どうも平田です。
ワタリガニを生食する方法としては韓国料理のケジャンが有名ですね。
大きくわけて味付けが2種類あり、唐辛子味噌系が「ヤンニョム(ヤンニョン)・ケジャン」と呼ばれ、醤油ベースが「カンジャン・ケジャン」です。
今回は生のワタリガニ独特の臭みを軽減して、ケジャンの食味を向上するコツを紹介します。
ケジャンは「生臭くて食べられない」という話を聞くことも
ワタリガニ(タイワンガザミのオス)
ケジャン自体を食べたことがない人も多いわけですが、「食べたけど口にあわなかったら好きじゃない」という人に詳しく聞くと、だいたい出てくるのは生臭問題です。
ケジャンの原料であるワタリガニ類には独特の風味があるのですが、生食では特に生臭みを感じやすいんです。
どんなニオイなのか。
あれは、アンモニア臭に泥が混じったような臭みです。
これは大きくわけて以下の3つの原因があります。
- ワタリガニの鮮度が低い(鮮度が低い状態で冷凍した個体・解凍してから時間が経過し劣化した個体・死蟹の状態で流通した個体)
- 下処理不足
- 漬け込みの工程が今一つ
次にこのケジャン3臭原因を解決し、臭みが少ないケジャンをつくるコツを紹介していきます。
ワタリガニは活きたものがベスト
捕獲したタイワンガザミ
まずワタリガニは活きているものがベストです。
蟹やエビは自己消化能力が高く、死んでしまうとすぐに劣化していってしまいます。
そのため、できるかぎり活きた蟹を手に入れましょう。
尚、タイワンガザミとガザミについては、味わいに大差はありません。
どちらかというとガザミのほうが身肉の量が多く、高値です。
自分で捕獲する場合は、自治体の漁業調整規則の範囲内で行う必要があります。
多くの場所で手づかみやタモ網ですくうことは認められていますが、蟹網・蟹籠はほとんどの場所で使用が認められていません。
▼ワタリガニの捕獲方法解説記事
購入する場合、活き蟹として流通しているものか、冷凍品の鮮度管理が良いものを選びます。
活き蟹はガザミがおがくずなど一緒に販売されていますが、中にはとっくに死んでいるものもいます。
あらかじめ許可をとってから手に取り、生きているか確認しましょう。
死蟹状態の個体は全体的に弛緩していて、黒ずみ、黒や褐色のドリップがまとわりついています。
ためしに嗅いでみると、ドブや猫糞のような臭いも・・・。
タイワンガザミのメス
ワタリガニの下処理
まずワタリガニですが、捕獲したものなら1度冷凍してから解凍するのがおすすめです。
ガザミもタイワンガザミも海産の蟹であるのですが、汽水域まで展開することから念のためのリスクヘッジです。
ケジャンは身肉だけなく蟹味噌なども使用するので念のため。
左:タイワンガザミメス 右:タイワンガザミオス
こちらは冷凍したタイワンガザミを真水で解凍しています。
両爪のつけねや腹側の尻蓋の裏側は水垢がたまりがちですので、ブラシなどで洗浄しておきましょう。
十分解凍できたら、尻蓋部分に指を差し入れ、取り除きましょう。
ひっくりかえして、甲羅と尻蓋のつなぎめに指を差し込み、甲羅をとります。
こちらは蟹のエラです。
韓国料理店でワタリガニを丸のまま漬け込んでいるときは、このエラがそのままの場合もあります。
が、自分で作る場合は取り除いて水洗いしたほうが無難です。
特に捕獲してすぐに締めたものはこのエラに砂や泥が絡んでいることが多いです。
続いて、超重要ポイント!
胃袋を取り除きましょう。
こちら!
口と直結した場所にあるのですが、解凍個体の場合、甲羅側に残ることも多いです。
指でつまむと貝殻や他の甲殻類の殻などを含んでいることがわかります。
この部位をつけたまま丸のまま漬け込むと、あら不思議。
ケジャンの生臭みが2倍になります(笑)。
間違って食べてしまうと、砂利っとして最悪。
次に、爪と足先をハサミでカットしておきます。
厳密にはカットしなくてもよいのですが、切り捨てておくことで以下のメリットがあります。
- 大量漬け込み時のカサが減る
- 食べるときに楽
- 漬けダレが爪や脚の肉に浸透しやすくなる
カットする部位は以下の通り。
これが、
こうなる。
こうして、下処理済みのワタリガニを鍋などの容器にいれます。
そして、以下の調味料を混ぜた液体に、さっと潜らせ、水洗いしておきます。
- 本みりん
- 日本酒(紹興酒)
- 酢水(食酢1に水1)
※調味料は酢水単体でもよい。
この洗い工程が大切です。
生のワタリガニ由来のニオイが軽減されるので、生臭みがすこしでも苦手な人はぜひやりましょう。
蟹味噌や内子をどうするか?
ワタリガニの場合、オスは蟹味噌、メスは内子(5~6月頃の梅雨時)があります。
特にメスは梅雨時までの抱卵個体が最高の食味とされるのですが、この内子や味噌は生臭みの原因でもあります。
臭みが苦手な人は、これら別皿に取り出して、日本酒(紹興酒)と合わせておくとくさみが軽減します。
こちらは、いわゆる蟹味噌
内子を持ったメス(梅雨時に捕獲したもの)
ケジャンの漬け込みタレを仕込もう
さて、次はケジャンの漬け込みです。
まずヤンニョムジャンの作り方から説明します。
要は辛みそなんですが、以下の材料を混ぜ合わせましょう。
- コチュジャン
- 味噌
- 本みりん
- 砂糖
- 水あめ
- ナンプラー少々(カナリエキス=いかなご醤油があるとさらにOK)
- ごま油(濃い口がよく合う)
- 唐辛子粉(甘みと油分が多い韓国種を使う)
- すりおろしにんにく
- すりおろし玉ねぎ(なくてもOK)
- すりおろしりんご(なくてもOK)
- すりごま(しろ)
※タレに卵や蟹味噌を入れておくのも一つだが、保存性が下がるので、あえて入れてない。各種の甘みを重ねて加えるのがコツ
分量はコチュジャンが80%程度であとはよしなに。
コチュジャンは余計な混ぜ物が多いものよりは、そうでないほうが風味がよいです。
こちらが完成品。
混ぜ合わせたものは1か月程度は問題なく日持ちします。
余ったら、生のキャベツやきゅうりをつけるだけでも美味。
つづいてカンジャンケジャンのタレを用意しましょう。
- しょうゆ
- 本みりん
- 日本酒
- 砂糖
- 水あめ
- ナンプラー少々(カナリエキス=いかなご醤油があるとさらにOK)
- ごま油
- すりおろしorつぶしたにんにく
- クコの実、ナツメ、リンゴスライス等
※しょうゆ、さけ類は煮切っておくとマイルドになりますが、そのままでもOK。
こちらがカンジャンケジャンの漬けダレです。
ちなみにこのタレに大葉を漬け込んで白飯をくるんで食べると最高美味!
よし、ケジャンを仕込もう
さて、最終工程、ケジャンの漬け込みです。
さっそくいきましょう。
スライス生姜をいれてますね
まず大き目の鍋等に処理した蟹と蟹味噌・卵などを投入。
その後、タレをいれて、木べらなどでよくなじませましょう。
こってりつやつや
こちらなじませたものです。
なじませたあとは、そのまますぐ食べてもよいですが、1日置くとなじんでさらに美味。
カンジャンケジャンもタレがちがうだけで同様です。
ひたすら黙ってケジャンをむさぼる
こちらは、2日ほど冷蔵庫で寝かせたケジャンです。
盛りつけるとこの通り。
野菜はなくてもよいですが、ネギ類、サニーレタスなど、リンゴや梨のスライスを添えると雰囲気が増します。
特にリンゴや梨のスライスはその甘みがヤンニョムケジャンの辛さを中和するので、できれば添えましょう。
あとは白飯と一緒にかきこむだけ。
卵の黄身をまぜても超絶美味です!
まとめ
自分だけど蟹場・タイミングをみつけておくのも楽しさの一つ
今回は、韓国料理のケジャンの臭みを軽減して美味しく仕上げる方法を解説しました。
唐辛子味噌系の「ヤンニョム(ヤンニョン)・ケジャン」と醤油ベースの「カンジャン・ケジャン」はどちらも白飯によく合い美味。
良く冷やしたマッコリもよく似合います。
機会があればぜひつくってみてください。
慣れれば簡単です。
ではでは。
平田 剛士(@tsuyoshi_hirata)
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