イシモチと呼ばれる魚は何種類もいますが、なかでもシログチは東京湾でもよく釣れて、冬場の水温低下時は群れるため数釣りも可能な魚です。
夏場にコマセをつかったアジ釣りなどにも混ざってきますが、水温が高いときはそれほど群れていないようで、散発的に釣れるような状況なので、イシモチをたくさん釣りたいという場合は冬場がよいんでしょうね。
個人的にイシモチ釣りはかなり釣れるイメージがあるので、専門の乗合船に乗ったことはないのですが、LTアジなどのついでに釣れてくるうれしいゲストでもあります。
金沢八景の一之瀬丸では、メバル釣りに加えてイシモチやカサゴを狙うという「ショートメバル」という釣り物があって、潮が澄んでいるシーズンはカサゴが難しいとのことで、多くの釣人がお土産を持ち帰れるイシモチ狙いにシフトすることがしばしばです。
ということで、前回のショートメバル(エビメバル)釣りの後半はイシモチ釣りだったのですが、特にテクニックもなしに14尾釣れました。
数日で食べるにはやや多かったので、干物にして中長期的に朝ごはんとして楽しむことに。
イシモチの下処理
市販のイシモチでも、もちのろん、ひものは作れるわけです。
が、やや身がゆるんでいたり、イシモチ独特の体表面のニオイが強くなっていたりするものもあったりします。
その点、自分で釣って血抜きしたイシモチであれば新鮮そのものです。
鱗・内臓をとり、エラをぬいて、血合いをきれいに落として下処理は準備完了です。
イシモチは釣ったそばから血抜きしていくのが定番なのですが、エラをきってしっかり血抜きできていれば、この通り、身は白い状態です。血合部分は歯ブラシなどでできるだけ丁寧に取り除きましょう。
内臓処理を考えると、身に内臓のニオイがつきにくい腹開きがベストかなーと思っているんですが、このあたりは好みです。腹開きだと、内臓と血合いまで落とした状態から、一斉に腹開き作業ができるのでテンポもよい気もしています。
イシモチは「石持」ということで、頭部に石灰質で白くてかたい耳石があります。干物用に開くときは、中骨の端からややずらして頭を割ると、この耳石に刃が直撃しなくなるので、包丁の刃こぼれを防ぐことができます。気になる人はやってみてください。
干物に自由を。つけ汁や時間は自分好みで
塩水は、海水程度の塩辛さにしているんですが、これも好みです。
すんごいざっくりに、水道水にそのへんで売っている一番安い食卓塩をぶちかまし、よーしこんぐらいでいいだろうというしょっぱさがあります。
冬場のイシモチサイズだと30分ぐらいはつけこむとよいと思います。
塩辛く漬けると、保存性もバッチリ高まるのですが、塩分がやや気になるので、自分のベストタイムを探してみましょう。腎臓によくないです。このあたり、何事も最適というのはもちろんあるとは思うんですが、自分が「よし、これベストだ」と思えればよいと思います。
干物作りには「干物原理主義」みたいな考え方もあって、塩と水しかつかわない!それ以外は邪道である。塩は○○じゃなくちゃだめみたいな考えもあります。
が、塩なんてその辺でうっている食卓塩でよいんです。それと、つけ汁には日本酒やら味醂やらを好みでまぜたほうが、明らかに旨みも増しますし、完成した干物自体の臭みも少なくなります。
他に、
- 昆布と漬け込む
- ナンプラーをちょっと入れる
- ほうじ茶や緑茶をまぜる(臭みが減る)
などなど自分色に仕上げるとよいと思います。
難しく考えなくてもなんとかなるのが干物の良さです。
創業○○年とか、職人のなんとかというのはもちろん尊重したいのですが、それより、自分でつくった干物が一番だ。それが手前味噌ならぬ「手前干物」ってやつなんでしょうな。いいこといった俺。いいぞ俺。
つけこんだ後は、水洗いして表面の塩分を落として、水気をぬぐってから干しましょう。
このとき、直射日光がギンギンに当たると、身があたたまり良くないので、基本的に秋から春までの風通しがよいところで干すのがよいかなと。
出来上がったイシモチの干物を焼こう
ほしあがりました。
一夜干しと見せかけて、干していたことを忘れて次の日の昼過ぎぐらいまで干していた気がします。
このあたりもあんまり神経質にならないぐらいがよいんじゃないかと。
さらに保存性を高めたい人は、2~3日、干し続けると水分がだいぶ飛んで、持ちがよくなります。身は堅くなるので、そのあたりはトレードオフですね。
腹開きにすると、厳つい表情だったイシモチもよりめちゃんになってかわいいもんです。ま、おいしくいただくんだけどね。
イシモチ氏はけっこう厳めしい顔つき
このままラップして冷凍しておけば30日ぐらいは問題ないです。脂もそれほど多くないので脂焼け(冷凍焼け)もしにくいので、イシモチはアジより冷凍にむいてるかもしれませんね。
焼くときの注意点なのですが、強火で焼くとまーすぐ焦げるので、弱火でじわじわ火を通していき、最後だけ強火でやるとよいです。家庭の場合強火の遠火などは難しいので。
また、日本酒をキッチンペーパーにしめらせたもので表面をぬぐってから炙ってもよいですよ。
こんがり焼けた状態。
みためはアジの干物と変わらんですね。
よっしゃ、みるからに香ばしい仕上がり。
味は、マアジよりさっぱりとした白身で、まったく飽きが来ないのでパクパク食べられます。
薄味に仕上げれば一食二枚ぐらいは余裕で食べられます。
漬け込み時間を15~20分程度の薄味にして、ポン酢+もみじおろしで食べても乙です。
自分の好みの干物も、釣り人であれば簡単に実現できますね。
ではでは。