東京湾で人気のライトアジは「LTアジ」とも呼ばれ、天秤に2m以内の吹き流し仕掛けでアジを狙う釣り物です。
ライトアジでは天秤も釣果につながる要素の一つ。
今回は毎週末にライトアジ釣り教室を開催している筆者がライトアジにおすすめ天秤を紹介します。
ライトアジ用天秤の選び方
ライトアジ用の船宿貸し天秤とビシ道具
ライトアジにおける天秤には主に3つの目的があります。
- 仕掛け(ハリス)を道糸やビシから離し手前マツリしづらくする
- アジがバイトした際もアタリを弾きにくくする
- 引きをいなし、バレにくくする
この3点を意識しながらライトアジに最適な天秤を選んでいきましょう。
ライトアジの天秤に最適な「線径」は1.2mm程度
線径は天秤の「腕」と呼ばれる線材の太さを指します。
ライトアジには線径が太いものは適しません。
線径が太いものはアジのような軽めの魚の引きに対してクッション性に乏しく、潮受けもしやすいからです。
ライトアジ用天秤の線径は1.2mm(ステンレス線材)程度が一般的です。
ライトアジの天秤に最適な「長さ」は20~25㎝
天秤の「腕」と呼ばれる針金部分の全長は、手返しの良さやタナアワセの精確さにつながります。
ライトアジ用によく用いられる天秤の長さは20~25㎝です。
これより天秤の長さが短すぎる場合は手前マツリしやすくなり、長すぎる場合はコマセの位置に対して針の位置がズレやすくなります。
また長すぎる天秤をつかうことで潮受けしやすくなります。
仕掛け全長も長くなるため、混雑時はオマツリの原因になることも。
※ビシアジ仕掛けハリス2m以内を想定
素材ごとの違い
天秤の素材は大きく分けて2つです。
一般的なのがステンレス製で、もうひとつが形状記憶合金製(腕部のみ。付け根はステンレスがほとんど)です。
ステンレス製は丈夫で安価です。
形状記憶合金製は腕部にチタン合金を使用しており、よりしなやかに餌を動かし、アジのアタリを弾くことなく吸収します。
アジがヒットしたあとも引きをいなすような動きをするため、クッションゴムなしでもバレにくいメリットがあります。
形状による違い
弓型天秤は底上1~2mでコマセを撒いて仕掛けを同調させる待ちの釣り方に適しています。
クッション性があるため、アジが付けエサを吸い込んだときにアタリを弾きにくく、食い込んだあとはバレづらいメリットがあります。
ストレート型の天秤はコマセをしゃくりつづけ、付け餌をコマセの帯に同調させつづける攻めの釣り方で有効です。
弓型より「コマセ線状帯」に同調させやすくなります。
またアジの活性が低いときも、もたれるようなアタリを感じ取りやすくなります。
ストレート天秤のデメリットはアジのアタリを弾きやすくなり、ヒット後にバレやすくなるという点です。
竿とのバランスも重要ですが、固めなタックル構成の場合はクッションゴムで補うとよいでしょう。
ライトアジ用弓型天秤のおすすめ
ヤマシタ ライトテンビン 1.2mm 20cm
迷ったら、ライトテンビン
ヤマシタのライトテンビンは東京湾のライトアジで定番中の定番アイテムです。
安価でクッション性や手前マツリの防止など、全体バランスがよく船宿貸し道具でもしばしば導入されています。
筆者も利用する頻度が一番高い天秤です。
線径1.2mmは20~40㎝まで5㎝刻みのモデルがあります。
ライトアジ用の1.8~2m仕掛けであれば20㎝で十分です。
デメリットは2つ。
1つ目は仕掛け側のインターロック式の小型スナップです。
もともとインターロック式のスナップは出っ張り部分にPEラインやハリスが絡むと開きやすいのですが、ライトテンビンの仕掛け側はかなり小さく、しばしば勝手に開いてしまいます。
強度も高くないため、開閉で劣化しやすく、いつの間にかスナップが開きやすくなってしまいます。
すると、当然仕掛けがなくなったり、魚が仕掛けごと脱落してしまうというリスクがあります。
「それにしてもアタリがないな」と、おもって回収した天秤をよく見るとこのスナップが開いていたり。
打開策としては、インターロック式スナップをプライヤーなどであらかじめ「かしめる」か、プライヤーで取り外してローリングサルカンのみにする方法です。
多くのライトアジ市販仕掛けは仕掛け側にスナップがついているため、もはやこの小型スナップは不要なのではないでしょうか。
同社のY型天秤は小型スナップが付いていませんし。
続いて、2つ目はビシ固定部ハリス側溶接部から折れやすいという点です。
どんな天秤でも金属疲労するため仕方ないのですが、ライトテンビンの構造上、線径1.2mmをヘビーに使用していると、この部分から折れます。
弓状で一番疲労しやすい部分ではあるのですが、注意したいポイントです。
天秤も消耗品としてとらえましょう。
ダイワ 快適天秤アーチ 1.2mm-25cm
ダイワの快適天秤アーチは、ストレートタイプで人気の快適天秤シリーズに追加された弓型天秤です。
線径1.2mmのモデルは25cmのみでしたが、2022年9月に30㎝と35㎝が追加されました。
ライトアジでは線径1.2mm、25cmがおすすめです。
快適天秤アーチはクッション性が高く、横浜沖など底上が荒根であるようなポイントでもハリスが底を這いづらいため針部の根がかりが減ります。
またシビアな釣況時、タナを2mにとったあと、同じ位置で付け餌のみ揺らすような釣り方でも餌が良く動きやすい印象です。
ビシの固定用インターロック式スナップも大型のため、ビシ脱落もいまのところ経験したことがありません。
全体の丈夫さについても、溶接部分が弓の中心部にあるヤマシタのライトテンビンと違い、破断しづらいのが特徴です。
サニー商事 ハイブリッド天秤弓(1.4-0.7-250)
先端部の形状記憶合金が竿のような役目を果たす
サニー商事のハイブリッド天秤弓はステンレス線材の先に形状記憶合金の線材が接続された弓型の天秤です。
形状記憶合金製天秤としては比較的安価。
シビアな釣況でも、形状記憶合金部分がアジの食い込みを妨げず、基部のステンレスが引きをいなすような設計でライトアジでも人気。
クッションゴムをつけないでもアジがバレにくいというメリットがあります。
ライトアジではステンレス線径1.4mm、形状記憶合金線径0.7mm、25㎝のモデルがおすすめです。
40㎝モデルはライトアジには長すぎ、シビアな釣況でのタナボケにつながります。
形状記憶合金製の天秤は、ステンレス部との接続から破断しやすいのですが、ハイブリット天秤の場合は今のところ折れたことがありません。
ダイワのリーディングアームⅡは、ステンレス部との接続から破断しやすいので扱い方に注意が必要です。
ライトアジ用ストレート天秤のおすすめ
ダイワ 快適天秤マルチ 1.2mm-25cm
ダイワ 快適天秤マルチはストレート型の天秤では最も販売数が多いアイテム(※1)です。
直線に伸びたアームが、仕掛けをコマセの帯に同調させて引き続けるような攻めのライトアジ釣りに適しています。
安価で余分なスナップ類がついていないのでトラブルも少ないのが特長です。
ライトアジでは、1.2mm、20cmがおすすめ。
弓型と比較してアタリはとりやすい反面、バレやすいので固めの竿を使う場合はクッションゴムを併用するとよいでしょう。
ライトアジの場合、腕が可動するスピードタイプのメリットはあまり感じられないため、より安価なマルチタイプをおすすめします。
※1 ORETSURI経由のAmazon販売数調べ
ヤマシタ 船テンビンY型1.4㎜ 20㎝
ヤマシタの船テンビンY型はダイワの快適天秤マルチに続いてストレート型で人気の高い天秤です(※2)。
線径は1.2mmがなく、1.4mmと1.6mmのみ。
そのためライトアジでは1.4mmを使用するわけですが、やや腕が固めです。
また、オモリ固定用インターロックスナップが小型で、ビシの脱落率が高めです。
あらかじめ、かしめるなど対策をするとよいでしょう。
こちらも弓型と比較してアタリはとりやすいものの、バレやすいので固めの竿を使う場合はクッションゴムを併用するとよいでしょう。
※2 ORETSURI経由のAmazon販売数調べ
サニー商事 ハイブリッド天秤 直 1.4-0.7-250
サニー商事 ハイブリッド天秤 直は形状記憶合金製のストレート型天秤です。
ライトアジではステンレス線径1.4mm、形状記憶合金線径0.7mm、25㎝のモデルがおすすめ。
一般的にストレート型の天秤はバレやすいのですが、形状記憶合金のしなやかさから、クッションゴム無しでもバレづらいという特徴があります。
まとめ
天秤でライトアジの平均釣果は伸ばせる
今回はライトアジで釣果を高めることができるおすすめの天秤を6つ紹介しました。
ライトアジ自体は比較的イージーな釣り物。
はじめて挑戦しても比較的簡単に釣果を出すことができます。
一方、食い渋り時にアタリをつくったり、せっかく食い込んだアジのバレを軽減するためには、天秤も大切な役割を果たします。
自分のスタイルにあったお気に入りの天秤を見つけてみましょう!
関連アイテム
▼固めの竿やストレート型天秤ではクッションゴムをつけるのも一つ。市販のゴムヨリトリや中太天然輪ゴムをつけるのがおすすめ
▼ライトアジで手返しを上げるためには道糸に先糸をつけるのもおすすめ。150㎝程度のフロロカーボン4~5号をつけると穂先がらみが軽減