春になって釣り物が少ないときに、日中堤防や磯釣りをしているとヒットしやすいのがウミタナゴ。
特別なテクニックがなくてもつれてくれるのでビギナーにもオススメの魚でもある。
今回はウミタナゴの釣り方とおすすめの食べ方について解説する
ウミタナゴについて
スズキ目スズキ亜目ウミタナゴ科の魚。一般的に釣れるのは20㎝前後だが、中には30㎝に迫るサイズもいる。タナゴといえば淡水のコイ目のタナゴを思い出すが、海のタナゴはスズキ目。
食性は雑食で釣り餌はオキアミ・イソメ・モエビ・イソスジエビなどを主に使う。磯では張りついているマツバガイなどを一口サイズにカットし餌にしてもよく釣れる。
潮だまりの海藻類についたヨコエビを観賞魚ネット等でつかまえておき餌にすると特餌になる。
春先にウミタナゴとあわせてメバルを狙うのであれば、オキアミよりは生きたモエビやイソスジエビを使うとよいだろう。
うっすら桜色の個体
卵胎生であり、秋に交尾した個体のうちメスの体内で稚魚が育ち、ゴールデンウイーク(4、5月)前後に水中に海放たれた稚魚はすぐに泳ぎ出すという効率のよい子育てをする魚だ。
この時期釣った個体がメスだった場合は、腹がぱんぱんに膨らんでいて、釣りあげたそばから驚いて産卵をはじめるものもいる。
また、なにも知らないで持ち帰り、腹をさばいてたくさんの稚魚を発見して食欲を無くしてしまうひとも多い。あらかじめ生態をしっておきたい。
こちらは城ケ島岸壁で釣れたウミタナゴのメス。稚魚をはらんでいる個体は肛門部分が赤く膨れているので判別できる。
こちらはチャリコ(真鯛の幼魚)ウミタナゴと似ているため初心者によく間違えられやすい。真鯛はヒレがウミタナゴよりしっかりしていて、口がおちょぼ口ではない。
ウミタナゴがよく釣れるポイント
ウミタナゴは主に海藻がある磯や岸壁の表層から中層に群れている。
アミコマセなどがあればまいてみると、スズメダイ・ベラ・小型のメバルなどの中に混じっている。魚体の体高があり、ひらうちをするときに銀色に光るので注視していれば判別できるだろう。
このような都会の港湾施設でも、ワカメなどの海藻類が岸壁から繁茂していれば群れて生息している。
岸以外でも水深が浅めの海でもよく釣れる。同じく海底に海藻が混じっているエリアを狙ってみるとよい。
ウミタナゴ釣りの仕掛けと釣り方
エサ釣り(ウキ釣り)
表層に群れているときはウキ釣りが有利。ウミタナゴ釣りでもっとも一般的な釣り方。
表層にウミタナゴが見えないときに、胴付きで海底のへチを探っていくと釣れることも。
リール竿でもよいが、のべ竿でのんびり釣るのも面白い。
ウミタナゴについてはメバルほどではないが、一部愛好家がいるためタナゴ針というものが市販されている。とはいえ、釣り物として難しいわけでもないためメジナやメバル釣りの仕掛けを流用しても問題ない。
おちょぼ口で大きな針ではかからないため、エサのサイズにあわせた小型の針を用意しておきたい。
エサは、イソメを1㎝程度にカットしたものかオキアミがなじみ深いが、生きたモエビ類を使うとメバルも混じる。人工エサでも釣れる。
魚が集まっている場合はコマセなしでも釣れるが、魚が見えないときにはアミコマセを使い効率的に魚を集めて釣りたい。
ルアー釣り
活性が高いウミタナゴはルアーでも釣ることができる。
ジグヘッドに小型のワームを刺してウミタナゴのいるタナの少し上をゆっくり引いてくるとヒットする。
特別なテクニックは不要だがエサ釣り同様フックとワームのサイズを合わせるところが重要。アタリをとるという点では口が大きいメバルよりむずかしいかもしれない。
こちらは大磯港の船溜まりでウミタナゴをワームで釣っている動画
春の船溜まりにはメバルとウミタナゴがいるが、よくみると胴体の厚みなどでメバルでなくウミタナゴであるとわかることも多い。
船のロープにはしばしば海藻類がついており、そこについているヨコエビ類をつついている個体や、常夜灯に誘われ上がってくるアミ類を捕食している個体が観察できる。
メバリングがてら狙ってみても面白い。かなりショートバイトなのでフッキングするのが難しい。
<参考ワーム>
ウミタナゴ釣りのゲスト
ウミタナゴ釣りで釣れるゲストは以下の通り。
- メジナ
- メバル(昼間の釣りなので小型のリリースサイズメイン)
- 底を釣る場合はカサゴなどの根魚
泳がせ釣りのエサとしてのウミタナゴ
ウミタナゴを泳がせ釣りにつかった場合、体高があるためかなり口が大きい個体でないとヒットしない。
- サメ(ベイシャーク)やエイ類
- シーバス
- アオリイカ
- マダコ
死んでしまったウミタナゴでも底付近や岸壁周りで誘うとマダコが釣れることも。
銀色に光るのとサイズ感的にアピール力も高い。
ウミタナゴのおすすめ料理
刺身
ウミタナゴの刺身は淡白な味。皮目に独特の風味があるのでまな板にニオイがつかないように調理する。カルパッチョのようにしてもよいだろう。
塩焼き
ウミタナゴを料理して食べる際に最も一般的なもの。
下処理後に、塩を振って水分をやや出したあとに塩焼きにすると淡白で旨い。
煮付け
身質が柔らかいので崩れやすいが、こちらも素朴な味。薄味でつくるのが一般的だが、ごはんのおかずにする場合は甘辛くしてしまってもよいかもしれない。
フライ
三枚におろした身をフライにする。身が柔らかいが、これはこれでおいしい。
釣りに貴賤なく、魚に貴賤なし
堤防や磯から簡単につれるウミタナゴについて解説した。
ウミタナゴはウキ釣りでメジナ等を狙う際にエサ取りとして煩わしく感じてしまう人もいると思う。
心無い人もいて、釣れたウミタナゴを岸壁や磯に打ち捨てていく人もいる。
食べるとうまいし、魚の命を無駄にしないためにも、捨てるのであれば海に逃がそう。
ウミタナゴ料理については、食わず嫌いの方も、是非一度ためしてほしい。
素朴でほっこりする味だ。
関連アイテム
釣った魚の名前をズバッと言い当てたい人にオススメの図鑑。冒頭部が特徴による分類で構成されていて、色や特徴によって釣った魚を判断できる。覚えなくても一つ一つの魚をみていくだけで、いろんな魚に愛着がわいてくるから不思議。