東京湾を代表する釣り物マゴチ。
関東以南を中心にほぼ全国的に釣れる魚であるものの、遊漁船が専門に狙っているのは東京湾ぐらいじゃないかなと。ルアーで狙う場合はあるかもですが。
特にサイマキ(車エビの幼体)やハゼをつかった餌釣りは、タナとりによりアタリを出し、前アタリから本アタリに持ち込み、能動的にアワセをいれないと釣れないことがほとんどで、釣果の差も出やすくファンが多い釣り物です。
毎年7月前後は、産卵シーズンで食いが鈍る傾向にあるのですが、今年は個体数も多いようで比較的釣れ続けている状況。
今回は、7月8月二日間のレポートです。
7月下旬大潮。マゴチは産卵真っ最中か、まさかのボウズ
えー、結論からいうと坊主でした。
めちゃきつい。
所謂、黄詰石(キツメイシ)ってやつです。
一緒にいったのは漫画家の佐藤秀峰さんで、佐藤さんは初マゴチ釣りで3本。くぅ。痺れましたね。
はじめに、先達として、マゴチの生態・釣り方・餌のつけ方・裏技や勘所あたりを聞かれてもいないのに説明するわけですよ。
で、蓋をあけてみたら、拙者坊主で候、みたいな。
あんまりだよー海神様ー。って思ったんですが、結果には原因があるんです。
そのあたりを話していきたいと思います。
この日の釣り座。
我々は、左舷ミヨシの9番10番。これはルアー釣りの人が登場しない限りは四隅の席です。
やっぱりはじめての佐藤さんには絶対釣ってほしい。
なので、左舷ミヨシを譲りつつ、自分はフォローに回って余裕綽々で3本ぐらいかな。6本ぐらいまでは伸ばしたいな。そう思っていました。この頃は。
だが、そう甘くいかないのが梅雨時のマゴチ釣り。
いかに今年が好調で、個体数も多そうという評判でも、産卵シーズンは沈黙する日やエリアがあるんです。
釣行日前日まで大雨が降っていて、真水も流れ込み、そういった影響もあるんでしょう。
八景沖からスタート。
神奈川側は地形変化が急で、タナとりを多めにしたほうがよいのが基本。
サイマキ、いっきまーす!
春以来のサイマキの針がけもバッチリ。
なんとなく、サイマキにもやる気が感じられますね。いいぞいいぞ。進路クリア、発信よろし?
釣り座。
簡易竿受けは、このあと右側の穴に置いたわけなんですが、1本竿でシンプル。
それもそのはず、意外と船内が混んでいて、出船前に渡辺直人船長が「潮が速め」とのことをトモ側の人たちにいっていたので2本竿をやめたんです。
タックルはシマノ・ライトゲームSSのMクラス。190㎝。
八景沖から野島沖堤防南側。
このあたりもガレ場っぽい気配で、地形変化も激しいところ。
たまに根がかります。
ふぅ。
本格的なアタリを出せないまま、渡辺船長は千葉側への移動を決断。
第一海堡付近→富津沖→第二海堡付近と、所謂「拾い釣り」。
ラストにわたしを含めてボウズメンが複数名いることを考慮してか、八景沖のブイ手前で流し。
沖にあるものの、浅くなっているポイント。
ここは個人的にも得意ポイントなんですよね。大型がいる気がして。
が、ゲットにはつながらず。終了。
これは、みんなが神経締め完了後のマゴチを回収していく図。
この様子をじっとり眺めていた中年男がいました。
はい、わたしです。
ところで、お前はなぜ釣れなかったのか?
釣れないときは、いつもそう問いかけます。
これは振り返れば以下の通りなんだと思います。
- 大潮&潮速めでサイマキが底上を離れすぎていた
これは釣っている最中からなんとなく気づいてはいたんですね。
わかっていた。
わかっていたが、対応できていなかった。
よくあるパターンです。
オモリが底を切ってから底上1mにオモリを置くのではなく、80㎝前後を意識していたわけです。
が、たぶんそれでも、サイマキが浮いていたんでしょう。
というのも、この日釣りをしていて一回もサイマキの頭部に砂泥やゴミがつかなかったんです。
これは、底上ぎりぎりあたりまでを攻められていなかったからかなと。
底上ギリのところが攻められていれば、波の上下によって、いつかサイマキが底上をすることもあるはず。が、この日はサイマキの顔がきれいなままだったんです。
実際には、マゴチってのは頭の上側に目があるんです。
なので、底ぎりぎりよりは、底上30㎝ぐらいからサイマキが落下したり、キックバックアクション(エビよけ)を繰り返すことでアタリにつながるはず。
おそらく、この日のタナとりでは、サイマキがマゴチがバイトできる間合いをはるかに超えていた時間が長かったんでしょう。だからアタリというアタリはほぼない状況でした。
もともとマゴチは目が小さくそれほど視覚が発達していないんです。
だから特に、潮色が濁っている夏場は、至近距離でサイマキの波動をうまく伝える必要があるはずです。
視覚ではなくて、側線にうったえかけるアクション。
これがサイマキやハゼで狙うマゴチ釣りの要町。
じゃあ佐藤さんはどんなだったのか。
佐藤さんは、結果的に3尾釣って、アタリも多くだせていたんです。
で、動かし方はタナをとってひたすら待つのではなかった。
タナをとったあとに、竿をゆっくり上にあげてから下げるという動作を繰り返していました。これはトモ側でアタリを出していた人の動きにならったそうなんですが、この日はそれがよかったのでしょう。
オモリを上げる動作と、下げる動作によって、どこかのタイミングでマゴチの鼻先にサイマキが落ちたり、泳ぎあがる動きが演出できたんじゃないかなと。
また、この動きの繰り返しによって、サイマキが驚いてキックバックアクションをする回数が増えて、アタリにつながったんじゃないかなと。
あとは、活性が高くないマゴチでも、目前から逃げようとするサイマキは本能的に捕まえたくなる。
チラリズムってやつですね。
それと、アタリがでてマゴチが釣れると佐藤さんは、頻繁にサイマキ餌を付け替えるわけです。
そうなると常に活きがよい餌を、「アタリがでるエリア(マゴチ濃度が高い)」で使うことになり、バイトが連発するのではないかなと。
ちなみに、佐藤さんの誘いをみて、マネしてみたものの、やっぱりアタリがこないとすぐにやめてしまうんですよね。それも釣果につながらなかった点なんじゃないかなと思います。
この日の振り返りのまとめは以下の通り。
<わたしの反省点>
- サイマキが浮きすぎていた疑惑
- あたりを誘発できるアクションを継続できなかった
<佐藤さんの場合>
- ハリス5号でハリス切れがあった
佐藤さんはかけたマゴチに飲まれてハリス切れを経験していて、次回はバイトリーダーとしてチモト部分から10cmほどを太めのハリスにする作戦でリベンジするということでした。
8月初旬大潮。底潮流れずながらもなんとか2本
7月の釣行後すぐにリベンジを決めて、佐藤秀峰さんとまたマゴチ釣りへ。
この日は左舷トモ1、2番。
大ドモは佐藤さんにゆずって、2番目で2本竿でチャレンジすることに。
人によって1本竿が得意の人と置き竿がなければという人がいるんですが、わたしは後者です。
2本とも置き竿の人もいますよね。
タナが極端に変わらないポイントでは置き竿のほうが微妙なアタリも目感度でとらえやすくなるというメリットもあります。
はじめは八景沖から。
出船前に渡辺船長に「最近はどんなですか?(釣況)」と聞いてみたところ、「うーん、いつハマるか毎朝期待してるんだけど、まだこないよねー」とのこと。
産卵後の荒食いタイミングはまだ来てない様子。
ということで、うーん渋い。
渡辺船長はすぐに八景沖を見切って、千葉側へ。
この時、船中マゴチ1本。これは右舷トモ側の男性。
20分ほどかけて、第一海堡あたりへ。
このあたりで佐藤さんの竿にすごい引き。
これはマゴチなら60UPなんじゃ?むしろ走っているし!すんげー!と思ったら、シーバス。
70㎝程度あったような。
スズキってマゴチより引きが強いんですよね。富津岬~海堡まわりは多いんですよね。
この時点で9時。
その後、10時半ごろまで千葉側(海堡周り)でやったものの、それほど当たらず。
全体的に低調で、2連続ボウズの影がおりてきて、いやな雰囲気に。
11時ぐらいから上げ潮に変わるので、そのあたりから活発になればよいなと。
ここで渡辺船長は、千葉側を見切って、再度東京側へ。
このとき船内でも6本ぐらいしかあがっていなかったんじゃないかなと。
12時頃、船尾にやってきた渡辺さんに相談すると、「ハリスを1mにつめてやってみな。2本竿で同じことやっているのも面白くないよ」と。
たしかになー。
2本竿の利点って、アタリを増やせる以外に実験しやすいというところにもあるんですよね。
1本は1.5mのハリスでやって、もう1本を詰める。
1本は置き竿で底付近で動かさず、もう1本は頻繁にタナとり&誘いをやってみる。
それで、成果が出たほうの要素を2本でやれば、釣果につながるわけです。理論上は。
大潮といっても、この日は底潮があんまり動いていない様子。
上潮だけ流れているものの、底は停滞しているようで、ハリスがほぼ垂直に垂れているのかも。
とはいってもいきなり1m詰めるものどうかなーと、一旦、間をとって25㎝ほどハリスをつめてみました。1.25mぐらい。
この時点で、2本釣っていた佐藤さんが糸オモリをとっていたので、マネしてとることに。
潮もさほど流れていないし、サイマキを少しでも元気に泳がせる意味合いです。
その後、タナとりは1mで変えず、10から20秒ごとにタナを取り直していると、12時半ごろ、置き竿のダイワ・マゴチXに沈黙を破るバイトが。
思わず、モノは小さいっぽいながらも「直人さーん」とか呼んじゃったんですが、それだけこのマゴチはとりたかったわけです。
ということで、貴重な1本。
40cmちょっと。
や、やった。
どの釣りもそうなんですが、マゴチも釣れてないときはこの1本が精神を安定させるんですよね。
だいぶ余裕がでてきたなと。
いけるぞ、これでいいんだと。
ここで2本ともハリスを1.25mにして、両方とも糸オモリはつけない仕様で。
が、その後、沈黙の八景。
ごくまれに誰かが釣るものの、アタリはゼロ。
何かが違うのか。
そもそも食いが立つ時合ではないのか。
これは手漕ぎボート釣りの話なんですが、マゴチも、あきらかに同じ場所を流していて、一切アタリがでなかったのに、時間をあけてやったらアタリが連発するということがあったりするんですよね。
そんなことを考えながら、14時30分ごろ。
もう、沖あがりタイムではあるんですが、シビアなシーズンということもあり、今回もボウズメンが多数いそうで、船長も一生懸命粘ってくれています。
八景港前。
このあたりも、意外とマゴチがよく釣れるので気が抜けないところ。
最後に1本とりたい。
マゴチスペシャルはタナがすごくとりやすい
先日、悔し紛れに購入した、がまかつのマゴチスペシャルでもヒットさせたい。
それにしても、この竿のバットカラーが茶色ラメなのは、もしかして東京湾の夏場の潮色をイメージしているんじゃ。所謂照りごちカラーってやつなんじゃ。
そんなことを考えながら、置き竿のマゴチXでタナを取り直そうする・・・。
おや?
根がかったかな。
ティップ部分に重さを感じるな、感じるよね?
これはまさか。
まさかの将門。
すぐさま竿先をさげて、スタンバイ。
が、反応なし。
ここからゆっくり聞き上げる。
ゆーっくりとね。
するとどうだ。グングーンと生命反応がある。
これこそマゴチ釣り界隈で「もたれ」と呼ばれるアタリ。
特に大型に多いあたりで、居食いなんだろうなと。
これはそれなりによいサイズなんじゃ。
すぐさま渡辺船長が駆けつけてタモ入れ。
マゴチXをグイングイン曲げてあがってきたのは・・・。
じゃーん。ギリ55㎝程度のマゴチ!
手持ち竿で釣れなかったけども、なんとか2本。
3日の釣果
マゴチ 40~55cm 0~3本
他スズキ
<集合6:30 出船7:00 オモリ15号ないし20号 サイマキ5匹付き>
八景沖~大貫沖を転々と攻めました!!
出典:一之瀬丸
この日は船中、0から3尾。
なんとか光がみえた日でしたね。
ハリスを詰めたからタナがあったと思うのですが、潮流れずで、ハリスが垂れたとしても、タナ(オモリ位置)を高めにやりつづけるのってのは意外と難しいのかもしれません。
それにしても佐藤さんはマゴチ3尾+デカシーバス。
どうやら、前回同様、タナとりにとどまらず積極的に誘いの上下を繰り返したことがアタリにつながったようです。
途中、わたしが釣れたタイミングで、同じく、ハリスをつめたところ、手が合わなくなったとのこと。
マゴチはタナとりが繊細なので、仕掛け全長が変わっただけで、たしかにタナが狂ってしまったりするんですよね。
「いやー、マゴチっておもしろいっすねー!」と、佐藤さんにマゴチ釣りの魅力が伝わったようで、なによりな釣行でした。
2連続ボウズもさけられてよかった。
まとめ
2回の東京湾マゴチ釣行での学びは以下の通り。
- 置き竿はテスト目的でも使うと面白い。ただただ同じことをやるだけじゃなく試行錯誤の速度を上げる
- サイマキはやっぱりちょっとでも動きが弱ったら交換したほうがよい(わかっていても粘りがち。釣れないときほど長く使いがち)
- 繰り返し釣れている人の誘いや仕掛けはまねしたら長めに継続してみる(真似して釣れないとすぐに戻しがち)
- タナの微妙な要素を考えないで、惰性でタナとり動作や待ちをやってしまうとボウズになりやすい
- 大潮と頭にあると上潮が流れているだけなのに、タナを低くしがち。底潮に意識を集中させる
- 上潮による飛びを回避するためにはオモリ20号も積極使用
以上、マゴチ初心者のみなさんの参考になれば幸いです。
マゴチは7月を中心にやや渋めながらも、だんだんと産卵がらみの休み明けで食いが立つ個体が増えてくるはずです。8月中旬にかけて期待して釣行してみましょう。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)
お世話になった船宿
関連アイテム
▼マゴチXはリーズナブルな専用ロッド。ややバットがやわらかいものの、軽量で使いやすいマゴチ竿。がまかつのマゴチスペシャルは2.55mでタナがとにかくとりやすく、穂先で着実に15号オモリの着底をとらえる優れもの。長竿なので置き竿にもグー。リールは現行ならばPE2号が200mまける新型ゲンプウが一番リーズナブル。置き竿はラークシリーズなど、ロッドキーパーに尻手ロープがあると安心。簡易竿受けはシマノの「船べり楽々竿掛け」が、竿をしっかり固定できるのでオススメ。