東京湾の船釣りで親しみやすい釣り物の一つライトアジ。
イワシミンチ餌でアジを寄せ、天秤吹き流し仕掛けで釣る方法です。
オモリ号数が30~40号と軽く、ライトタックルでもチャレンジでき、電動リール主体の本格的なビシ釣りと比べて初心者や子供でもチャレンジしやすいのが特徴です。
釣り場は、主に、水深30m以浅の川崎~横浜沖が中心。
今回は、そんなライトアジ釣りの天秤仕掛けについてのノウハウを解説します。
目次
- 1 なぜ「サビキ仕掛け」ではなくて「天秤仕掛け」なの?
- 2 ライトアジ釣りでの天秤の役割
- 3 ライトアジの天秤仕掛けは弓型タイプがオススメ
- 4 ライトアジ釣りにおける天秤の注意点(長さ・線材・素材)
- 5 天秤仕掛けのビシは30号~40号。オモリ一体系のものを使用
- 6 天秤仕掛けのビシのカスタマイズ方法
- 7 天秤にクッションゴムはつけた方がよいの?
- 8 集魚パーツ類(ケミホタル・水中ライト・夜光ビーズ)はアジに有効?
- 9 形状記憶合金の天秤ってどうなの?
- 10 アカタンかイソメ、どちらがいいの?メリット・デメリット
- 11 ライトアジ天秤仕掛けのハリス号数・長さ・素材について
- 12 釣り竿は手返しなら73調子、バレにくさや食い込みは64調子
- 13 まとめ
- 14 関連記事
なぜ「サビキ仕掛け」ではなくて「天秤仕掛け」なの?

小型のアジはサビキ釣りのほうが簡単に釣れるが・・・
手漕ぎボートやプレジャーボートでアジを狙ってみるとわかるのですが、オマツリしない限りはサビキ釣りのほうがタナを合わせやすく、一荷(複数尾)で釣れることも増えます。
なぜ東京湾のライトアジ釣りでは天秤吹き流しを使うのでしょうか。
まれにルールを知らないで、サビキ仕掛けでチャレンジしてしまう人もいるのですが、船長がすぐに「天秤仕掛けへの変更」を指示します。
これは主に以下の理由からです。
- 周りが天秤吹き流し仕掛けをつかっているからオマツリしやすい
- 全員がサビキ仕掛けで狙った場合、オマツリすると修復が困難(毎回仕掛けが全損)
- 平均乗客人数からいってサビキは天秤仕掛けよりオマツリしやすい
また、アジもサイズが大きくなると仕掛けを見切るようになるため、サビキよりは吹き流し仕掛けの方が有効になってきます。
これは澄み潮時や低活性時に顕著です。

天秤仕掛けは良型アジも狙いやすい
ライトアジ釣りでの天秤の役割

次にライトアジ釣りでの天秤の役割です。
道糸とビシとハリス(仕掛け)をつなぎ手前マツリを防ぐ
ライトアジ釣りでは「ビシ」「アンドンビシ」と呼ばれるコマセカゴを使います。
天秤は「道糸のPEライン」と「ビシ」と「ハリス(仕掛け)」の3つを繋ぐ大切な役割をもっています。
アジをフッキングさせつつも口切れを防ぐ

タナを合わして聞き合わせすれば上あごにフッキングしやすくなるが・・・
ライトアジ釣りに使う市販仕掛けや船宿仕掛けの大部分が「ムツ針」を使用しています。
ムツ針は針先が内側に曲がっている針で、口の奥ではなく、口の端にフッキングするようにできています。

ムツ針。口の奥ではなく手前にフッキングしやすい
一方、アジの口は薄皮で構成されていて、フッキングすると傷口がどんどん広がってしまい、すぐにばれてしまうという傾向にあります。
このとき、適度なショック吸収力をもった天秤を使用することでバレを軽減できるわけです。
ライトアジの天秤仕掛けは弓型タイプがオススメ

弓型天秤(ヤマシタ・ライト天秤)
ライトアジで使用する天秤とビシは船宿でレンタルできることがほとんどです。
天秤を自分で用意する場合、弓型タイプを選びましょう。
ストレートタイプの天秤と比べて、弓型タイプは腕部分に「タメ」があるため、アジがフッキングしたあとにショックを吸収しやすく、バレにくくなります。

ストレートタイプでも釣れるが弓型がオススメ。下の弓型天秤はライトアジには太すぎです
ライトアジ釣りにおける天秤の注意点(長さ・線材・素材)

ライトアジ釣りでスタンダードな取り合わせ。20㎝程度の天秤がコンパクトで使いやすい
その他、ライトアジ釣りで使用する天秤についての注意点は以下の通りです。
- 長さ:20~30㎝程度。長すぎる天秤は手返しを悪くし、オマツリの原因にもなります
- 剛性:ステンレス製であれば線材が1.2㎜程度。太すぎると曲がりが悪くなり、かかりにくく、バレやすくなります
- 素材:ステンレス主体ですが、形状記憶合金製のアイテムはバレを防ぎやすくなります
またどの天秤もそうですが、腕部分を何度も曲げたり戻したりしていると、「金属疲労」が発生します。
特にステンレス製弓型天秤の弓部分は、アジ以外の大型がヒットすると曲がってしまいがちです。また、都度手で折り曲げて形状を戻しているといつか折れるものです。
天秤も消耗品としてとらえておき、ここぞという大物を逃したくない場合は、何度も形状を直した天秤は使用しないようにしたほうがよいでしょう。
▼ライトアジ釣りに最適なヤマシタのライトテンビン。クッションゴムをつけるなら1.2㎜・20㎝がオススメ
天秤仕掛けのビシは30号~40号。オモリ一体系のものを使用

ライトアジには右側のアンドンビシが適している。コマセカゴも洗いやすい(タカミヤ・ライトタックルビシ)
アジは「コマセをたくさん入れるとよく釣れる」というわけではありません。
ライトアジ釣りで使用するアンドンビシは、専用設計のサイズが小さいものを使用しましょう。
ライトアジ用に設計されたアンドンビシを使用すれば潮受けが減り、オマツリの軽減も期待できます。
また、しゃくるときの負荷も軽減できます。

遊漁におけるビシ類にはルールもあります。

プラカゴはライトアジ船では使用しない
プラビシはアンドンビシと比較してイワシミンチを撒きにくく、潮受け具合が変わるため、ライトアジ船では使用できないことがほとんどです。注意しましょう。
▼持参する場合、アンドンビシはライトアジ用の40号を持っておけばOK。新品では釣り具のポイントでタカミヤ製のビシを買うのが最安。900円程度。
天秤仕掛けのビシのカスタマイズ方法

針金をカットすることでコマセが出やすくなる
ビシのカスタマイズ方法は以下の通りです。
- ビシの線材をニッパーでカット=コマセが出やすなる
- ビシの下部をガムテープで巻く=コマセが出にくくなる
主にコマセの出方を調整する方法なのですが、イワシミンチ自体の粘度・水分量を海水で変える以外の方法として知られています。
ビシの線材をカットする方法はしゃくらなくても、タナに合わせるだけでコマセが出やすく、アジがビシの動きを警戒しているような場面で効果的と言われています。船宿によっては、あらかじめ市販ビシの線材をカットしたものを使用するところもあります。
天秤にクッションゴムはつけた方がよいの?

天秤にクッションゴムをつけた様子。ライトアジではさらに細いゴムをつかう
ライトアジ釣り仕掛けで使用されるグッズとして「クッションゴム」「ゴムヨリトリ」と言われるものがあります。
これらをつけるメリットとデメリットは以下の通りです。
<メリット>
- アジが一度フッキングするとバレにくくなる。特に海面付近
- 天秤とハリスが絡みにくくなり、手返しが向上する
<デメリット>
- アタリがわかりにくくなる(慣れていない場合・太すぎるゴムや胴調子の竿と組み合わせた場合・豆アジ等)
- 仕掛け全長が変わる。10㎝程度の短めを使用したい
- ややコスト増(300円程度)
以上から、ライトアジでは、適切な長さ・太さのクッションゴムをつけることで「手前マツリを軽減」でき「アジのバレも減る」のでつけた方がよいでしょう。
クッションゴムをつけない方が良い場面は、釣り自体になれてない場合や、豆アジが主体のケースです。
8月~11月程度まで豆アジが多く釣れる場面があるのですが、胴調子竿でクッションゴムをつけていると、微妙なアタリがわからないことが増えます。
豆アジがハリがかりしていることで「ヒラメやイナダ・ワラサなどの大物が釣れやすくなる」というのはあるのですが、アジの数を釣りたい場合は、使用をさけたほうがよいでしょう。

輪ゴム2~3本をハリス側に装着するのも一つ
ライトアジ用のクッションゴムも市販されていますが、輪ゴムを2~3本組み合わせるだけでも安上がりで有効です。
30㎝以上の大アジが数尾釣れるようなシーンでは輪ゴムが切れるので中太から太目のものを装着するとよいでしょう。
まれにクッションゴムを道糸側に装着している人がいますが、ビシをうまくしゃくれなくなるので、仕掛け側に装着しましょう。
▼アジ釣りのクッションゴムはハリス2号程度まで対象のものを選びたい
集魚パーツ類(ケミホタル・水中ライト・夜光ビーズ)はアジに有効?
アジをさらに釣りたくなるといろいろ仕掛けに工夫したくなるのが釣り人の性。
なかにはケミホタル・水中ライト・夜光ビーズをかなり装着している人もいるのですが実際に有効なのでしょうか?
結論からいうとデメリットの方が多いというのが実情です。
アジは夜行性で光に集まるという習性はあるのですが、ライトアジで狙うような浅場の場合、ライト類の効果はあまり得られません。むしろ潮受けしやすくなり、オマツリの原因にもなるので、使用は控えたほうがよいでしょう。
ライトアジであれば仕掛け全長(天秤+クッションゴム+ハリス)を含めて2m程度に抑えて、できるだけシンプルな仕掛けで狙ったほうがトラブルも少なくなり、平均釣果も増えます。
形状記憶合金の天秤ってどうなの?

左:ハイブリッド天秤。右:リーディングアームⅡ
ライトアジ釣りに通い続けると、天秤へのこだわりがでてきます。
形状以外の選択肢としてあるのが「形状記憶合金」製の天秤です。
形状記憶合金だけで作られているというよりも、ステンレスと組み合わせているものが多いのですが、効果はあるのでしょうか?
これは筆者の体感なのですが、以下のメリットを感じています。
- シビアなアタリでも天秤がしなやかで食い込みがよくなる
- フッキングしたあとにアジがバレにくくなる
▼形状記憶合金製の天秤ではサニー商事の「ハイブリッド天秤 弓 1.4-0.7-250」がオススメです。腕部分がステンレス素材と形状記憶合金の組み合わせで、ステンレスと形状記憶合金の良さを両取りできます。
アカタンかイソメ、どちらがいいの?メリット・デメリット

アカタンとイソメ
ライトアジの天秤吹き流し仕掛けの餌としては、主にアカタン(イカタン)とアオイソメが使用されます。
両者の特徴は以下の通りです。
- アカタン:ハリ持ちがよい。餌付けしやすい
- イソメ:アカタンで食わない場合も口をつかいやすい、頭部以外はハリ持ちが悪い
使い方としては、イソメの頭部もしくは胴部分を使用して、食いが立ってきたらアカタンに変更するというのがオススメです。
シビアな状況ではアカタンでアタリが出ないこともあります。状況によって餌を使い分けましょう。

アジを狙いでは長すぎるアオイソメ。吸い込んですぐに吐かれてしまう
<餌付けの注意点>
- アカタン:一つ以上つけない。ハリ先をかならず出す
- イソメ:小指の爪程度の大きさを針がけする。回転しないように通し刺しをするか、中心線にあたる端にハリがけする
ライトアジ天秤仕掛けのハリス号数・長さ・素材について
ライトアジに使用される吹き流し仕掛けについては以下の通りです。
ハリス号数
ハリスは基本的に2号を選びましょう。シビアな状況では1.2号~1.5号等で食わせやすくなるということもありますが、細糸は仕掛けが絡みやすく、絡むと解きにくくなります。
2号であれば不意にヒットする大サバやヒラメなども、釣りあげやすくなります。

1.5号ハリスではドラグ調整をしないと大サバはハリス切れしがち
ライトアジ釣りでは3号は基本的に不要です。
一方、40cm級の大サバが多く回っている場合は3号を使用していると安心です。
大サバしか釣れないような場面では4号をあえて使うと、網を使用せず乱暴に抜き上げをしてもハリス切れしなくなるのでさらに手返しがあがります。
長さ
他のコマセ釣りと違って、長ハリスは不要です。3~4m以上のハリスをつかうことで、大アジが釣りやすくなる場面もあるのですが、基本的に2mを基準にしましょう。
天秤が長い場合や、クッションゴムを使用する場合、ハリス全長1.8m程度のものを使用すると、オマツリを軽減できます。
素材(フロロかナイロンか)
基本的にハリがあるフロロカーボン製のハリスが使用されています。
ナイロン製のメリットは「伸びがあるため魚がバレにくい」という点と、「フロロカーボンより自然に餌が漂う」という点です。
条件によってつかいわけてみましょう。
釣り竿は手返しなら73調子、バレにくさや食い込みは64調子
天秤仕掛けをつかったライトアジ釣りでは、ライトゲームロッドと呼ばれる軽量な船竿を使うのが一般的です。
2mより長いものや重いコマセ竿は手返しが下がります。
▼73調子の竿はコマセをふりやすく手返しがよい。Mクラス(オモリ負荷~60号)が最適
▼ライトアジ専用竿は全長が短く使いやすく胴調子で食い込みもよい
まとめ

今回は東京湾の船釣りでも最も手軽なライトアジで使用する天秤仕掛けの基本ノウハウについて解説をしました。
本格的なビシアジと違って、ライトアジは誰でも簡単にアジを狙えるというメリットがあります。
一方、やり込むと、平均釣果を上げるためのコツなど奥が深い釣りです。
天秤やビシはレンタルするのもよいですが、自分でこだわるのも面白さの一つ。
タックル選びの参考にしてみてください。
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