ギンポについて
ギンポは、ほぼ日本全国に分布している魚。
春から夏によく釣れるが、基本的に1年中釣れる。比較的、根が多い地形で底釣りをしているとヒットするものの、多くの釣り人がその見た目からリリースする魚でもある。
名前の由来は複数あるが、「銀宝」と書いて江戸時代の通貨丁銀に由来するとも言われる。
この魚は、根の中で体を固定するためか外敵から避けるためか、背びれがすべて棘になっている。ぬめぬめうごくギンポを手でつかむと切れるため、『カミソリ』と呼ばれることもある。
むかし子供の頃、たしか茨城の大洗だったと記憶しているが、どこかの漁港で釣りをしていたときに、ギンポを釣り上げた。
それを漁師にみせたところ、取るに足らないといった表情を浮かべた漁師から「あーカミソリな。てーきをつけるんだぞ」というようなことを言われた覚えがある。
専門に流通する場合、活物は高級魚として扱われるが、関係しない漁師にとってはただの雑魚として扱われるのかもしれない。
ギンポの旬
天ぷら屋におけるギンポの旬は初夏。それ以外は味が落ちるとされ流通しない。
釣るにしても、5月~7月あたりに狙いにいきたい。
ゴロタ場の穴釣りであればよいが、堤防際などを攻める場合は水温が上がるほどベラやフグの襲撃をうけやすくなるのがネック。
ギンポが生息しているポイント
ギンポは海底に生息している。ウツボやアナゴ同様、長物は水中で浮いているのが苦手な魚だ。
ゴロタ浜
主に、ゴロタ浜(ごろごろとした石で形成されているところ)・磯・テトラ帯・堤防際(基礎などの根があるケース)などを狙うとよい。
テトラ帯
特に水深があるテトラ帯は、形状にもよるが危険が多いため、ライフジャケット類を装備して釣りをするなどしたい。
ギンポの釣り方と仕掛け
<釣り方>
ギンポは障害物の表面や側面にいるというより、より奥まった海底部分にいることが多い。そのため、穴釣りなど仕掛けをポイントの奥の奥まで入れ込める釣法が望ましい。
複雑なアクションなどは不要で、奥の奥までエサをおいて、あまり移動させずギンポのアタリを待つ。
アタリがあったあとは、根に潜られないように一気に巻き上げよう。
もし潜られた場合、水深が浅い場所はラインをたどって根をかわし、ラインを直接引っ張ると出てくることがある。
俊敏に餌をおいかける魚ではないのでルアー釣りは適していない。
<タックル>
ライトクラスのコンパクトロッドにスピニングリールがあればよい。穴釣りで水深が浅いところは割りばしなどの棒やハンガーなどの太目の針金を伸ばし、同じく太目のナイロンラインを結ぶだけでも十分。
ヒットした後に根に潜る習性があるため、ラインはナイロン8lbクラス以上ほしい。ちなみにラインが太くても食いは変わらない。オススメはナイロン20lb.(5号)。
5号あれば多少の根がかりでラインの表面に傷がついてもギンポをひきぬけるし、ゲストで登場する良型のムラソイが釣れても問題ない。
穴釣り師に大人気のプロマリン極光テトラDXであれば、1,000円ちょっとで買える。穴釣りロッドは1m強の長さであるため足元は釣りやすいが、足場を動かさないで周辺を広く探るのであれば6フィート程度のバスロッドなどでもよい。
<オススメの仕掛け>
ギンポを釣り上げてみると口が小さい。あまり大きい針は食い込まれにくいため、どの仕掛けでも、針の大きさに注意したい。
- ブラーやブラクリ(やや針が大きいものが多いので注意)
- ジグヘッド(メバル用など針が細軸であれば根がかり時に伸ばせるためゴミを残しにくい)
- スプリットショットリグ(オモリをつける場所は針のチモトから5センチ以内)
この中では、小型のジグヘッドリグかスプリットショットリグがオススメ。
月下美人のジグヘッドは針が細軸のため、ナイロン2号(8lb)程度あればフックを伸ばして回収できる。
フックサイズも選べてギンポにはちょうどいい。ヘッド部分のアピール力も高いので、カサゴ・ムラソイなどのゲストが釣れてくることも。
他に、虫ヘッドも針が小型で使いやすい。また、軸に餌キーパーがついているため、ギンポのポイントで競合しやすい蟹類から餌が取られにくい。
<オススメのエサ>
ギンポの眼をみるとかなり小さい。
視覚的に餌をとらえるというより、ニオイや餌の動きに反応しているのかもしれない。動物性のエサであればなんでもよいとは思う。
- サバの切り身
- サンマの切り身
- イカの塩辛
- アオイソメ
この中ではサンマ餌やイカの塩辛が集魚力が高い。
針持ちの良さはイカの塩辛が最強。イソガニやショウジンガニなど蟹類の猛攻も避けやすい。
※ルアーでも釣れなくはないと思うが、基本的に餌を動かさず食わせる釣りなので、エサが優勢。
ギンポ釣りのゲストと本命を狙うためのコツ
ギンポ釣りのゲストで釣れたムラソイ。落とした瞬間に釣れるのはほぼこの魚。
主に以下の魚介類が釣れる。
- ショウジンガニ、イシガニなどの蟹類
- タコ
- クジメ
- ムラソイ
特に水深が30㎝程度と浅いゴロタ場での穴釣りは、ムラソイと競合することが多い気がする。
ムラソイの場合は、エサを落とした瞬間にひったくるようなアタリがある。
一方、ギンポの場合は穴と穴がつながっている場所を自由に行き来し、どこからかエサのニオイにつられてくるような印象が強い。
そのため、点々とスピーディーに穴を釣り歩くのは適していない。
よい穴(穴が他の穴とつなっていそうだったり、奥行きがある)を見つけて、複数本の仕掛けを落としておき、じっと待つような釣り方がよい。
ゴロタ浜では割りばし仕掛けを複数仕掛けるのがスタンダードになっている。
こうすると、結果的にギンポの釣果があがりやすい。
ショウジンガニ。
微妙なあたりがあって、そこに張り付いているかのようなときは蟹類かタコであることが多い。
ギンポは天ぷらが最高!
ギンポは天ぷらのために生まれてきた魚だ。そんな表現がある。
ギンポには複数種類いるが、素人はそのあたりはあんまり考えなくてよいと思う。
どれも上質の白身で揚げることにより皮目の旨みが引き立ち、白身が上品で旨い。アナゴと比較するとさらに皮目と筋肉に歯ごたえがあるような印象。
こちらはあるとき釣ったギンポ。最大サイズは尺クラス。
ギンポは鮮度が落ちやすく活して持ち帰るのがもっともよいが、なかなか手間もかかるので釣り場で延髄部分を切り、氷締めにするとよいと思う。
包丁さばきが未熟な時の様子。目打ちがないと厳しい
その日に料理しない場合は、日本酒をふって、冷蔵庫で寝かせるのもよい。
画素はイメージ(実際はタチウオ)
ギンポの天ぷらは江戸前天ぷらの最高級品と呼ばれる。
釣ったばかりのギンポの筋肉は強靭で皮ともども弾力が強い。調理をする際は、目打ちをしたうえで、よく切れる包丁で行いたい。
手ごろな包丁がない場合、カッターナイフを用いてもよいが、ブレードに厚さがないため骨に身が残りやすい。
また調理油には、香りが強めのごま油(かどやの銀印がオススメ)を2割~5割好みで混ぜるとより江戸前な仕上がりになる。
大根おろしに天つゆでもよいが、塩と柑橘類で食べてもうまい。
ギンポなどの根魚は釣り過ぎに注意
このサイズが釣れるとうれしい
ギンポなどの根魚は回遊魚と異なり、同じ釣り場で釣りきってしまうと資源が回復しにくい。
いつまでも同じポイントで釣りをしたいと思うのであれば、サイズが小さい個体や食べきれない個体をリリースするなどの余裕を持ちたい。
▼ギンポの穴釣り動画。