黄アジでも「大アジ」は「大味」なのか?

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大アジ
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続・黄アジ蘊蓄

アジにはいろいろいるけれど、一番うまいのが「マアジ」とされているのは、だれしも同感だと思う。

実際は季節によって、調理法によってことなるけれども。

釣り人は、得意げに釣りをしない人に「あのね、マアジは2種類に分かれるんだ」という話を何度もする。わたしももう何度したかわからない。

すると驚かれる。

アジはマアジだけで、その種類が2つあるなんて、考えもしないぐらいアジは日本人の食にとってポピュラーだからだ。

日本でいうマアジの2種類。

一つ目は、黒アジ(ノドグロ)と呼ばれるような個体群で、日本列島の沖合を南北に行き来する比較的脂が少ないもの。餌の影響があるのかもしれないが、移動し続けるのでスリム。まーなんというか毎日走り続けているような人がみなさんのまわりにいると思うけど、そういうもんです。え?あなたもそうですか、あ、はい。走りすぎは逆に健康によくないのでそこだけは、ご留意いただくとよろしいかなと。

で、もう一つは、黄アジ(金アジ・黄金アジ・瀬付き・根付き)と呼ばれる個体群。これは、湾内等、比較的浅場の海域の岩礁帯や海藻エリアなどに居ついている個体。この個体群は年中同じ場所をぐるぐるしている。夏でも同じようなエリアにいるし、冬場でも水深20m程度の浅場の高根などに居ついている。

黄アジは、もとは沖合を行き来する黒アジと同じであったものが、たまたま餌が多く居心地がいい湾内をみつけてしまって居ついたものだと言われている。正確なところは誰も知らない。

季節による食餌場所の移動や産卵行動というグレートジャーニーから道を踏み外したものが、浅場に寄り道をして世代を重ねているのだろう。そう考えると、黄アジはアウトサイダーだな、パンクだな、自分勝手だな、とか思っちゃう。

いやまてよ、よく考えると、黄アジは敷かれたレールの上を走らずに、自分の力でよりよい人生をつかみとった個体群なんじゃないかと思えたりする。

とにかく、同じマアジが場所によって食味を変えていく。

目次

黄アジが旨いのは当然。釣り人が黄アジを釣りに行くのも合理的

黒アジと黄アジでは、脂肪分が多く身に旨みと柔らかさがある黄アジが評価されることが多い。

不思議。

とはいえ、考え方を変えると、当たり前のようにも見える。

たとえば、あなたが巨人だとする。

あなたはじっとり街を見下ろす。

すると、朝っぱらからグングン走って汗をかいている筋肉質の男性がいる。あなたは、ちょっとこの男性の頭部を右手でつかんで摘み上げる。

次に、その辺の民家の屋根を左手でつまみあげると、そこには年百年中ソファに座ってAmazonプライムでバチェラーを見ながらポテトチップスをつまんでいる女性がいる。女性は、こちらに驚いている。薄ぼんやりした顔で脂肪が豊かについている。

あなたは巨人だから、この両者を食べるんだけど、食べたときにどっちが旨いか。

たぶん、筋肉質な男性は、パサパサしていると思うんじゃないかな。鶏肉でいえば、ササミみたいな。それで、脂肪女性(男性でもいいけど)については、なんだかジューシーに感じる。脂が、甘く感じるんだ。鶏肉でいえばもも肉、それも皮と脂付きの。

あなたは思う。

「あー、あれだな、あんまり運動しすぎてるやつより、その辺でグータラしてるやつのほうが旨いかも」

あなたがまわりに巻き込まれて炭水化物抜きダイエットに酔っているとか、油抜きとかプロテイン真理教などの信者ではなければ、やっぱりこう思うはず。

ということで、あなたは巨人としてグータラを狩るようになる。合理的だと思う。だってうまいから。巨人だって寿命があるし、人生で限りある食事の一回一回は大切にしたい。運動しすぎているやつは移動するし、捕まえにくい。

運動神経が発達しているやつは、反撃してくるかもしれないし、そうなると自分が被害をうけることも増えてくるかもなので、リスクマネジメントの観点からも狙うのはよろしくない。

その点、グータラは捕まえるのにあんまり移動しなくて済むし、こちらもカロリーを使わなくて済む。いいぞいいぞ。俺はグータラを食べるぞ。ふはははは。もほほ。

って、おい。

君はそのへんにしておかないか。

ってことで、今日も黄アジ料理です。

今回は黄アジのなかでも最大級にデカイ、40cm級の「大アジ」サイズを料理してみました。

アジは食味では中アジがベストっていわれるけども、実際のところどうなんでしょ。いつも通り、もう答えはわかっているんですがね。

大アジの刺身

大アジの一荷

39cmのダブルヒットは真鯛が来たかとぬか喜び。

この日は、アミコマセを寄せ餌にオキアミのつけエサといったイナダメインの釣り。

ハリス6m1本針伊勢尼10号をつめていって、プラカゴのタナを5m程度にしたら、ちょうどよく潮にのって大アジクラスが回遊するタナに当たったらしく、39cmを筆頭に大型の黄アジが入れ喰ったという状況。

大アジ

黄アジにしては実に巨大。

これを血抜きと延髄切り処理をし、持ち帰ったのがこちら。

黄アジ個体であるのは尾の黄色さからもわかるけども、保冷して持ち帰る間に、身体は全体的に黒くなり、眼の下にも、クマ状の紋様が浮き出てくる。

棒身にして2日ほど冷蔵庫で寝かしたものを刺身にしていく。

アジも釣ったその日に食べてもコリコリとして旨いが、下処理をしたうえで、熟成させてから食べると、うまみがましていい。

身のハリがいい。

三枚におろして、血合い骨はすかず、骨抜きプライヤーでしっかり抜く。

サクを細かくしないで、大ぶりに刺身にするのもうまい。

スダチを添える。

UPで見せたろか?

この通り。

味は、

旨いよね。2日寝かしたにしろ、魚体が大きいのもあるのか、まだぷりぷりとした歯ごたえが残っている状態。夏場の調理でもないので、身が温まりにくかったというのもあるかもしれない。

黄アジのハーブソルト焼き

続いて、残った半身を翌日に調理。

皮のついたサク全体にクレイジーソルトをまぶして、トースターでじんわり炙る。

調味料をまぶす前に、オリーブオイルを全体にぬってもいい。脂ノリが悪い場合は、これもオススメ。ガーリックオイルをぬってもいいけども、完全にイタ飯状態になる。

アルミホイルを敷いておくと、脂が落ちず、臭みが残りにくい、気がする。脂が落ちて加熱によって黒くなると、そこから煙が立ち上り、トースターが呪われ、以後、パンを焼いても魚のニオイがつくので注意が必要だ。

・・・

仕上げにディルをかざり、レモンをしぼって食べる。

旨いよね。皮もこんがりして。

アジを塩焼きにするときは、このように、クレイジーソルトで味付けしてみるのも一つだと思う。

大アジの味は大味なの?

黄アジでも「大アジ」は「大味」なのかというと、これは20cmぐらいまでの中型と比較してしまうと大味だと思う。

処理もしっかりしておけば、十分うまいんだけど、比較してしまうと、どこか、おおざっぱな味がする。

身も繊細さというよりも、筋のようなものを感じたりはする。旨いんだけど、これは仕方ない。よくアジ釣りにいくと、おじいちゃん連から、「こんぐらいの中羽(ちゅうっぱ)のやつが一番うまいよ。アジは」と言われるが、それは間違っていないと思う。20cmぐらいの頭が小さくみえるコロッコロの個体は最高にうまい。

今回は黄アジなので、まだ身に脂が多めで甘みがあったけども、黒アジの大アジ個体は筋が強い割りには旨みが少なく、刺身で食べると、がっかりすることもある。ああいったのは、状態にもよるけど、三枚におろしてからひと口サイズにしてフライにしたほうがよいかもしれない。

ではでは。

平田(@tsuyoshi_hirata

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▼クレイジーソルトを大量につかう場合は1キロで買うのも一つ。

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