夏がすぎて、秋の風を感じるころになると真っ盛りになるのが『ハゼ釣り』と呼ばれるマハゼ釣り。
今回は、江戸前の釣りとしても有名なマハゼ釣りについてお送りする。
マハゼは日本人にとってなじみ深い魚
マハゼは、ほぼ全国の河口域・汽水域で気軽にみられる馴染み深い魚だ。釣りを趣味にしていない人でも、一度はなんらかの形で釣ったことがある釣り物でもある。
マハゼ料理では天ぷらが最高といわれており、季節にもよるが江戸前天ぷらの具材として欠かせない。
他にも小型の唐揚げ・甘露煮・南蛮漬け、焼き干しにしたマハゼの出汁をつかった雑煮などが楽しまれている。
一方、このマハゼは魚屋やスーパーで見られることがない魚で、釣り人だからこそ新鮮なものを釣って食べることができるものでもある。
マハゼの成長と釣魚としての魅力
釣り者としてのマハゼは、梅雨あたりにテナガエビ釣りとあわせて釣れはじめる数センチサイズのデキハゼからはじまる。
夏場盛んに餌をたべて急速に成長する良型ハゼ(まれに2歳魚も混じる)、9月以降に10センチ強に成長した彼岸ハゼ、冬場に船道等に落ちていく落ちハゼ・ケタハゼとサイズを考えなければ比較的長い期間釣れる。
初心者でも秋までは簡単に釣れる。
季節が変わって水温も低下していくものの、時合と潮の干満をふまえて釣行にいけば活性の高いハゼのアタリと引きを楽しむことができるし、釣果を伸ばすという点と、冬場のハゼ釣りは極めて奥深い釣りでもある。
マハゼの生態
マハゼは、自然に『湧く』といわれていたことがあるそうだ。
これはウナギは海底の泥から生まれると唱えた、古代ギリシアのアリストテレスが提唱した『自然発生説』に似ている。
たしかにマハゼは、ある時期になると、どこからともなく河口や汽水域に大挙してあらわれることもあり、昔の人からしたら、泥からうまれるとおもってもおかしくはない。
東京湾であればマハゼは、成魚の個体が冬場~初春に水深10メートルより深場で産卵する。泥底に穴を掘って卵を産み付けるそうだが、多くの釣り人はそこまではみたことがないだろう。
孵化した稚魚は、プランクトンを食べつつ成長し、梅雨時にはゴカイや河川を流下してくる有機物を食べながら成長する。
夏場になると10センチ程度に成長し釣り物としても意識されはじめ、秋口になると10センチ強になる。
また水温低下とともに水路や河川の澪筋や漁港の船道などに移動し、深場で産卵をして一生を終える。その死体は多くの魚介類の栄養源にいなっていることだろう。
ヒネハゼとは
初夏から盛夏にかけて、まわりのハゼと比較してサイズが大きい個体(20cm前後)が釣れることがある。これは昨年生まれた個体で何らかの原因で産卵行動をせず生き残ったもの。これを「ヒネハゼ」と呼ぶ。「ヒネ」は日本語では、古くなることや老熟したものを指すためこのように呼ぶのだろう。
ちなみに、マハゼによく似たウロハゼという魚がいて、こちらもサイズが大きくヒネハゼとよく間違えられている。
マハゼの釣り方
釣り方は、季節によって大きくわけて二つで、のべ竿の釣りと投げ竿やルアーロッドによるちょい投げだ。
梅雨から秋口はのべ竿で気軽に
マハゼは梅雨から秋口あたりのシーズンは比較的岸近の浅場にいることが多く、この場合手返しを考えるとのべ竿での釣りが有効だ。
のべ竿は、ポイントの状況(かけあがりや深さ)や潮の干満をみて用意するが、大体3~5m程度の竿が使いやすい。当然竿の長さとともに重量もますため、より気軽に釣るために釣り場によっては3メートルの、のべ竿を片手に立ちこんで釣りをすることもたのしい。
なれない釣り場の場合、水深や岸の地形(立ち込めるかどうか等)がわからないため、2m弱のウルトラライト~ライトクラスのルアーロッドで探ってみるのもよいだろう。
ハゼの釣り方(のべ竿)
のべ竿であれば静かに着水させ、オモリ着底後、しばらくまってずる引きや、場合によってはちょんちょん跳ね上げてステイさせるとよい。
あたりは、ぶるぶると敏感にくるので、エサの垂らしが長くない場合は即合わせしよう。
合わせがおくれると餌を飲み込み手返しが悪くなる。
ハゼ釣りの仕掛け(のべ竿)
のべ竿で釣るときは、ナイロン1号(4lbクラス)程度の道糸に三つ又サルカン(下側がスナップになっていて、枝部分がハリス止めになっているもの)が便利だ。
スナップ部分には小型のナス型おもりを付ける。この時期は水深1メートル前後をねらうことが多いのでハゼに違和感をもたれないようにするのと、アタリのとりやすさを考えるとそれほど重いオモリは不要だ。
ハリスは袖針、ハゼ針、キス針などなんでもよいが、アタリに対してタイミングよく合わせないと針を飲まれることが頻発し、活かしておくことが難しくなるのと、手返しが極めて悪くなるので、数釣りをする場合は、以下の要素を含めた針を複数サイズ用意しよう
- 釣り針の軸が長目かつ吸い込みやすい形状
- 針の軸にケン(カエシ)がついていて餌のイソメやジャリメを保持しやすい
これらを考えるとハリス1号程度のケン付のハゼ針が最適ではある。
ハゼ釣りのゲスト(夏秋)
チチブやヌマチチブもよく釣れる
この時期にマハゼのほかに釣れるゲストは、ダボハゼと呼ばれるヌマチチブやチチブ、マハゼより大型になるウロハゼ、流線形の頭部をもったハゼの仲間のドロメあたりがいる。
ドロメ。口がやけに大きく扁平な頭部が特徴。
マハゼ以外のハゼも食べて唐揚げや天ぷらで旨いので、意地悪に堤防や陸地に放置せず持ち帰るか逃がしてあげよう。
※この時期は最近人気がでてきたハゼクラでねらってもおもしろいかもしれない。
晩秋から冬場はルアロッドでちょい投げで
ジェット天秤+キスなどの2本針がオススメ。
水温が下がるにつれて最大20センチ強まで大型化するマハゼは岸近くから深場に移動し、活動頻度を低下させ餌もあまり食べなくなる。
この時期は、深場をねらい岸から天秤等で遠投する釣りか、ボートや遊漁船を利用する釣りが一般的だ。
こうした大型のマハゼを狙うためには、釣り場の地形把握が大切だ。
漁港であれば船が行き来する船道をじっくり攻めると効果的で、河川や水路についても水流を考えて水深が確保されているところを狙うとよい。
仕掛け
仕掛けは、ちょい投げの場合はキステンビン軽めのナス型オモリを利用するか、ブラックバス釣りに親しんだことがある人は、スプリットショットリグで狙うのもお手軽だ。
深場のポイントへ距離がある場合はジェット天秤等で遠投するとよい。季節にもよるが冬場ほどそれほどさびかない釣りになるため1投げごとの確率をあげるためにシロギスやカレイを狙うための投げ釣り用2本針で狙ってもよい。
釣り方
この季節は数をたくさんつるというよりも、良く晴れた日に防寒をしっかりして、サーモスにコーヒーでもいれてすすりながらのんびり待つスタイルが優雅でいい。
深場に投げて着底後仕掛けをなじませて、活性によって少しずつずる引きを試してみよう。
この季節の釣りはポイント選択で運命がわかれるので、地元のベテラン釣り師に積極的に話しかけつつ、ハゼがたまるエリアを見極めて釣りをしよう
ゲスト
冬から初春の釣りの場合、ポイントによるがゲストにはシロギスやカレイが混じることもある。
※船からの釣りの場合、好みによって手ばね竿という伝統的な道具を使う場合もあるが、リール竿のほうが気軽ではある
マハゼ釣りのエサ
アオイソメの頭部が針持ちよく連続して釣れる。
アオイソメやジャリメ
マハゼは雑食なので動物性食品であればなんでも釣れる。
が、やはり一番釣れるのはアオイソメやジャリメだ。
ジャリメ。吸い込みやすいが針持ちがイソメに劣る。
ジャリメは吸い込みやすいが餌の強度からいくとアオイソメの頭部が最良で、これをしっかり縫い差しにできれば1回の餌付けで餌を変えずに10匹程度は釣り上げることができる。
ハゼ釣りの場合、この虫エサが噛まれた状態のほうがハゼが釣れやすいといわれている。これは吸い込みや餌の臭いの拡散が影響しているのかもしれない。
上記をふまえ餌が針に残った場合はそのままにして、あたらしい餌を垂らし短め(1センチ程度)にするとよい。
初心者の場合、垂らしを長めにしてしまうことがあるが、アタリがあった瞬間に針がかりさせるには針の形状とサイズと餌のつけ方と垂らしの関係性が重要だ。こころしておこう。
アオイソメやジャリメを塩漬けにしたもの
イソメを塩漬けにして食紅で染めたもの
釣り餌を販売する店舗にもよるが1パック購入すると虫エサはあまることがある。シーズン中に複数回釣りをする場合は予備餌としてまったイソメやジャリメを塩漬けにしておいてもよい。
ただし、喰いは活き餌に数段劣る。
ミミズ
ミミズ餌でもマハゼは釣れる。が、塩分が混じっている汽水域の場合、すぐにのびてしまい集魚効果が落ちるので、汽水域や河口域の釣りがメインのマハゼ釣りではオススメできない。釣り場によっては純淡水のエリアまでハゼがのぼってくることがあるのでその場合は、フナやハヤ等のゲストを狙うことも考えミミズもよいかもしれない。
ガルプやパワーイソメ
虫餌を触れない人の場合、ガルプのサンドワームやパワーイソメを利用するのもよいだろう。
これらの場合は活き餌以上にずる引きやシェイキングなど、アクションを加えるとよいだろう。
活き餌と比べると釣果はかなり落ちる。
その他のエサ
魚肉ソーセージでもマハゼは釣れる。
都合により身近に釣り餌屋がない場合や、コストが気になるひともいるだろう。
この場合、代替餌としてあるのは以下の通り
- ベビーホタテ
- カニカマ
- かまぼこ
- サバ皮を小さくカットしたもの(身は不要)
- 魚肉ソーセージ
- ゆでたまごの白身
- 釜揚げシラス
- サクラエビを戻したもの
これらも釣果の面を考えると虫餌に劣るものの、手が汚れにくいのと、思い立った時に気軽に釣りにいけるためあわせておぼえておくとよいだろう。
ハゼ釣りは簡単だけど奥深い魅力的な釣りだ
よく釣りは季節の移り変わりを楽しむことができる趣味だと言われている。
今回ご紹介したマハゼも同様、季節ごとの釣りをたのしめるので、これからの季節ぜひ試してみよう。
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投げ竿
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