましい。
ビシの網目が広すぎたり、潮流が速い場合は、着底までに大方のイワシミンチがぬけてしまうこともある。その場合、布ガムテープを持ち込んでおき、ビシの下半分をふさぎ、コマセの量を調整する方法もある。
アカタン・イカタン(定番)

アカタンとアオイソメ
アカタンは小粒に切り分けられていたものが容器に入っているものが一般的。これをちょんがけにして使う。一度釣り針に刺してしまえば、なかなかとれないためアジの活性が高く入れ食い状態の場合につかうとよい。
1回つければ、数尾そのまま釣ることもできる。食紅の色やイカのエキスが抜けたらアタリが遠のきやすいので交換しよう。
アオイソメ(定番)

左:フナムシ(たまたま船べりに現れたもの。よく釣れる) 右:アオイソメをカットしたもの
アオイソメは1㎝程度にちぎって中心線にそってちょんがけにして使う。あまり長くつけたり中心線をずれてつけると針が回転しやすくなり、ハリスのヨレにつながるため注意しよう。潮受けしやすくお祭りやタナボケの原因にもなる。
群れのなかで小型のアジに餌を食われるのをさけたり、カサゴ・イシモチ・カレイなどを合わせて狙うときはイソメをやや長めにつけることもある。
一般的に潮が濁った際は、アオイソメが効果的。これはアオイソメの体液と動きに誘われてマアジが口を使うためとされる。
アオイソメは特に潮が濁っていなくても釣れ、東京湾ではアジ釣りの「特餌(特効薬のようなもの)」扱いされているが、頭部の固い部分以外は、アジが釣れると取れてしまうため手返しという点ではアカタンに劣る。
オキアミ

アジ以外に真鯛・イナダ・石鯛・黒鯛が釣れている際にはオキアミをつけていると、釣果が伸びやすい。
一方、オキアミは針持が悪い。まがったムツ針にオキアミをつけると水中では回転しやすくヨレの原因ともなり、アジ釣りでは手返しが悪くなるのであまり用いられない。オキアミを使う場合は、ひねりのないチヌ針などを使うとよい。
▼オキアミ用のハリは「オーナーの沖アミチヌ」がオススメ。ケンがついているのでオキアミがズレにくい。
イカの塩辛

冷蔵庫にイカの塩辛があるようであれば、これを1㎝程度にカットして持ち込んでもよい。強いにおいがあるため、船内でアタリが遠のいている時間に使うと一人だけ釣れることがある。筆者はあきたらイカの塩辛にして楽しんでいる。
サバ皮の塩漬け(裏技)

サバの薄皮を剥がして塩漬けにしたものをエサにつけてもよく釣れる。水中でサバ皮はシラスが泳いでいるように見える。
春先のマアジはシラスを食べていることもあるため、興味があればためしてみてもよいだろう。サバ皮は一度釣り針につけると外れにくいため、手返しもよい。メバル狙いにもいい。
イワシミンチの内臓部分(裏技)
コマセにつかわれているイワシミンチをよくみると、ミンチにしきれていない内臓部位や筋のようなところが見つかる。これをエサにしてもアジはよく釣れる。
内臓部分は針持ちは悪いが、違和感なくコマセになじむため、アタリが遠のいたときに効果がでることもある。どうしても釣れないときにためしてみよう。
カマボコやちくわや魚肉ソーセージ

とりたてて釣果が伸びるものではないが、カマボコやちくわや魚肉ソーセージをさいの目切りにして餌にしてもアジは釣れる。針持ちはよくない。子供連れの釣りなどで、子供が釣りに飽きたら餌を変えてみると再度興味を持つこともある。
ライトアジの釣り方

アジのタナは基本的に海底から2~3メートル以内(ビシの位置)であることが多い。活性が高いとアジの喰いも上ずり、活性が低いとタナが下がる傾向がある。
自分だけ釣れていない場合は他の釣れている人が狙っているタナを観察してみよう。
<ライトアジ釣りの流れ>
- ポイントが近いため乗船したら、あらかじめコマセをビシに7分目程度につめこみ、さし餌もさしておこう。仕掛けが絡まないように注意。
- 船長の指示がでたら、サミング(親指でスプールを押さえながら)しながらすぐに仕掛けを落とす
- 餌のついたハリスからまず潮になじませて、次に竿で持ち上げながらビシをゆっくり落とす。ハリスが絡んでいない状態での落下を確認しておく(重要)。ぼちゃんとビシを投げるようにすると高確率でハリスとテンビン等が絡むので注意
- 着底後、糸ふけ(糸のあまり)を軽く巻き取って底を感じる(底立ち)
- 底から1メートル巻き上げて竿をゆっくりしゃくる(しゃくる幅は30㎝程度で問題ない。大ぶりにしすぎるとコマセの幅が広くなりすぎることも)
- さらに1メートル巻き上げて待つ
- 10秒~30秒程度(季節や活性によって異なる)まってアタリがない場合は、もう一度着底させて繰り返す。ポイント移動をしたばかりは待ち時間を10秒程度にしてまずはアジを寄せる
- アタリは竿先にクククとくるので、ゆっくり竿先を持ち上げて食い込みを確認する。無理なアワセは禁物。
- 竿先付近から重みがのったら、竿を上下せず、水平の状態でゆっくり一定の速度で巻き上げてビシと天秤が海面にきた時点で巻き上げをやめる
- 釣り竿を風上にあたる船首側におき、ビシをコマセ入れの洗面器等に入れ、ハリスの枝針上部分を手繰って一気に船内に取り込む
- 取り込んだアジはバケツで泳がせておくのもよいが、ポイント移動時などにはクーラーボックスにいれてしまおう
30㎝をこえる良型のアジは自重によって口切れしやすい。傷がない状態のハリス2号であれば30cmクラス2尾ぐらいは問題なく抜き上げられるが、タモ網をつかったほうが無難。

アジは肛門部分に鋭い棘があり側線のゼイゴ部分も危険。素手では触ると手が切れてしまう。タオルかフィッシュグリップを使ってクーラーボックスにしまおう。
アジが釣れないとき、もしくは、さらによく釣れるコツ
潮下の釣り座に座る

コマセをつかった釣りの場合、コマセの煙幕が潮下にながれてくる。そのため、ほとんどの場合、潮下に位置している釣り座が一番釣れる。
風向きと潮の上げ下げの時間帯によって有利な釣り座はミヨシ(船首)とトモ(船尾側)で変わってくる。気象情報をよくチェックして釣り座を選ぼう。わからない場合は船長に聞いてみるのもいいだろう。
<東京湾のライトアジで有利な釣り座>
- 北風で潮が湾口から満ちてくる場合は船首側(ミヨシ側)
- 北風で潮が湾口へ引いていく場合は船尾側(トモ側)
- 南風で潮が湾口から満ちてくる場合は船尾側(トモ側)
- 南風で潮が湾口へ引いていく場合は船首側(ミヨシ側)
※スパンカー(船尾の帆)を使っている場合で、一定の風がある状態。あれこれ考えたくない場合は釣り船の操舵室右脇(胴の間)が安定して釣れる。初心者は船長の指示も聞きやすい。
なによりアジのいる層(タナ)に仕掛けの位置を合わせる

船長のアナウンスを聞き、魚がいるタナを想像してコマセが漂っている層と、そこにハリスが流れていることを常に想像して釣りをしてみよう。
当日の潮流の速さを考慮して、ハリスが流れる位置を想像しつつタナを設定すると、やがてアタリにつながる。
東京湾ではビシを底上2m~3mに置くタナ指定が多いが、アジの活性が高い場合は3m、4mとタナを上げることでより多くのアタリをとることもできる。また、アタリがでにくい時ほど、アジは底上に張りついていることが多い。
しゃくらないほうがいいときもある

アジの活性が高くない場合は、しゃくらないで、タナをとって置き竿にしてみるのもよい。
船宿によってはビシの目が粗めに加工されていて、しゃくらない釣り方を推奨しているところもある。どの釣りでもそうだが、船長の指示に従うのが釣果を伸ばす道であることが多い。
しゃくるとコマセかごが水中で上下するわけだが、この動きにアジが警戒することがあるのかもしれない。また潮が速い場合もコマセかごをふらなくても十分コマセが水中で流れる。
形状記憶合金製の天秤をつかう

形状記憶合金製の天秤はダイワのリーディングアームⅡが主要
形状記憶合金製の天秤は以下の点でライトアジ釣りでも有効だ。ステンレス製のノーマルタイプと比較してコストは3倍程度だが、釣果を上げたい人はつかってみよう。
- アジが針を口にしたときにしなやかに曲がるため食い込みがよい
- アジがかかったあとにショックを吸収するためばれにくい
ハリスの号数を落としてみる

いつでもよく釣れる東京湾のアジ釣りだが、明らかに食いが悪いときがある。
そんなときはハリスを2号から1.5号にしてみたり、フロロカーボンラインからしなやかなナイロンにしてみると潮によくなじみ、アタリが増えることがある。澄潮といって、いつもより海が澄んでいるときにも細ハリスは効果的。
市販仕掛けのほとんどが1.5号までだが、玄人は自作して1号や1号未満のアジビシ仕掛けを使用している。
余分な装飾パーツを取り除く

多くのアジ仕掛けには夜光等のビーズやゴムがついている。この装飾品を取り除くと餌がより自然に潮になじむため好釣果を得られることもある。どうしても釣れないときの神頼みとしてやってみてもよい。
三本針を使って、タナを合わせやすくし、一荷で釣りあげる
まず三本針の仕掛けは、いずれかの釣り針がタナに入るため、釣果につながりやすい。
またハリスの扱いになれている場合、一度により多くのアジを釣りやすい。アタリがあってアジが鈎がかりしたことを確認したら、そこから30cmから1メートル程度、ごくゆっくり竿先を上げたり下げたりしてみよう。
すると、さらに竿先に重みが加わる。これで2匹目もしくは3匹目ががかかった状態だ。マイタックルを使いなれてくると、どのくらいの魚がかかるとどれくらい竿に負荷がかかるかわかるので、1度に1荷(まとまって魚がかかる)で釣ることを心掛けてみるのもよい。
コマセ(イワシミンチ)の水分量を調整する

コマセが凍っている場合や、硬すぎる場合は海中でばらけにくいときがある。
シャクリによってスムーズにコマセを出すためには、海水を加えて多少柔らかくするのもテクニックの一つ。海水を入れすぎるとシャバシャバになり、ビシへのセットがしづらくなり、海底付近のタナにいたるまでにほとんどのコマセがぬけてしまうので注意。
ライトアジ釣りで初心者が失敗しやすいポイントと対策

①投入時や底上で自分でオマツリしてしまう(手前マツリ)
仕掛けを投入するときに、気が焦ってしまい、釣り針とハリスとコマセカゴ(ビシ)&天秤の状況を確認しないで下ろしてしまうことがある。この場合、仕掛けは絡んで落下していくので、結果的に魚が釣れない時間帯が増えてしまう。
投入時は、まず仕掛けを潮に流して、次に竿をつかってビシをゆっくりおろして絡んでいない状態を確認しからラインを落としていこう。
また、底上で何度も不規則に竿をしゃくると潮流によっては道糸や天秤・コマセカゴにハリスが絡んでしまい、アジのアタリを得ることができなくなってしまう。
②他人とオマツリしてしまう

オマツリしてしまう原因は色々あるが、初心者の場合は着底後に糸ふけをとっていないことや、落とすときから潮下の釣り人の道糸に針先がかかった状態で沈めていることが挙げられる。
仕掛けが潮下の釣り人の道糸に絡んでいないことを確認し投入。着底したあと、道糸が斜めに流れていく場合は、底から5メートルほど素早く巻き上げしばらくまって道糸がまっすぐになってからもう一度着底させよう。
それでも道糸が流れていく場合は、手間がかかるが海面まで巻き上げ、コマセを入れ直して投入してみよう。また、投入時にリールのスプール(糸巻部分)を親指でかるくおさえつつ糸ふけがでないように落としていくサミングというテクニックも効果的だ。
③威勢よくコマセをふりすぎ
状況にもよるが、1メートル程度しゃくっている場合はコマセが分散してアタリが伸びないことがある。シャクリは30~60cm短く行ったほうが釣果につながりやすい
また、ビシを勢いよくふることで周囲のアジが驚いてしまっているかもしれない。アジ釣りの場合はそれほど勢いよくしゃくらなくても問題ないと覚えておこう。
④巻き上げが速すぎ、釣り竿を上下させてしまう
魚がかかるとうれしいので、電動リールなみに高速で巻き上げてしまう人がいる。アジの口はかなり弱いため、巻き上げて口切れしてバレてしまうこともしばしば。アタリがあったらゆっくり穂先をあげて、水平から釣り竿を上下させず一定速度で巻き上げてみよう。
⑤取り込み時にもたもたしてバラしてしまう
いざ取り込みのときに焦ってしまうと、アジをばらしやすい。とくにハリスの緊張がゆるんだときに魚がばれやすいので、常に魚とラインのテンションを保っておこう。
毎度釣り竿を船べりの穴に差す動作も、取り込みスピードが下がる原因となる。簡易的な竿受けをつかい釣り竿は身体の脇に垂直においてしまうとよい。
釣りはじめる際に、取り込みまでイメージした釣り座のフォーメーションをとっておくことが大切でもある。
<ライトアジの釣り座>
ミヨシ(船首側)から以下の順
- 釣り竿
- コマセ桶(洗面器)
- 魚を入れる桶
※基本的にアジ釣りではスパンカーという帆をはって釣るので、船首が風上に向く。そのため、ハリスの柄身を避けるために、釣り竿は船首側におく。また、むかって正面より右に小物をおくと、ハリスなどが絡みやすいので注意。
⑥取り込み時にビシを竿先まで巻いてしまう
ビシが海面付近にきたらリールの巻き上げをとめよう。竿先まで巻いてしまうと穂先やトップガイドが破損する可能性がある。
また、アジの取り込み時にオモリが空中でぶらぶらしていると、ハリスがゆるみやすく、バレやすくなる。なによりビシがぶつかり怪我をするので注意しよう。
貸し竿でも自分のロッドでも釣り船の船長に一番注意されやすい点だ。最初は落ち着いてまいてくれば大丈夫。
⑦アカクラゲや海藻等のゴミが仕掛けについたままずっと待っている

針や天秤にアカクラゲの触手がついたら毎回とろう。
毎年6月以降の夏場、アジが回遊する海域にアカクラゲが大量発生していることがある。この触手が仕掛けについたまま釣りをしていると、極端にアタリが遠のく。
周りが釣れているのに、自分だけ釣れないという場合は、仕掛けを巻き上げて確認する手間を惜しまないようにしたい。
アカクラゲが皮膚の薄いところにつくと痛みを感じることもあるので、タオルなどをつかってとるとよい。バケツのなかの流水で洗い流すのもオススメ。
⑧ハリスが絡んだままずっと待っている
仕掛けの落下時やシャクリ方によっては、ハリスが天秤やビシに絡みやすくなる。この状態でいくらコマセをまいてアタリをまっても、アジは警戒して針がかりしない。
まわりでアジがたくさん釣れているときに自分だけアタリがなかったら一度巻き上げてハリスの状態を確認しよう。
⑨パーマ状態(よれている)のハリスをつかっている
ハリスがパーマ状態(よれている)になっている場合、餌のついた針が潮に自然に漂わない。仕掛け代は惜しまず傷んだ仕掛けは新品に交換しよう。
船上で仕掛けがなくなった場合は船長や中乗りスタッフに申し出れば200円前後で購入することも可能。
⑩餌のつけ方がおかしい
餌のイソメやアカタンはしっかりつけないと、潮受けしすぎたり回転して手前マツリの原因になる。
<潮受けしやすくなる・手前マツリの原因>
- イソメを先端部チョンがけでなく、身の途中に刺してしまっている
- イソメの中心線をそれて刺してしまっている
- アカタンを数個つけている
- アカタンとイソメを併用してつけている
<アジの食い込みが悪くなる>
- イソメを長くつけ過ぎ(アジの吸い込みが悪くなる)
ライトアジ釣りにチャレンジできる船宿

浦安
羽田
川崎
横浜
金沢八景・金沢漁港(金沢漁港含む)
大津
※釣り船以外で、大津や金沢八景(金沢漁港)から手漕ぎボートで漕ぎ出してみる釣りも面白い。
その他、観音崎・走水付近の船宿は潮流の速さからライトではないがビシアジというジャンルで、40~50cmの巨大なマアジを狙うことができるが、電動リール主体のノーマルタックルを使用する。
ライトアジ釣りの参考タックル

ライトアジ釣りの場合、さほど感度等は求められないのでレンタルタックルでも問題なく釣れる。一方、釣果をさらに伸ばしたい場合などは自分のタックルを用意してもよいだろう。
初心者の場合は7:3の先調子竿がその他のライトタックルの釣りにも利用できて汎用性が高い。(例:アマダイ、タチウオ)数万円の高級タックルは基本的には不要で1万円前後のものがちょうど良い。
ロッド(8:2)
先調子のロッドは扱いやすく、釣り初心者でもシャクリのタイミングをとりやすく、目感度も高い。活性の低いときにはアジのあたりを弾いてしまうこともあるので、クッションゴムやナイロンハリスの仕掛けを使用するなどで調整するとよい。
ロッド(7:3)
7:3のロッドは8;2のロッドよりやや胴にかかった曲がり方をする。コマセ釣りの他、ライト泳がせ釣りにも併用しやすいので最も汎用性が高い調子。ライトアジ釣りにはベストな調子。
ロッド(6:4)
6:4調子のロッドは胴から柔軟に曲がる。自分から合わせなくても勝手にアジが乗る。置き竿での釣りにも最適。ヒラメの泳がせ釣りにも併用できるが汎用性は8:2や7:3の竿に劣る。
リール
特に高価なものでなくてもよい。ダイワやシマノのような主要釣り具メーカーの製品であれば、1万円以下のもので十分に利用できる。ブラックバス用のベイトリールも併用可能。(スプール等が腐食する可能性もあるので釣行後要洗浄)
PEライン
PEラインは1号~2号を利用するのが一般的。道糸と錘の号数によってオマツリをさけるのが船釣りの基本なので、はじめての船宿ではかならずラインとオモリの号数を確認しておこう。
細いほど潮受けしなくなるが、1号前後の場合、竿をしゃくる際のステップで高切れしてしまうこともある。道糸の痛みなどには常に注意を配ろう。オススメは1.5号で他の釣り物へも転用しやすく汎用性が高い。
天秤
食わせの間やクッション性を考えたときに天秤はストレートより弓型がよい。形状記憶合金を利用して、魚の食い込みをよくしているアイテムも登場してきている。
天秤類は、ビシとセットで無料レンタルできるので、こだわりがなければ購入しなくてもよい(紛失時は1,500円程度を支払う必要あり)
ビシ(コマセカゴ)
金属製の針金を組み合わせたものが一般的。プラカゴ類はライトアジに使われるイワシミンチに適していないので、船宿によっては使用できないこともある。
ビシの号数は船宿指定によるが、だいたいPE1~2号の場合ビシ30号~40号が基本。船宿によって網目の幅を工夫していたりすることもあるので最初はレンタルしたほうが無難。
ベテランはビシの下半分にガムテープを貼ったものを用意したり、コマセの出を調整しながら釣っている。
仕掛け
空鈎2本か3本が一般的。口切れをさけるためにクッションゴムをつける釣り人もいるが、初心者の場合つけないほうがアタリがとりやすい。6:4調子の竿や形状記憶合金製の天秤を使用している場合はクッションゴムは不要。
フィッシュグリップとプライヤー類
素手で釣れたアジをつかむと、アジの肛門部分の棘とゼイゴで手を切る可能性がある。タオルかフィッシンググリップを使った方が安全で手返しがよくなる。
また、針がかりの仕方によっては素手で針を外しにいくいこともある。小型で軽量なプライヤーを使うと手返しがよくなって釣果が伸びる。
小型のオニカサゴやハオコゼなどの毒魚も釣れるので、グリップ類があったほうが安全。
玄人は管釣り用のリリーサーなどで魚にできるだけ触れずリリースしている。さらに釣果を伸ばしたい人は真似したいところ。シンプルなので自作してもいい。
釣ったアジを美味しく食べるために

誰だって釣れたアジを美味しく食べたいと思うだろう。一方、釣りをしている最中の管理や持ち帰り方、下処理方法によって魚の味は大きく変わってしまう。以下の点に注意しておこう。
釣り上げたアジはバケツに入れっぱなしにしないようにしよう

釣れたアジは一般的にバケツで泳がせておくことが多い。
一方、釣り上げたときの傷や海水の出具合、水温によっては弱って死んでしまうことがある。このときのアジは口を大きくあけて固くなっている(俗に「上がってしまった」状態と言われる)。
こういった死に方をしたアジは氷海水等で締めた場合より味が劣るし鮮度の持ちも悪くなるので注意したい。
クーラーボックスのなかで氷海水を作っておく

アジの全身が漬かる程度の氷海水(潮氷)をつくっておく
釣れたアジを氷がはいったクーラーボックスにいれた場合、短時間では氷についている部分しか冷えない。いち早くアジを締めて体全体を冷やすためには海水と氷で氷海水を作っておくとよい。
ポイント移動時にアジをバケツから移し替えるタイミングで行うとタイムロスがすくないのでオススメ。
できるだけ真水に身の切り口をつけない

まな板と包丁の水分はしっかり拭っておこう
アジの下処理をし、筋肉が露出した状態で真水につけたままにすると、身が水分を吸って水っぽくなってしまう。
内臓や血合いを洗い流す場合や体表を洗い流し腸炎ビブリオの繁殖を防ぐ場合でも、処理後は水分を清潔な布巾かキッチンペーパーでぬぐうようにしよう。まな板や包丁もしっかりぬぐうとよい。
下処理で棒身にする際は、ゼイゴをとらない状態のほうが持ちがよい。これはゼイゴ部分から水がしみこんだり酸素に触れて酸化しやすくなるため
刺身で旨みをもとめるなら二日目以降がベスト。ぷりぷりの歯ごたえは初日に。

釣れたばかりの魚は新鮮で歯ごたえがある。一方、旨みという点では一晩寝かした翌日以降のほうが強くなるといえる。
初日でも刺身は美味しいが、旨みがさらにほしい場合は、下処理後、冷蔵庫で寝かせて翌日も食べてみよう。段違いに旨みが増えているはずだ。
いつもと違ったアジ料理
ORETSURIでは東京湾のライトアジ釣りで釣れる「黄アジ」を素材にしたオリジナルのアジ料理を数多く紹介している。
刺身・塩焼き・フライなどは定番でシンプルでもっとも美味しいが、その他のアジ料理にチャレンジしてみたくなった場合はブックマークしてチェックしてみてほしい。料理は随時追加している。
ライトアジ釣りの魅力

ライトアジ釣りは、釣り初心者でも簡単にはじめられる。釣れる魚は、ほぼアジだが、ボウズが皆無なのがうれしい釣りだ。
釣り方に慣れてくれば、人がすくないときに釣行すれば船長の許可のもと、ヒラメなどをねらって泳がせ釣りなどもできるので楽しみも2倍だ。ぜひ試してみよう
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