「伊勢海老」の釣り方と合法的に釣りができる条件。5つのルールを守れば「密漁」にならない

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巨大伊勢海老
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海産の代表的高級食材である伊勢海老。

食味がよいものの、養殖ができず個体数もそれほど多くないため、キロ数千円から一万円以上で売られています。

そんな伊勢海老ですが、釣りをしていると意外と簡単に釣れたりします。

一方、共同漁業権の対象として指定されていることがほとんどで、知らない間に密漁扱いになっていることも。

伊勢海老は養殖ができない重要な漁業資源のため、夜間の取締も強化されています。

「周りにバレないように持って帰るならOK」というような理解はトラブルのもとです。

今回は「伊勢海老を釣るための条件」や「釣り方・タックル・餌」について解説します。

目次

伊勢海老を釣るとなぜ密漁になるのか

千葉 伊勢海老釣った

内房のちょい投げで釣れた伊勢海老。共同漁業権対象なので持ち帰り不可

伊勢海老は、食味と見た目がよく、養殖技術が確立されていないため市場価値が極めて高い海産物です。

また移動性が低いため、だれもが自由にとりきってしまうと資源が枯渇してしまいます。

そのため、ほとんどの地域で伊勢海老は、共同漁業権の対象として指定されているのです。

共同漁業権に指定されている海産物は、遊漁者である釣り人が自由に捕獲することができません。

そのため、釣れた伊勢海老を保持したり持ち帰ると処罰の対象になります。

伊勢海老を合法的に釣ることができる5つの条件

巨大伊勢海老

伊豆諸島の巨大伊勢海老。共同漁業権対象なので持ち帰ることができない

では伊勢海老は、どこでも釣ってはいけないのでしょうか。

実はそんなことはありません。

5つの条件をクリアすれば、釣り人でも釣って持ち帰ることが認められています。

①共同漁業権のエリア外で釣る

都道府県別に共同漁業権のエリアを確認しましょう。

具体的には海上保安庁が公開しているデータベース「CeisNet(シーズネット)」をチェックします。

大磯港周辺

レイヤーに、水産>漁業権>共同漁業権があるので、調べたいエリアをクリックすると共同漁業権があるエリアは内容が表示されます。

港周辺・都市部の埋め立てエリア・工業地域については、共同漁業権自体が放棄されていることも。

CeisNetでの記載は概略なため、詳細・最新情報は都道府県別・地先別の情報を確認しておく必要があります。

上記図から、大磯港の岸壁周辺は共同漁業権がないことがわかります。

実際に、大磯港の堤防周辺は伊勢海老がいて、その他のルールも守れば釣ることができます。

②釣り禁止・立ち入り禁止エリアに立ち入らない

江之浦漁港 テトラ

立ち入り禁止・釣り禁止エリアでの釣りは絶対NG

そもそも釣り禁止・立ち入り禁止エリアでは釣りができません。

共同漁業権がないエリアや、伊勢海老が共同漁業権に指定されていない場合でも、釣りができないのであれば意味がありません。

伊勢海老が生息する場所は岩礁帯のほかに、テトラ帯であったりします。

漁港や岸壁でも、過去の事故等により、テトラエリアへの立ち入りが禁止されている場合があります。

そうした場所で伊勢海老を釣ることはできません。

③禁漁期を守る

伊勢海老は産卵シーズンに保護されていて、初夏から夏場に釣ることができないことがほとんどです。

いせえび 6月1日~7月31日(卵を持ったいせえび(抱卵いせえび)は、禁漁期間以外でも採捕は禁止されており、採ることはできません。)

参考:神奈川県

神奈川県の場合、 6月1日~7月31日については釣ることができません。

また、期間外でも抱卵している伊勢海老は採捕できないので注意が必要です。

④釣り方を守る

伊勢海老を遊漁でとる場合、使用できる道具が決まっています。

出典:神奈川県

神奈川県の場合こちらの条件です。

釣りをする場合は、竿釣りと手釣りが認められているので、そのどちらかであれば狙うことができます。

蟹網のようなもので絡めとることや、蟹籠などを使用することはできないエリアがほとんどです。

ネットで八角網やお魚キラーなどで伊勢海老がとれると紹介されていることがありますが、多くの場所では使用できません。

注意しましょう。

⑤大きさの制限を守る

もう一つ伊勢海老を釣るための条件があります。

それはサイズです。

いせえび 体長(眼の付根から尾端まで)13センチメートル以下

出典:神奈川県

小型の伊勢海老をとっても食べるところは少ないのでリリースしましょう。

伊勢海老が釣れるポイント

式根島野伏港の伊勢海老

見えますか?伊勢海老は岸壁に張り付いていることも・・・

伊勢海老が多く生息しているポイントは以下の通りです。

根(岩礁帯)

基本的に地磯などは、共同漁業権の範囲内で伊勢海老を釣ることはできません。

釣り場によっては、堤防際や少し沖に沈み根などがあり、そこがポイントになります。

テトラ

テトラ帯は、代表的な伊勢海老ポイントです。

夜間に上にのって釣るのは危険なのですが、岸壁とテトラの間にできた穴は岸壁側から安全に狙うことができます。

岸壁

漁港や堤防などの垂直な岸壁にも伊勢海老がはりついています。

岸壁によっては下がえぐれていて、その中に伊勢海老が多く生息しています。

また、スリットと呼ばれる岸壁の継ぎ目もねらい目です。

夜間に、ほかの釣り人がいない場合はヘッドライトで照らしてみると伊勢海老がみつかることも。

伊勢海老が釣れる時間帯

伊勢海老は夜行性の生き物です。

夜になると伊勢海老は住処である根を出て、平場まで出てきて餌をあさります。

そのため、ぶっこみ釣りでの釣果がよくなります。

昼間狙う場合は、岸壁の隙間やエグレ、テトラの穴などの、暗いエリアをメインにさぐりましょう。

伊勢海老の釣り方

伊勢海老を釣る方法は、餌釣りが一般的です。

「穴釣り」と「ぶっこみ釣り」の2種類で狙いましょう。

伊勢海老は夜行性なので、夜釣りが有効ですが、昼間でも穴釣りで狙うことができます。

穴釣り

穴釣りは、テトラの隙間やケーソンの継ぎ目を狙います。

カサゴのようにすぐにアタリがあって釣れる釣りでありません。

仕掛けを投入し、底をとったら、基本的に置き竿にして10分から15分待ち、竿先をききあげ、重さがのっていたらゆっくり巻き上げます。

昼前あれば穂先に鈴を、夜であればケミホタルを竿先につけるのも一つです。

ケミホタルを竿先につけた竿を見守っていると、じわーっと竿先が曲がったままになります。

これが伊勢海老のアタリです。

魚と違って鋭敏なアタリはないので、鈴をつけるのは効果的ではありません。

鈴でわかるアタリもあれば、わからないアタリもあります。

アタリがでていたら、すぐに巻き上げず、竿先で聞き上げましょう。

十分重みを感じるようであれば、根から引きはがすために竿をあげ、竿を上下させず等速巻します。

特にスピニングリールの場合は、巻き上げ力が弱いため、ポンピングしがち。

ポンピングすると伊勢海老がバレやすくなります。

また釣りあげるときに伊勢海老が岸壁やテトラに貼りつくこともあります。

もし、貼りつかれてしまったら、ラインテンションをゆるめましょう。

その後、30秒程度間をおいて、一気に引き上げると、抜きだせることがあります。

ちなみに、伊勢海老はテトラや岸壁の側面にも貼りついているため、あえて底を取らず釣る方法もあります。

ぶっこみ釣り

岸壁などからすこし投げて沈み根などを狙う場合はぶっこみ釣りが適しています。

テトラ帯や根周りと砂地の境目は根がかりしづらいのでぶっこみ釣りをしやすいエリアです。

仕掛けが動いてしまうとハリがかりしないため、ある程度重めの仕掛けをつかいましょう。

餌が浮かないようにガン玉などで沈むようにセッティングするのもよいでしょう。

仕掛けは投げてから、動かさず、置き竿で10分~30分程度放置しましょう。

その後、ゆっくり聞き上げてみてください。

伊勢海老が乗っていると、じんわり重く、時折尾で水をかく反動が手元に伝わってきます。

できるかぎりポンピングせず巻き上げましょう。

大型やかかりの浅い個体は、躊躇せずたも網をつかいましょう。

伊勢海老狙いの餌

イワイソメ

やや高いがイワイソメは伊勢海老も釣りやすい

伊勢海老は肉食です。以下のような餌がオススメです。

  • アオイソメ
  • イワイソメ
  • ストロー虫
  • サバやサンマの切り身
  • イカゲソ
  • オキアミ

特にイワイソメやストロー虫はニオイが強く、伊勢海老釣りに有効とされます。

オキアミも集魚力が高いのですが、ハリ持ちが悪く空針になりやすいので使用には注意が必要です。

オススメはアオイソメとイワイソメのアワセ餌です。

海域によってルールはことなりますが、サバやサンマの切り身を寄せエサとして巻いておくのもよいでしょう。

伊勢海老の穴釣りタックル

伊勢海老の穴釣りに高価なタックルは不要です。

特にテトラ帯での釣りは竿やリールが傷つきます。傷ついてもよいものを選びましょう。

スピニングよりベイトタックルのほうがタナを取りやすく、手返しが上がります。

待ちの釣りなので、確率をあげるために3セット用意するのがおすすめです。

あまり本数を多くすると管理しきれないので注意しましょう。

竿

穴釣りの場合、竿は柔軟な穂先をもった短めの穴釣りロッド(ベイトロッド)を選びましょう。

穂先が固いと、伊勢海老の食い込みが悪くなります。

1m~1.5mぐらいのロッドがつかいやすいと言えます。

テトラや岸壁の形状によってつかいわけましょう。

ぶっこみ釣りの場合、エギングロッドや柔らかめのシーバスロッドが使いやすいと言えます。

▼穴釣りは長短の竿を買って、足元と、すこし先の穴を狙い分けるのも一つ

▼ぶっこみ釣りは固すぎない万能ルアー竿が最適

リール

穴釣りでは、小型の両軸リールを使用します。高級アイテムは不要。

船やバス釣りのベイトリールを流用するのも一つ。

トラブルなく落とし込みと巻き上げができれば問題ありません。

ぶっこみ釣りのリールはスピニングリールを使用します。ライントラブルが起きづらいものを選ぶとよいでしょう。

▼シマノ・クラブデミ か、ダイワのコロネットⅡが人気です。超小型両軸リールの場合5号の糸巻き量が少なくなりますが、水深も浅いので十分対応できるはずです。

▼ダイワ・PR100やシマノ・バスライズであれば、穴釣り以外にも活用できます。値段も安価

▼ぶっこみ釣りのリールは壊れにくいダイワかシマノの入門品がおすすめ

ライン

ラインは根ずれしやすいのでフロロカーボンかナイロンの5号以上を選びます。

穴釣りでは30m程度、ぶっこみ釣りでは100m巻いてあれば十分です。

▼フロロマイスターやカーボナイロンの5号が安価です。

仕掛け

穴釣りでは、段差針の胴突き仕掛けを使用します。

段差針をつかうことで伊勢海老のフッキング率が格段に上がります。

ぶっこみ釣りでは、中通しオモリを遊動にしてハリス5号程度の段差針をつけるのがおすすめです。

穴釣りでもぶっこみ釣りでも、ハリスも太いから釣れないということはありません。

オモリは根がかりの多いところでは3~5号程度で狙いましょう。

仕掛けを底上に固定したいからといって重すぎる号数を使用すると、落とした瞬間に根がかりしてしまうことも。

▼穴釣りの場合、仕掛けとオモリは余分にもっていきましょう。

便利グッズ

▼ウツボやクロアナゴがヒットすると竿ごともっていかれます。尻手ロープは必ずつけましょう。

▼ケミホタルは仕掛けの目印のためにつけます。トラブルを軽減でき、手返しが上がります。竿先につけるタイプはアタリが目で見えるのでドキドキ

▼大型やかかりが浅い個体はたも網をつかいましょう。ナイロン系の網は伊勢海老が複雑にからみ手返しが下がるので注意

▼ライト類はヘッドライトとランタンを2種類もっていくと安心。

▼ぶっこみ 釣り、穴釣りともに、地形にあった竿置きがあるとアタリがわかりやすくタックルも傷つきにくいです

もし狙ってないのに「伊勢海老」が釣れてしまったら

伊勢海老

共同漁業権に指定されているエリアで伊勢海老が釣れたらすぐに逃がそう

ぶっこみ釣りや穴釣りをしていると、伊勢海老は意外と釣れてしまうものです。

もし伊勢海老が共同漁業権に指定されているエリアで釣れてしまった場合は、キープせず、リリースしましょう。

筆者もこれまで何度も、共同漁業権があるエリアで伊勢海老を釣ってはリリースしてきました。

なんだか惜しいような気もしますね。

でも、やはりルールです。

伊勢海老が多く生息しているエリアは、特に漁業関係者や海上保安庁による監視も行われています。

スカリやクーラーにいれて「あとで逃がそうと思っていた」は通用しません。

写真をとって速やかにリリースをし、SNSにUPでもすると、持ち帰りたい欲求もおさまりますよ。

まとめ

今回は、高級食材である「伊勢海老」を合法的に釣れる条件や釣り方全般について解説しました。

伊勢海老は、真夜中の漁港や岸壁で釣りをしていると、意外と簡単に釣れたりします。

一方、漁業者にとっても重要な水産物でもあるので、トラブルの原因になることもしばしば。

間違って釣れたものは速やかにリリースし、狙って釣るのであれば、しっかり釣りができる条件をリサーチしてから釣行しましょう。

関連アイテム

▼夜釣りは危険がいっぱいです。釣り場にあったライフジャケットを着用して飲酒は控えましょう。

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