私が「沖縄のルアー釣り解説本」を書いた理由

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こんにちは。沖縄在住のsacom(@luckycatslfs)と申します。

2020年12月発行予定の「図解と写真でわかる沖縄のルアーフィッシング陸っぱり編」を編纂しました。

この書籍をつくるに至った背景として、沖縄の釣りシーンの変遷や私的なルアー釣り体験談をお話します。

目次

私が沖縄でルアー釣りをはじめた頃

私がルアーフィッシングを始めたのは1990年代終わり頃。

それから2000年代初めになって、「釣る=食べる」が当たり前だった沖縄にも、ゲームフィッシングという考えが徐々に広まるようになっていきました。

四方を海に囲まれた沖縄ではその前から釣りは盛んでしたが、「釣った魚=食べる」という意識がかなり強かったと思います。

汽水域で釣ったヤイトハタ。ルアーフィッシングを始めると同時にルアー作りもスタート。

社会人になり、少しだけ余裕ができた私は、以前から興味のあったルアー釣りに挑戦してみました。そして半年ほどして、節約のためにハンドメイドルアーも作るようになったのです。

この時代、主な情報源は、地元の釣り雑誌や新聞の釣りコーナーの記事でした。沖縄の陸っぱりルアーフィッシングは、バスフィッシングやシーバスフィッシングの技術を流用することからはじまっていたように思います。

ヒラアジ類はすべて沖縄方言の「ガーラ」としてまとめられ、テクニックとしてはポッパーをガボガボ動かすか、ミノーをトゥイッチングする。スプーンやソフトルアーを引っ張るくらいのものでした。

苦手意識のあったメッキ(ロウニンアジ幼魚)を自作ルアーで

個人的にルアーにアクションを加えることが苦手で、特にトゥイッチングのテクニックが必要なメッキ(ヒラアジ類の幼魚)を釣ることにたいへん苦戦したのを覚えています。

この頃、インターネットが家庭にも徐々に入りはじめた頃で、私もサイトを作り、沖縄のルアー釣り情報を掲載するようになりました。当時、沖縄の釣りに関するサイトは10ほどしかありませんでした。

やがて掲示板を通して釣り仲間ができ、ラインシステムの組み方などを習ったり、一緒に釣りに出かけたりと、有益な情報交換ができました。

自作ルアーで釣ったゴマフエダイ

沖縄のルアー釣りと情報発信手段の変化

仕事の前や帰りにルアーを投げるという毎日が続くある日のこと、地元釣り雑誌のとある記事が目にとまりました。

沖縄にはミズン(ミジュン)という小魚が生息していて、サビキ釣りや網で捕獲されています。この魚がベイトフィッシュとなり、良型の魚が釣れるというのです。

餌となる小魚に合わせてルアーを選ぶことは、ルアー釣りの基本の一つでもあるのですが、当時は「ガーラが好む餌はボラ」と言われており、ベイトフィッシュ=ボラという固定観念があったのです。

ミズン(中央)にマッチしたルアーを開発。

実際にミズンの群れを探して、ミズンを意識したルアーを使ったところ、イソマグロなど今までにない釣果を得ることができました。

この経験から、魚の胃袋の中やフィールドで捕食されている生き物を念入りに調べ、ルアー作りに活かすようになったのです。

ミズンナブラでの初釣果。バスタックルで小型のイソマグロとのファイトは最高

そして、ミズンのナブラでよく釣れるオニヒラアジは、夏場はシラスのような小魚を集中的に食べていることもわかりました。

大きな魚は大きな餌を食べるという固定観念が崩れ、それぞれのパターンを追求すべく、ベイトの群れを追いかける日々でした。

夏場に見られるシラス(ミズスルル)

sw08:シラスナブラで釣ったオニヒラアジ

ミズンナブラではカンパチもヒットした

やがて、情報発信の手段がより簡単になりました。

ブログサービスが続々と増えて、誰にでも簡単に記事を投稿できるようになったのです。このころ沖縄だけでなく、全国に釣りブロガーが増えていったのです。

沖縄ではブロガーを起用した新たな釣り雑誌や新聞がいくつか生まれましたが、これらの雑誌は短命に終わってしまいました。

こうしたメディアで私もライターを経験し、「いつか本を書こう」と思うようになりました。

これらの雑誌では専門的なルアー釣りや、当時マイナーだった河川での釣りも多く取り上げられ、沖縄のルアーフィッシングの幅がかなり広がった時期でもありました。

都市河川にも増えたオオクチユゴイ

この頃の私は一部のアングラーの間で楽しまれていた清流の魚オオクチユゴイ(ジャングルパーチ)を地元の都市河川で発見し、ポイント開拓に明け暮れていました。

また、沖縄では伝統的に曳き餌木を使ったイカ釣りが行われていましたが、餌木にアクションを付けて釣るエギングが主流となったのも、この頃だったと記憶しています。

アオリイカ2.1kg

その後、私は脱サラ。

短い期間ではありましたが遊漁船をやっていました。

船長初出航の日

リーフの魚が甲殻類を好み、砂混じりの場所でのテキサスリグの有効性などもわかり、海の知識を幅広く得ることができました。

やがて情報発信の舞台はSNSやYoutubeに変化していきました。

動画配信も気軽に行えるようになり、沖縄でも多くの釣りYoutuberが活躍しています。

これからも釣りを楽しみ続けるためにできること

私は2012年ごろから約2年半、地元のコミュニティFMにて釣り番組「沖縄釣り情報番組フィッシャーズゲート」を企画しました。

ナビゲーターの一人として、様々な釣りジャンルのエキスパートをお呼びしての釣りトーク番組を担当させていただきました。

「この番組は沖縄の今の釣りと、これからの釣りを楽しむための情報をお届けします」という一言をオープニングに繰り返していました。

番組名はラジオ局近くにあった観光名所の守礼門と、釣り人達の入り口になってほしいという意味をかけていたわけです。

また、釣りにまつわる事故やトラブルを防ぎ、これからも釣りを楽しみたいという願いを込めていました。

黄色が釣り禁止の明示がある場所。赤:立ち入り禁止、青:条件付きで釣りが可能

この数年、沖縄では加速的に漁港などで釣り禁止の明示がなされています。

肌感覚でしかありませんが、マナーが改善されなければ、おそらくこの5年以内にほとんどの港湾が何らかの形で釣り禁止になりそうな勢いです。

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港湾施設においては、これまでも釣りが明確に許可されているわけではなく、あくまでも黙認されているという状況ではありました。

とはいえ漁業者も釣り人に対して優しく、「昨日〇〇が釣れていたよ」と声をかけてくれるような関係でもありました。残念ながら近年はゴミ問題やトラブルがニュースなどでもクローズアップされるようになり、漁業者と釣り人の関係性が崩れつつあるのかもしれません。

こういった釣りの存続の危機に対して、今の自分にすぐできることはなにか。

これは地元釣り場の清掃活動実施や、以前からの目標であった「ルアー釣りの本」を書くことかもしれない。釣りの知識はもちろん、安全管理やマナー、ルール、自然環境など多岐にわたる知識も得られるものであれば、問題解決につながることもあるのではないかと考えました。

情報の即効性はウェブが強いのですが、技術発展が著しく、常に新しい技術にあわせてサイト等を更新し続けないといけません。WEBで末長く情報を残し続けることは、簡単なようでなかなか難しいことだと思うのです。

書籍ならば戦争や災害など大きな出来事がない限り、同じ情報を長く残せます。また、信頼性の高い出展元としても残すことができ、電子書籍という形でデジタルも可能です。

このような理由で、あえて書籍にまとめるという道を選びました。

沖縄のルアー釣りノウハウ本を執筆するにあたって

原稿の添削状況。なかなか大変

本を書くと決めてからWordに体験談や考えを書き綴り、漫画用のソフトでイラストを描く日が続きました。

読んでは自己添削し、また読んで赤ペンを入れての繰り返しで、作画を含め概ね4か月ほどで原稿は完成しました。

ページ数やレイアウトの都合もあるので、添削で文章が増えすぎてもいけないし、必要なことが書かれていなくてもいけない。

この調整はなかなか大変でした。

202010月、パイロット版(試し刷り)

15回ほど添削して誤字脱字をチェックしたつもりでしたが、2020年10に発行したパイロット版では、いくつもの誤字脱字を発見…(涙)。

ちなみに、書籍には大きく分けて出版社側が費用を投資する「商業出版」と、執筆者が発行費用を工面する「自費出版」の二つがあります。

前者は芸能人や有名なプロアングラーなど著名人でない限り、ほぼ不可能です。編集者が忙しく、原稿を読んでもらう余地がないので、原稿の持ち込む余地がありません。

私が選べる道は自費出版。

しかし自費出版は編集や校正、デザインなどを出版社にお願いする分、費用がなかなか高いです。

そこで第三の選択肢として、自ら印刷所にデータを持ち込んで製本、自前で販売する「同人誌」として発行する道を選びました。

同人誌といえば既存の漫画やアニメのキャラクターを作った二次創作のイメージが強いですが、一般創作(オリジナル)というジャンルもあります。本を書いてみたい方、同人誌なら意外と安く作れるのです。

バーコード(ISBN/書籍JANコード)を付与することで、流通可能な本にすることも可能です。ISBNコードや書籍JANコードは個人でも取得することができます。個人経営のミニ出版社になり、国会図書館への所蔵もできます。

できあがった本は「図解と写真でわかる沖縄のルアーフィッシング 陸っぱり編」

図解と写真を駆使して解説(オニヒラアジのシラスパターン)

沖縄のルアー釣り本を書くという目標は、「図解と写真でわかる沖縄のルアーフィッシング陸っぱり編」にて、一つ達成できました。

本業の傍ら行っていた漫画の執筆経験は、イラスト作画に役立ちました。

沖縄のルアー対象魚をイラストにまとめたところ、130種を超えました。

形態や生態が似た魚も多いため、すべての魚種について詳しく紹介することはできませんでしたが、亜熱帯の釣りの醍醐味の一つである「多様性」が伝わればと思います。

また、「私がルアー釣り初心者だったころ、手元にあればよかったと思える本」を目指したので、初心者向きの内容でもあります。

一方で、沖縄の魚の習性の話や生態系の話、これからの釣りを楽しむための提案など、マニア向けの内容もカバーしました。

沖縄在住の釣り人はもちろん、沖縄や南国への遠征釣行を考えている方や、旅行や出張でちょい釣りを楽しみたいアングラーのお供にしていただけますと幸いです。

sacom(@luckycatslfs

▼「図解と写真でわかる沖縄のルアーフィッシング 陸っぱり編」

  • 発行予定:2020年12月(パイロット版:2020年10月発行)
  • ISBN978-4-9910057-2-5
  • 本文モノクロ152ページ ソフトカバー A5版
  • 予価1,650円(税込み)
  • ※電子書籍については価格未定
  • http://tsurico.com/okinawalurebook/

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