こんにちは。沖縄在住の元ルアー釣りガイドsacom(@luckycatslfs)と申します。
ある時は釣り漫画家。ある時は釣り講師。そして最近はオリジナル小説の執筆にも手を出してしまい、「果たしてどこに向かっているのだろう…」と思うことが増えました。
最近は釣りの講師として沖縄の離島へ足をのばしておりますが、講演会の中で参加者に驚かれることは「沖縄本島は釣り禁止を明示された漁港が多い」という事です。
そこで沖縄で釣り禁止となっている場所や、その現状についてお伝えできればと思います。
ご旅行の参考等にどうぞ。
釣り人の行為によって釣り禁止が明示された場所
釣り人の事故やゴミの投棄、漁船への乗り込みや、スクリューへの仕掛けの巻き込みなどの損害によって「釣り禁止」を明示されるケースがあります。
国頭村安田漁港や金武町浜田漁港などの一級ポイントが、次々と釣り禁止となっています。
ちなみに「釣り禁止の明示」と表記しているのは、本来港湾施設は船舶の利用のためのものであり、釣りが黙認されている状況であるためです。
このことは平成5年ごろの那覇港管理組合で議論され、その内容は「事故等の懸念があるが、市民の親水のため黙認している。今後事故等があれば対応を検討する」だったと記憶しています。
前提として黙認しているだけなので、釣り禁止を明示することで、いつでも釣り人を締め出すことができるわけです。
海人(うみんちゅ:漁師さん)には釣りに理解ある方が多いのですが、残念ながら海人の皆さんの信頼を損なってしまい、釣り禁止を明示される状況に至っているというところは釣り人のみなさんにも理解いただきたいところです。
ダム湖
私が小学生の頃(約30年前)は夏になると毎年のように断水となっていましたが、今の沖縄本島はダムや海水淡水化施設などが整備され、断水はほとんどなくなりました。
県民の水瓶、または農業用や治水用として整備されたダム湖にはブラックバスが放たれた場所も多いのですが、調査研究などで許可を得た場合を除いては、全てが釣り禁止となっています。ちなみにダム湖の一部は散策やジョギングなどで活用できます。展示施設も充実しているダムが多いです。
不法侵入した釣り人に対してはかなり厳しく、元職員の話によると釣り人が注意を聞かないため警察沙汰になったことが何度もあるとのことです。
はたして釣り人の信頼を失墜してまで、ダムで釣りをする価値があるのでしょうか…
ちなみに流下する河川は釣りについて規制がない場合も多いですが、外来生物法やマナーや安全管理を徹底して釣りを楽しんでいただきたいと思います。
SOLAS条約等で保安上立ち入り禁止の港湾など
これは大規模な港湾施設が多い本土の海のほうが厳しいと思いますが、国際港や石油コンビナートや発電所などは保安の都合立ち入り禁止です。
国際港に関しては9.11以降「SOLAS条約」によってテロ対策が組み込まれたので、フェンスや監視システムが設置されるなどして、以前よりも厳しくなったと言われています。
さすがに立ち入り禁止場所のフェンスを乗り越えて釣りをしようという人はいませんよね?
防衛施設
沖縄は米軍施設が多くあります。
忍び返しが付いたフェンスのイメージがありますが、演習場など一部の施設はフェンスで囲まれていない場所もあり、釣りをしていて知らず知らずのうちに立ち入ってしまうケースがあるかもしれません。
フェンスのない演習場ではさすがに空包なのでしょうが、演習に巻き込まれたりMPにつかまるのはごめんですよね。
なお、基本的に沖縄の米軍施設や本土復帰後に自衛隊施設となった場所は戦後に接収され、現在は国から賃料が支払われて借り上げされています。
橋の釣り
これは本土も同じかもしれませんが、基本的に橋での釣りは好ましくないと言われています。
沖縄において釣り禁止が明示されている橋は、船の航路にかかっている場所で今帰仁村の観光名所「古宇利大橋(こうりおおはし)」には、航路のため釣り禁止と明示されています。
実際に橋の下を通過した船の乗員(ダイビング客)に釣り針が掛かってしまった事故も起きているそうです。おそらくこのケースは「往来妨害」に当たりそうです。
橋での釣りについては道路交通法上まずいという解釈がよく言われますが、道路交通法は橋に限った法律ではなく、歩道を含む道路全般にかかります。
たとえば通行人に仕掛けが掛かって怪我をさせたり、釣り人が車にひかれてしまうケースもあります。橋だからダメ、道路だからOKという問題ではなく、どんな場所でも事故が起きないよう周囲確認を徹底すること、また通行の邪魔になる場所は避けて事故防止に努めることが何よりも重要なのではないかと思います。
実は私の友人も釣りをしている最中に車に追突されてしまい足が不自由です。幸いなことに、この友人は今でも釣りが大好きです。
これから釣り禁止のポイントを増やさないために
残念ながら釣り禁止を明示する漁港は次々に増えており、今の調子ではおそらく数年のうちにどの漁港も釣り禁止という時代がやってくるのではないかと予想しています。
私は離島での講習会において、まずは「釣りという遊びは危険であること」を教えるようにしています。
私はサバイバルゲームも好きですが、サバゲーでは目を守るゴーグルを外さない限り大怪我をすることはほぼありません。
一方で、より身近なレジャーである釣りでは毎年のように死亡事故が起きています。
楽しい趣味で命を落としたり、大怪我をして悲しい思いをすることだけは避けたいものです。このため最低限命を守るためのライフジャケットの購入と着用を力説しています。また、港湾管理者は何よりも事故が発生することを嫌います。
しつこいようですが、ゴミの投棄や漁船などへの勝手な乗り込み、ロープやスクリューに仕掛けを引っ掛けることが、港湾を利用する海人や船舶関係者の信頼を損ねて「釣り禁止」明示につながっています。
現在はWEBサイトやYouTubeなどの動画を見て釣りをはじめる初心者の方も多いですね。
私は釣りを楽しむだけでなく安全管理やマナー啓発がを必要があると考えています。
釣具店や業界はもっと力を入れて啓発を行って欲しいと願い、この記事を寄稿しました。
釣りのマナーについてはこちらの漫画(釣りの安全とマナー啓発漫画7ページPDFデータ(約4MB)でまとめていますので、ご一読いただけますと幸いです。
自分なりの活動
私なりに釣行時に注意していることは二つあります。
糸くず一本もすべて持ち帰る。
また、自分が足を運ぶ釣り場にゴミがあったら、出来る限り持ち帰ることです。
これを実践している釣り人も多いと思いますが、あまりにもゴミの量が多く、泣く泣く断念することもあります。
ゴミは拾うことよりも捨てないことが重要だと思っています。たとえ釣り場から離れた場所でもです。心無い人が無意識で道路側溝にねじ込んだ吸殻は川や海へ流れ着きます。
釣りを通して魚や釣り場の魅力を伝えることは釣り人にしかできません。
多くの釣り人が釣りや魚、自然の魅力、また安全管理やマナーを伝えられるようになれば、釣り禁止明示を減らせるのではないかと思います。そのヒントを伝えるために各地での釣りに関する講演活動などを行っています。
また、沖縄の釣りをまとめた釣り漫画「ラッキーキャッツルアーフィッシングスクール」や、その外伝的な小説「アングラー@ニライカナイ ~釣り廃人の異世界奮闘期~」などの創作活動を行っています。
これらの作品にも安全管理やマナーの話、そして沖縄の魚達の魅力や釣り方が多数登場しますので、もしよろしければ手にとっていただけますと幸いです。
sacom(@luckycatslfs)
運営サイト:しまこみ(http://shimacomi.com/)
釣りのマナーについて:釣りの安全とマナー啓発漫画7ページPDFデータ(約4MB)
釣り漫画:ラッキーキャッツルアーフィッシングスクール
(①沖縄ライトゲーム初級編 ②沖縄都市河川/ジャングルパーチ編 )
釣り小説:アングラー@ニライカナイ ~釣り廃人の異世界奮闘期~
ORETSURIフィールドレポーターについて
ORETSURI フィールドレポーターの寄稿記事一覧はこちら!