モクズガニって、産卵行動で河口に下る晩秋がピークで、年も明けるとだいぶ個体数が少なくなるイメージです。
産卵をしてそのまま河口域で朽ちてアカエイの餌食になったり、カモメなどについばまれるんでしょうな。
そんなモクズガニなのですが、今年は1月も後半になってもたくさん獲れているなという話です。
河口にもいるが、汽水域手前の中流域にまだモクズガニがいる
晩秋によくモクズガニが発見できたエリアにいってみたわけですよ。
すると、1月も半ばを過ぎているのに、まだモクズガニがいたんですね。
貴殿、産卵よろし?
魚のエラを食べているモクズガニ。
それも複数個体いました。
▲この写真のなかにモクズガニ氏がいるのがわかりますかね?
どうでしょう。濁りがなくなると浮き出てくるモクズ氏。
闇夜は誤魔化せても、ワイの眼は誤魔化せませんぞ!
トングを高速で差し込み、容赦なくつかんで捕獲。
干潮時の河口域であれば簡易的なたも網でもとれます。
この河口域でとれた個体のなかにもメスがいたのですが、これは抱卵しておらず、もう卵を解き放って死を待つ個体なのかもしれません。
これは食味的には産卵前に劣るはず。
中流域にもまだモクズガニがいた
その川沿いを職質まったなしの姿でヘッドライトを照らしながらのぼっていくと、あ。いた。
という具合にモクズガニが。
このあたりは、満潮になると汽水になりつつも、引き潮時は完全淡水なエリアです。
一つ!
二つ!
三つ!
四つ!(これは抱卵しているのでノーカウント&リリース)
まだいるのか!
四つ!
五つ!
と、途中で撮影するのがめんどくさくなってきた件について、という心情にあいなりまして、撮影は省略。
その後も、モクズガニが壁にはりついているのをすくってまわりました。
これって住宅街を流れる川での出来事なんですね。
で、通りすがりの鼻歌まじりの酔っぱらったドワーフ系のおっつっあんが話しかけてきました。
ドワーフ系のおっつっあん:「お、釣れた?」
わたし:「あ、いやモクズガニとってるんですよ。ほらあそこ(ヘッドライトで泥に潜むモクズガニを照らす)」
ドワーフ系のおっつっあん:「はーん。モクズね。下流にさ、ウナギいたよ。ウナギ捕ろうよ。鳥がね突っついていたの」
わたし:「お、おう。(それ死んでるウナギでは…)」
ドワーフ系のおっつっあん:「まーさ、寒いから気を付けてねー」
わたし:「おーす」
みたいなやりとりがありました。
基本的に釣り場だったりで出会うホビット系・ドワーフ系・ノーム系のおじさんはいい人が多いですね。
巨大モクズガニを捕捉
ドワーフ系のおっさんとはなれて対岸にいってみたところ、あら不思議、同じエリアでも明らかにモクズ率が低いんです。
蛇行しているエリアで、外縁側というか。
川がえぐれて深くなっているエリアなのですが、そちらは人口も少ないようですね。
と、
なにやら川底をうごく巨大なタランチュラみたいな物体が。
で、でかいぞ。
あれは最大サイズのモクズガニだ。
こうなると、すんげー寒い夜なのですが、高鳴る胸の動悸ですよ。
ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ君。
これはあれだな。手前の岸のエグレに入られたら終わりだな。
ドクンドクン、ドクンドクン。
ヘッドライトの光軸をずらして居場所を捕捉したあとは、電撃作戦しかない。
・・・
一呼吸おいて、灯りをずらしてあてる。
すると、巨大モクズガニ氏がゆうゆう蟹歩きして川下側に移動しています。
ジオンのビグ・ザムの例もありますが、蟹も大型になると、自分自信の強さを過信して余裕綽々に生きている感があります。それもそうでしょう。(ビグ・ザムはドズル氏の生き様として特攻しかなかったのですがね)
まわりのジムというかザクというかアッガイというか、まーそういった弱兵モクズらのなかで圧倒的な戦力。自然界ではメスも『強い』遺伝子に感服してペアになれると思いますし、交尾&その後の交尾ガード期間も余裕なはず。
が、
しかし、
しかしだ。
貴様のその肥大化した自信が己の運命を決めるのだ!
・・・
平田流たも網術奥義『神速すくい』
すぅー、バサ!
・・・
やったか。
見事、大型モクズガニ(オス)をゲットです。
一撃で敵の大将を落とすとは。我ながら快勝でよい酒が飲めそうです。
すんげーデカイ。
ギカンテス級といっても過言ではないと思います。
この日の釣果というか、たも網結果はこの通り。
やらせはせんぞ!やらせはせん!
みたいなセリフが聞こえてきますが、戦いとは非情なものです。
弱者は負けて強者の言いなりになるのだ!
脚をひろげた横幅は30cm級。
やっぱりデカくて強い個体は身体の欠損もすくないですね。
モクズガニ同士で喧嘩をするまえに、みんな逃げていくんでしょう。
国家間の戦争もそうですが、北朝鮮を除いて小国なのにアメリカ先輩に対して、ワイんところのミサイル撃つぞ(ほんとは出来損ないだけど)みたいなことをいう輩はいないわけです。
武力があればこそ、平和が守られるわけです。
経済力があるからこそ信用されるわけです。
外交とはそういうもんです。
甲の幅も8cm弱。
今まで捕獲した中では間違いなく最大サイズ。
わたしは、けっこう手が大き目なのですが、左手でも手の平サイズあります。
ノーマルサイズと比べてもこの通り。
みてくださいこの激おこぶりを。純粋な怒りです。
モクズガニは4日~7日ほど泥抜きをしたほうがよいのですが、ゴムで両爪をしばってからやると泥抜き時のケンカも少なくなる気がします。
水は水道水で問題なく、朝晩かえるとよいですよ。
ではでは。