【要注意】釣り人によるナマコ採捕は漁業権に関係なく禁止になった!(2020年12月~)

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三崎港朝市 ナマコ
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どうも平田です。

これは読者の方から教えてもらってはじめて知った内容なのですが、2020年12月からナマコを獲ることが共同漁業権の指定やエリアに関係なく禁止になったんですね。

昨年、前もって別件(タコの漁業権エリアや種別等)で、神奈川県水産課の方と話す機会があったんです。

そのときに「12月にはナマコを獲ることの罰則も強くなりますし、そのあたりは情報発信を強化していくんです云々」みたいな話があったんです。

が、タコのことばかり頭にあったんで、聞き流していたんですね。

で、肝心の「漁業法改正」というのはウェブでも流れてきていたわけですが、これも見流していました。

あんまり釣り人自体には関係ないっぽいなと。あとで見ようと。

そう、後で見ようというのは、だいたい見ないわけです。

ところがそこに盲点があったという。

具体的に、わたしが法令違反をおかしてしまったわけではないんですが、先日まで頭で「共同漁業権エリアでなければナマコの採捕はOK」という認識があったんです。

現時点で、同じように考えている人もそこそこいると思うので、シェアしておく必要はありそうだなと。

以下、「共同漁業権がないエリアだから」という理由で、すれがかりのナマコをとって食べたり、たも網ですくっている人がいたら教えてあげてください。

目次

「ナマコ」の採捕は釣り人(遊漁者)にもかかわる新漁業法のポイント

以下は、水産庁による新漁業法等のポイント解説からの切り抜きです。

カ 密漁対策
近年、悪質な密漁が社会問題になっています。そこで、高値で取引され、被害が特に深刻な農林水産省令で定める特定の水産動植物(ナマコなどを想定)について、許可などを持たずに採捕した者や、密漁品と知って譲受(ゆずりうけ)や運搬などをした者への罰則を新設し、3年以下の懲役又は3千万円以下の罰金を科すこととしました。この額は、個人に対する罰則としての最高水準です。また、無許可漁業や漁業権侵害等の罰金額も大幅に引き上げました。

出典:水産庁

よくメディアで見ますよね。

暴力団や類する組織体によって、ナマコ(主に黒ナマコ)が大量に密漁され、中国などに輸出されている話(中華食材として有用)です。

個人レジャーの一環として、無知or悪ノリでナマコ・サザエ・アワビなどを獲って食べたったー(それもよくないが)というレベルではない規模の密漁です。

夜間に監視役とタッグを組み、人気のない浜に無灯火で潜水。

砂泥エリアに多い夜行性のナマコを大量につかまえ、闇にドロンしてしまうというアレ。

ナマコは黒いダイヤとかいわれますが、「シノギ」ってやつになっているわけです。

ご存じの通り、こういう組織的な犯罪は、資源保護や漁業者の権利保護観点からもかなり問題になっていて、今回の漁業法改正のなかでもナマコは特に罰則が強化されているわけです。

出典:水産庁

法令における当該箇所は以下の通り。

<漁業法>

(特定水産動植物の採捕の禁止)
第百三十二条 何人も、特定水産動植物(財産上の不正な利益を得る目的で採捕されるおそれが大きい水産動植物であつて当該目的による採捕が当該水産動植物の生育又は漁業の生産活動に深刻な影響をもたらすおそれが大きいものとして農林水産省令で定めるものをいう。次項第四号及び第百八十九条において同じ。)を採捕してはならない。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 漁獲割当管理区分において年次漁獲割当量設定者がその設定を受けた年次漁獲割当量の範囲内において採捕する場合
二 第三十六条第一項、第五十七条第一項、第八十八条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)又は第百十九条第一項の規定による許可を受けた者が当該許可に基づいて漁業を営む場合
三 漁業権又は組合員行使権を有する者がこれらの権利に基づいて漁業を営む場合
四 前三号に掲げる場合のほか、当該特定水産動植物の生育及び漁業の生産活動への影響が軽微な場合として農林水産省令で定める場合

第百八十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は三千万円以下の罰金に処する。

一 第百三十二条第一項の規定に違反して特定水産動植物を採捕した者
二 前号の犯罪に係る特定水産動植物又はその製品を、情を知つて運搬し、保管し、有償若しくは無償で取得し、又は処分の媒介若しくはあつせんをした者
<漁業法施行規則>
第四十一条法第百三十二条第一項の農林水産省令で定める水産動植物は、次に掲げるものとする。
一うなぎの稚魚(全長十三センチメートル以下のうなぎをいう。)
二あわび
三なまこ
出典:法令文庫

ってことで、遊漁者や許可を受けていない漁業者は、エリア云々ではなく、ナマコ(種類を問わずナマコにあてはまるもの)を採捕してはいけないということなんです。

こういう法令で生き物の種類が「なまこ」とか「たこ」などと、厳密に指定されていないのは、たとえ資源的に価値がなくても混獲してしまったり、密漁と疑しき行為にならないためにざっくり決められているとのこと。

採捕禁止違反の罪になると、三年以下の懲役または罰金額が3,000万という。

漁業法改正前であれば、共同漁業権(指定とエリア)を侵害しなければ、ナマコは採れたわけなんですが、今はそれもダメというわけです。

SNSでは匿名者による「私刑」につながる予感もする

例えば、横浜やら川崎やらの港湾エリアの砂泥地帯は、共同漁業権エリアでもなく、マナマコ類がかなりいるんですが、これが頻繁にスレがかるんですよね。

ちょい投げ・メタルジグ・エギタコなどなど。

みなさんも覚えがあるんじゃないでしょうか。

赤ナマコをタコエギで釣る

赤ナマコ

渚の駅たてやま ナマコ

青ナマコ

メタルジグで釣れたナマコ

黒ナマコ

どうでしょう。

共同漁業権エリア外で、特段犯罪をおかしている気がなくって、たまたまスレがかったものを持ちかえる。

そんで、「ナマコ酢にして食べた。めちゃうまい!」みたいな投稿をする人ってまわりにいると思うんですね。

いますよね。

わたしのまわりにはいました。

こういうのも、もちろんダメなわけです。

良くないことは良くないのですが、こういう叩きやすいネタは、何かと日頃の鬱憤が溜まっている人による攻撃材料となりやすいものです。

今後は、何の気なしにSNSやブログやYouTubeに投稿したものが、アレコレ私刑的に叩かれてしまう原因にもなりそうです。

(繰り返しますが、ナマコの採捕自体はダメですよ)

冒頭の通り、わたしが認識してなかったということもあり、まだ知らない釣り人もたくさんいると思います。

個人的には、「そんなん共同漁業権エリアのみで強化すればいいんじゃない。狭いエリアでのわずかな楽しみを奪わないでくれ」って思ったんですが、おそらく以下のような意図があるんでしょう。

  • ナマコを全エリアで採捕NGとすることで資源回復をはかる(参考:北海道マナマコ資源管理ガイドライン
  • 「共同漁業権エリアだと知らなかった」という悪質な密漁者の言い訳を作らない
  • 国民による「ナマコの資源保護」への問題意識をより高める

などなど。

出典:水産庁

やっぱり物事にはミクロとマクロな視座があるわけです。

一人の国民として、釣り人としての権利意識だけでなく、より大きな視座を持つ意識は必要だなと思うばかりです。

ということで、「ナマコの採捕自体はエリアに関わらずダメですよー」という話でした。

まわりで、リアルタイムにネットにUPしちゃっている人がいると思います。

もし気づいたら、こっそり教えてあげてください。

ではでは。

平田 剛士(@tsuyoshi_hirata

(食用か、流通しているかどうか等を問わず全ての種類のナマコが採捕禁止の対象です。)

↑ナマコは種類や食用の有無にかかわらず採捕禁止です(参考:神奈川県

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