イシモチことシログチの話ですよ。
イシモチ氏はアオイソメが大好物。房掛けにして手返しよく釣る
イシモチって不当に扱われているような気もします。
かなり旨い魚ながら、水分が多かったり、下処理をしないとすぐにぐずぐずになって臭みが出てしまったりするわけです。これはまあ、イシモチをディスるべきっていうよりも料理法をしらない釣り人が悪いんだと。そう思います。
イシモチ氏は意外と厳つめの面構え
イシモチの下処理
まずイシモチは釣った傍からエラかエラの付け根の膜をきってバケツで血抜きしましょう。心臓を突くっていうのは、どんな魚でもそうですが、血が抜けきらなくなってしまうのでやめたほうがいいです。
夏場だとLTアジ釣りのゲストでよく混じりますが、アジと同じようにバケツにぶっこんでおくと、いつの間にかダウンして、水温も高めなのですぐに腐り始めます。これ注意です。釣ったらサバとイシモチはすぐに下処理して潮氷(海水+氷)を入れたクーラーボックスに投入して冷やす。これです。
こちらが持ち帰ったイシモチたち。メバルとカサゴについては、また別の記事で料理にして紹介します。
イシモチと呼ばれている魚にはニベもいるのですが、ニベは黒い斑点があって、東京湾より相模湾に多いように感じます。江ノ島の片瀬漁港の朝市あたりにいくと、かなりの量のニベが入っているときもあったり。
たまに、船宿のベテランや船長に、イシモチはその日じゃなくちゃ刺身にできないと言われることがあるんですが、あれはうそです。下処理さえすれば、3日ぐらいは余裕綽々で美味しくいただけます。ただし、夏などは持ち帰って下処理だけ当日に行っておきましょう。
こちら下処理済みのイシモチ氏。
とはいっても特殊なことはやらず、以下のことをしっかりやっておきましょう。血抜きがしっかりしてればバッチリです。
- 鱗をとる(身が柔らかいので鱗とりよりは大型のスプーンなどが便利)
- 内臓とエラを抜く
- 腹膜と血合いをすべて取り除き流水で流す
- 塩焼にする場合は塩をふって冷蔵庫で30分待ち、ドリップをぬぐってから再度を塩をふってから焼く
という具合に、それほど特殊ではないんですが、やや身が柔らかいので、強引に血合いと腹膜をとろうとすると、身割れするので注意です。
刺身やカルパッチョ、やや保存を想定した酢締めあたりであれば頭を落として、三枚におろします。胸鰭回りはこのとき切り取りつつ、あとでアラ汁などにつかうとよいです。脂があるのでいい出汁がでます。
あとは、キッチンペーパーで水分を抜く。
かるく塩をふってもよいと思います。
イシモチの刺身
こちらは釣った翌日の刺身。
見ての通りざっくり盛り付けて、味見をした次第です。
淡口醤油。
白身の魚は関東風じゃないこの醤油もよく合います。うまいうまい。実にうまい。
ベストシーズンではないと思いながらも甘味がありますね。
こちらは九州の甘口醤油。
砂糖のほかに人工甘味料で甘味をつけているのですが、これが中毒性のある風味なんですよね。釣魚を初日に食べるときは旨みが出てないので、その甘味を補うという点で、甘口醤油もオススメです。
イシモチのカルパッチョ
続いて、こちらは釣った翌々日のイシモチのサク。
水分がさらにぬけて締まってきています。いいぞいいぞ。
やや皮目に脂がみられて、血合いの入り方も美しいですね。
血合い骨は強くはないですが、骨抜きで抜いておくとよいでしょう。このプライヤー型の骨抜きはほんとオススメです。骨がしっかりつかめるんです。
3日目は刺身でつまみ食いしつつ、カルパッチョにすることにしました。いやはや充実してるなー。
にんにくも芽がでてますね。春だなー
お皿の表面に生ニンニクの断面をこすりつけましょう。これでニンニク風味がつきます。すりおろしにんにくなどを使うと、にんにくが強くなりすぎるので適度に。好みですが。
仕込んだ皿を冷蔵庫で冷やしておいて、薄めにスライスしたイシモチを並べる。これいつやってもうまく飾れないんですよね。
ちなみにカルパッチョをつくるときは魚の切り身を並べたあとに、塩をかるくふっておくとよいです(どこかでみた料理人のお話の受け売りです。)これをやると、身がさらにしまって、下味がつくんですよね。結構細かいところですが、やらないよりはやったほうがよいですよ。
そんでもって、好みのカルパッチョダレをつくりましょう。
今回は以下の通り。配分は適当にどうぞ。
- やや高めのオリーブオイル(小瓶でフルーティーな香りが高いのがよいです)
- レモン。これはたしか瀬戸内のレモンだったような。国産レモンの皮をすりおろしていれてもよいです
- 胡椒
- クレイジーソルト
以上。せんだって、下味に塩をふっておけばそれほど塩気をきかせなくてもなんとかなります。
そんでもって、今回は新アイテムの食用花だ。
エディブルフラワーというやつです。
これ八百屋で見ていて、なんとなく、もうすぐ春だし、いいかもーとおもったわけです。
よくこじゃれ系レストランとかでカルパッチョを頼むと花が飾ってあって、それっぽいじゃないですか。
あれをマネしてみました。
どうだろう。
・・・
この通り、「春とイシモチのカルパッチョ」のできあがりです。
今回はハーブ類を控えて、中心部に、ベビーリーフをもりもりとしました。ミニトマトもノーマルの赤でなく、あえて、黄色を選ぶというこだわり。
サラダ感覚でいけるインスタ映えまったなしの逸品です。インスタ映えってまだ通用しますよね?大丈夫かな。そのうち死語になるとおもうけど。
ははは。うまそうやんけ。
レモンを絞ってぱくり。
む。
うまい。と、あっという間に食べきりました。
イシモチ自体はさっぱり癖もないので、カルパッチョにも最適ですね。
イシモチのすまし汁
釣った魚を料理すると、もれなくでてくるのがアラですね。
捨てるのもよし、これを活かすのもよしなのですが、貧乏性なので、だいたい強火で炊いて白濁させたアラ汁にすることが多いです。
今回はすまし汁にすることに。
まずは霜降り処理。熱湯をかけてそのあと流水でアラをきれいにしましょう。血合やヌメリや鱗はこの段階で取り除きます。
その後、鍋に天然水とみせかけて水道水をいれて、昆布+みりん+日本酒をどばどばと。
弱火で沸騰させずに炊くと、脂やエキスが浮き出てくるので、薄口醤油と塩で味を調整します。
ああ、これはうまいやつだ。
オニイサン、イイダシデテマスネ。
ここに立派なぶなしめじをトウニュウシマス。
しめじなんですが、くたくたにせず、さっくり茹でるとシャキシャキ感と香りが残ってさらにグーです。
盛り付ける。今回は濁らず仕上げられました。
柚子皮とか、三つ葉がよく合うと思います。
味わい深い。
コクをさらに追求するなら強火で魚骨白濁スープにしてもよいんですが、こういった透き通った所謂おつゆもよいですね。
さっぱり掻き込むイシモチ丼
しめはどんぶりです。
といっても、丼にメシを好き放題もって、大葉を大袈裟にかざり、イシモチの刺身を並べる。
後は万能ねぎ(福岡のブランド商品)とみせかけて、茨城産の小葱と、もみじおろしとわさびです。すりおろし生姜も合うかも。
これに醤油ではなく、ポン酢をですね、適量かけて、一気呵成に掻き込む。
休み休みじゃなくて、一気に飯とイシモチと大葉とか薬味を掻き込んで豪快に頬張ってモグモグして食べる。
するとあなたはこういうわけですよ。
うんめー。なんじゃこれ。
馬路うめー。デラウメー。
いしもち最高!
ぐー!
ということで、イシモチをディスる前にちゃんと料理してそのうまさを味わっていただきたい限りであります。
ではでは。
今回の食材を調達した記事
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▼もうカルパッチョはクレイジーソルト使えばそれでOKですよ。これほんと。あとオリーブオイルはいいやつをつかって「チュニジア産うんぬん」とか能書きいっておけばなんとかなります。
▼釣ったその日の釣魚は甘口醤油がオススメ。嫌いでなければ。
▼サクの腹骨や血合い骨を抜くのは文句なしでメリーのプライヤー型の骨抜きが優勝です。これほんと。すべてのストレスが消え去る一品。